◇第191回◇
年越し派遣村
昨年大晦日に、「年越し派遣村」なるものが 東京の日比谷公園に出現して話題になった。
派遣村作りに関わったのは、NPOや労働組合等 20団体だという。
集まった村民は、最近の不況で、派遣先から契約を解除・解雇されて 寮などの住居を失った元派遣社員等の失業者とされ、日比谷公園に張られた テントで越年した。1月2日以降は 厚生省が講堂を開放し、集まった村民は その後 数百人に達した。5日以降は 公共施設に分散宿泊していたようだ。
都や区は、村民達に、緊急資金を貸し付け、生活保護希望者には、全員に認める等、異例な優遇措置を講じた。
ここに集まった人々は、解雇され、寮を追い出され、この寒空に寝場所もない極めて気の毒な人々だというのが、報道から受けた最初の印象だった。
しかし、冷静に考えてみると、「年越し派遣村」の性格に疑問を感じた。
はたして本当に、解雇され 寝場所もない 気の毒な人々が集まったのだろうか。
ハローワークは、「年越し派遣村」の人々を優先して 就職斡旋に乗り出し、求人業種も警備業、清掃業、土木建築等 多種多様に亘り、数の上では有り余る程の求人があった。住み込み、寮付きの仕事だけでも首都圏を中心に約4,000人分あり、「年越し派遣村」を指定しての求人も約300人あったと言う。
しかし、求人募集に応じて就職した者は、ほとんどいなかった。「紹介される業種は 不安定な仕事ばかりだから…」等というのが、その理由である。
本当に行く当ても 寝場所もない 切羽詰った状況なら、住み込みや寮付きの仕事なら、格好の就職口である。仮に不満であっても、とりあえず職に就いて 住処を確保することが先決だろう。それから 希望の仕事を探せば いいはずだ。
派遣村に集まった人々は、住処を奪われ、寝場所もない深刻な人々と言う触れ込みは 嘘だったようだ。
派遣村には、資金カンパ収入も数千万円あり、活動費などに使われていたと言う。派遣村のルールによると 19時〜21時の間は フリートークの時間で 飲酒もOKになっている。
派遣村に携わったのは、全労連や全労協など 左翼系団体が目立つ。日比谷公園から国会までのデモ行進では、全労連や自治労連の街宣車が村民達を誘導し、「消費税値上げ反対!」「総選挙で政治を変えよう!」等とシュプレヒコールを上げる光景が見られた。
「年越し派遣村」なるものは、どうやら左翼系団体が仕組んだ政治目的のデモンストレーションの類であったようだ。
自民党の坂本哲志総務政務官が、日比谷公園の“年越し派遣村”について、「本当に まじめに働こうとしている人たちが公園に集まっているのか」と述べたことが、不適切発言だとして問題になった。しかし、坂本哲志氏の発言は 事実に基づく正論ではないか。非難さるべき発言ではないし、謝罪したり、釈明すべきものではない。
特定のイデオロギーや政治目的のために 派手にアピールする団体に、国や自治体が特別な便宜を図ることは、公正を欠き遺憾だ。
不況により、職を失い 本当に困っている人たちは 他に沢山いる。表面の事象だけに捉われ、右往左往する行政、政治の貧困を感じる。(2009.02.01)
次回は(第192回)
「横綱朝青龍」(2009.02.15)
【出来事】
- 1月15日(日本時間16日早朝) USエアウェイズのエアバスA320型機がニューヨーク・ハドソン川に不時着水 乗員乗客155人全員救出(ニューヨーク・ラガーディア空港離陸直後にエンジントラブルが発生したもの)
- 1月20日(日本時間21日) アメリカ大統領就任式 バラク・オバマ氏(47)が第44代大統領に就任
- 1月23日 三菱重工業 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」等8衛星を積んだH2Aロケット15号機打ち上げ成功 於 種子島宇宙センター
- 1月25日 大相撲初場所千秋楽 横綱朝青龍が 14勝1敗で並んだ横綱白鵬を 優勝決定戦で下して優勝(23回目) 敢闘賞 豊真将 技能賞 豪栄道
- 1月27日 平成20年度第2次補正予算が憲法の衆院優越規定により成立 (26〜27日の両院協議会が不調に終わったため) 尚 関連法案は見通し立たず
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