◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2009/06/01】



◇第199回◇
国会議員の世襲制限

 今、政界で 国会議員の世襲制限が問題になっている。
民主党では、国会議員の世襲立候補を制限する方針を決め、次期総選挙のマニフェストに盛り込む意向だと言う。
これに対応して自民党でも、菅義偉選対副委員長が「何らかの制限をとれというのが 国民の圧倒的な声だ」等と主張して 世襲制限の動きがあるが、党内には反対意見も多く まだ方針は決まっていない。麻生総理も 積極的ではないようだ。
自民、民主両党の世襲制限主張の狙いは、幅広く優秀な人材の確保という前向きなものではなく、大衆受けを狙った選挙のための集票対策にあるようだ。
世襲議員の是非は、あくまでも それが議員の質の向上につながるか どうかの観点から論ずべきである。

 今、国民の間には、政治に対する不信感が根強い。
衆参のねじれ現象による国会の機能不全、選挙のための目先の場当たり政策、政治資金をめぐる不祥事…等々。またテレビで国会中継を見ていると、これでも国会議員かと思わせる低レベルな議論も多い。全ては国会議員の資質や能力の問題に帰着する。
世襲議員を排除することによって、はたして 議員の質を高められるのだろうか。

 選挙で当選するためには、地盤(支持組織)、看板(知名度)、鞄(資金)の3バンが必要と言われ、地盤を受け継ぐ世襲候補者は 確かに有利だ。タレントなど有名人は 看板の点で有利だろう。
地盤、看板、鞄もない一般人にとって、国会議員への道は、あまりにもハードルが高いことは確かだ。
世襲立候補を制限すべきとする根拠は、選挙に有利な世襲議員が増えると、一般からの優秀な議員の輩出を 阻害することになるということだろう。しかし、自民、民主両党とも、世襲候補者は 国民から 特権階級と見られているから、これを制限した方が、国民に受ける、即ち選挙に有利だという発想からきている。

 最近の歴代総理大臣を見ると、麻生太郎、福田康夫、安倍晋三、小泉純一郎…等々 いづれも世襲議員であり、現 麻生内閣でも、閣僚18人中、13人が世襲議員である。民主党でも 鳩山由紀夫代表、小沢一郎代表代行(前代表)をはじめ 世襲議員は多い。衆院議長河野洋平(自民)、同副議長横路孝弘(民主)、参院議長江田五月(民主)も世襲議員だ。
このように世襲議員の中には、優秀・有能な議員が 多いことは 事実である。
 世襲議員には、生まれ育った環境から 政治家としての能力を身につけ、高い志を持って 政治家を目指してきた者もいるだろう。(その逆のケース、親の七光りで当選したボンクラ議員の存在も否定しない)
 後継の親族がいなくても、議員が引退する時には、後継者(例えば秘書など)を定めて 地盤を譲るのが普通である。せっかく築いた地盤を、みすみす放棄したまま 引退する者は ほとんどいない。世襲であろうとなかろうと、当選する新人議員は、引退する議員から地盤を受け継いで 立候補しているのが 大半である。
世襲でない後継者も 地盤を受け継ぐという点については、世襲と何ら変わるところはない。
世襲議員を排除すれば、議員の質のレベルが上がるとは 思われない。むしろ逆だろう。

 国会議員の質を高めるためには、世襲議員を制限するのではなく、広く一般国民の中から 優秀な人材が立候補し易い社会にすべきであり、そのための仕組み作りを検討すべきである。
例えば、公務員は、国会議員に立候補するには、退職しなければならない。民間のサラリーマンでも、在職のまま立候補することは、実際には不可能だ。立候補して落選したら、それこそ生計の途を断たれ、一生を棒に振ってしまう。大きな賭けだ。
公務員、民間人を問わず、サラリーマンが立候補する場合は、当落が決まるまでの一定期間休職とし、落選したら復職できるようにすれば、安心して立候補することができる。(勿論 公務員については 在職中 求められる普遍不党や中立性を確保するルール作りは必要)
 政党は、候補者を公認するに当たって 世襲か否かを条件にするのは 好ましくない。議員として優秀な人材であれば、世襲であっても 堂々と公認すべきである。資質や能力に欠ける者は 世襲候補であっても公認すべきではない。
政党は、 優秀な人材を集めることこそが 党勢拡大の基本であることを 肝に銘ずべきだ。

 法律で議員の世襲を制限することは、職業選択の自由や法の下の平等に反し 憲法違反になる。
国会議員の適不適を決めるのは、世襲か否かでなく、あくまで本人の資質や能力であり、それは 選挙民が投票を通じて判断することだ。
初めから 世襲立候補を排除することは、有権者の選択の範囲を 狭めることになってしまう。

 国会議員に関しては、世襲問題より もっと重要な課題がある。
それは、国会議員の定数削減だ。強く叫ばれている行政改革は 国会議員も 例外ではないはずだ。
定数削減により、能力や資質に欠ける議員が淘汰されれば、全体として 議員の質の向上にも寄与する。 少数精鋭の国会議員による健全かつ効率的な国会運営を実現してこそ、国民の付託に応えて、政治の信頼回復が得られる。(2009.06.01)

 次回は(第200回)「“云いたい放題”が見てきた歴代首相」(2009.06.15)
  【出来事】
  • 5月16日 新型インフルエンザの国内感染を神戸で確認→兵庫県 大阪府等で感染拡大
  • 5月16日 民主党 代表選挙のため両院議員総会 鳩山由紀夫氏が124票で岡田克也氏(95票)を破り当選 代表就任へ
  • 5月18日 沖縄 奄美地方が梅雨入り
  • 5月19日 鳩山民主党新体制が正式に発足 両院議員総会で小沢一郎氏を代表代行(選挙担当)に 岡田克也氏を幹事長にする等の人事を了解
  • 5月22〜23日 第5回太平洋・島サミット(太平洋の16カ国・地域が参加する日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議) 於 北海道占冠村
  • 5月23日 韓国前大統領盧武鉉(ノムヒョン)氏(62才)が自殺 不正資金疑惑を苦にしたものと思われる
  • 5月24日 大相撲夏場所千秋楽 大関日馬富士が14勝1敗で並んだ横綱白鵬を優勝決定戦で下し初優勝 [敢闘賞]稀勢の里(3回目) [技能賞]鶴竜(3回目)
  • 5月25日 北朝鮮 地下核実験を実施 短距離ミサイルを25日に2発 26日に3発 29日にも一発発射 計6発を日本海に向けて発射
  • 5月29日 2009年度補正予算(13兆9256億円)成立 野党の反対多数で参院で否決されたが 憲法の衆院優越規定により成立したもの