◇第200回◇
“云いたい放題”が見てきた歴代首相
“洋平の云いたい放題”が、今回で 200回目を迎えた。
平成13年(2001年)3月5日に“洋平の云いたい放題”〔第1回〕が スタートして 今日まで8年余、この間 我が国の総理大臣は、4人代った。(森)⇒小泉⇒安倍⇒福田⇒麻生、夫々持ち味があり、私なりの評価を含めて 印象を述べてみたい。
平成13年(2001年)4月、不人気だった森喜朗首相に代わって 小泉純一郎氏が首相に就任した。(2001.04.26〜2006.09.26)
小泉氏は、聖域なき構造改革、規制改革(緩和)を掲げ、自民党をぶっ潰してでも やり抜くと言って、国民の大きな期待と支持を集めて 政権を発足させた。
特に 郵政民営化には 並々ならぬ執念を燃やした。郵政民営化法案が参院で否決されると 衆院を解散して世論に問うという離れ業を演じ、総選挙では 大勝して(与党が3分の2以上の議席を獲得)、 郵政民営化を実現した。
“構造改革なくして景気回復なし”のスローガンの下、不良債権の処理をはじめ、バブル崩壊後の経済建て直しに一定の実績を残した。
また、国債発行の圧縮に努める等 財政再建を重視し、2010年代初頭までのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標を設定した。(プライマリーバランスの黒字化達成の目標は、最近の不況で達成不可能となった)
小泉さんは 靖国神社参拝を公約に掲げ、8月15日を避けたとは言え、毎年参拝して公約を果たした。中韓両国の内政干渉に対する毅然たる姿勢は 評価したい。安倍さん以降の首相は、いづれも中韓両国の反発を恐れて参拝していないのは 情けない。
小泉さんは 最後まで 比較的高い支持率を維持して 任期を全うした。既に 彼は 国会議員引退を表明しているというのに、首相に相応しい人物として 今なお高い人気を誇っている。
次いで安倍晋三氏が首相に就任した。(2006.09.26〜2007.09.26)
安倍さんは、小泉改革路線を踏襲しつつ、“美しい国 日本”“戦後レジームからの脱却”や“主張する外交”等を掲げて、高支持率の中で新政権を発足させた。
わずか1年の短命政権であったが、その間に挙げた実績は、質量共に評価すべきものが多い。例えば
憲法改正のための国民投票法の制定、教育基本法の改正、防衛庁→防衛省への昇格、集団的自衛権を研究する有識者会議の設置…等々。
“公務員制度改革関連法(公務員の天下りの制限等)”や“社会保険庁改革関連法(社会保険庁の解体等)”の成立も安倍内閣が残したものだ。
教育関連3法の改正や教育再生会議を設置する等、教育改革にも積極的だった。
外交面では、中国との関係改善、EUとの関係強化、EUに対し 対中国武器禁輸措置解除に懸念を表明する等、積極的な外交、主張する外交を展開したと思う。
政権末期に 安倍さんがインドを訪問した時、東京裁判で日本無罪論を展開したパール判事の子孫 及び戦時中 日本の庇護の下でインド独立運動に一生を捧げたインドの英雄 チャンドラ・ボース氏の子孫を訪ねたことは、印象的だった。⇒〔第158回〕「安倍総理訪印と二人の人物」
しかし、安倍政権も後半になると、閣僚の失言や政治資金に関わる不祥事が重なり 支持率が低下した。特に社会保険庁の5,000万件に上る公的年金の記録漏れの発覚が致命傷となり、2007年7月の参院選で 惨敗した。参院で 与党は過半数の議席を確保できず、安倍首相は退陣に追い込まれた。この時から 国会のねじれ現象が始まり 今日に至っている。
この時の参院選の民主党の勝利、与党の敗北の原因は、小沢民主党への評価ではなく、安倍内閣の失政でもない。社会保険庁の公的年金の記録漏れの発覚に尽きる。あまりの杜撰さに、国民が唖然としたのだ。
調整型と言われた福田康夫首相(2007.09.26〜2008.09.24)には 見るべきものがなかった。むしろ小泉さんの改革路線や安倍さんが目指した国の将来像を後退させてしまった。
リーダーシップを欠く福田さんは、首相の器ではなかったような気がする。
首相就任早々、衆院解散は野党と話し合って決めると言って、総理の解散権を放棄してしまった。また「相手が嫌がるようなことはしない」と言って 靖国神社不参拝を早々に表明して、中韓両国の内政干渉に屈した外交姿勢は 今だに 批判されている。
安倍さんが小泉改革路線を踏襲したのとは対照的に、福田さんは 格差問題は構造改革がもたらしたものだとして 改革路線には 批判的だった。
安倍首相が作った教育再生会議は 無視したし、集団的自衛権を研究する有識者会議が提出した報告書は 反故にしてしまった。憲法改正にも 関心を示さなかった。
福田さんは「国民の目線で」「消費者が主役」等の言葉をよく口にしたが、これは 国民への迎合パホーマンス以外の何ものでもなかった。この迎合的な政治姿勢は、今の麻生内閣にも 受け継がれているようだ。
福田さんは、不人気と 国会ねじれ現象で行き詰まり、1年で政権を投げ出してしまったが、小泉、安倍両政権が目指した改革路線を大きく後退させた政権だった。
今、麻生太郎内閣(2008.09.24〜)は、100年に1度とも言われる不況や国会のねじれ現象に直面し、厳しい政権運営を迫られている。
麻生内閣への国民の支持率は極めて低い。
麻生さんは、定額交付金、郵政民営化、厚生労働省分割等に関する発言で見られたように、ぶれが多いと言われる。これが、国民に頼りない印象を与えている。
麻生政権の特徴は、不況対策とは言いながら、ばら撒き政策等、国民への迎合的な選挙対策政治の色彩が強いことである。
定額給付金、高速道路料金の土日割引等は その典型で、財政を一層悪化させるだけだ。
不況対策のための財政出動が必要なら、国の現状や将来を見据えた もっと有効な金の使い方があるはずだ。
今、ばら撒きをしながら、近い将来の消費税引上げの必要性に言及する麻生さんの姿勢に、矛盾を感じる人も多いのではないか。
与党が迎合政治に転向したのは、平成19年7月の参院選で 自民党が大敗してからだ。
もともと選挙対策のための 無責任な ばら撒きは、野党民主党の得意分野だった。
平成19年の参院選惨敗で 自民党は自信を失い、選挙を意識して民主党の悪い政策を見習い、国民への迎合政治、無責任な ばら撒き政策に転じた。今や 自民党政治は、ばら撒き本家の民主党からさえ“無責任なばら撒き政策だ”と批判される始末だ。
賢明な国民は、目先の政策ではなく、国の将来像や子や孫の時代を見据えた政治を期待している。この民意をつかめない自公政権、これが低支持率の原因だ。
今の自民党の実態は、リーダーシップの欠如とも相俟って 求心力は失われれ、一体性や一貫性も希薄になり、文字通り“貧すれば鈍する”である。これでは目前に迫った総選挙に勝てるわけがない。
低次元の政治という意味では、自民党も民主党も50歩100歩だ。
どうやら 国民は、しばらく 三流政治に甘んじなければならないようだ。
(2009.06.15)
次回は(第201回)
「北朝鮮問題」(2009.07.01)
【出来事】
- 6月1日 エールフランス ブラジル リオデジャネイロ発パリ行きのエアバスA330型機(乗員乗客228人)が行方不明 大西洋上に墜落
- 6月1日 米ゼネラル・モーターズ(GM) 連邦破産法11条の適用をニューヨーク市の破産裁判所に申請
- 6月2日 6月3日までの通常国会会期を7月28日まで55日間延長することを衆院本会議で議決
- 6月9日 九州 中国 四国 近畿 東海の各地方で梅雨入りしたとみられる(気象庁)
- 6月10日 関東甲信 北陸 東北南部の各地方で梅雨入りしたとみられる(気象庁)
- 6月10日 政府 2020年までの温室効果ガス(CO2等)削減の中期目標を「2005年比15%減」とすると発表(麻生総理記者会見)
- 6月11日 月探査衛星「かぐや」(2007年9月14日打上)が役目を終えて月面に落下
- 6月11日 東北北部地方が梅雨入りしたとみられる(気象庁)
- 6月11日(日本時間12日未明) WHO(世界保健機関) 新型インフルエンザの警戒水準を最高の“フェーズ6”へ引き上げると宣言
- 6月12〜13日 主要8カ国(G8)の財務相会合(与謝野馨財務大臣が出席) 於イタリア・レッチェ
- 6月12日 鳩山邦夫総務大臣が辞任 日本郵政の西川善文社長の再任をめぐり辞表を提出 受理されたもの 後任は佐藤勉国家公安委員長が兼務
- 6月12日(日本時間13日未明) 国連安保理 5月25日の北朝鮮の核実験に関し 追加制裁を盛り込んだ決議1874を全会一致で採択 参照⇒安保理決議1874(全文)
- 6月13日 北朝鮮外務省 国連安保理決議1874を非難する声明を発表 参照⇒北朝鮮声名文
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