◇第201回◇
北朝鮮問題
北朝鮮の国際社会に対する挑発行動は、今年になって 一層激しくなってきた。
今年4月、北朝鮮は人工衛星と称して、またまた 長距離弾道弾ミサイルを発射し、日本列島を飛び越えて 太平洋上に落下させた。
国連は 度重なる挑発行為を 非難する安保理議長声明を採択し、北朝鮮は 国際社会から集中非難を浴びた。
北朝鮮は この議長声明を強く非難するとともに、6か国協議への不参加を表明し、核施設を全面再稼働する、使用済み核燃料棒の再処理に着手する旨を IAEA(国際原子力機関)に通告し、核関連施設の停止・無能力化作業を監視していたIAEA要員を 国外に強制退去させた。
北朝鮮は、安保理議長声明を一顧だにせず、逆に国連安保理に謝罪を求める等、国際社会に対する対決姿勢を 益々エスカレートさせてきた。
更に北朝鮮は、5月25日 2回目の地下核実験を行い、同日以降 たて続けに 日本海に向けて数発の弾道ミサイルの発射実験を行った。
直ちに招集された国連安保理では、北朝鮮に対する制裁(船舶の貨物検査・金融制裁・武器禁輸等)が検討され、6月12日に ようやく制裁決議1874が 全会一致で採択された。参照⇒安保理決議1874全文
この制裁決議の内容については、5常任理事国と日韓の7カ国で協議されたが、採択が遅れたのは、厳しい制裁を主張する日米と これに難色を示す中国との意見調整に 手間取ったからである。
これまで国連安保理は、何度も北朝鮮に対する制裁措置(2006.07.15の決議1695、2006.10.14の決議1718、2009.04.13の議長声明等)
を採択してきたが、加盟各国の制裁決議の遵守・実行が不十分であったため、北朝鮮への制裁が 有効に機能しなかった。
今度こそ 国連加盟各国は、結束して 制裁決議を 確実に実行しなければならない。特に 北朝鮮に影響力のある中国が、安保理制裁決議を厳格に実行するか否かが 鍵をにぎっている。
北朝鮮は、国連決議1874が採択されたことに対して、直ちに外務省声名を発表し(6月13日)、強い反発を示した。北朝鮮外務省声名の要旨は
○核放棄などは 絶対にあり得ない。
○新たに抽出されるプルトニウムの全量を武器化する。
○ウラン濃縮作業に着手(ウラン濃縮技術の開発が成功裏に行われ、試験段階に入った)。
○米国とその追従勢力が封鎖を試みた場合、戦争行為と見なし、軍事的に対応する。
等というものである。詳細については⇒北朝鮮外務省声名文参照
このように 北朝鮮は、国際社会を敵に回し 国際的孤立を一層深めてきた。この調子だと 国連脱退も辞さない構えだ。
“北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議”が始まったのが 2003年8月、以来今日まで6年近く 断続的に協議を重ねてきたが 成果は全くなかった。
逆に この間 北朝鮮は、核開発を進め、核実験やミサイル発射実験を行う等 恫喝外交をエスカレートさせ、都度出された北朝鮮側の見返り要求に 米国をはじめ 関係国は 応じてきた。6カ国協議は 北朝鮮ペースで進んできたと言っても 過言ではない。
例えば、米国との直接対話の実現、米国による金融制裁措置の解除、中断していた石油支援の再開(除く 日本)、米国のテロ支援国家の指定解除等々…北朝鮮の狡猾な恫喝外交は、ことごとく成功しているのである。
我が国が抱えている拉致問題についても、不誠意極まりない北朝鮮に 翻弄され続けてきた。
北朝鮮に対しては、国連安保理の非難制裁決議も全く効果がない。
よく対話と圧力と言われるが、平和的な手段で北朝鮮を説得し、翻意させることは不可能だ。
北朝鮮に6カ国協議への復帰を求めても、北朝鮮は 足元を見て 更なる見返りを求めてくることは必至だろう。これこそ北朝鮮の思う壷だ。こちらから アクションを起こす時期ではない。
国連決議に則り、国際社会が結束して北朝鮮に制裁圧力を継続 強化していく中で、北朝鮮の内部からの変化や崩壊を待つ以外にないようにも思われる。
昨年から、金正日の健康不安が囁かれ、後継者問題が話題になっている。後継者は 三男の金正雲という情報がある。
独裁国家では、新しい指導者を誕生させるには、絶対的な権威づけが必要である。そのためには、国民に 国が非常事態にあることを認識させ、緊張感や危機感を煽ることによって、民族主義的な愛国心や忠誠心を植え付ける手法が取られる。
最近、北朝鮮が、朝鮮戦争(1950.06〜1953.07)の休戦協定(1953.07.27)の無効化を 宣言したのも その一環と見るべきだ。(休戦協定の無効化は 韓国とは戦争状態にあることを意味する)
北朝鮮の核やミサイルの脅威に曝されているのは、日本と韓国だ。
我が国としては、関係諸国と連携して安保理決議を実行するは もとより、独自の厳しい制裁措置を続ける以外に 打つ手はない。安保理決議を着実に実行するための法整備を含めた態勢作りも 急がれる。(公海上で臨検が行えるよう船舶検査法の整備等)
北朝鮮が戦争状態に陥った場合の攻撃対象は、韓国ではなく 日本だという説もある。
北朝鮮の暴走(核やミサイル攻撃)に備えて 十分な防衛態勢を整える必要がある。今話題になっている敵基地先制攻撃論も 現実の問題として真剣に検討されなければならない。自縄自縛の防衛姿勢では、抑止力は生まれず、相手国からの攻撃を誘発するだけである。
我が国としては 現北朝鮮政府と国交正常化をするメリットは 全くない。それは 将来北朝鮮が 国際的に受け容れられるようになってから、相手の姿勢を見て 考えればいいことだ。その際、拉致問題の解決が大前提であることは 言うまでもない。
(2009.07.01)
次回は(第202回)
「方向を見失った自民党」(2009.07.15)
【出来事】
- 6月16日 政府 日本独自の北朝鮮制裁措置を閣議決定(全面輸出禁止 人の往来規制等)
- 6月19日 海賊対処法 税制関連法 改正国民年金法が成立(いづれも参院で否決されたため 衆院で3分の2以上の多数で再可決成立したもの)
- 6月28日 沖縄地方が梅雨明けしたとみられる(沖縄気象台)
- 6月28日 麻生首相 韓国の李明博大統領と日韓首脳会談 於首相官邸
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