◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………◇ これまでの云 い た い 放 題 ………
【2009/11/01】



◇第209回◇
民主党政権を斬る(T)

 去る8月30日の総選挙で 一気に衆院議席308を獲得した民主党は、社民党、国民新党と組んで 鳩山連立政権を発足させた。(9月16日)
民主党とは一体どんな政党なのか、党の政治理念が はっきりしないのが民主党だ。
民主党の特徴は、左から右まで、旧社会党から自民党までの寄せ集め集団であることは 広く知られている。このため、党の基本方針や綱領をまとめることができない。
それでも 党の一体性を保ってきたのは、政権獲得のただ一点のみを 求心力にしてきたからだ。
今回、唯一の悲願・政権獲得を達成した民主党は、これから 求心力を どこに求めるのか、党に内包する弱点や矛盾点が 顕在化してくるだろう。

 鳩山首相の統率力やリーダーシップに疑問を呈する人も多い。
党運営を一手に掌握した小沢幹事長は、政府には 干渉しないと言っているが、逆に党代表の鳩山首相にも、党運営には関与させない構図が出来つつある。いずれにしても、民主党の実質的な最高権力者小沢一郎氏の意向を無視して 鳩山政権は成り立たない。
鳩山政権は、マニフェストの完全実施を金科玉条とすることで、閣内の統一を図ろうとしている。それでも現実とのギャップ等から 閣内で、対立する意見が出始めている。
連立相手の社民党福島大臣や国民新党亀井大臣には、首相としての指導力どころか、曖昧な態度や迎合する姿勢を見せている。
鳩山首相に、党内や閣内での統率力やリーダーシップを期待することは 所詮無理だ。

 民主党政権は、官僚主導から政治主導へ転換させるとしている。政治主導は当然のことであり、その方向性は正しい。
しかし、民主党のやり方は、官僚排除、官僚否定の姿勢に見える。例えば、官僚の記者会見禁止、国会での官僚の答弁や説明の禁止等々。
これまで、わが国の行政は、優秀な官僚によって支えられてきたことは 周知の事実だ。エリートと呼ばれる官僚には、専門的な知識や能力の点では、大半の国会議員は かなわない。官僚排除は、官僚に対する劣等意識から来るのかもしれない。
 官僚を排除するのではなく 取り込んで、政治主導のもとで 官僚の知識や能力を十分活用すべきである。
民主党政権は、党の職員を、にわか仕立てで 国家公務員に採用して 内閣官房の専門調査員にすると言うが、官僚の能力を活用できず、党の職員の力を借りねばならないとは…与党議員の無能ぶりを露呈したものと言わざるを得ない。

 民主党政権が 実現に執念を燃やしているマニフェストは、問題が多く、矛盾や欠陥が露呈してくるだろう。
もともと 選挙対策、集票目的のために作られた民主党のマニフェストは、現実に立脚した政権与党の立場から検討、作成されたものではないからである。

 まず、マニフェストの実行に必要な財源確保が困難である。
マニフェスト作成時、必要な財源については、無駄を排除すれば 財源は確保できるとか、政権を取りさへすれば 財源は 何とでも なるという極めて無責任な発想によるため、具体的な財源の裏づけがないのは 当然である。
 既に 来年度(22年度)の政府予算の概算要求が95兆円超になっており、史上最大の予算規模になることは必至と言われ、赤字国債の大幅発行は避けられない見込みだ。既に 政府は、公約に反し 赤字国債発行容認に軸足を移している。
 更なる国債の発行は、子や孫の世代に大きな借金を残すことになる。国の債務残高は約860兆円(国民1人当約700万円)に達しており、国民に大きな不安を与えている。このまま赤字国債の発行を続ければ、行き着く先は、国家財政の破綻であり、国民生活に致命的な結果をもたらすことになる。
平成22年度は、赤字国債発行で 何とか凌いでも、23年度以降は一体どうするつもりなのか。行き当たりばったりでは困る。鳩山政権は深刻な財政を直視し、財政再建への対策や道筋を明示して、国民の不安解消に努めるべきである。

 マニフェストに盛られた政策の大半は、ばら撒きであり、これこそ税金の無駄使いと言うべきものだ。国の財政を 一層悪化させるだけだ。
 中学卒業までの子供全てに 月額26,000円支給するという子ども手当ては、ばら撒きの最たるものだ。
国民から集めた税金を、 再び国民に ばら撒くもので、選挙対策や人気取り以外の何物でもない。
子ども手当てが欲しいから 子どもを作る?…日本国民は まだそこまで 落ちぶれてはいない。生活困窮者には 生活保護の制度がある。ばら撒き財源を負担するのは 結局国民であり、内需拡大や景気対策に繋がらないないことは 麻生政権の定額給付金で実証済みだ。

 高校授業料の無償化も、筋が通らず、国費の無駄使いだ。高校は義務教育ではないのだから、一定の授業料を徴収するのは当然だ。困窮者には、授業料免除や奨学資金の制度があるではないか。

 農家に対する戸別所得補償制度(農産物の販売価格が生産費を下回った場合、その差額<赤字>を国が補填する制度)は、単なる生活支援であり、農業の再興や食料自給率向上には むしろマイナスだ。(生産性向上やコスト低減意欲の減退を招く)
 わが国農業の問題点は、生産コストが高く 採算がとれない、農業従事者の大部分が高齢者であり、後継者が居ないため 先細りになっていくことだ。現状は、農業だけでは 生活ができないため、小規模な兼業農家が多い。
戸別所得補償制度は、いづれ消え行く零細農業を、一時的に保護する効果しかない。このために使われる財源、これこそ税金の無駄使いではないのか。
 農業再構築のためには、規模を集約拡大して 機械化による生産コストの削減や 農業経営に法人の参入を推進する等、抜本的な構造改革により、競争力を高める必要がある。これこそ政府主導でやるべき重要課題だ。

 高速道路の無料化やガソリン税暫定税率廃止(ガソリン25円値下げ)が、マイカー奨励策に過ぎないこと、温暖化ガス排出削減に逆行すること、渋滞の弊害、維持費や道路建設負債を税金で賄うことの不合理、フェリー会社の倒産等、与える影響の弊害については、既に〔第206回〕「高速道路無料化の矛盾」で詳述した通りである。

 民主党の公約やマニフェストの問題点は、まだまだ沢山ある。
民主党は、政権与党になった段階で、現実に即した観点から、マニフェストを見直すべきであった。
政策実施に当たっては、国民に十分説明して 協力を得ることが大切である。今のやり方を見ると、かたくなに マニフェストに固執し、既に結論ありきの強硬姿勢が見られ、各方面に不安と混乱を招いている。
野党時代の選挙用マニフェストや公約の再検討、現実路線への転換なくして 民主党の安定政権はない。(2009.11.01)


  【ちょっと一言】
  「モラトリアム法案」

 先日、亀井静香金融担当相が、中小企業や個人住宅ローンを対象にした返済猶予(モラトリアム )法案を打ち出した。
一定期間、債務(借金)や利子の支払いを 猶予(棚上げ)することを、法律で定めるというものだ。
過去、モラトリアムが実施されたのは、大正12年の関東大震災と昭和初期の金融大恐慌の時に短期間実施されただけである。
これは、まさに非常事態に陥った金融に 戒厳令を敷くようなもので、場合によっては 所有権侵害の可能性もあり、軽々しく論じるものではない。 借りたものは、約束に従って返す、これは 近代社会の大原則だ。
 結局「中小企業金融円滑化法案」(仮称)にまとめられ、返済猶予は 努力規定とし 強制は しないことになるようだ。当然だ。
しかし、返済猶予を促すため 実施状況を報告させる等、銀行に圧力をかけると言う。政府が介入することは、自由な取引を阻害し、わが国経済にとっては マイナスだ。
 返済猶予を受けた中小企業は、信用失墜を招き 再建不能に陥る可能性もある。貸し手側(銀行)は 融資の基準を 厳格にし、貸し渋りを助長する結果にもなりかねない。モラルハザードの問題もある。
中小企業への資金援助は、国の融資や国の保障等、別な対策を検討すべきだ。
 今回 はっきりしたことは、亀井静香氏は金融担当相には 不適任ということだ。(2009.11.01)

 次回は(第210回)「民主党政権を斬る(U)」(2009.11.15)
  【出来事】
  • 10月20日 ゲーツ米国防長官が来日 岡田克也外相と米軍普天間基地の移設問題等につき会談 21日 鳩山首相 北沢俊美防衛相と夫々会談 
  • 10月23日 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開幕 24日にASEANプラス3(日 中 韓)首脳会議 25日に東アジア首脳会議(16カ国) 鳩山首相出席 於タイ中部フアヒン
  • 10月26日 第173臨時国会召集 会期は11月30日までの36日間
  • 10月27日 関門海峡で海上自衛隊護衛艦「くらま」(5200トン)と韓国籍コンテナ船「カリナ・スター」(7401トン)の衝突事故発生