シャモニーどたばた旅行記
(その2)・・・バレー・ブランシェ滑降:編
*「バレー・ブランシェ」滑降とは・・・?
バレー・ブランシェとは、直訳すれば「白い谷」、即ち、一年中、雪(その下は氷河)で覆われた谷を意味します。
具体的には、ヨーロッパの最高峰モンブラン(4,810m)を、背後に控えたフランスの世界的スキー・リゾート地、
シャモニーにある針峰エギュー・ド・ミディー(3,842m)や、モンブラン・デ・タキュル(4,248m)より
発する氷河を表しています。この氷河は、途中からジュアン氷河に合流し、さらにタキュル氷河、そして更には
メール・ド・グラスへと合流しながら、標高差約2,000m、距離約20kmを下っていきます。
そして、この一連の氷河上を、エギュー・ド・ミディーへのロープウェイの終点(3,842m)よりモンタベール登山鉄道の
終点駅の直ぐ下(約1,800m)まで、滑り降りようと言うのが、今回の旅行の計画です。
*三浦敬三さんに、刺激され!
富士山頂上からの直滑降や、エベレストのサウス・コルからの直滑降で有名な、
三浦雄一郎さんのお父さんで、現在100歳で、尚、現役のスキーヤー・・!
そして、99歳の時に、この「バレー・ブランシェ」の滑降に成功され、
日本中の、オフ・ピステ スキーを愛するスキーヤーの「神様」の様な人。
私達も、この神様のパワーを少しでも、お裾分け頂こうと、
今回の計画と相成りました・・・!
*ガイドの必要性について
氷河の上は、一見、真っ平らのため、滑降そのものは、そんなに難しくは見えませんが、
以下の(10)にある様に、平坦な所でも、大小さまざまな「クレバス」が隠れています。
そのため、好天気の日に、他人が滑ったシュプールを忠実にフォローする場合以外は、
ガイドに案内してもらうのが、安全です。通常は、8人にガイドが、一人ぐらいです。
*高山病の注意
バレー・ブランシェへの入口のシャモニーの街は、標高が1,035mですが、
滑降スタート地点のエギュー・ド・ミディーの山頂駅は、標高3,842mです。
この標高差2,800m余りを、中間駅での一回の乗り換え(所要時間約15分)のみで、
頂上まで登ってしまうと、人によっては、高山病の症状が出て、吐き気や、頭痛がし、
全く動けなくなってしまう人もいます。
(千恵さんも7年前に、登った時には、ヘロヘロでしたが、今回は、前日に、一度、
登っておいたので、当日は、快調そのものでした・・・!!!))
*個人計画 or パッケージ・ツァー参加?
個人旅行で行くと、お天気を見ながら、自分の判断でツァー日を決定出来ますが、
その代わり、ガイドも自分で申し込まなければならないし、「足前」の解らない
外国の人と一緒と言う事もあります。パッケージ・ツァーに参加した場合は、
お天気の周りによっては、挙行出来ない事もありますが、知り合い同士で、
和気あいあいとなります。
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(1)お天気・・・’04/04/08:快晴
「シャモニーどたばた旅行記:その1」にある様に、4/4〜7は、連日、晴/曇や、雪など・・・
四月だと言うのに、全く天気が安定しませんでした、が、ついに神様のお恵みで、「快晴!」
(2)ガイドとの待ち合わせ/ロープ・ウェーの乗り順
AM9:30に、ロープ・ウェー駅の前で、ガイド(ミッシェル)と待ち合わせる。
好天だと、通常は、随分と並んで待たなければならないのに、彼が、「特別整理券?」らしきモノを
見せると、スンナリ乗車OK! さすが、ヤルッー・・・!
中間駅からは、山頂駅が、頭の真上(?)にそびえていました。
ガイドの案内を頼む場合、通常は、8人に対しガイド1人と言う
グループになる訳ですが、今回は、数日前に、千恵さんが、
スキー場での滑降中に、少し膝をネンザしたため、
他の人に迷惑をかけたくなかったので、個人ガイドを
頼みました・・・・・料金は、235ユーロ/一日ナリ!
その代わり、「一気にあまり長く滑るナ!」、
「時々写真を撮るために止まれ!」、
「危険を知らせる時は、短い、英語で!」等など、
こちらが事前に言っておいた事は、本当に忠実に守ってくれ、
下山後も、アパートまで、車で送ってくれました。
この料金が高いか?どうかは、議論の有るところですが、
その安心感は、絶大なモノでした・・・!
(3)まずは、山頂展望台で景色を楽しむ
ロープ・ウェーで山頂駅についたら、まず、南側の展望台に登り、足下のシャモニーの街や、
モンブラン、グランド・ジョラス、ドリュー等の名峰を楽しみましょう。ただし、高度が
富士山の頂上より高いので、歩くときも、ユックリが大切です。
(4)急斜面の降下に備え、アンザイレン
景色を充分楽しんだら、ガイドが、ハーネス(お互いをロープで繋ぎ合うために、
身体に付けるベルトの様なモノ)を千恵さんに付けてくれ、私には、
「自分で付けろォー・・・!」と言う様な顔をしていました。
何か、一気に一流の登山家になった様な気になって、千恵さんもご満悦でした。
(5)滑降スタート地点までの、急斜面の下降
ハーネスを付けたら、いよいよ滑降スタート地点まで、標高差で約150mを、歩いて降ります。
ガイドが、ストックをまとめて担ぎ、私が千恵さんのと、自分のと、2本の板を両手に持って
降りました。足下の雪のスロープは、かなり急で狭い上に、所々には、氷が露出していて、
とても緊張しました。
<<コースの概要説明>>
それでは、この辺で、今回我々が滑った、「クラッシク・ルート」について、説明をします。
下の地図を参考にして下さい。
*氷河前半部・・・滑降スタート地点より、バレー・ブランシェの源頭部をトラバース気味に滑り
大ロニオンのコルを越えたら、ジュアン氷河の源頭部に出る。
ここで方向を北に変え、ジュアン氷河に沿って左岸を斜滑降で下る。
*氷瀑帯・・・・・・・ジュアン氷河は、標高2,700m付近でセラック(氷瀑帯)となり、
一気に2,400mまで落下する。当然のごとく、大小さまざまな
クレバスがあるので、氷瀑の端を慎重に下る。
*レキン小屋・・・・氷瀑帯を見渡せる、断崖の上(2,516m)にあり、軽食もとれる。
*氷河後半部・・・レキン小屋から下り、タキュル氷河に出て、ひたすら真っ平らな
雪原を直滑降のみで進むと、やがて、メール・ド・グラスに出る。
さらに下ると、標高約1,800m付近で、氷河上の滑降が出来なくなる。
*モンタベール登山鉄道への取り付き
夏のメール・ド・グラス観光で有名な「氷河の洞窟」の側に
滑り降りると、やっとゴール・・・!モンタベール登山鉄道駅への
リフト乗り場まで、最後の階段登りがあり、これが疲れた足には、
結構キツイ・・・!
(6)氷河前半部(荒々しい峰々と、広大なスロープ)
いよいよ、滑降開始、どれほど、この瞬間を待ちわびた事か・・・!
広い、広ろぉーい、メチャメチャ広い、この雪原は、一体、ナンナンダ・・・?
余りの広さに、距離感がよく解らない・・・? 先行する千恵さんとミッシェルを
カメラで追っかける。足下には、春のやや重い新雪が2〜30cm積もっている。
直滑降と、狭いボーゲンのミックスで滑る。やがて、ダン・ジュアンの巨大な「歯」が
見えると北に進路を変え、長がぁーい「斜滑降+横滑り」の下りとなる。
かなりの新雪の中、コースを逸れると止まるし、忠実に辿ると、スピードが出過ぎる、
このスピード・コントロールが、なかなか難しかったデス。
(7)いよいよ、緊張の氷瀑帯
長がぁーい斜滑降が終わると、突然、斜度が増し、雪面が急に暴れまくって来た。
いよいよ、難所の氷瀑帯に突入。ガイドのミッシェルが先行し、慎重にルートを決めてくれ、
我々はそれを忠実にフォローした。新雪の下は、氷混じりのガタガタのバーンで、
とてもスイスイとは行けない。やっと難所を越え、後ろを振り向くと、余りに巨大な氷瀑に
圧倒される。この巨大な氷のかたまりが動いていると言うから、本当に自然の力は
スゴイ!の、一言・・・・!
(8)レキン小屋での昼食
氷瀑帯をぬけ、左側のウルトラ急斜面を、斜滑降で進むと、やがて前方にレキン小屋が見えてくる。
小屋に着き、ホットし、持参のサンドイッチで昼食とする。やや遅れて到着した
「岩手県出身の自称フランス人?とおっしゃる、日本人のグループの人達は、
小屋で、「卵+ソーセージ+ポテト」のランチを注文していました。
最高の景色と、お天気で、ここまで来られた健康に、乾杯・・・!
<<ジュアン氷瀑帯の全景>>
見て下さい、このスケール!
これが、年に数メートル動く
と言う事が、信じられますか・・・?
下降コースそばの、ケシ粒の様な
人間が解りますか・・・?
(9)氷河後半部(ひたすら真っ平の、ノンビリ平原)
昼食をユックリとった後、また急斜面をトラバースし、氷河後半の平原へと降りて行きます。
ここまで来ると安心と言う訳か、あちこちで雪上ランチのグループが見られました。
後半部は、標高が下がった(2,400m以下)ため、新雪も少なく、「ひたすら真っ平ら!」を、
奴凧の様に両手を一杯に広げて、直滑降で下りました。
(10)恐〜いクレバスのお話
先行していたミッシェルが、突然止まり、雪の中を、ストックでガサガサとやっている。
と、こちらを見て、「見てみろ!」と言う感じ・・・・「ム、ムッー・・・!」。これが、クレバスか?
「深さは?」と尋ねると、「下に降りた事がないから解らないが、」と、そして続けて、
「氷河の厚さは、この辺でも、数百メートルはあるだろうナァー!」との事・・・!
(11)いよいよゴール、モンタベール登山鉄道駅への取り付き
長い、長い氷河も、ついに終点。標高1,800m付近で、岩がゴツゴツと現れ
滑降不能となる。2月から始まるツァー適期の内、2〜3月の間は、林道を滑って
シャモニーの街(1,035m)まで滑って降りられるとの事。
スキーを脱いで、モンタベール駅に運び上げてくれるリフト乗り場まで、最後の気力を
振り絞って階段を登る(ホント、メチャメチャ長いコースなので、結構、疲れまくってイルのです!)。
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<<今回のバレー・ブランシェ滑降の感想>>
*お天気・・・・今回、シャモニーに7泊したが、4月と言うのに、快晴になったのは、わずか1日のみ!
他のパッケージで来ていた、シャモニーは2回目と言う人は、前回の時には、
天候に恵まれず、ツァーが出来なかったとの事。
*気温・・・・・・シャモニーと比べて標高差が2,800mもあるので、少なくとも気温は15℃は下がるので注意!
*脚力・・・・・・氷河上なので。氷瀑帯を除いて基本的に平坦だが、標高差2,000m、距離20kmを
滑りきる脚力が必要。
*技術・・・・・・氷河前半部は、かなりスピードの出る斜滑降が多いので、横滑りを適度にミックスした、
微妙なスピード・コントロールが出来る技術が必要。
*新雪・・・・・・標高から言って、晴れ上がる前には、当然かなりの降雪がある。
今回の「クラッシク・ルート」以外のコースは、かなりの斜度の所もあり、
「膝上」程度の、新雪/悪雪の滑降技術が必要と思われます。
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<<最後に>>
今回も、最後まで見て頂いて、どうも有り難う御座いました。
このページが、貴方のスキーLifeの充実に少しでも役立てば、嬉しい限りです。
