- 定義
主として粘膜下層を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症
- 症状の概要
慢性の下痢、粘血便を主症状とし、病勢、罹患範囲などに応じて下痢、血便の程度はさまざまである。
発熱、貧血、栄養障害などを伴うものも少なくないが、軽症や寛解期には全身症状のあまり侵されないものもある。
若年に発病するものが多いが、各年令にみられる再燃緩解型、慢性持続型といわれる経過を示すものが多い。
急性電撃型はまれであるが、発熱、大量出血、穿孔、中毒性結腸拡張などを伴い重篤である。
- 診断の手順
慢性の粘血・血便などがあり本症が疑われる患者には、細菌学的、
寄生虫学的検査を行って感染性大腸炎を除外するとともに、
直腸あるいはS字結腸内視鏡検査を行って本症に特徴的な腸病変を確認する。
この際なるべく生検を併用する。
これだけの検査で多くは判断が可能であるが、さらに注腸X線検査や、必要に応じては結腸内視鏡検査を行って、
腸病変の性質や程度罹患範囲などを検査し、同時に他の疾患を除外する。
- 診断基準
次の(1)のほか、(2)のうち1項目、及び(3)を満たし、下記の疾患が除外できれば、確診となる。
(1) 臨床症状
持続性又は反復性の粘血・血便、あるいはその既往がある。
(2)
[1] 内視鏡検査
(a) 粘膜はびまん性に侵され血管透見像は消失し、粗造又は細顆粒状を呈する。
更に、もろくて易出血性(接触出血)を伴い、粘血膿性の分泌物が付着しているか、
(b) 多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。
[2] 注腸X線検査
(a) 粗ぞう又は細顆粒状の粘膜表面のびまん性変化、
(b) 多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。
その他、ハウストラの消失(鉛管像)や腸管の狭小・短縮が認められる。
(3) 生検組織学的検査
主として粘膜固有層にびまん性炎症性細胞浸潤があり、
同時に杯細胞の減少又は消失、びらん、陰窩膿瘍や腺の配列異常などが認められる。
(2)、(3)の検査が不十分、あるいは施行できなくとも、切除手術又は剖検により、
肉眼的及び組織学的に潰瘍性大腸炎に特徴的な所見を認める場合は、(4)の疾患が除外できれば、確診とする。
(4) 除外すべき疾患は、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、日本住血吸虫症、大腸結核、キャンピロバクタ腸炎などの感染性腸炎、
放射線照射性大腸炎、虚血性大腸炎、薬剤性大腸炎、クローン病、腸型ベーチェット、リンパ濾胞増殖症などである。
|
(注1)
|
稀に血便に気付いてない場合や、血便に気付いてすぐに来院する(病悩期間が短い)場合もあるので注意を要する。
|
|
(注2)
|
所見が軽度で診断が確実でないものは「疑診」として取り扱い、
後日再燃時などに明確な所見が得られたときに潰瘍性大腸炎と「確診」する。
|
- 病態(病型、病期、重症度)の分類
- 病変の広がりによる病型分類 全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎、右側または区域性大腸炎
|
(注1)
|
直腸炎は前途の診断基準をみたしているが、直腸鏡検査により病変部口側に正常大腸を認めるもの。
|
|
(注2)
|
左側大腸炎は、病変の範囲が横行結腸中央部をこえないもの。
|
|
(注3)
|
右側または区域性大腸炎は、肉芽腫性大腸炎(限局性大腸炎、大腸クローン病)や大腸結核との鑑別が困難で、
診断は切除手術または剖検の結果にまたなければならないこともある。
|
- 病気の分類 活動期・緩解期
|
(注4)
|
活動期は血便を訴え、内視鏡的に血管透見像の消失、易出血性、びらんまたは潰瘍等を認める状態
|
|
(注5)
|
緩解期は血便が消失し、内視鏡的には活動期の所見が消失し、血管透見像が出現した状態
|
- 重症度による分類
軽 症:全身症状が欠如または極めて軽微
中等症:軽症と重症の中間の臨床像
重 症:頻回の粘血、水様便、発熱、頻脈などの全身症状、赤沈値亢進
- 臨床経過による病症分類 再燃緩解型、慢性持続型、急性電撃型、初回発作型
|
(注6)
|
急性電撃型は極めて激烈な症状で発病し、中毒性大腸拡張症、穿孔、敗血症などの合併症をともなうことが多く、
予後が極めて不良なもの。
|
|
(注7)
|
初回発作型は発作が1回だけのもの。しかし、将来再燃をきたし、再燃緩解型となる可能性が大きい。
|
- 病変の肉眼所見による病型分類 為ポリポーシス型、萎縮性大腸炎型、混合型
|
|