イージースリップ研究レポート構想編

改訂版

当初、このレポートは「イージースリップ研究の会」(栢桐よみさん主催・現在は廃会)のレポートとして書かれたものです。会自体は無くなってしまいましたが、当サイトの第1弾となった記念すべき制作記となりました。これを機に折りに触れてその他の技法についても触れていきければと思います。とはいえここに記す制作記は自分自身の忘備録が第1儀です。ですがこれを読んで頂いた方の何かのお役に立てば幸いです。
*作例にある人形はモールド制作開始から1年ほど経過しています。しかも制作当初はビスクドールを作るためのモールド作りでしたので各項目にわたりビスク制作が念頭にあります。ですから、最初からイージースリップのみでの制作であればもっと制約が少なくて済んだ箇所もあります。その点を考慮に入れてお読み頂くことをお願いいたします。
尚、制作時から時間が経過していますので、細かい点で思い違いや記憶の脱落があります。随時、補足訂正をするつもりですがその点ご了承ください。また、当レポートはあなたの人形制作の成功を保証するものではありませんので、制作にあたっての失敗、事故等についての責任は負いかねます。(念のため) 

写真1
1.写真1はイージースリップを用いて制作した人形の写真です。高さはほぼ100センチあります。全てのパーツをイージースリップで制作しました。今回の制作で一番の問題となった点は、胴体のモールドでした。首がボディについたタイプでしたので長さは50センチほどになります。首を胴につけるか頭につけるかは好みの問題ですが、私自身の作例としてはボディに首があるタイプが圧倒的に多いです。ボディから首への流れを重視しているということでしょうか。結果から言ってしまうと今回の制作に関しては頭に首をつけた方が仕上がりは良かったと思われます。(これについては後述します。)さて、長さ50センチもの胴体のモールドとなるとその重量、一度に鋳込みに使うスリップの量など作業性が著しく悪くなること、よしんば鋳込み排泥作業を行った所で脱型後スリップが原型を保ってくれるかどうか非常に危ぶまれました。もっとも、これは今の私の技術では難しいということでまるっきり不可能というわけではないでしょう。それからこれが最大の理由でしたが、無事脱型できたとしても教室にはこれだけ大きなパーツを焼ける窯がないということでした。

写真2 2.検討の末、ボディパーツをウエスト部から上下2パーツに分割することにしました。(写真2)ボディを2パーツに分けるのであれば通常、腰の方に受けを作り上半身下部を半球状にする形式がありますが、今回はビスクで制作する目的からウエスト部で水平にカットしました。こうすることにより窯に平らな面を下にして置くことができ、焼成による形のへたり(変形)を最小限に押さえることが期待できるからです。

写真3 3.各パーツの接合には昭和初期のマネキンに作例があり、参考としました。写真3は自作のボディ接合部です。分割された2つのパーツを木球(直径10センチ)でつないであります。木球と上下のパーツの受け部分は3ミリの化粧ベニヤを使っています。今回は元のままの色を残しましたが肌の色に塗るべきだったかも知れません。受け部分の円の直径を変えることによって若干ですが身長を変えることができます。ただし、受けの部分を浅くしすぎると上半身がこけやすくなりますので展示の際など注意が必要です。写真1に示した2体の人形の身長差はこの方法によっています。

写真4 4.写真4は今回の制作で使用したお薦めグッズその1です。塗料用の撹拌棒で、電動ドリルに装着して使用します。固くなったスリップも楽に撹拌できます。日曜大工センターなどで¥1000程度で買えます。使用に際してはあまり液面上部で撹拌しないことです。気泡が入ってあとで面倒なことになります。(経験者は語る・・・)今回はこれにて終了。次回は鋳込み、脱型、磨きについてレポートする予定です。2003年2月20日2回目の改訂。