イージースリップ研究レポート
鋳込み編
さて、2回目です。今回はモールド作りと鋳込み、脱型です。写真左は前回のレポートで登場した胴体のモールドです。写真では実感がわかないと思いますが、大きいです。正直言って処分に困っています。(笑)大きさゆえ、通常用いられる型枠によるモールドではなく「ハンドレイアップ」という方法を採っています。この技法により使用する石膏の量を減らすことができ、モールドの軽量化を図ることができました。モールドに使用する石膏の質が作品の仕上がりに大きく影響しますので石膏はできるだけ良質のものを選んでいます。私が使用しているのは、サンエス石膏の「特級・緑」です。25キロ入り一袋¥5000(税別)メーカーから直に取り寄せています。
今回原型は以前制作した人形を流用しました。ゼロから作るより制作期間の短縮ができます。しかし、最も大きな理由は、時間が経って眺めるといろいろ気に入らない所が目立ちはじめ手を入れたくなったからです。それでも、全てのモールドを起こすのに4ヶ月ぐらいかかっています。延べ時間にして40時間くらいでしょうか。使用した石膏は2袋弱といった所です。(うろ覚えですみません。)写真左の白い部分は粘土での修正部分です。この修正部分は他の地と同じようにペイントすべきでした。通常、離型剤として使用するワックス(床用ワックス・リンレイブルー)を原型に塗りますが、どうもペイント部とそうでない部分とで防水に差ができて?粘土の部分の所のみモールドの表面が荒れてしまいました。これでモールドが使えなくなるわけではないのですが、あとで磨きが少し面倒なことになりました。
ビスクで頭(かしら)を作る場合は後ろ頭を切った状態で作りますが、これはいうまでもなく後から義眼を入れるためです。(磁器は後から切れませんので、念のため)今回の私のように同じ型でビスクも作る場合は当然このような作りになりますが、イージースリップのみで作るという場合はこの処置は要らないかも知れません。ただ一体だけ作るなら良いのですが(もっとも、それだと型で作る意味が薄れるような気がしますが)、複数作る場合その都度、頭の鉢の部分を切らなくてはなりませんし案外真直ぐ切れなかったりして気持ちがブルーなることもあります。(笑)
鋳込みの際にはスリップを十分に用意するのは言うまでもないことですが、胸部のモールドを鋳込むのにボトルを2本使わなければならないのには閉口しました。予想通り、ボディの鋳込みは難航しました。特に胸部は脱型前に型の中で粘土が剥離を起こしてしまい、やり直しになりました。もっとも私がイージースリップを使用したのが発売前の試作品で製品版より性能が悪かったであろうことや、モールドの調子や着肉の具合にもよるので、その点を考慮して頂きたいと思います。その他のトラブルは頭を抜くとき耳の部分に亀裂を生じてしまったことです。原因は、耳の部分のモールドにワックスが付着していたためそこの部分だけ着肉が悪かったことでした。サンドペーパーでワックス分を除去したところ、亀裂は生じにくくなりました。今回のように亀裂が生じた場合、応急処置としてスリップをへらに取って亀裂部に置くように塗ります。この方法は脱型時のこすれや気泡にも行いました。目の部分や大きなバリ、受けの部分は脱型直後の粘土がまだ柔らかいうちにフェザーナイフで取っておきます。`写真左
乾燥はトレイに化繊綿(手芸屋さんに売ってます。)を敷きその上において乾燥させます。化繊綿に置くことで粘土の重さを分散させ、自重でつぶれることを防ぎます。写真左は乾燥中のヘッド。画面左がイージースリップ、右がポーセレンスリップ。乾燥を待っていよいよ磨き作業です。
さて、お薦めグッズのコーナーです。
今回はグッズではなく技(テクニック)です。写真左。パーティングライン出しに二つ折りした厚紙(葉書など)を使いますが(はじめて作るビスクドール参照)、山折りした部分にコンテやダーマートグラフなどを塗りつけ原型をなぞるとあ〜ら不思議、原型にパーティングラインが描き出されます。お試しあれ。
次回は磨きと塗装についてレポートする予定です。2002年3月21日記。
イージースリップ1
イージースリップ2
イージースリップ3
イージースリップ4
焼成窯導入編
焼成窯テスト編