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dic-iのJ-OSへの標準搭載によせて

J-OS IV b3より、標準の辞書が変更され、dic-i ver2が採用されました。J-OS IVでは、最終的にdic-i,dic-itの4つのサイズの辞書を搭載する予定です。すでに多くの人に使って頂いてるのですが、山田さんによると、標準の辞書をそのまま使用するのが最も一般的だそうですから、これからはさらに多くの人に使っていただけると思います。これは大変嬉しいことで、励みにもなります。私の辞書を採用してくださったことに対し、山田さんに感謝します。

Niftyの過去のログ(FPILOT創設時)を読み返してみると、(その頃はまだ私はPalmユーザじゃなかったけれど)J-OSの変換効率向上のために、かなりの人が辞書のカスタマイズをやっていたようです。フォーラムの会議室でも何回か話題になっています。今読み返してみて、dic-itで行っている変換効率を向上させる工夫のほとんどが、ここで既に話題になっています。ただ、必要な単語をちょこちょこと登録するだけなら良いのですが、本格的に辞書を練り直そうとしたら、相当な時間と労力が掛かるため、なかなか思うように進んでいなかったようです。結果的に、J-OS Proが出てからdic-iが出るまで、公開された新しい辞書は(少なくともFPILOTでは)ありませんでした。

私が辞書の編集を始めたのが2年半ほど前。その頃は公開する気など全くなかったのですが、途中であることに気が付きました。
1.最長一致にこだわらないで、よく使う順に語句を並べる。
2.必要に応じて送り仮名を長く含ませて登録する。
これにより、それまであった独特の誤変換を、かなり減らすことができたのです。ただし、これをやると辞書のデータを単純にソートすることができなくなり、手作業の部分が多くなってしまうのです。それまでは、通常のJ-OS用辞書と同じように、あいうえお別に、長い順にソートしておけばよかったので、手間のほとんどは登録する語句を選んで入力することでした。しかし、これ以後は、送りがなをどれだけ必要とし、それを辞書のどこに挿入するかを吟味するという、機械的には対処しようのない部分が発生してしまったのです。少しでも手間を減らせるように、ツールを作ったりしましたが、それでもかなり時間の掛かる作業です。しかし、これが結構ハマるのです。まあ、自分で使うものですから、好き勝手にコツコツと進めていたのです。そのうち、変換効率もそこそこに向上してきて、せっかく時間を掛けて作ったものだし、試しにほかの人にも使ってもらおうかと思い始めました。で、NiftyのFPILOT(現FPALM)で相談したのです。山田さんに、公開してみたらどうかという返事を頂き、Read Meなどのファイルを整備してデータライブラリに登録。結構緊張しました。「これで俺もソフトウェア開発者の仲間入りだ!」なんて思ったものです。dic-i ver.1は、まだまだ未熟でしたが、それでもJ-OSの可能性を示すことはできたと思ってます。

dic-iの公開以来、いくつかの辞書が発表されました。それらはどれも、dic-i公開以前から開発を続けていたもので、それぞれに特徴があり、そしてどれもdic-iに比べて圧倒的に語彙の多いものでした。私のやっていた方法では絶対に到達できないレベルにそれらはありました。Palmでメモなどをちょこっと入力するならば、ずっと快適に入力できるものでした。それでもdic-iの更新を続けたのは、送り仮名を含む語句を優先して誤変換を減らすように設計された辞書がほかに出てこなかったからです。私は密かに、J-OSの可能性を最大限に引き出すには、この設計思想が必要であると考えてました。ですから、dic-iよりも自然な変換を実現する辞書が現れるまでは、辞書の更新を続けていこうと思ってました。

ただ、ver.3ではそれに加えてなにか特徴を出すために、手帳に入力するときに必要な語句として、名字と地名を充実させたものにしました。このバージョンの公開と同時に、私のホームページであるPalmGiraffeを立ち上げたのです。この時はパーム航空でも「辞書の自由化」の見出しで紹介していただき、自分がPalmコミュニティの仲間入りをしたような気分になったのを思い出します。

ver.3では一般的な語句もかなり増やしましたが、行き当たりばったりの登録方法を採っていたのでまだ抜けが多く、安心して使えるレベルには達してませんでした。しかし、これを補うために一から作業するのは、余りにも負担が多すぎました。そこで、dic-iとほぼ同時期にJ-OS用の辞書を公開された寺田さんに相談し、寺田さんの辞書を参考にして語句を追加することになりました。フォーマットが同じだったために、作業はスムーズに進み、次に公開されたdic-itでほぼ目標を達成することができました。これを一からやっていたら、間違いなく挫折していたでしょう。改めて寺田さんがやってこられたことに敬意を表し、辞書を使わせていただいたことに感謝します。

去年の2月にPalm OS日本語版が発表され、その後IBMからWorkPadが発売されました。この時はもう自分の役目は終わったかなと思いました。完成間近だったdic-itは公開するとして、そのあとはどうしようかと考えてました。しかし、日本語版を実際に触ってみて、J-OSにも優れた部分があるのを再確認しました。なにより、自分で作った辞書は使いやすいのです。どれだけの人が必要としているかは別として、更新は続けることにしました。J-OSもしばらくはバージョンアップを続けることが確認でき、続けられることに喜びを感じました。

少したって、山田さんのCom-JIM2が発表され、SH-Keysユーザならば日本語版でもJ-OS辞書を使う機会が出てきたのは、嬉しいことでした。試しに親指モードで使ってみて、従来の辞書ではJ-OS1.9並みの変換効率しか得られないのが分かりました。そこで、このソフトに最適化した辞書を作ることにしたのです。結果的にこれが山田さんにdic-itを使っていただくきっかけになり、変換効率の良さを認めてもらうことになったのだと思ってます。c3用のSH-Keysも去年の秋頃発売され、dic-it for Com-JIMのサイズを小さくしたものを年末までには出すつもりでしたが、未だにできてません。そうこうしてるうちに標準搭載メモリが8Mになってしまいましたが、この小さいサイズの辞書をベースにした別の辞書も考えているので、作業は続けます。待っている人がもしいらしたら、もうちょっと待ってくださいね。

山田さんに、dic-itをJ-OSの標準辞書として搭載したいという旨のメールをいただいたときは、全く予想してなかっただけにちょっと戸惑いました。しかし、断る理由はなにもないので、使っていただくことにしました。で、ここまでやってきてよかったなと。いま、J-OS IV b3で搭載された辞書のAbout画面を見てほくそ笑んだりしてます。

さて、現在のパソコン用の日本語入力プログラムは、辞書に品詞やその他のカテゴリーを細かく登録して、AI変換などで変換精度を高めています。それに対し、J-OSの日本語変換では、品詞の概念がありません。(文節の概念もない!携帯電話でさえ連文節変換を搭載してきているのに)しかし、「軽いプログラムで動いているから、こんなものだろう。」と我慢するのでなく、それなりに快適に入力できることを目指してきました。同音異義語の変換精度はかないませんが、実際に入力するときのストレスの少なさは、パソコン用のものとそれほど差がないのではないかと思ってます。

最近では、バージョンアップの頻度も、そのレベルアップの度合いも減ってきてますが、自分で使っていて気になるところはチョコチョコといじってますので、忘れた頃に次のバージョンもでてくると思います。J-OS IVの新機能は、日本語版(特にカラーの機種)のユーザでも搭載する価値のあるものだと思います。これからは日本語版+J-OSの人も増えるのではないでしょうか。(J-OSは正式には日本語版をサポートしてませんが、私はこの環境で1年近く使用してます)J-OSもさらに進化していくでしょう。私も微力ながら手伝わせていただきたいと思います。

2000/4/13

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