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21世紀の始まりに
20世紀が終わりました。そして、子供の頃夢見た21世紀が始まっています。今世紀を占うのはあまりにも大変なので、この先数年にわたって言われるであろうIT革命について私なりに予想してみました。
巷で騒がれているITですが、IT革命が私たちの生活に与えてくれるメリットとは何でしょう。各家庭を高速インターネット回線で結ぶとどうなる?私は即座にどうなるということではないように思えます。エンターテイメントや新聞・雑誌などのメディアのスタイルは変わってくるでしょうが、これらは家族や社会の営みの核となる部分ではありません。携帯電話の普及やコンビニエンスストアが増えたこと以上の影響を与えることができるでしょうか。やはり高速情報網がもたらす影響は、家庭ではなく、会社での業務などの内容に及ぼすところが大きいと思います。私は、ITで生産効率を上げるには、インフラよりも末端の部分が大事だと思っています。個々の微細なシステムをコツコツと最適化する作業が非常に重要になるでしょう。そのためには、特別な知識がなくてもシステムの設計ができるようにならなければ、いつまでたってもITの恩恵を享受することはできないでしょう。特にIT化が必要なのは見積り業務です。見積りはそれ自体は何も生産性がないのに、大変な時間が掛かり、かつ正確に行うことが困難です。見積りで重要なのは、正確な情報を即座に手に入れることです。そのためのデータの蓄積と共有化がまず必要になります。これには大変な労力が必要で、かつすぐには結果が現れません。仮に実現しても、見積り業務自体が生産時間としてカウントされていないため、その効果ははっきりと数字で示せません。よってこの部分のIT化は大幅に遅れるものと思われます。
物流や受発注システムは、POSなどにより一部では非常に発達していますが、実際には手作業の部分が多く残っています。理論的にはそれほど難しくなくても、そこまで手が回っていないのが現状です。しかし、この分野では成功例がいくつもあり、効果も目に見えるので、近いうちに中小規模のシステムも急速に理想に近付くでしょう。
さて、通勤せずに在宅勤務の形をとる企業は確実に増えるでしょう。出張や転勤も減ると思います。高速インターネットが生活にもたらす大きな変化はこの辺にあるのではないでしょうか。例えば日本にいながら海外の会社に勤務するとか、少なくともコンピュータや電話で行っている仕事は、どこでやるかというのは意味がなくなるでしょう。
私自身の仕事の内容からすれば、計算が速くなったとか、一部のシミュレーションができるようになった他は、今のところ情報化の恩恵を受けていません。これはおそらく、情報の共有化が不十分だからでしょう。会社で作られる資料の多くは、上にお伺いをたてるための一過性のものであって、後から利用するものではなく、またその体をなしていません。パソコンを使う人は非常に増えましたが、作成した資料を蓄積し、再利用するという概念がほとんどの人に欠如しています。もちろんそのための有効な手段に対する知識も足りません。パソコン教育や、アプリケーションの使いこなしを紹介する本でも、この部分に言及しているものはわずかです。実際にこのことを理解してもらい、実践していくのは日本では不可能に近いと思っています。よって、日本ではどんなに情報インフラが整備されても、それによって個人の業務レベルでそのメリットが活かされるというのは、イメージしにくいのです。日本の社会のシステムの特殊性は、論理的な道理が通らないところにあります。個々の事情に押し切られて、道理が引っ込んでしまう。長期的な視野で見たら正しくても、現状でそれを通して責任をとることができない、というか、責任を任せられるシステムになっていないのです。よって、日本では本当の意味でのIT化は、非常に遅れると思われます。私の予想が外れればよいのですが。
結局、始めに書いたように、微細なシステムを充実させて、自然にデータが蓄積されるようにならなければなりません。これを簡単に可能にすることが、ITのメリットを実感させる鍵だと思います。
IT化のもたらす世界は、現場現実主義です。それは本当にシビアでハードな競争社会です。IT化とは別の次元で、社会の構造が変わりつつありります。IT化はそれを一層加速します。人類は望むと望まざるにかかわらず、その道を進むわけですが、その流れをしっかりと見ていきたいと思います。
2001/1/7