平和を希求する心理学者のみなさまへ

「心理学者平和アピール」署名の呼びかけ

発起人
中川作一(元法政大学) / 伊藤武彦(和光大学) / 杉田明宏(大東文化大学)


 2001年9月11日の米国中枢への残虐な同時テロ行為、および、それに対する米国の報復武力行使は地球全体を恐怖と不安に陥れています。米英連合軍による空爆と地上部隊投入によってアフガニスタンの民間人の犠牲が日々増え続け、数百万規模の難民が生命の危機に瀕する中で、テロリストと米国の対立が、「イスラム教文明」対「キリスト教文明」という対立構図へと拡大しつつあります。

 市民レベルのコミュニケーションでは、米国内も含め世界各地において、テロ行為への強い非難とともに、軍事による報復の正統性のなさ、無益さ、有害性を指摘する声が日増しに高まってきています。しかし、マスコミ報道においては、それらの主張はほとんど登場しません。とりわけ、日本においては、圧倒的な米国寄りの報道がなされる中、報復戦争への協力が当然視される状況が作り出され、自衛隊参戦のための憲法違反の諸法案がきわめて短期間に強行成立させられてしまいました。

 こうした一連の情勢に対して、不安、焦燥感、批判的な態度を有する方々は多数存在すると考えられます。こうした潜在的な反対世論を形にすることが、緊急に求められています。

 私たち日本の心理学者は、先の湾岸危機に際し、声明「海外における我が国の軍事協力に反対します」を発表し、当時の asahi journal 誌に意見広告として掲載して、396名の心理学者の賛同署名を得た経験があります。これに対しては、アメリカ、オーストラリア、イギリス等の心理学者・学会・団体から反響が寄せられました。
 平和に対する心理学および心理学者の貢献の重要性を自覚した私たちは、その後も国際連帯のチャンネルを広げながら、研究・教育・運動の各側面において地道な活動を続けながら、非暴力による紛争解決の重要性と有効性について確信を深めて参りました。

 今また戦争拡大の危機が迫り、日本が平和憲法を投げ捨ててその流れに飲み込まれて行く状況を前に、私たち心理学研究者の社会的責任を果たすために、次のアピールを世に問い、多数の賛同を求めるものです。

  2001年11月3日  日本国憲法公布55周年の日に


*なお、このアピールと署名者リストは、当面、大東文化大学・杉田研究室ホームページ内に掲載することにいたします。(URL→http://homepage2.nifty.com/peacecom/appeal )
*また、一定数の署名が集まった適切な時期に、日本政府および米国政府に送付したいと思います。事態の急迫性を考慮し、1次締め切りを11月16日としたいと考えております。

テロ行為と報復戦争に反対し、国際法による国連中心の解決を求める心理学者アピール(略称 心理学者平和アピール)

 2001年9月11日の米国中枢への同時テロ行為に対する米・英連合軍の武力行使により、日々あらたな犠牲者が生み出されている。日本政府は憲法を無視し、自衛隊を参戦させるための諸法案を審議が尽くされないままに強硬成立させた。
 この状況に対し、
 平和と民主主義を尊重し、 
 戦争が人間性に組み込まれたものではないことを確信し、
 先の湾岸危機に際し多数の心理学者の平和の声を結集したことを想起し、
 生命と人権を最優先させる「平和の文化」の重要性を認め、
 平和を創る心理学の役割と責任を自覚しつつ、
 私たち心理学者は次の見解を表明する。

1.テロ行為は、その目的・理由のいかんを問わず、人間の生命と人権を脅かす凶悪な犯罪であり許されない。国連を中心とした国際協同に基づく迅速で厳格な司法的対応を求める。

2.同時に、テロリズムに対しては、そうした対症療法とともに、その歴史的背景を含めた根本的原因の究明と国際社会としての解決と予防の努力が求められる。

3.米国が中心となって遂行されているアフガニスタンに対する報復戦争は、そもそも国連憲章を空文化し、軍事的復仇行為を禁じた国際法に抵触する行為であり、ただちに停止を求める。
 また、米国の武力による報復は次のような重大な問題があり、その意味からも容認できない。
  a.テロ被害者・関係者の悲嘆の感情を軍事力行使の世論づくりに利用している。これは犠牲者を冒涜する行為である。
  b.事件の原因の究明を求める被害者・関係者の要求を無視し、癒やしや回復のプロセスを遅らせる。
  c.テロ犯罪に対する法と警察力による対処のシステムを整備する国際社会の努力を放棄させる。
  d.死者・傷病者・障害者・行方不明者等、多数の新たな犠牲者を生み出し、加害者(犯人)に新たな攻撃の口実を与える。
  e.新たな報復的暴力を準備し、報復の応酬による被害の拡大と長期化を招く。
  f.当事国の人々の体と心、社会と環境に対し、回復しがたい過大な負荷を与える。
  g.イスラム教徒が生活する世界の多数の国家・地域に、あらたな不安定要因を作り出す。

4.国際社会は、次代を担う子どもたちに平和と非暴力による紛争解決の方法を示すべきである。
 テロ行為と報復戦争は、子ども・青年に対し、暴力的紛争解決という暴力のモデルを学習させ、異民族・異文化に対する敵意と偏見の態度を形成し、人間性に対する基本的信頼を失わせる。
 国連は新世紀の幕開けに当たり、2000年を「平和の文化国際年」、2001〜2010年を「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」と定め、子どもたちの平和で明るい未来を準備する決意を示したはずである。国際社会は、次の世代に対し、紛争を非暴力によって解決し予防するモデルを示すことが何よりも求められている。

5.日本は、いまこそ平和憲法の理念を国際政治に活かし、日本にしかできない国際貢献をすべきである。
 平和主義を基調とする日本国憲法は、平和と非暴力の文化に力を与えることができる歴史的先駆性を有する。日本国政府は、この理念に誇りを持ち、国際社会において、非暴力的な紛争の調停や予防に力を尽くす重大な責任がある。
 今回の問題に対しても、アメリカの報復戦争への全面協力ではなく、アフガニスタン(タリバン)とアメリカの調停の役割を果たし、非軍事の人道的支援にイニシアチブを発揮することこそが、日本にできる重要な国際的貢献の方法であると確信する。

上記アピールに賛同いただける方は

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*紙の署名用紙をご利用になりたい方は、 こ こ からダウンロードしてください*
(インターネットを利用できない環境の方にお渡しください)

賛 同 者 一 覧

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  杉田明宏<sugitaak@ic.daito.ac.jp>

「杉田研究室」 
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