平和の文化をきずく会・広報誌

「平 和 の 文 化 を き ず く」 No.30

2003年 6月6日(金)

2001年から2010まで国連「「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」です


「きずく会」幹事会報告

 65日(木)「きずく会」の第36回幹事会が日本ユネスコ協会連盟において開かれ、次のようなことを検討しました。

1.「わたしの平和宣言」署名について

 2000年に取り組みがはじまったユネスコの「わたしの平和宣言」署名は、4年目に入っています。ユネスコ本部では「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」(2001年から2010年)の活動に移行していますが、「きずく会」では2010年まで取り組みを続けることを確認しています。

 現在ホームページ上に署名入力コーナーを作成中で、6月中には始動できそうです。これによって飛躍的に取り組む条件が高まると期待されます。

2.CPNN(平和の文化ニュースネットワーク)

 現在ホームページ(www.cpnn.net)で、メディアやニュースの記事が読めるようになっています。毎週記事が追加され、平和の文化を紹介する映画や出来事が増えています。

 これを更に充実したものにするために、開設当初に母体となった5団体が再度集まって今までの経過や問題点、今後のあり方について検討することになりました。次回の幹事会(7月8日18時30分〜)の時間に行なう予定です。

 なお、この6月からオーストラリアにあるCPNNセンター(www.cpnn.org)から英語版を取り出して、日本語に訳して紹介する活動もスタートする予定です。いずれは日本の記事も英語に直してセンターに送り、世界中からアクセスできるようになると思います。

 ユネスコとの関連では、ユネスコ協同学校がパソコン通信を活用してすすめられると言う動きがあり、そこにCPNNの取り組みが加えられることも考えられています。

3.ハーグ平和アピール平和教育地球キャンペーン

 1999年オランダのハーグで開かれた市民集会で採択された「ハーグアピール」を踏まえて、アメリカのコロンビア大学ベティ・リアドン氏が中心になってはじめた「ハーグ平和アピール平和教育地球キャンペーン」の運動は、世界中の平和教育を集約しながら、アピールの趣旨である「全ての学校で平和教育を行なうこと」を実現することを目指しています。

 現在は、世界各国の平和教育の実践をまとめた冊子の翻訳をすすめています。8月には刊行にこぎつけることができると思いますのでご期待下さい。

 合わせて、日本における平和教育・平和資料のリストアップもできたらと考えていますので、情報をお寄せ下さい。

4.平和の文化とユース

 ユースとは若者のこと。90年代から高校生をはじめとした若者たちが、平和の行動に積極的に関わってきています。戦争展には多数の高校生や大学生が参加し、ただ見学というのではなく、実際につくるところからかかわってきています。「世界の子どもの平和像」では東京での完成を手始めとして、広島や京都でも実現しています。高校生平和ゼミも多くの都道府県で集まりが持たれるようになり、全国の交流も行なわれています。

 現在「子どもの権利条約」をめぐって、政府の報告書に対する「市民・NGO報告書」が準備され、今月中にも国連の「子どもの権利委員会」に提出される予定です。報告書をつくる会には「子どもの権利条約ユース」が組織され、独自に会合も持っています。

 その他ピースボートやライフリンクの運動も「若者」が中心です。先日40周年をむかえたAALAにもユースの組織がつくられ活動しています。また、今回のアメリカによるイラク攻撃にさいしては、高校生が独自に反対の集会を開いて集まるということもあり、かつてない動きを示しています。

 これからますますこうした若者の自発的な平和への動きが出てくると思われるので、それを包み込んだ動きが必要になってきていいます。

5.平和の文化に関わる様々な運動・団体とのつながり

 平和を願って活動している団体には様々なものがありますが、それらが分裂していたり孤立したりしていて十分に力を発揮できないところもあります。それらを「非暴力」を中心にしてまとめていくことが、21世紀に課された大きなテーマになっています。

 現在、そうした団体をリストアップし、横のつながりを広げていくための作業をはじめています。とりあえずリストアップに集中しますが、全国に存在する平和の文化に関連する団体の名前や連絡先を紹介していただけると幸いです。いずれホームページに一覧として載せ、そこからアクセスできるようにできたらと願っています。

総会講演より

 「平和の文化をきずく会」(以下「きずく会」)は3月21日今年度の総会を開きました。総括や方針を踏まえて、アメリカのコロンビア大学大学院教授ベティ・リアドン氏より「アメリカにおける9.11後の平和教育は」の記念講演をいただきました。

 氏は、国際平和教育学会や平和教育研究所を主宰し、99年にハーグで開催された平和市民集会で採択された「ハーグ平和アピール」を踏まえて、ハーグ平和教育グローバルキャンペーンに取り組んでいます。世界中で平和教育がすすめられることをめざして、勢力的な活動を行なっています。以下講演の一部です。

1.平和教育とは

 9月11日のテロの後、私は平和の文化ということをいろいろなところで話しました。平和教育と言うのは、どんな歴史的背景であっても、どんな国であっても、そういうのにはかかわらず、平和教育は戦争や暴力の文化というものを変える、そういうことに尽きると思います。

 この暴力と戦争の文化というのが、残念ながら、私たちの住んでいる世界の文化になってしまっているわけですけれども、この暴力の文化の中心にあるのが、軍事化された愛国心だと思います。それは基本的には人が世界中を下に置く力をもっているというような、戦争という仕組みによって何か政治的な、絶対的な力を持っているような、そんな軍事化された心が基本になっています。

 『性差別と戦争システム』という本の中で、この戦争の仕組みについて書きましたが、9月11日以降、アフガニスタンやイラクのことが問題になるにつれ、この世界の支配機構がますますはっきりと姿をあらわしてきたのではないかと考えます。

 私たちが求める平和教育というのは、軍事的なシステムを変えていくものですから、システムそのものについてもっと理解すべきであると思います。9月11日以降ますますはっきりしてきたこのシステムの特徴が5つあります。

2.アメリカの戦争論理

@正義か悪かー二者択一の論理

 まず第一のポイントとして、二つのうちから一つを選べという迫り方です。もしもあなた方がアメリカに反対していないのならば、それは私たちに味方するという意味ですねというような、脅迫ともとれるようなことをブッシュ大統領は言いました。この二つを完全に分けてしまうという考え方は、最近強く出されています。私たちは絶対に正しく、反対に立つ人は絶対に邪悪だという考え方です。ブレア首相やサダム・フセインも同じような言い方をします。

A悪は力によって倒すー力の論理

 冷戦時代が終わってからアメリカは力によって物事を解決するという姿勢がつよくなりましたが、ニューヨークのテロ以降はそれが更に強くなっています。今までアメリカ本土が攻撃を受けた経験がなく、テロによって国民の中に不安が強まったことを利用しています。 

B強いものが悪を倒すー大国主義の論理

 自分たちの国が攻撃を受けたのだから、「私たちは相手を攻撃する権利があるだけでなく、その邪悪な敵をやっつける義務があるんだ。邪悪なものに対して完全に勝利するのが世界でもっとも正しい、もっとも強い国の義務なんだ」

というようなことが言われてきています。

C人権よりも国家―人権無視の論理

 国家を前面に出すことによって、今までもっとも大切と思われていたものがお預けになってしまうという特徴です。その中心は人権で、正しいアメリカが行なう正義の戦いでは、人権が抑圧されても当然という論理です。アフガニスタンやイラクにおいてはいうまでもなく、アメリカ国内においてもすすんでいます。

D戦争反対は非愛国者―民主主義抑圧の論理

 更に、大衆の大多数の声が無視されるという仕組みがあります。絶対的な権力が支配するという仕組みの中では、ごく少数の人々の思想が実行されます。とりわけマスコミを通じてこのような論理が流されてきます。

3.平和教育のカリキュラムのあり方

 ニューヨークの悲劇のあとで、世界中の人々にわかってきたことがあります。これは戦争ということ、戦争ができる仕組みというそのものの欠陥です。それ以前にも世界中に反戦運動があり「○○戦争に反対」「この戦争に反対」というものでしたが、少し違ってきているのは、戦争そのものの仕組みがよくないという運動で、この戦争体制を変えなければいけないということに多くの人々が気づいているということです。

 ハーグアピールの一番大切な点というのは、戦争そのものをやめなければいけないという固い気持ちです。

 私たちの団体で出した平和教育のカリキュラムの中で、どのように非暴力化、平和の教育をすすめるかということを提案しています。同じ時期にユネスコが『ジェンダーから見た平和の文化をきずくための教育』を出し、その中で、生徒たちが今までと違う文化システムというのをつくるように手助けをするにはどのような教え方があるかという提案がされています。

 この提案では、今までのように白・黒どっちを決めるというような考え方ではなくて、包括的な見方で社会や全体のことをとらえる必要があるとしています。

 私たちの提案とユネスコの提案に共通しているのは、私たちの平和教育の新しい任務というのを明かにしていることです。それには2つの柱があり、制度的な改革または変更のための働きかけと、もう一つ文化的な面での働きかけで、この二つが合わさってちょうどいいバランスですすめる必要があるということです。九月十一以降、アメリカの平和教育の中で気にしてきた三つのテーマがあります。

 一つは「イスラムホビア」という表現で、イスラムやアラブ系の文化に対する拒否反応または憎しみというものです。人々がイスラムやアラブを無視してイスラムやアラブに対して無知であるということによって国の指導者たちは、アラブ世界に対する軍事攻撃というのが、われわれの自由のため、または何か解放のため、価値あることのためと宣伝できてしまうのです。

 二つ目は民主主義を棚上げにした形の人権の蹂躙ということです。人々が怖さというものを持っている場合は、政府にとって人権を抑圧するのが簡単になってしまいます。ちょっとの間我慢しろちうふうな強権的な解決を政府が提案し易くなるわけです。キューバにおけるアフガニスタン兵の扱い等はその例の一つです。

 もう一つは非暴力化、非軍事化の問題です。ユネスコが1980年に非武装教育・非軍事化教育についての世界会議を行ないました。この最終文書の中で、平和教育の一環としての非軍事化教育ということを言っています。その最終文書は今では全く人の目に触れることができなくなってしまいました。アメリカ合衆国はこの文書がとっても気に入りませんでした。アメリカがユネスコを脱退する時の理由の一つがこの文書です。

4.危機こそチャンスーユネスコ・国連と私たち

 「危機」っていうのはチャンスでもある、機会という意味が含まれています。テロを機会にアメリカの横暴が強まっているいる反面、戦争に反対する普通の人々が、戦争を終わらせるためには、世界的に準備された組織があり、非武装化に関する国際監視というメカニズムが同時にできなければならないということに気づいています。

 昨年の秋に出た国連の専門家のレポートの中でも、完全な全面的な非武装化・非軍事化という文句が出ています。

 中にはまだ完全にこのことを信用していない人もいるのですが、これからもまじめな教育者を誘いつづけて、この完全な非武装化ということ、この考え方を教育の中ですすめていくことにしたいと思います。教育によってはじめてこの「完全に非武装」ということが実現する可能性が見えてくると思います。

*以上は「平和新聞」(日本平和委員会)に載せた原稿をほぼそのまま再現したものです。実際にはもっと長いものですが、簡略化されています。

ユネスコシンポジウム報告

 527日(火)夜中目黒GTプラザホールにおいて「9.11以後のアメリカ、世界の危機―ユネスコ復帰後の米国市民との連帯―」が開かれました。主催は「日本ユネスコ協会連盟で東京都ユネスコ連絡協議会が共催、国連広報センターが後援しています。

 パネリストはリチャード・アーントゥ氏(米国・ユネスコのためのアメリカ市民の会会長)、金蘭朱氏(韓国・アジア太平洋ユネスコ協会クラブ連盟会長)藤原帰一氏(東京大学大学院教授・国際政治)で、コーディネーターは野口昇氏(ユネスコ協会理事長)です。

 まず野口氏から、アメリカのユネスコ創設への努力と脱退(1983年)への流れが紹介されました。フルブライト上院議員が団長としてユネスコ設立のための会議に参加し、ユネスコ憲章もアメリカから参加した図書館長が中心になって書き上げたというエピソードも紹介されました。

 アーントゥ氏からはハーバード大学の入江氏のコメント「Circles of American Life」の考えが紹介され、アメリカでは20年単位で政策の揺れが起こっていて、現在は1980年代からはじまったタカ派的な考えが強くなっている時期である説明しました。「9.11」はアメリカが弱い立場であることを認識させられ、戦争の定義を対国から対個人にせざるをえなくなりました。

 アメリカがユネスコを脱退したのは、ユネスコのイスラエルに対する扱いが良くないこと、ユネスコの運営体制が改革されない事などが表向きの理由となっていました。(ベティ・リアドン氏は1980年にユネスコが完全軍縮教育の決議を行なったことにアメリカが怒ってやめたと言ってます)

 11月にアメリカの復帰がユネスコ総会で承認されますが、その成否をめぐって、アメリカの国内委員会に有能な人が任用されるかどうかにかかっているのではないかとまとめました。

 金氏はアジア太平洋ユネスコ協会クラブ連盟会長という立場から、日本のユネスコ協会の活動を評価しつつ、今後のあり方について提起していました。

 藤原氏は自分がアメリカで育った経験から、アメリカの中には、国際化をやめて孤立化することによって失うものが大きいことを憂える人々が多数いることを紹介しました。かつて国連はアメリカが積極的に関わって作ったにもかかわらず、今ではアメリカが孤立的な政策をとるために、アメリカの立場にたたない国が多くなっていることに戸惑いを感じています。国連の外に自分の言うことを聞く組織を作ってしまおうという動きもあります。

 しかしアメリカが国連と対立する方向にすすめばすすむほどアメリカの政策は壁にぶつかることになるから、国連と共に歩む方向が求められるのではないかと結びました。

 フロアからの質問で、アーントゥ氏に対して「アメリカが脱退した裏の理由」が出されました。アメリカはユネスコが自国の利益にならなくなったのでやめた、つまり他の国々が大国としての扱いをせず、1加盟国としてしか待遇しないところに利益をみいだせなくなったということです。例えばユネスコ事務総長にアメリカ人が選ばれることにならないからです。

 最後に藤原氏が「非暴力」で解決する魅力を示すことが21世紀の世界を本当の意味で平和にしていくのではないかとまとめました。

当面の予定等

1.第3回ピース・スタディ・ウォーキング

(1)日時:726日(土)午前11

(2)場所:JR浦和駅(京浜東北線)西口改札:「ピース・スタディ・ウォーキング」札まで

(3)内容:埼玉戦争展フィールドワーク他

(4)問合せ:小島(080−5012−6594)

2.映画「HIBAKUSHA」上映

(1)日時:74日(金)5日(土)1845分〜

(2)場所:東京・中野ゼロホール(当日券:1500円)

(3)内容:確実に全世界を覆い尽くそうとしている国境の無い核汚染。使用される 

      側にも使用する側にも等しく被害をもたらす核。普通に生活している人 

      が知らぬ間に被爆しているという現実。この作品は、目には見えにくい

      事実をしっかりとみつめ、イラク、アメリカ、そして日本のヒバクシャ

      たちの日常の姿を記録し、ヒバクシャとは誰か、核時代に生きる事の意

      味をさぐるドキュメンタリー映画である。(チラシより)    

(4)問合せ等:www.g-gendai.co.jp/hibakusha/

3.「平和のための埼玉の戦争展」20周年記念平和シンポジウム

(1)日時:628日(土)1300

(2)場所:浦和商工会議所会館2階(浦和地裁隣)

(3)内容:平和で豊かな21世紀へーいま、私たちが担い手となるために

      パネルディスカッション:杉田明宏氏(大東文化大学)岩川直樹氏(埼玉大学)

              大島英樹氏(立正大学)

(4)問合せ等:www.kikannshi-nw.or.jp/peace/

*6月14日(土)には大島英樹氏より環境と平和についてのワークショップ    (1330分〜)もあります。

2003年度の会費を御願いします

 3月から2003年度がスタートしていますので、会費(2000円)の納入を御願いします。(00120−0−182008 平和の文化をきずく会)宛にお送り下さい。払い込み用紙は郵便局にもあります。

次回幹事会は7月8日(火)18時30分〜日本ユネスコ協会連盟(恵比寿駅下車:朝日生命恵比寿ビル12階(03-5424-1121)にて行ないます。CPNNの活動について集中的に議論します。幹事だけでなく関心のある方はぜひご参加下さい。

*「きずく会」のホームページ(homepage2.nifty.com/peacecom/cop/

事務局:〒332-0015川口市川口2-15-1-1004 瀧口優 048-254-5074(TEL&FAX)

     JCF02570@nifty.ne.jp