ロードレポート・国道180号線


 国道180号線は、岡山市の中心部から始まり、高梁市・新見市を通過して、鳥取県へ。
国道181号線と役目を交代させながら、鳥取県米子市へとつながる。
この道路は、私のホームロードである。それゆえに、最初にロードレポートをするならばこの道、と決めていた。
自宅から米子市までが約3時間、しかし以外な180号の神髄は、普段通る事の無いエリアにあった。

国道180号全体図
レポート走行日:1998年5月31日
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起点〜備前一宮〜総社市街
180号起点 岡山市・大雲寺→番町→清心町。
そこから180号のスタートというのが自然だ。

 岡山市の中心部・大雲寺交差点から、国道53号線と同時に、180号線は始まるようだ。
しかし、180号線といえばやはり、清心町交差点、53号線と分岐して純粋な180号となるポイントからだろう。
ここから少し市街地を走る。三門駅前を過ぎた地点で片側1車線に。ここからはやや郊外に入るが、道の狭さとクルマの増加が相俟って、 最近では渋滞が目立つようになってきた。特にひどいのが、矢坂大橋の交差点で、いびつに入り組んだ交差点を信号無しで 交差しているので、いつもタチが悪い。改善の余地が充分に残るポイントである。

そこから少し進むと、備前一宮(西辛川)である。この辺りが私のホームタウンだ。普段は、この付近から北上を始める事になる。
初詣渋滞第2ポイントの吉備津神社、初詣渋滞第1ポイントである日本一の大鳥居で有名な高松最上稲荷付近を通過し、北上。

岡山道・総社インターを通過し、総社市街へと入る。実は総社の街並みは、この国道を走っているだけでは見えていない。 ここから1本南に入った道路のほうが栄えている。とは言え、駅に面した通りはこの国道なので、朝夕の渋滞はこちらも激しいようだ。 総社駅の袴線橋を超えて、総社の街を後にする。
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総社市街〜高梁市街
高梁市街地 城下町・高梁の180号線。
歩道沿いの粋な瓦仕様は、最近完成したばかり。

 ここまでは、両脇に店が建ち並び、交通量も多いので、 “街乗り” 的イメージが強い。 しかし、総社市街を過ぎ、左手に高梁川が見えてくると、ドライブとしての楽しさが味わえるルートになる。 ここからは、左に高梁川、右にJR伯備線を見ながら、のんびりと大きなカーブを左右する。
このJR伯備線は、実に松江まで、ほとんど180号線と沿うように続いている。米子まで片道を走れば、 L特急“やくも”が必ず1度は見る事が出来る。
ただし、高梁市街に入るまで、延々と片側1車線が続く。遅いクルマに前をふさがれると、ちょっと辛い。 とはいえ、みんな同じようなペースで走っているので、そう感じる事は希である。

やがて、国道313号が合流し、片側2車線に。高梁市の市街地である。ここから数キロばかり、2車線になるので、 追い越したかったクルマがスピードを上げる。が、その先では良くネズミ捕りをやっているので気を付けよう。
高梁城跡の近く、臥牛山には、その昔、『お猿の動物園』なるものがあったはずだが、あの猿達はどうなったのだろう。
そのうち、すぐに片側1車線に。そして国道313号線は、有漢町方面に分岐する。180号線は新見方面に続く。
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高梁市街〜井倉峡〜新見市街
高梁市木野山駅付近 180号線唯一の1車線区間。
距離は短いので苦にはならない。

井倉峡付近 井倉峡を走る国道180号線。
伯備線を縫う様に通っているのが面白い。

このあたりから、交通量もかなり減り、レイアウト的にも楽しいアレンジとなる。 ワインディングとはいかないが、高梁川の優雅な流れを横に見ながら、退屈させない緩いコーナーの連続が 個人的に好みである。途中、2Kmほど、全1車線の区間があるが、気にならないレベル。

 ここから、井倉峡に入る。切り立った絶壁が、高梁川を深く濃く形成していく。 私が薦める、180号線の一番のビューポイントが、この付近・道路沿いにある、『絹掛の滝』である。
滝と聞けば、轟音を響かせながら豪快に流れ落ちるイメージが強いと思うのだが、ここの滝は、 名の通り、絹糸の束を垂らしたような、繊細で女性的な、静かな滝である。 トイレも完備、自動販売機も多く、お土産屋もある。駐車場は広いとはいえないが、停められなくなるような 事は無い。絶好の休憩ポイントとして愛用している。
ちょっと変わった趣きとして、警報が出る程の大雨の翌日に行ってみると良い。 いつもの繊細な流れからは想像がつかないほどの、茶色く濁った雨水を、勢い良く叩き落としているのだ。 知らずに初めて見たときはショッキングだったが、意外な一面というものは興味をひくものである。

 絹掛の滝から少し走ると、井倉峡のメイン、“井倉洞”が見えてくる。(実際には、道を1本それて、 井倉洞入り口へとアクセスする)
この付近には鍾乳洞が多い。井倉洞は、その中のトップクラスである。とはいえ、規模としてはそう大きな ものではない。個人的には、もっと東、更に規模が小さい“満奇洞”のほうがミステリアスで良い。

 この付近は、JR伯備線が、何度も上を通ったり下をくぐったりする。線路は比較的直線的にトンネルを 掘っているが、180号線にはトンネルが極めて少なく、この付近も高梁川沿いを頑張って工事しているといった 雰囲気だ。おかげで、ステアワークや車窓の賑やかさがいつも楽しい。この道を何度走っても飽きる事の無い 要因の一つなのかも知れない。

 そうこうしている間に、道路沿いに民家や店が増えてくる。新見市街だ。土地柄なのか、新見駅前の 片側2車線区間に入っても、短気にスピードを上げるクルマは少ない。それゆえに、逆にストレスなく 走る事ができる。中国道・新見インター入り口を過ぎ、再び片側1車線に。
絹掛の滝 絹掛の滝。
四季を通して美しい景観である。

井倉洞 井倉洞・入口付近。
この絶壁の内部に、洞窟が続いている。
写真中央部、岩肌から流れ落ちる滝が、
観光客の目をひいている。

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新見市街〜千屋〜明地峠
県境・明地峠 県境・明地トンネル。
岡山県側と鳥取県側で
これだけレイアウトが違う。

 このあたりから、県北ムードがにわかに高まる。とはいえ、今から10年ほど前に整備された新道によって、至って快適な クルージングが可能だ。峠という文字から想像されるタイトなワインディングのイメージは、岡山県内の180号では 味わえない。しかし、それより以前は、トラック1台が通ると、歩行者ですら交わすポイントに苦労するほどの 細く荒れた道だったというから驚きである。岡山〜米子を結ぶ主要道路だけに、当時の想像が全くつかない。

県境超えの国道としては楽な昇り坂を駆け抜ける。アメダス観測機がある千屋を通る。この付近は、スキー場や温泉、 農村型リゾート地など、レジャー施設に力を入れている。“千屋牛”も割と有名で、ステーキはさすがに美味い。

まっすぐ北上する道を進むと、明地峠・明地トンネルに入る。県境だ。この中で鳥取県・日野町に入る。 なだらかな坂道だった岡山県側に対して、鳥取県側の峠はアグレッシブだ。現在では舗装などの整備が進んだため、比較的 スムースに走れるようになったが、私が初めてこの峠を通った時の路面はひどかった。勾配も急で、今回のように下りとなる 立場では、注意が必要である。特に冬季は、峠を登ったまでは良いが下りでスリップ、或いは鳥取県側に入ったは良いが 帰り道の急勾配が登れなくなった、なんてケースもあるのではないだろうか。とはいえ今回の季節は初夏。 こういう道を走ると、何をしても楽しい季節である。
明地展望台から望む大山 明地峠・鳥取県側からの大山の眺望。
大山は、中国地方一の標高を誇る名峰である。いつも山頂には雲が被っている。
快晴の大山をこの地から望める日は少ない。

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181号線分岐〜日南湖〜米子市街
181号と180号 一瞬合流する181号と180号。
米子へは通常、2つ目の交差点を直進する。
しかしそこからは181号になってしまう。
鉄道は伯備線。左が岡山、上が米子方面。

183号と180号 広島・三次からの183号と合流。
ここを右折して再び北上する。

 せわしく峠を下ると、やがて国道181号線と合流するT字路に辿り着く。
普通、米子へのルートといえば、ここを左折し、そのまま北上を続けるのが一般的、というより唯一の方法だろう。 しかし、それは国道181号線となってしまう。180号を走ろうと思うと、左折後、いきなり更に左折し、米子とは 全く関係の無い方向へとハンドルを回す必要があるのだ。実は、これが180号線で一番楽しいドライブルートの 始まりなのである。

いきなり西に進路をとり、やや南下する形で180号線を進む。ここで再びJR伯備線とランデブー、だが伯備線は 逆走しているのだ。ここから北、181号線に沿う方向が米子行きである。ここからも、米子から離れている様子が うかがえる。
 やがて、T字路が見えてくる。直進すると国道183号線、ここを北上するのが180号線である。 ここからが、短い区間だが、フットワークを楽しむ絶好のポイントである。タイトなワインディングを軽快にクリアしていく。 すると、右手に湖が見えてくる。日南湖だ。ダム湖である。
このワインディングから湖のほとりを走るコースが、180号線の中で一番気持ち良い区間ではないかと思う。 つまり、181号線を、普通に米子を目指して走っていると、気付けない隠しポイントなのである。 今回のドライブでは、大きな橋を架けるための工事をしていた。ワインディングが減るのは残念だが、 きっとデザインも凝ってくるだろう。完成した暁には、また走りにきてみたい。

湖を抜け、あたりが山に囲まれてくると、静かにクルージングを楽しめる道へとなる。 まるで、さきほどのワインディングでのテンションの高ぶりを和らげるかのようだ。

しばらく走ると、再びダム湖のそばを通過する。こちらは規模が小さく、特筆するポイントは無い。 しかし、ダム湖〜山岳〜ダム湖のバランスが絶妙で、この区間の楽しさを象徴しているかのようだ。
日南湖 日南湖。菅沢ダムのダム湖である。
この付近の180号は今までにないタイトさを見せる。

日南湖と180号線 比較的新しいのだろうか、
整備状況は良い。のんびり走っても情緒がある。

やがて、勾配を完全に下りきり、民家や信号が目立つようになってくる。道も直線が多くなり、交通量が増えてくる。 JR線の上を跨ぎ、JR米子駅前を通過。やがて、国道181号線とぶつかる。実質、この地点で、国道180号線の役目は 終わると言って良い。実は、登録上は更に、国道9号線に便乗する形で、島根県松江市まで伸びているそうなのだが、 だからと言って180号線である意味は全くなさそうだ。なぜ180号が松江までなのか、未だに謎である。
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総評
伯耆富士(大山) 国道181号線、岸本町から見た大山。
『伯耆富士』と呼ばれる由縁が良く解る。

 割と誉める言い方を貫いてみた国道180号線だが、弱点が無いわけではない。
まず、この時勢では珍しく、“道の駅”が一つも無い。道の駅は、トイレや休憩、国道情報などで重宝する。 ここ最近は各地で増殖を続けているだけに、全く建設されないこの路線にはもっと力を入れて欲しい。
それと、時間帯によっては慢性的かつ度合いがひどくなる一方の渋滞。各ポイントでは頑張っているようだが、 対応の遅さと根本的な解決にならない計画には納得がいかない。特に私の生活に直結する、岡山〜総社間は、 早い対応を望む。

国道180号線は、何度走っても飽きない。四季を通じて、また、天候や時間帯、様々な条件下で、その表情が 新鮮だからだと思う。そしてこれからも何度も走るだろう。


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