回答者:淺 野 周
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(鍼灸Q&Aへの質問は、上のボタンでお寄せ下さい)。質問の全部を挙げろという意見があったのですが、うちは限定しています。
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77歳になる父(和歌山県の南部・新宮市在住)の膝痛について質問させてください。
(07年7月)
左足のひざの痛みで病院を受診、MRIでも異常がなく原因は不明。
その時はブロック注射が効いて、日常生活に支障をきたすことはなくなった。
(08年4月末頃から)
右足のひざ裏が刺すように痛く、力が入らない。ブロック注射でも改善せず。
時々、痛み止めの座薬を使っている。歩行に困難をきたすようになり、寝室を二階から一階に移した。
近所で鍼治療を一度受けたが、一旦痛みが改善したものの、時間がたつと元に戻り、「合わない」と思ったようで、以降、鍼治療は受けていない、とのこと。
少しコレステロール値が高く、胆石の薬も服用中。
(背景)
長年(30年以上)、顔面・背中等に湿疹(1つ数センチ程度。赤く盛り上がり表皮が乾いて剥がれる。痒みが強い模様)が出ていて、痒みが強い時はステロイド軟膏を使用(痒みはおさまるが治るわけではない)。大きな病院で検査を受けたことがあるが、「膠原病」とのことで対策不明のまま。皮膚科の受診は続けているが、湿疹の根治は諦めている模様。
また、不眠症があり、睡眠薬も同じくらいの期間常用。
(質問)
・今回も病院でひざ痛の原因が判明しなかった場合、鍼治療で症状が改善する可能性は、ありますでしょうか?
・新宮市近傍の鍼灸院で、おすすめいただけるところは、ありませんでしょうか。
・そのほか、ひざ痛対策のために助言いただけることは、ありますでしょうか。
近く、またMRI検査を予定しているそうなのですが、今回も原因不明なのではないかと心配しています。
本来なら浅野先生、ないしお弟子の先生の所で受診してみるのが一番だと思うのですが、遠方(大阪から電車で4時間。どこに行くにも遠いのです)のことで、なかなか思うに任せません。私は兵庫県在住で、帰省もたまにしかできず、何かできることはないか、と考えあぐねてご相談する次第です。
先生のホームページに掲載の「家庭でできる膝痛治療」も、ひとまず父に勧めてみるつもりです。 05/25/2008
MRIでも異常がないとのことなので、軟骨や靱帯には異常がなさそうですね。
ここで判断するためには、大きな情報が2つほど不足しています。
一つは、ブロック注射が効いていたとき、どこにブロック注射をしたのか?
これは病変部位を特定するため、ある程度手がかりになります。
二つめは近所で鍼治療を受けたとき、どのような鍼治療であったのか?
①これは、まず、何処の部分に鍼をしたのか?
②何㎝ぐらいの鍼を使って、何㎝ぐらい入れたのか?
③どれぐらいの太さの鍼だったのか?
④何分ぐらい鍼を刺しっぱなしにしておいて抜いたのか?
以上の2点がなければ、データ不足で、的確な判断が出来ないと思います。
①鍼は、MRIなどで原因の確定された膝痛は治りません。それは軟骨や靱帯が損傷して
いるからです。鍼では筋肉による膝痛しか治せません。
②新宮市自体が判りません。ただし和歌山県ならば、知りあいの鍼灸師がおり、そこで
「このような治療をしてくれ」と言えば、治療してくれるかも知れません。
私の考えでは、「右膝の裏が刺すように痛む」ということなので、膝窩筋か足底筋が凝
り固まっているのではないかと思います。
実は膝痛の7割ぐらいが、膝裏の両筋が凝り固まっているために痛んでいます。
その治療は、3番二寸の細い鍼を膝窩に9本ぐらいまとめて刺し、フクラハギぐらいに
は8~10番で2.5~3寸の太くて長い鍼を反対側に突き抜ける感じで入れます。そのま
ま40分ほど放置してから鍼を抜けば治ると思います。
それで治らねば、腰やお尻が悪くないのか探らねばならないでしょうね。
とりあえず膝の裏とフクラハギを本人が痛がるぐらいに揉んで、揉んでも痛がらなくな
ったら歩かせ、それで痛みが消えていたら膝の裏からフクラハギが原因ですね。
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不足情報の件、父に訊いてみました。あまり詳しいことが判らず、申し訳ありません。
●ブロック注射の位置
効果のあった昨年、効果の出ない今回の両方とも、脊髄の腰あたりだった、とのことです。昨年は一回目の注射で痛みが退いた(念のため二回目も注射)が、今回は三回注射して効果がなく、来週、四回目の注射を受ける予定とのこと。
●近所で受けた鍼治療の内容
①場所:左右両方の腰からひざ裏、足首にかけて多数
②鍼の長さ、深さ:数センチくらい
③鍼の太さ:髪の毛のように細い
④鍼を刺しておいた時間:刺してはすぐ抜き、の繰り返し
父の住む和歌山県新宮市は、紀伊半島の南端やや東で、ちょうど和歌山県と三重県の境になります。和歌山県北部よりは三重県南部のほうが近いです。
(質問)
・ご存知の和歌山の先生は、なに市、または、なに郡にお住まいか、判りますでしょうか?
・三重県では、ご存知の鍼の先生はおられますでしょうか? 05/25/2008
和歌山市のようです。
●近所で受けた鍼治療の内容
①場所:左右両方の腰からひざ裏、足首にかけて多数
②鍼の長さ、深さ:数センチくらい
③鍼の太さ:髪の毛のように細い
④鍼を刺しておいた時間:刺してはすぐ抜き、の繰り返し
やはり、最初の三問までは、ちょっとハッキリしませんね。
まず、その鍼灸院は、膝痛をかなり治した人があるでしょうか?
だいたい膝痛を完治させる鍼灸院は少ないので、狭い現地では、かなり「膝痛治療の鍼」として有名になっているはずです。
ただ④を見ると、あまり膝痛を治せないかなぁと思います。
鍼をして効果を挙げるには、刺鍼したときに膝痛が再現され、抜き終わった後でも結構筋肉痛にならねばなりません。
もしかすると抜鍼した直後も、まったく変化がなかったのではないでしょうか?
痛みに強い鍼、内科の得意な治療院など、さまざまな鍼灸院があります。
例えば、私の所は痛みや麻痺が多いので、膝痛や坐骨神経痛、五十肩、腰痛などがほとんどなので、そうした治療経験は多いのですが、婦人科疾患はほとんど当たったことがありません。
ということは、幾ら私が有名でも、婦人科小児科疾患は治せないと言うことです。それ専門の鍼灸院へ行くべきですね。
一般に膝痛は、三回も治療したら効果が現れます。もし3度目の正直で効果が現れなければ、そこは膝痛の苦手な鍼灸院と思います。
ただMRIで異常所見がないので、鍼で治ると思います。
神戸なら弟子の治療院があるのですが……。
引き続き返信をいただき、誠にありがとうございました。
和歌山市は遠いので、いっそ神戸のお弟子さんで受診を勧めてみようと思います。もし父が乗り気になったらですが、その際にはこれまでの先生とのやりとりを持参してもよろしいでしょうか?
新宮市でかかった鍼灸院は、流行ってはいるが、特に何の疾患が得意という評判はなかったようです。
今日、父が痛む右足のMRI検査を受けてきたのですが、やはり異常は見つからず、来週、腰のMRI検査を受けることになりました。どうも西洋医学方面では、迷宮入りの可能性が濃厚になってきたように思われます……。
神戸へ行かれるのなら、やり取りを参考にしたほうが良いでしょう。
恐らくフクラハギの筋肉が引きつっているために発生した膝痛と思われます。
ところで流行っている治療所が、必ずしも治癒する治療所とは限らないのです。むしろ逆の場合が多いでしょう。
それは治癒させてしまうと、患者さんは来なくなるからです。しかし全く効果がなければ、患者さんが来ない。
そこで兼ね合いが重要になってきます。
つまり上手な治療院は、鍼すると三日か一週間は痛みが消える。しかし三日か一週間すると、また元に戻る。そこで、もう一度治療に来る。
このように麻薬患者が如く、付かず離れずの治療をする鍼灸院が上手な先生です。
治してしまっては患者が来なくなりますから、治った患者さんが病人を紹介してはくれますが、治癒させた患者さんが紹介してくれるかどうか、まったくの患者さんの天気次第ということになります。それでは非常に経営が不安定です。
同じ患者さんが治らずに定期的に来られれば、鍼灸院は毎日をフルで患者さんを詰めることが出来、経営が安定します。
「そんなことができるのか?」と思われるでしょうが、長いこと営業を続けていると、患者さんとも気心が知れてきて、別に治らなくとも定期的に来る人が増えます。
私の所も例外ではない。
そうしたことは中国の授業では教えても貰えないので、私は弟子入りしようとしていた神戸の先生に、ちょこっとだけそうしたことを教わりました。少し反発を感じましたが。
流行る鍼灸院は、宣伝が上手だったり、話がうまかったり、マッサージが上手だったりします。
そこが治す治療院か、あるいは治さない治療院かを簡単に見分けるポンイトですが、一つにはそこへ行ったとき、何カ月も同じ患者が通ってきていれば、治しませんねぇ。
あと、他の患者さんが治っているかどうか、他の人とも話をしてみることですねぇ。
自分が3回ほど治療を受けてみて、最初に来た状態と変化がなければ、治しませんねぇ。
あと、遠方の患者さんが多くて、近所の患者さんは少ない治療院。(あっ、うちだ!)
遠方の患者さんが多いということは、宣伝が上手いということです。近所の患者さんが少ないのは、近所では治らないことが有名なので、近所の患者さんが少ないのです。
なにゆえに治りもしない鍼灸院へ行くかですが、
長いこと来ていて、先生と話が合うから、行くことが習慣になっている患者さんも結構あります。例えば、私のマイミクのSさんなど、翻訳者という共通点があるので、鍼しながら喋りに来ます。つまり異業界人と喋るのが目的なのです。
料金を高くしている鍼灸院は、有名人が通う鍼灸院へ自分も通っているというステータスシンボルで行く人もいます。
いつかは治ると信じて来る患者さんもいます。本当は治るまでの期限が必要ですが、無期限で何時の日か完治すると思ってきている。何の根拠もないのに。
いままで以上に悪くならないために鍼灸院へ来ている。でも実際は徐々に悪くなっているが、「鍼をしているから、この程度の進行で済んでいるんだ」と、前向きに考える人。
クロレラや、一時流行った月見草オイルみたいなもので、体験談を見ただけで鍼灸に来る人。体験談など、嘘に決まってます。本当に効果があれば、臨床試験してデータを出し、厚生労働省から××の薬として、日本薬局方に載るでしょう。アロエですら薬として載ってんだから。これは某有名鍼灸院に通っていた患者さんから聞きました。「自分の書いたことが体験談として載ってるっ!」って。その人は大阪出身で、私と同じ頃に北京へ留学していたそうです。
まま、というわけで、鍼灸院のホームページ、あるいは出版した本など、まったく信用できません。(私を含めて)
早い話が細木和子のようなもので、オサルが細木和子に「モンキッキに改名しろ」と言われて、全く売れなくなったり、Xグンが細木和子に「丁半コロコロに改名せよ」と言われ、改名した途端に消えたようなもの。
昔の中国の伝説。
ある村に医者が行き、村人の脈をとると、誰も彼も死脈が現れている。これはヤバイと感じた医者は、その夜のうちに村を逃げ出した。すると、その夜に山賊が来て、村は皆殺しにあったという。
沖縄にも似たような話しがあり、こっちは津波だった。(中国語で読みましたので日本名はちょっと)
つまり細木和子は、神戸の人を鑑定したとき、「誰も彼も死ぬ運命はおかしい。これは何かが起こって死者が多数出るのではないか?」と、当然思ったはずです。しかし「天変地異が起きるから、みんな神戸から逃げろ」と言わなかった。
私ならキチガイ扱いされても騒いだはず。
これは細木和子が非常に冷たい人間か、実は未来のことが予測できないかのどちらかだ。
江原啓之。彼は死者の霊が見えている。「お父さんが来てます!」
どうして一般人を呼び出すんだ。ホーキング博士でも呼びだしたほうが、遥かに人のためになる。新しい宇宙解を、何故に江原啓之は提供しない。側索硬化で死んだホーキング博士は、新たな江原啓之という通訳を迎え、目をパチパチしなくとも自由に自分の考えを話せるではないか。何故に江原啓之は、発明を間近にして死んだ科学者の霊魂を呼ばない? しょうもない一般人の霊ばかり呼び出しよって!
あんたがいれば詩織容疑者など、友人が苦労することなく判ったはずだ!
ああっ、つい鍼灸と同じ次元の人達まで、批判してしまった。
まあ、こういうことです。
現在45歳の男性ですが、20年ほど前、バイクで自動車との衝突事故を起こし、その後、偏頭痛や首痛、肩こりなどの症状に悩まされていました。
最近になって右目がほとんど見えなくなり、光と輪郭がなんとか見える程度まで悪くなっています。
医師には、視神経が原因で治療法は何もない、と言われたそうです。
まったく見えなくな
ってしまう前に、鍼灸や他の東洋医学で何とかできないものでしょうか? 05/23/2008
一般的に視神経萎縮は、眼窩内刺鍼します。
それによる網膜部の血行を改善し、視力改善を図ります。
ただ視神経萎縮の原因にもよるので、どうして視神経萎縮が起きたかの原因を探ることが必要です。
本人に確認しましたところ、医師には20年前の事故が原因だと言われたそうです。
しかし、他にもスキーで木に激突して頬骨が砕けたり、とにかく怪我が多く、目や頭をぶつけるようなことが何度かあったと思いますので、それが関係しているのでしょうか。
こちらは関西ですのでそちらまで通えないのは残念ですが、近くの鍼灸院に本人を説得してなんとか通わせたいと思います。
どうもあまり治療する気がないようなので大変ですが。 05/26/2008
初めまして。 2007年4月2日
1ヶ月程前から耳なりで悩んでおり、色々検索している時に先生のサイトを見つけてお便りした次第です。
先程述べたように耳なりで悩んでいます。初めは低音だったのが徐々に高音になりました。大きさは強弱様々で両耳です。肩こり、首の痛みもあります。眉間や耳周り、こめかみが重くしめつけ感を感じています。最近では手指のしびれもあります。
耳鼻科で見てもらったのですが難聴ではありませんでした。X線も異常ありませんでした。色々調べているうちに顎関節症が関係あるかもと思いました(以前から左顎の音がしていたので)このような症状を鍼で治すことは可能でしょうか?
私は福岡市在住なのですがこういった経験をしている知り合いもなく、どこでどういった治療をすれば良いのか分からず途方に暮れております。アドバイスを頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。
耳鳴りは、かなり治すことができます。耳鳴りの起きた原因は、肩凝りと思われます。そうしたことが原因で、耳鳴りが始まる人は結構多いのです。「眉間や耳周り、こめかみが重くしめつけ感を感じています。最近では手指のしびれもあります」という文を見ても、頚の上部、頭との境目が悪くなってるようですね。手指の痺れは、頚の下部です。
そうした症状は、頚筋の筋肉が硬直したときに多く見られる症状で、たぶん治ると思います。
ところで私は福岡市に詳しくはないので、関西方面のことは二天堂鍼灸に質問してください。北京堂のリンクから入れます。そこなら関西方面とか福岡で、それを治せる治療院を紹介してくれると思います。私も治せると思いますが、遠いですからお勧めしません。
でも、耳鳴りは3回ぐらいの治療を覚悟しなければなりません。難聴よりは治りやすいですが。
私は今年に入り、鍼灸院へ行きました。3回通いましたが3回とも治療中、その後3日間は痛みが続きました。4日目には少し治まり5日目に消えます。プロダンサーしていますので疲労を取る目的です。この痛みは、先生の方へは伝えていましたが、黙り込んで返答はありませんでした。4回目行った時、踵へ鍼をし、その後激痛。次の日から歩くのもままならないほどで、今は知り合いの接骨院へ通っています。激痛から今で1ヶ月で、普通に歩けるまでなりましたが痛みは残り、ダンサーとしては復帰出来ておらず、落ちた物を拾うこともできません。この旨を先生へ言ったら謝ったものの「次の日に来たら治せた。鍼がいやならカイロ的なやり方ですぐ治せたのに。接骨院の治療はゆっくりだから時間がかかってる」と言われ、私は納得いきませんでした。お聞きしたいのは、全く痛みがなかった足首、踵へ(先生の判断で)鍼を打ち、歩けないほど痛みが生じる事はあるか?と言うことと本当に次の日に治す方法があるのか?と言うことです。
こういう質問もたまに受けるのですが、どのような治療をしたのか? どんな鍼を使ったのか? そういうことが一切触れられてないので、正直言うと答えに詰まります。
鍼と言っても、さまざまな治療法があるので、一概には言えません。
重症ならば3回ぐらいは、鍼したあと3日ぐらい重みが残ることはあります。
一般的に言えば、足首には刺鍼することはありますが、踵というとカカトのど真ん中ですよね。一般的に足の裏、手のひらへ刺鍼することは、まずありません。
バネ指などでは手のひらに刺鍼することはありますが。
足の裏へ刺す場合は、横から入れます。でないと足底へ刺鍼すれば、ひどい痛みがあります。
というわけで私は足底へ刺鍼することは、まずないので、ちょっと経験がありません。中国で昔、足の反射区のような方法で、足の裏へ刺鍼する方法もあったのですが、現在では使われてないと思います。高麗手指鍼とか、手のひらへ刺鍼する方法はあるのですが。
頚の痛みなどでは、1回目の治療で筋肉が緩みきっておらず痛みが出ていれば、翌日に刺鍼して緩めると痛みが消えます。
この可能性として、足の裏へ刺鍼してグルグル激しく回し、内出血させたのではないかと思いますが、ただ足底はタダでさえ痛いので、そんなところへ刺鍼してグルグル回せば痛く耐えられないはずですから、ちょっとあり得ないと思います。
次に考えられるのが、太い鍼を足底へ刺して内出血させたケースです。足底は皮が厚く、太い鍼を使って血管を破ったかも知れません。そうすると内出血を起こして、血腫に神経が圧迫されるので歩くたびに痛むでしょう。もし仮に足底動脈を破ったのであれば、痛みがしばらく続きます。ただ一般に動脈を破った場合、3日ぐらい痛く、3週間で内出血した茶色は消えますので、1ヵ月も痛みが続くことは考えられません。
以上の話で、一般的に頚や腰で翌日に痛みがある場合、その痛む場所に再度刺鍼すれば痛みが消えますが、足底の場合は経験がないので判りません。
あと、もう一つ考えられるのは、踵骨に骨棘ができていて、それが痛みを出していた場合です。それならば鍼では簡単に痛みが消えません。
というわけで、なにぶん本人ではないので情報不足。
後の祭りですが、痛みが出たときすぐに、その鍼灸院へ苦情の電話すれば良かったと思います。そうすれば「すぐに来てください」とか言うはずです。
実は私も、目の一部が暗くて見えない患者さんがあり、頚の後ろへ刺鍼したのですが、翌日の朝8時に「朝起きてみたら急に片目が見えなくなっていた」と、苦情の電話を受けたことがあります。
その電話を受けて、「もしかしたら目の外側にあった血栓が中心へ移動したのかも知れない」と思い、「それでは、すぐに来てください」と言いました。
その人は朝九時に来て、1回の刺鍼により目が見えるようになりました。
ただ、これは私が治療者だったので「目のツボを打つと目の血流が良くなり、もしかして縁に詰まっていた血栓が中央へ移動したんじゃないか」という勘が働いたためで、人がやっていた治療ならば判らなかったでしょう。
だから翌日に治す方法があったかどうかは兎も角、すぐに反動が起きたときに電話すべきでした。
質問に対する回答は、以上の3ケースです。
はじめまして 横浜市港北区在住です
昨年12月25日脳出血を発症し右半身に麻痺が残っています。歩行もできますし右手の握力も25kgまで回復していますが、右顔面のつっぱった感じと右手の痺れが抜けません。10回ほど鍼治療はしましたが、改善せず、とりあえずやめています。毎日筋力トレーニングし、降圧薬、鬱の薬(視床痛用)は服用しています。右手は痺れだけで痛みはありません。中枢性の痺れについては治療の可能性があるでしょうか
Sat 11/04/2006 06:57:50 JST
俗にいう視床痛については、鍼でほとんど消えます。しかし10番ぐらいの太い鍼を置鍼せねばなりません。
一般に脳卒中の体鍼では、芒鍼とか蟒鍼とかの鍼を麻痺した手足に透刺する治療がされますが、芒鍼というのは長さが四寸以上の鍼ですので日本の鍼ならば3.5寸、蟒鍼も四寸以上の鍼ですが、蟒鍼が芒鍼より太いです。違いは蟒鍼が直径1㎜ぐらいの太さ、芒鍼は直径が十番ぐらいの太さの鍼です。それを置鍼したりします。
つまり脳卒中の視床痛と呼ばれる痛みに対しては3寸の十番ぐらいでないと効果が無く、普通の寸六の三番とか寸三の三番の鍼では、あまり効果がありません。脳卒中では筋拘縮が激しいので、普通の鍼では痛みが取れないのです。
もし3寸の十番を目一杯入れて痛みが取れなければ、脳卒中で痛みの取れない最初のケースだと思います。
ただ知覚の麻痺については結構難しいので、効果が少ないかも知れません。痛みには効果があるのですが。
脳卒中の鍼治療で、まず一番消えやすいのは出血した血腫、その次が痛み、その次が運動麻痺で、私の経験では知覚の麻痺が一番治りにくかったです。
このメールは返信しても「迷惑メール」と見なされるのか、すぐに返ってくるため、ここに掲載しました。
Thu 10/26/2006 23:36:48
はじめまして。群馬に住む男性です。
10年位前から高音の軽い耳鳴りが始まりました。
パチンコが原因か、6年で4人家族が亡くなったのが原因か、仕事のストレスが原因か分かりませんが、5年くらい前から高音の耳鳴りが強くなって20~30dbの軽い難聴になりました。
今年2月に低音の耳鳴りも始まったので難聴の検査をしたら40~60dbまで落ちていました。
4月に地元の鍼灸院へ15回ほど行き、耳の周りにとても痛い鍼を打ってから、難聴や耳鳴りは改善せずに、音が割れて聞こえるようになりました。
5月からは東京の突発性難聴の鍼灸院に20回ほど行きましたが変わりません。
このたびこちらのホームページを拝見して治る可能性があるのかと嬉しくなりました。可能性はあるのでしょうか。
耳鳴りや難聴の場合、その障害部分は内耳であり、鍼は内耳まで届きません。そこで耳周囲へ鍼をして内耳の血流を改善し、回復を期待するような治療です。一般的には肩凝りの治療を併用し、頚の筋肉を緩めることで、心臓から頭へゆく血管を圧迫しないようにします。
難聴の治療を始めるならば、2月に耳鳴りが始まったなら、2月のうちに治療すべきでしたね。
難聴などの人は、耳の周りに鍼をすると一般的に痛いです。
最初に15回、突発性難聴の鍼灸院に20回行き、変化がなかったということですが、うちは3回で改善しなければ一般に何回治療しても快復の見込みナシと判断します。まあ多くて六回治療します。ちょっと15回とか20回も変化がないのに同じ治療を続けませんね。
でも難聴に対する治療法は、どこも同じではないかと思います。群馬なら伊勢崎市に大成堂がありますので、そこが北京堂と同じような方法で難聴の治療をするはずです。
群馬ならば、そちらに通われたほうがよいのではないかと思います。
耳鳴りは小さな物は10年くらい前からあります。難聴も軽い物は5年くらい前からです。
ですから5年位前から3ヶ月おき位に病院には行ってます。
今年の2月くらいから以前からあった高音の耳鳴りに加えて低音の耳鳴りがしたので鍼灸治療を考えました。
やはり治療は無理なのでしょうか。最悪現状維持出来ればとも思ってます。
地元の鍼灸院ではとても痛かったですが、今の鍼灸院は痛くありません。
ですから地元の鍼灸院はとても深く(1.5cm位)鍼を打ったので、後遺症で響く(割れる)感じが始まったのかと思ってましたが、鍼灸治療ではそんなことは無いのでしょうか。
ちなみにその地元の鍼灸院に北京堂さんのホームページを教わりました。
耳鳴りは治りやすいので、無理とは言えません。耳の後ろへ1.5㎝入れたぐらいでは、後遺症で響く感じは起きません。あそこは一般に3㎝ぐらい入れないと効果がありません。ですから音が割れる感じがするようになったのは、効果がなかったので割れる感じがするようになったと思います。
うちでは一般に2寸の鍼を入れて行きます。ですから耳に4㎝ぐらい刺入します。
音が割れるようになったというのは、うちでは鍼をして割れるような感じが起きる人はおらず、耳鳴りが悪化して音が割れるとか声が割れるように響く人が多いです。鍼すると割れるような感じが治まります。具体的な治療の写真は、二天堂の治療法の紹介を参照してください。それに近い治療をします。
私見では、1.5㎝ほど耳に入れたのでは、奥のほうに届いておらず、耳の血流が改善されないので耳鳴りが進行したと思われます。それに刺鍼によって音が割れる後遺症が残ったとしても、鍼の後遺症は脳や延髄を損傷しない限り、一週間もすれば影響は消えてしまいます。だから鍼の効果は三日しかもたないとか、一週間しかもたないと言われるのです。今の話では、その後遺症が続いているとおっしゃいますので、鍼の影響ではなく、鍼で症状が止められないために進行したから音が割れるようになったのです。
一般に耳鳴りや難聴、眩暈の治療では、耳の奥にズシーンと響くような感じがなければ効果がないと言われています。
耳鳴りは、一般の神経でいえば痛みのようなものです。神経の刺激は同じなのですが、脳では、視覚分野では光刺激と捉え、聴覚分野では音声刺激と捉え、身体では触覚や痛みとして捉えるのです。ですから耳鳴りがするというのは、耳の神経が死んでいる状態ではなく、耳の神経が何かの原因で興奮し、何もない状態なのに興奮刺激が伝わっているということなのです。つまり坐骨神経痛のようなものです。普通なら痛みを感じないのに、神経が興奮してパルスを出しやすくなっているから痛みとなるのです。
私が「いろいろな鍼灸院で、それだけ長期の治療を受けておられるから、鍼で治すのは難しいのではないか」と言った理由を説明します。
例えばヘルニアならば、坐骨神経をヘルニアが圧迫するため、普通なら痛みとして感じられない刺激が倍増され、痛み刺激に変わります。もし神経が死んでしまえば、圧迫されても痛みを感じません。
耳の神経も、脳へ行く途中で、例えば骨に圧迫されたり、血管に圧迫されたりすると、いくら鍼で耳の血流を改善したとしても、耳の神経が骨や血管で圧迫されているのを消すことはできません。仮に耳の神経に隣接する動脈に動脈瘤となり、それが神経を圧迫しているのだとしたら、動脈瘤を退かさないと痛みは消えません。これは三叉神経痛や顔面痙攣でも同じ事です。それに鍼をして血流を改善したからといって、神経を圧迫している動脈瘤が消えるわけではないのです。
ですから、それだけ鍼治療(35回)を受けても耳鳴りが消えないのですから、聴覚神経を何かが圧迫しているのじゃないかと疑ってかかる必要があります。そして圧迫している物がなかったら、鍼の治療法が悪くて治らなかったのではないかという可能性があります。
うちでは3回も治療して変化がなければ、そうした可能性を疑って、ちょっと耳から脳までの間で、動脈瘤やイボがあって、それが耳の神経を圧迫しているのではないかと考え、断層写真を撮ることを勧めたでしょう。
治らないのに延々と治療を引っ張るというのも経営には良策かも知れませんが、それが本人のためになるのでしょうか?
私が思うのに、十年前から少しずつ耳鳴りがあり、五年前から難聴も始まったということなので、症状が悪化しています。もし動脈瘤や脳内のイボが圧迫していたとしたら、それらが大きくなるにしたがって症状も悪化して行きます。だから鍼で治らないから別の鍼灸院へ移るのではなく、病院を変えてみて精密検査されたほうがよいと思います。なかには骨が増殖して神経を圧迫し、耳鳴りが起きてたという患者さんもあります。だから耳の神経が何かによって圧迫されている可能性を排除してから、鍼灸院を変えられるなり、なんなりされたほうがよいと思います。
はじめまして。
今、鍼灸院さんに通いたく、探しております。このような症状に対応して頂けるか教えて下さい。8月初旬より、身体のあちらこちらが痛くなる症状に悩まされています。足から始まり、腕、肩、頭までほぼ全身の痛みでした。その後、リウマチ・膠原病の検査や首のMRIの検査をしましたが異常はありませんでした。現在病院では「頸肩腕症候群」と言われています。全身にも広がるそうです。実際、7月に婦人科系の腹腔鏡手術後に背中の鈍痛があったり、その前にも肩甲骨が痛くなったり、マッサージも週1で通っていたりしてました(肩こりの為)。最近では、痛くない日もあり、症状も落ち着いてはいるのですが、両腕・両足の痛みはなかなか抜けません。特に外出すると、我慢できない程ではありませんが痛みます。場所が「ここ」と示せず、移動性です。今は、薬と低周波レーザーで治療していますが、鍼も効くと主治医から言われてるので、ご回答の方、宜しくお願い致します。2006年10月17日
たぶん頚や背中が強ばっているためだと思います。そうした患者さんを何人か治療したことがあります。だいたい3~4回で完治します。
仰るような症状は、普通は頚椎の脊柱管狭窄症で起きるのですが、狭窄症ならば手術もせずに症状が落ち着くなどということはあり得ないし、MRI検査で判るはずですので、背中や頚が強ばっているだけだと思います。
鍼は確かに効果がありますが、病院でも専門科があるように、鍼も痛みに強い人、婦人科に強い人、皮膚科に強い人、精神科に強い人があり、例えば痛みに強いところへ行けば三回ぐらいで治るでしょうが、婦人科に強い鍼灸院へ行っても20回通ったが治らないということになります。
現在の法律では、自分が何科が得意なのか、鍼灸院では表示できないことになっておりますので、周りの評判を聞いてみるしかありません。
例えば、そこへ行ったら不妊症が治るから良いと評判の鍼灸院で、その痛みを治療して貰っても、たぶんラチがあきません。
まあ、この疾患は「鍼も効く」というより、「鍼なら三回ぐらいで完治する」と言ったほうが適切ですね。
昨年「皮膚に湿疹」ができ、内科医院・皮膚科で診断の結果、「湿疹」との事でした。 今年は「夫」にも、「湿疹」ができたため、皮膚科で診断の結果、「ダニ」との事でした。
薬剤・退治の方法をHPで検索した結果、先生の「家庭でできるダニ退治」を拝見し、退治を始めました。おかげ様で今は(10月6日)ダニにかまれる事なく、退治を継続しております。
布団乾燥機・除湿機を購入しました。
今年の奮闘の結果は、来年の5月から7月頃にかけて判明します。そのころまた結果をご報告します。ご指南ありがとうございました。
たぶん南京虫ですね。
畳を上げて、床に新聞紙を敷き、その上にダニアースの粉末をふって畳を戻し、畳の表面にはダニブロッカーを吹き付けます。ダニブロッカーは、付け替えようがあります。
そして布団のシーツを剥ぎ、布団の表と裏にダニブロッカーを吹き付けます。
次に洋服ダンスから服を取り出し、洋服ダンスの中、タンスの引き出しの中、押入、座布団、ゴザなどにも吹きつけ、ついでに仕舞ってある下着や洋服にも吹き付けたほうがいいです。
南京虫は一度咬まれると三週間ぐらい痒いですから、それからあと咬まれなくなります。 全ての作業は、湿らせたマスクをかけてやったほうがいいです。
それから最初にあなたが咬まれたのなら、あなたが友達の家から持ち込んだものかも知れません。その友達の所も処置したほうがいいかも。
初めてメールします。学生時代は周りでは、経絡治療やら、六部定位やら、Oリングやら、果ては呪術めいたまやかし療法っぽいもので溢れかえっておりまして、当時は鍼灸治療に対してかなり胡散臭く感じており、また実技の時間にいい加減な鍼をされて抜けなくなったりで、鍼灸の学生でありながら、すっかり鍼治療に対して興味を失っておりました。 そして、かなり遅ればせながらやっと真剣に鍼療法を勉強する気になりました。ここにきて偶然にも浅野先生のホームページに出会えて、鍼療法に対する長年の不信感を払拭できたことは、私にとってすごくラッキーです。ただ、今まであまり鍼に触れていなかった私にわからないんですが、鍼療法においては刺激ドーゼはどのようにしてコントロールするのでしょうか? 学生時代の実技の先生は鍼の太さと得気の強さが大事だとおっしゃってましたが、その当時はあまり理解しませんでした。いわゆる「あんま的」な徒手療法で、筋肉の硬結を解消させるには、痛気持ちいいぐらいの刺激量(これもやはり患者さんによってかなり幅がありますが)が、その人にとっての最適な力加減ということになってますが、鍼療法ではいかがなものでしょうか? また、「あんま的」な徒手療法では、熟練者は指先から伝わる筋肉の感触で最適な刺激量がわかるのですが、鍼の場合は熟練すれば鍼先から伝わる感じでわかるのでしょうか? 私の場合、「鍼の響きがきたらゆってね~」で確認しぃしぃ打ってます。すごく初歩的な質問で恥ずかしいのです。
それとお願いがあるのですが、実はこれまた偶然にも、私が住んでるところが二天堂さんから近くですが、ぜひとも施術を見学させていただきたいのです。浅野先生から紹介状をいただけないものでしょうか? あと腰部脊柱管狭窄症の母親の腰痛治療のため3寸5番の鍼を譲ってください。宜しくお願いいたします。
追伸 おととい本屋さんに行ったら浅野先生の訳本『刺鍼事故』があったので購入いたしました。楽しく読ませていただきます。あと、訂正部分ですが、最後の156ページ6行目、壊死→環死。とあるのは下から6行目のところですよね。
『刺鍼事故』ご購入、有り難うございました。やはり他人の失敗を読むのは楽しいですね。「他人の不幸は、蜜の味」と言いますからねぇ。ご指摘の通り、下から6行目です。
このメールは、一部文字化けしていて読めない部分がありました。87年卒業というと、私と同じです。そして当時、行岡は、やはり授業が悪いというウワサでした。当時は、関西は良導絡ばかり、明治は解剖の鍼ばかり、行岡は何もないと言われていました。そしてトリガーとか六部定位、Oリングなどで溢れかえっていたことは、私の学校でも同じです。操体法とか、イオンポンピングなどというのもありました。痛みのメカニズムとして、ゲートコントロール説というのも流行ってましたね。それが、実用的にどう使えるのだというと、何もありませんでしたが。
私も学生時代は、あまりにも怪しげな治療法が多いので、正直いって、当時は嫌気がさしていました。そして唯一なるほどなぁと思ったのが、木下晴都の『鍼灸学原論』でした。実際、神経根傍刺は、坐骨神経痛患者に、よく効きましたから。それが中国へ行ったのは、神経根傍刺のような刺鍼法を、木下晴都より中国のほうが早く開発していたからです。
88年当時は、中国は辨証法治療一色だったので、日本のように様々な治療法があるよりも、真実は一つと思ったから辨証法の中国へ勉強しに行ったのです。そこで『小針刀』理論に触れて、今のように辨証法を捨ててしまったのですけれど。
私は子供のころから按摩をさせられていたので、同級生に較べて手がかなり敏感でした。ですが敏感な手の持ち主だけツボの在処が判り、治療が出来る。そんな特殊な人間しかできないような治療法ではダメだと思い、小鍼刀の理論などを取り入れて、出来るだけ誰にでも理解でき、手の感覚がなくても治療できるようにしました。つまり、素人でも解剖さえ判れば、治療できるような方法を目指しました。ですから刺激ドーゼなどはありません。多くの場合、刺激しないのです。だから刺激しすぎて、かえって痛みが増したなどということはありません。ただ鍼の太さはありますが、筋肉が堅すぎて鍼が入らなかったり、鍼が曲がると肺に刺さる危険性があるときに、太い鍼を使うだけです。正直いうと、熟練が要らない鍼治療なのです。
というのは脈診何十年などのように、何十年も勉強しないと習得できないなんて、教育システムに欠陥があるのではないかと思うからです。
鍼が筋肉に刺さると、血流が増えて緩むということは、中国で証明されています。何故緩むかまでは解明されていませんが。
そこで小針刀理論と、木下理論を組み合わせて、神経が圧迫されたり牽引されるために痛みが発生するという理論に従って、深部の神経が圧迫される部分の筋肉を緩めたり、癒着を剥がしたりするのです。
北京堂では、主に筋肉を緩める治療をするので、手技はしません。だから置鍼時間が長くても、筋肉が緩んでしまったら、それ以上の作用はしないのです。これが許容量のある薬物と違うところです。
筋肉が鍼を刺すと快復することは、『鍼灸学原論』でも、ネズミの筋肉を使って木下晴都が実験していたと思いますから、別に中国の専売特許ではないと思います。
私は、鍼が昔は血を出す鍼石だったのが、深く刺すようになって鉄に変わったところから、電気の伝導率と関係があるのではないかと思っています。鍼は箴と書かれていたことからも判るとおり、竹製の鍼があったはずで、そっちの作り方が簡単だったはずです。それが何故、竹鍼や石鍼が廃れて、金属の鍼が使われるようになったか、たぶん電気を通しにくいからだと思います。試しに金メッキした鍼を使うと、効果が悪いのです。銀は効果がよいようです。そうした状況証拠から考えて、ステンレスの鍼は、鉄の鍼より効果が劣ると思います。昔の錆びる中国鍼は、現在の錆びない中国鍼より、効果が良かったように思います。それに鍼は、尖端が当たると筋肉が緩むのですが、鍼が筋肉を貫いてしまうと効果が悪く、当然にして当たらないと効果がありません。なぜか尖端が筋肉へ少し入っているぐらいが効きます。だから筋膜に金属が入ることが、筋膜を変化させ、筋肉内部と筋肉外部のイオンチャンネルが開いてイオンが交換され(例えば溜まっているカルシウムイオンが排出されるとか)、それが一定量になったら筋肉が弛緩するのではないかと思います。そのイオンチャンネルを開くためには、電気の良導体である金属でなければならず、そのために石や竹の鍼は使われなくなったのではないかと思います。
それから得気というのも、何でも良いというものではないと思います。患者さんにあった得気というか。例えば筋肉性の坐骨神経痛ならば、夜中や明け方にフクラハギが痛くなりますが、大腰筋へ刺鍼すると、その夜中や明け方の痛みが再現されます。その再現が重要で、いくら得気があっても、坐骨神経痛の痛みと関係のない場所にあれば、それは治療には役立たないわけですから。だから刺鍼したときに、痛む場合と同じような痛みが再現されることが重要なわけで、それ以外の得気はあってもしょうがないことになります。違う得気、例えば坐骨神経痛なのに、大腰筋へ刺鍼したら鼠径部に得気があったなどでは、得気があっても坐骨神経痛は改善しないわけです。鍼をしている側は、手応えはありますが、その得気がフクラハギに出ているのか、それとも鼠径部に現れているのかは患者さんに聞かないと判らないわけで、だいたいに経験で最大公約数的なところは想像できますが、やはり「どうですかぁ~? フクラハギが重怠くなってきませんか?」などと質問しています。二十年近く鍼をしていますが、それは現在でも一緒ですね。中にはトンデモナイ場所に得気が発生する場合もあって、「やっぱり経絡というのは、あるんだなぁ」としか考えられないケースもあります。その場合は、説明できないので、正直いって困りますが。 こうしたことは表現が違えども、『霊枢・官鍼』などに書かれています。
最後に、どうして鍼が抜けなくなったかですが、鍼の技法に「焼山火」とか「透天涼」などの手法があります。血管を拡張させたり収縮させ、血流量を調整することにより局部の温度を上げたり下げたりする技法ですが、それは神経を刺激することと密接な関係があります。つまり血管が収縮すれば血流が減って温度が下がり、血管が拡張すれば血流が増えて温度が上昇するのですが、それに必要とされる得気が、筋肉が痙攣したり弛緩するときの感覚と同じなのです。つまり手技をして、神経を刺激することで、運動神経へ常に短いパルス刺激を起こさせ、筋肉が収縮し続けたから血管が圧迫されて血流が減り、温度が下がった。筋肉が収縮したので、鍼が抜けなくなった。ところが置鍼していれば筋肉が弛緩することは、爪床微小循環などの改善でも確認されています。
うちは弟子に治療を教える代わり、自分も人に教えなければならないという義務を課してますから、研修生が来ていない日なら、いつでも見学させてくれると思います。なにせ中国ではマンツーマンで教えるのに、日本で1対20や40で教えていれば、いつまでたっても中国に追いつけませんから。それと弟子になった人は、私の都合のために三寸五番を年間1000本ずつ買う義務があります。私から鍼を買うと送料がかかりますから、二天堂で100本ぐらいなら買わせて貰った方がいいでしょう。
腰部脊柱管狭窄症が治るとは思いませんが、大腰筋と足後面の血管近くへ置鍼すれば、足の血流が良くなって症状は改善します。でも時間がかかります。すぐに良くなるのですが、元に戻るのも早く、全体として薄紙を剥ぐように良くなるそうです(患者さん談)。
二天堂は、心配であれば、私からメールしておきます。
膝痛の鍼治療を拝読させて頂きました。
Q1:膝の内側が痛む場合ですが、薄筋や縫工筋が脛骨を内側に引っ張るために関節内側に圧力がかかるのは分かります。ですが内転筋群は大腿骨に付着しているので、関節に圧力をかけることは無いと思うのですが、(骨盤、股関節なら分かります)原因の筋肉として書かれております。どうしてでしょうか?
困った質問ですね。説明しにくいですね。勘と申しましょうか。
北京堂方式の鍼治療とトリガーポイントの違いは、トリガーポンイトは筋肉を対象として考え、筋肉に対して治療するという考え方、つまり圧痛点とか反応点治療なのですが、北京堂方式では、そのような発想をしないのです。その典型的な例が、坐骨神経痛に対する大腰筋刺鍼です。坐骨神経は、臀部を圧迫すると圧痛や放散痛が走りますが、腰を押したからといって、坐骨神経に沿った痛みが発生する訳ではないのです。刺鍼したときのみ、しかもかなり深く刺鍼したときのみ放散痛が走ります。なぜ違うのかというと、トリガーはマッサージを主とした治療であり、北京堂方式は刺鍼のみの治療だから圧痛点や反応点を治療ポンイトにしないからでしょう。だからマッサージならばトリガーのほうが良く、刺鍼ならば北京堂方式のほうが優れているでしょう。
膝の内側が痛む場合に、骨盤が問題があるのではないかというのが理解できるのであれば、話が早いです。
北京堂方式では、坐骨神経痛を例に取ると、大腰筋だけが原因とは考えていないのです。それが主な原因だと考えていることは確かですが、それが指まで行く場合に、大腰筋を通った後、梨状筋を通り、ヒラメ筋を通って足指に達すると考えているので、その途中経路ならば大腰筋に限らず、坐骨神経を締め付ける筋肉があれば、それによって痛みが増すと考えています。だから坐骨神経痛の治療では、大腰筋の一本ではなく、梨状筋が硬ければ刺鍼することもあり、たいがいはヒラメ筋にも刺鍼します。
神経、特に筋肉を動かすような太い神経は、皮下を通っているわけではなく、関節部分を除けば、たいがい骨の近辺を通っています。それは、ちょっとした傷で、手足が動かなくなるようなことがないようにとの配慮からであると思います。だから骨まで達するような傷を負わなければ、たいがいは筋肉は動いてくれます。
そこで膝の内側が痛むのは、半腱様筋や半膜様筋が主で、それに薄筋や縫工筋も絡んでいるとは思いますが、それらは表面の筋肉です。そうした表面の筋肉を動かしているのは、大腿骨近辺を通っている深部の神経であり、そうした深部の神経が圧迫されると、神経が興奮しやすくなって、常に細かいパルスを出し、そのために脛骨内側に附着している筋肉が縮みっぱなしとなって、その附着部が痛む。だから圧痛部分に附着している筋肉を緩めるだけでなく、そうした筋肉を支配している神経が通っている部分の筋肉の緊張も緩めなければならない。これが北京堂の玉突き衝突理論、いいかえれば「風が吹けば桶屋が儲かる」理論なのです。このように北京堂理論は、その筋肉を支配している神経とか、知覚を支配している神経とかを重視していますので、筋肉のトリガーと較べて支持者が少ないのです。そのかわり、その部分に何%で圧痛が出るとかではなくて、なぜ何%の圧痛が出るのか説明できる利点もあります。
ちょっと判りにくかったので、かいつまんで話しますと、大腿骨に附着している内転筋群は、関節に附着する筋肉を収縮させる神経、関節内側に分布する神経などを圧迫するため、その神経の圧力を除くために、神経幹の通るであろう大腿骨付近の筋肉も緩めなければならないということです。
まま、ちょっと難しいので、理解しにくかったかも知れませんが、現代の中国鍼理論である小針刀では、こうした考えをします。ですから「北京堂は、現代中国鍼理論なので、ワケの分からぬ中国理論を振りかざしてくるわ」と、思って貰えば結構です。まま、鍼治療というのは、理屈ではなく治癒率ですから、沼袋の北京堂へでも見学に来てください。
現在飛蚊症と耳鳴りに悩んでいます。
・飛蚊症 半年前に発症。今までに漢方薬・整体を試したが効果なし。眼科での検査では異常なし。
・耳鳴り 外傷により耳鳴りが常に鳴っている。耳鼻科の検査では異常なし。
・その他の症状 顎がたまにカクカク音がなる・肩こり・眼精疲労・生理痛・低血圧
・外傷の耳鳴りでも治療できますか? ・飛蚊症は鍼の治療対象になりませんか? ・顔や首に鍼を刺した後、跡が残りませんか?
まず顔や首に鍼を刺した後、跡が残るかという質問ですが、顔では滅多に跡が残りませんが、首は細い血管が多いので、内出血することが多いのです。この内出血は、しばらくキスマークのようになりますが、3日ぐらいで平らになり、2週間ぐらいで消えます。
ビタミン剤は治療する薬でなく、栄養の不足した人に効果があるので、きちんと食事をしている人なら食事のなかでビタミンをとっており、効果はありません。
飛蚊症は、漢方薬と整体で治療できることは知りませんが、角膜に問題がなければ疲れからじゃないかということで首へ鍼をしたのではないかと思います。網膜にも剥離とかの異常はないのですから、やはり一般的な眼疾患の治療をすることになります。
首で疲労が取れているのですから、あとはコメカミや眼窩などへ鍼を入れて行きます。特に眼窩は効果があるので、眼窩内刺鍼と呼ばれています。ただ鍼灸師が恐がってやりたがらないので、やる人は少ないです。
飛蚊症の治療は以上です。普通は一回ごとに症状が改善され、六回ぐらいで治ります。
耳鳴りについては、外傷性の耳鳴りは治療したことがありませんが、いけると思います。耳をぶつけて耳の神経が興奮したのでしょう。だから大きな音を聞いて耳鳴りになったのと同じだと思います。耳に少量の麻酔薬を入れて、耳の神経を鎮める方法もあります。たしか北京堂ホームページの本紹介で記載していたと思います。
鍼では耳鳴りならば、3回治療して効果がなければ、それ以上治療しても変わらないと思います。二寸鍼で、相当奥まで刺さないと効果がありません。うちの神戸弟子などは、耳鳴り治療を昔見ていたのですが、1.6寸の鍼と思いこんでいたので効果がありませんでした。二寸を奥まで入れなければ効果がありません。
それと顎が鳴るのは顎関節症だと思います。これは鍼の適応症なので、ほとんど治ると思いますが、十人に一人ぐらい非常に頑固な人がありまして、十回ぐらいかかることもあります。でも、たまに鳴るぐらいだったら3回もやれば治るでしょう。
肩凝りは、一般的に首で治療します。だから首へ刺鍼して治らないのは不思議です。頚椎ヘルニアがあったり、骨増殖があるのかも知れません。調べた方がいいでしょう。
生理痛は、鍼では一時的に痛みを止めることは出来ます。しかし次にまた来ます。子宮内膜症の場合が多いので、妊娠すれば治ります。私の知り合いの中国人も、以前は酷い生理痛でしたが、妊娠した途端に治りました。
低血圧は自律神経が悪いのかも知れません。背中の両側へ刺針すれば、3回ぐらいで治ると思います。
ただ患者さんは鍼治療を3回以上受けますと、「こりゃ、鍼ではダメだな。他の治療を捜してみよう」と考え、別の治療を受けます。そして、その別の治療で治っても、鍼灸院には「あの病気は、御陰様で治りました」と報告します。それを鍼灸院の治療者は、自分の鍼で治ったと思いこんでしまうのです。
ぎゃくバージョンで、ある北京堂の患者さんは、網膜の浮腫で見えにくくなり、眼科に通っていました。なかなか効果がないので、北京堂で治療を受けました。それで視力が回復し、治ってしまったのです。そして眼窩で定期検診に行ったとき、医者に「あれっ、治っている。あの薬が効くとは、珍しいですねぇ」と言われ、腹が立ったそうです。その人は「あんたの薬で治ったんじゃないわい。鍼で治ったんだ。効かないと思っていたら、最初からそんな薬出すな」と思ったそうですが、やはり口では「御陰様で」と言ったそうです。
この場合、当然にして眼科医は、自分の薬で治ったんだと思うでしょう。知っているのは患者ばかり。
だから同じ症状で治った患者さんを紹介して貰い、電話をかけて本当に治ったかどうか、それとも別の治療で治ったのか尋ねてみるといいでしょう。
うちでも顔面のチックで、最初はある程度鍼治療の効果があったものの、結局完治しなくて手術すべきだという結論になった女性があります。
寝違いなどでは、痛む側の首を縮めるような姿勢をとりません。しかし北京堂理論では、痛む側の筋肉は縮むと痛みが緩むので、縮めるような姿勢をとるとあります。確かに腓腹筋痙攣などでは傷害された筋肉を縮めるように足を曲げますが、寝違いには当てはまらないのではないでしょうか?
確かに北京堂では、筋肉痙攣による痛みでは縮める姿勢をとると書いてあります。それは神経を挟んでいる筋肉が痙攣して縮もうとしているため、縮んだ姿勢をとると楽だから腓腹筋痙攣では膝を曲げて腓腹筋を縮めるような姿勢になり、大腰筋痙攣では腰を曲げて大腰筋を縮ませるような姿勢をとるといってます。
寝違いの場合は、膝が痛くて正座できないケースと同じ治療をします。
膝が痛くて正座できない場合、最初は北京堂理論により、大腿四頭筋が収縮しているため、膝を曲げると大腿四頭筋が無理に伸ばされるために正座できないと思いました。そこで大腿四頭筋を弛める鍼をしましたが、それで膝の痛みは良くなるものの、正座できるようになる人もあれば、やはり正座できない人もありました。そこで大腿四頭筋が伸ばされるだけでなく、他の原因で正座できないのではないかと考えました。そこで中国の鍼灸文献を読むと、膝の痛みには膝眼とか鶴頂とか陽陵泉、髖骨などへも刺鍼しますが、陰陵泉から陽陵泉への透刺、それと陰谷から陽陵泉への透刺などもあることを発見したのです。その意味を考えてみますと、膝窩筋や足底筋、ヒラメ筋に刺鍼しているのではないかと思われます。そこで膝窩や頸骨内側から、それらの筋肉群へ刺鍼したところ、それまで正座できなかった人の多くが改善され、90度ぐらいまでしか膝を曲げられなかった人が、3~6回ぐらいの治療で10分ぐらいは正座できるようになったのです。
もちろん正座できない人の中には、膝関節の半月板軟骨が損傷して正座できない人もありますので、全員が正座できるようになるとは限りませんが、それでも90%ぐらいの人は、10回以内で曲がりが90度から75度になり、45度、30度と一回ごとに深く曲げられるようになって、6回も治療する頃にはモモとフクラハギを密着させられるようになります。
その理由を考えてみますと、これは膝窩筋や足底筋、ヒラメ筋が固くなり、神経を圧迫しているのですが、そこへ正座しようとするとモモからの圧迫が加わるため、より神経が圧迫されるので、痛くて正座できないというものです。実際に、そう考えて筋肉群を弛めると、結構正座できるようになっちゃうんですねこれが。
だから収縮して痛みが出ている筋肉は、伸ばされるときに痛みを出すことは当然ですが、手で圧迫しても神経への圧力が増すために痛みが出るのです。だから伸ばしても痛いし、押しても痛い。
で、寝違いの時を考えてみましょう。寝違いの場合は、患部を縮めることもせず、伸ばすような姿勢もとらず、まっすぐ自然な姿勢をとっていることが多いのです。だからギックリ腰なら前傾姿勢、腓腹筋痙攣なら膝を曲げた姿勢をしていますが、寝違いの場合は特殊な姿勢をとらないので、一見すると判らないことが多いのです。ただ首を回したり傾けたりすると痛みが出ますので、首を回したり傾ける姿勢をとらず、まっすぐ前を見ています。
そして硬くなっている筋肉を調べてみると、表面から触れる筋肉としては、胸鎖乳突筋、斜角筋、肩甲挙筋などが多いです。つまり側頚部の筋肉群が痙攣しています。では、そうした筋肉群へ刺鍼して弛めるのか?
いえいえ、そうしたことはしません。そもそも使いすぎて筋肉が痛いのならば、腱鞘炎のように短拇指屈筋とか長拇指屈筋とか一筋だけが痙攣しているはずですが、寝違いの場合は一筋だけでなく、さっき挙げた三筋、いや頚の後に着いている筋肉まで痛むことがあり、一筋だけが痙攣しているようなケースはないのです。
複数の筋肉が障害されているということは、その筋肉だけの問題とは考えにくいのです。 例えば腱鞘炎では、一筋だけの筋肉が痙攣して痛みを出していることが多いので、その筋肉だけへ刺鍼して弛めてやれば解決します。ところが肩周りの筋肉が相当数痙攣していれば、それは肩周りの一筋一筋が痙攣していると考える人は少なく、まだ一筋一筋へ刺鍼して弛めたところで、一日もすれば元の木阿弥に戻ってしまいます。だから複数の筋肉が障害されていれば、もっと大元、たとえば頚などの神経の出口か、あるいは肩甲下筋のような複数の神経が通っている場所に問題が起きているのではないかと考えるのが普通です。そして、やはり神経の集中している筋肉群へ刺鍼して解決するほうが、痛みの出ている一筋一筋へ刺鍼して解決することより圧倒的に多いのです。もっとも以前に骨癌のため関節周りの骨がやられて痛みの出ている患者さんがおられましたが、そうしたケースは稀です。また頚椎ヘルニアや頸髄症など、骨による圧迫で肩に痛みが出るケースもありますが、それも神経の大元がやられていることには間違いありません。それが鍼の適応症かどうかは別として。
腕に行く神経は、斜角筋などがある割と下の頚椎から神経が出ていますが、首周りの神経は、頚の中部から出ています。頚の上部からは頭や頚に行く神経が出ているので、頭痛などでは風池など上部の経穴を使って治療するのが一般的です。
こう考えて行くと、寝違いの場合は、たんに胸鎖乳突筋や斜角筋だけの痙攣ではなく、そうした筋肉へ行っている神経の大元が圧迫されているため、表面にある筋肉群も痙攣して神経を挟み付け、痛みを出していると考えられます。
ようするに神経根部分の筋肉が痙攣し、神経を圧迫しているので痛みが出ている。だから神経根を圧迫するような姿勢をとれば、神経の圧迫が増して痛みが悪化するから、痛む部分を縮める姿勢はとらない。だから自然に前を向いて、まっすぐ頭を立てた姿勢をしているが、頭を前に傾けたり、横を向いたりしない。
それに鍼を入れてみれば判りますが、前屈みになっている患者さんの大腰筋へは、鍼を入れようとしても入らないほど硬くなっていることがママありますが、いままで硬くなっている胸鎖乳突筋や肩甲挙筋に、鍼が硬くて入らなかったことなどありません。だから寝違いでは、表面の筋肉群が、それほど硬くなっていないと言えます。
それに寝違いで、胸鎖乳突筋、斜角筋、肩甲挙筋などへ刺鍼しても、結局は患者さんに「骨の近くに、まだ痛みが残っている」と言われてしまいます。つまり表面の筋肉は確かに緩んでいるが、深部の筋肉が痛むと感じるのです。それも寝違いは骨に附着している部分の筋肉が痛むと考えられるのです。特に頚椎の後側に、そうした感覚が残ります。
だから北京堂方式では、寝違いの治療では、ほとんど横向きに寝て、痛む側へ刺鍼しますが、刺鍼するのは主として頚の後側と横側、そして骨の付近にある筋肉を狙います。そうして神経根近くの筋肉を弛めれば、たいがいの寝違いなら鍼を抜いた瞬間に痛みが消えています。そして「不思議だ、痛みが全くない」という驚きが返ってきます。
北京堂方式が、寝違いの治療で神経根付近を狙うようになったのは「木下晴都の神経根傍刺をパクッたから」というのではなくて、実は「痛む方向に曲げるような動作をしたとき痛みが悪化する」ことから、実は骨付近の筋肉が痙攣しているため、そちらの方向に曲げると神経を圧迫している筋肉が挟み込まれ、より圧迫が強くなるため痛みが増すのではないかと考えたため、現在の治療方式になりました。だから寝違いの場合は、ギックリ腰の治療ではなく、正座できない場合のヒラメ筋痙攣の治療に準じて行います。
なぜ、こんな治療を考えついたかというのは、私自身が若い頃、しょっちゅう寝違いしたり、口内炎や舌炎が出たりしていたからなのです。それで親紹介の鍼灸院へ行きましたが、痛みは行く前と全く変わらず、料金だけを×千円取られて、結局こんなことではダメだと自分で頚へ鍼をして治しました。でも若いときは知識がなく、試行錯誤をしますので、どうしても頚の後側に痛みが残ってしまいました。それも筋肉の表面ではなく、骨の表面が痛んでいるような感じなのです。それからは寝違いに対し、きっちりと骨の付近まで刺入し、効果を上げられるようになったのです。
だから北京堂理論は「痙攣した筋肉を伸ばそうとすると痛みが出るので、それを伸ばさないような姿勢をとる」というのが一つ、そして「痙攣している筋肉は、圧迫されると痛むので、それを圧迫されない姿勢をとる」という二本立てです。
最初の理論は大腰筋や肩甲下筋、烏口腕筋など、触りにくい筋肉を見分けるのに使い、最後の理論は腕や足、頚や肩甲骨表面の筋肉など、実際に触ってみて痛みが出るかどうかで障害されている筋肉を見分けます。
圧迫理論は、膝関節の最後部分で、正座できない場合の治療にチョコッとだけ書かれているので、あまり目に付かなかったかも知れませんが、そういうことです。
実際には、筋肉を縮めている場合でも、大腰筋を触れる場合は、腹側から圧迫して大腰筋に触れば痛みを感じますし、後へ腕が回らない場合も、横から烏口腕筋を圧迫してみたり、腋に手を入れて肩甲下筋を圧迫してみれば、やはり圧迫痛を感じますので、二つの考えは別々のものではなく、実際は一つなのです。
余計な事とは思いますが、鍼灸への疑問Q&Aで、「先生の主張では『脊柱起立筋が悪いから、それを伸ばすような姿勢をとる。だからギックリ腰では前屈みになる』ということです」と書いておられます。
トリガーポイント鍼療法(医道の日本社 川喜田健司 監訳 初版第3刷)のP.82の左側に「特定の筋に異常があると、その筋を伸ばすような受動的あるいは能動的な運動をおこなうとき、痛みを増加させるが、一方、筋を短縮する方向への運動は痛みを増加させない」と書いてあります。
上記の先生は、日本のトリガーポイント?を学ばれた先生だと思うのですが、元ネタの本とは逆に解釈しているわけですね。トリガーポイント鍼療法に誤訳があったのでしょうか? 私も気にはなっていたのですが、聞く相手もいませんでした。
私も以前に中国の『鍼灸集錦』という本を読んだことがあるのですが、翻訳された本というのは、どうしても誤訳があります。それは訳者が意図的に誤訳することもあるし、翻訳して頭が疲れているために誤訳してしまうこともあるし、自分の考えと違うために誤訳してしまうこともあります。そのため『鍼灸集錦』を読んだときに、どうしても不明なところがあったため、原書を読んだらすぐに判ったことがあります。
私は英語が読めませんので、そのあたりがどうなっているのか判りませんが、トリガーを原書で読まなければ判らないでしょうね。原書を読んでみると、翻訳と書いてあるのに、全く違うじゃないかと思うことがママあります。
ちなみに北京堂が参考にしている小針刀は、筋肉の癒着が痛みを引き起こす原因としていることが多く、その途中が癒着している場合、運動制限があるので、伸ばしても癒着部分が邪魔し、短縮させても阻害するという感じです。ただ自分の経験上、筋肉が癒着しているよりは、収縮して神経を圧迫することが多く、癒着するのは第3腰椎症候群ぐらいだと思うので、伸ばすと痛むとしています。
トリガーが日本へ入ってきたとき、それを取り入れて様々にアレンジしたのだと思います。だから実際に伸張痛なのか短縮痛なのか、患者で比較試験してみなければ本当のことは言えないと思います。
ただ五大疾患のところで書いているように、トリガーポイントの会で勉強している方は、筋肉に痛みがあれば、その筋肉を伸ばすような姿勢をとると痛みが軽減するので、伸ばすような姿勢をとっている筋肉が悪いと解釈されているようです。ちょっと世界の傾向とは逆ですが。そのためギックリ腰の治療で、前屈みになっている患者さんは、起立筋、多裂筋、中臀筋に刺鍼するようで、北京堂のように大腰筋へ刺鍼しないです。
だから実際に、どちらが正しいのか比較試験をしてみたいのですが、それは私がインチキをするんじゃないかという理由と、トリガーの方法は難しくて高度な技術が必要だということで、実現できませんでした。
日本の鍼灸師は、中国のように比較試験によって証明しようとする気がないようです。 中国では、随分と前から薬物治験の手法を取り入れ、A法とB法をランダムに比較し、t検定などで効果を分析しているようですが、やはり中西合作で西洋医学の方法を取り入れようとする中国と、言葉を持って回って治療効果を説得しようとする日本の差かも知れません。
伸張痛か短縮痛なのか、それぞれ実際に試験し、比較してみれば一目瞭然だと思いますけど。
78歳になる私の母は、病院で「脊柱管狭窄症」と診断され、手術をしても完治は難しく、今は血液の流れを良くする薬を飲むしかないと医師から言われました。ところが薬を飲んでいても、時々、朝起きる時、足が吊るように痛み、起きることができなくなります。このような姿を見て、私が鍼灸治療でもしたらどうかと勧め、インターネットで検索しました。すると近くに、この病名の治療をかかげる鍼灸院があったので、そこへ行くことになったのです。その鍼灸院では、初診料\2,000、診察料\6,500、ディスポ鍼1本\100と、他の鍼灸院と比べると、かなり高いと思われる値段設定で、しかも1回の治療で、初めに10本刺して、10分程間をあけてから、2回目に12本というように治療され、強制的に、一回の通院で2回分の治療を受けさせられ、1日の治療費が\15,000(2回分の料金です)もかかります。しかも毎日通院しないと治らないといわれ、会計をする時に、次の日の予約じかんを一方的に指定されます。母の場合は重症なので、治るまでに半年程かかるといわれたのですが、治療費が高すぎる事と、どうも私には、金儲け主義にしか思えません。そこで回数券がまだ残っていたのですが、通院をやめさせました。とうぜん支払の時には、回数券だけでは足りず、そのつど不足分を現金で支払っています。この回数券も、残りの枚数がわかるように、最初、受付に診察券と一緒に、持っている回数券を全部提出するように指示されました。このような治療院でしたので、結局、一週間程で通院をやめました。鍼灸治療では、このように一度の通院で、2回も続けて治療することが、本当に効果があるのでしょうか。また、「脊柱管狭窄症」に鍼灸治療は、効果があるのでしょうか。また、通常はどの程度治療すれば良いのでしょうか。
非常に言いにくいことですが、たぶんインチキでしょう。そもそも10分ほど時間をあけたところで、それは一回分の治療にしか過ぎず、2回分の治療費を一回で取るのもおかしな話しです。値段が高いのは、患者さんが少ないか、地代が高いためで、あまり技術とは関係がありません。それにインターネットの情報は、自分で発信しているので信用がおけません。その治療所で脊柱管狭窄症が治ったという元患者を訪ねてみれば、効果があるのか、それともないのか本当のことが判ります。私の治療所にも何年か前に、「鍼で小児喘息を治す」という四国の治療所に、娘を通わせたという患者さんが来たことがあります。鍼では発作を一時的に止めるだけで、治すことは出来ないというのが中国の常識だったので、「それで治ったのですか?」と聞いたら、やはりダメだったそうです。
もともと脊柱管というのは、背骨が繋がってストローのようになっている管のことで、その管の中に脊髄や神経が通っています。それが狭窄しているのですから、ストローの内径が狭くなって、脊髄や神経を圧迫しているため、痛みが出るのです。そうなった原因は、ヘルニアが出てストロー内に突起物が出来て圧迫したか、あるいは腰が曲がっているのに無理矢理真っ直ぐ伸ばし、腰骨が圧力に耐えきれずに太くなり(タコのようなものです)、太くなった骨がストロー内を狭くして、脊髄や神経を圧迫しているのです。
こうしたヘルニアや骨増殖を鍼で削ることは難しく(小針刀なら可能ですが)、脊柱管狭窄症そのものをディスポ鍼で治療することは出来ません。
一応、中国の文献では、頚椎などの骨増殖による圧迫症状が、鍼や漢方薬で改善されます。しかし実際にレントゲンなどで調べてみると、骨そのものは治癒しておらず、症状だけが改善していました。ですからディスポ鍼などで、骨が小さくなることはありません。
私も東京に来て脊柱管狭窄症を治療したことがあります。叔父の友人で、ちょっと難しいと言っているのに関わらず、無理矢理治療させられました。一応は大腰筋へ刺鍼して、あとフクラハギへ刺鍼し、合計して40本ぐらい刺鍼しました。料金は初診なので4500円です。その一回で、夜間の足の引き吊りは消えたそうで、近くの公園まで歩けるようになったそうです。治療は、その一回きりです。
これは脊柱管狭窄症を治したわけではなく、脊柱管から出てきた神経を圧迫している筋肉を弛めただけで、根本的な解決にはなっていませんが、それでも症状がずいぶん改善したらしいです。もともと神経の痛みというのは、圧迫の積み重ねで起きるので、途中でも圧迫が緩めば症状が一時的にでも改善します。
それは一時的に、足の血行が良くなったため症状が改善したのですが、やはり高齢のため手術する体力がないと思われます。それで漢方薬の「丹参」を飲むと、血液循環が良くなって、足の症状が改善することを伝えました。近所の漢方薬屋さんで「複方丹参片」を買って飲んだところ、かなり症状が良くなったそうです。丹参とは、シソ科の植物です。
この話には後日談があり、このおじいさんは「丹参は効果があるのだが、近所の漢方薬屋で買うと非常に高い(いくらか知りませんが)。だから中国へ行って買ってきてくれ」と頼まれました。中国では一般的な薬なので、一瓶が13元ぐらいだったかと思います。それを10瓶ほど買ってくると、非常に喜びましたが、私の叔父も「そんなに効果あるものなら自分も飲んでみよう」と、3瓶ほど取ったようです。これは健康人が飲んでも、全く効果がありません。ですから同じように、一度ぐらい大腰筋や梨状筋、ヒラメ筋など動脈周りの筋肉へ刺鍼し、それから丹参片を飲んだら如何でしょうか? 原因が骨やヘルニアによる狭窄ですので、病気そのものは完治しないものの、症状改善には相当に効果があるようですよ。
去年の今頃、治療しましたが、かなり嬉しかったらしく、いまでも公園へ行って撮った写真をハガキにしてくれます。おじさんに聞いたところ、「公園に行けるのだから、かなり良くなっているのだろう」とのことでした。なんでも鍼を抜いたときに、足へ血がドクドクと流れているのを感じられたそうです。一般に、鍼は3回治療しても、ほとんど治療前と改善が感じられなければ、その鍼は諦めたほうがよいと思います。
はじめましていつもHPで勉強させていただき有難うございます。HPに3寸ステンレス針販売について連絡したいことがありメールしました。前田豊吉商店では3寸5番のディスポ鍼を販売しています。http://www.needlemaeda.com/syouhin.htm私はオートクレープを買うお金がなかったので鍼道具屋を探し回って販売しているのを発見していたのでよかったのですが、販売されていることを知らない先生がいるようなので知っていただけたらと思いました。デイスポなので鍼管は付いていて100本で約3000円です。取り扱い業者によって金額は違うと思いますが5番、10番もありますし勿論2寸5分も鍼もあります。東京都神田にある三景さんに行けば10本単位でも在庫があれば売ってもらえます。http://page.freett.com/betterhealth/
情報を有り難うございます。それについては他の人からも連絡していただきました。うちでは大量注文しますので、ディスポではありませんが、100本2000円で入手できます。ディスポ仕様なのですが、ディスポではありません。鍼管もついています。また松葉でも、ディスポではありませんが、100本2000円で2.5寸を売っています。
うちの三寸は、現在は期限が9月末日までなので、オートクレープで消毒しなければなりません。それで11月に入ってくるまで3寸5番の販売を中止しています。いまのところ在庫が500本ぐらいしかありませんので、人に売れるような状態ではなくなっています。もっとも11月1日には入荷予定なんですが。もう出来上がっているのですが、島根へ帰るので、配達を送らせて貰っています。
一本の鍼が10円ぐらいの時代に、一本30円というのは高いですね。それで、せめて20円で小分けしようと思ったのです。しかもディスポ形式だけど、ディスポでないので何度も使える。
私は、だいたい3寸5番を19円ぐらいで仕入れています。それを年間に1000~2000本使います。滅菌済みの期限は二年ぐらいです。そして弟子に年間1000本ずつ20円で引き取って貰います。現在は弟子が増えたので、弟子が年間3000本ずつ消費するはずですが、それで二年で消費できる計算になります。昔は一人しか弟子がいなかったので、販売していたのです。それとディスポの鍼というのは、私ちょっと信用してない面がありまして、品質が悪いのではないかと思っています。まあ2寸ぐらいまでならディスポで折れても取り出せますが、3寸では取り出す自信がありません。それで質がよいと思って、ディスポは使わないようにしています。ですから三寸10番とか3.5寸の6番とかは、アサヒの鍼を特注しています。こうした鍼は滅多に使わないですから高くても構いません。
オートクレープは必要と思います。鍼の消毒だけでなく、器具の消毒にも必要です。でもオートクレープを買う金がなければ、圧力鍋を買ってきて、それに中敷きをしてヒタヒタになるまで水を入れ、ガスにかけて沸騰したら火を弱め、そのまま10分ほど煮込んでください。そうすると高圧蒸気が細菌やウイルスを加水分解し、無害なドロドロスープになります。中国では圧力鍋のことをオートクレープと呼んでいたのですよ。でも面倒くさいので、なるべく早くオートクレープを買った方がいいですよ。13万円ぐらいでありますから。圧力鍋で消毒すると、どうしても水気が残ります。
ところで某チャンネルで、うちのホームページがメチャクチャに叩かれていました。当然にしてトリガーポイントの先生にです。
先生の主張は「ギックリ腰は大腰筋痙攣ではなく、脊柱起立筋と腰方形筋が悪いのだ。だから脊柱起立筋と腰方形筋を狙うべきだ」とのことで、ギックリ腰には二寸の鍼で、脊柱起立筋と腰方形筋へ刺入するのがよい。だから北京堂の主張は間違っているとのことです。
なぜ私が名指しで槍玉に挙がっているかですが、どうやら私が東洋医学の象徴にされ、しかも傷害されている筋肉の判定方法がトリガーと全く逆だからのようです。
先生の主張では「脊柱起立筋が悪いから、それを伸ばすような姿勢をとる。だからギックリ腰では前屈みになる」ということです。
それに対する北京堂の考えは「大腰筋が痙攣しているから、その痛みに逆らわないために大腰筋を縮めるような姿勢をとる。だからギックリ腰では前屈みになる」です。
まぁ、お互いに主張が平行線なので、議論しても水掛け論になってしまいます。
中国医学というのは、事実がどうなのかを重視しているので、「それでは、どちらの主張が正しいのか、実際にギックリ腰患者を使って対決しましょう」と提案しましたが、先生は理論で反論しろとのことで、実際に実験して証明するという私の提案に乗ってきませんでした。そのときは、先生がギックリ腰に「脊柱起立筋と腰方形筋」を持ち出してきたので、私も「大腰筋と中臀筋」を持ち出してきたのですが。
まぁ実際に、第三者が用意した患者でなければ、公正な判断は出来ません。
トリガーの主張は、本当に北京堂式と正反対なのです。まさに陰と陽、正と邪ですね。 北京堂方式のギックリ腰に対する大腰筋アプローチは、男性では345には三寸5番の直刺、女性ならば2.5寸の四番を直刺して、2には0.5寸短い鍼を直刺します。そして少し背骨から離れたところから345に三寸を45度ぐらいの角度で入れ、そのまま40分ほど放置します。トリガー式は、詳しく知らないのですが、起立筋や腰方形筋へ入れるというのならば、2寸3番ぐらいで背骨両側の起立筋へ入れ、脇腹から腰方形筋を触知して斜めに刺入する方法と思います。
私は、この方法でギックリ腰を20年間(学生時代を含めて)治療してきましたが、一度も問題が起きたことはありません。治らなかったことはありました。一時的に症状が悪化したことはありましたが、3日後には完治していました。
ここで傷害された筋肉を伸ばすか、それとも縮めるかという問題が北京堂とトリガーの正反対の主張ですが、ちょうどギックリ腰というトリガーも得意とされている病気を例に挙げています。
北京堂式では、3寸ないし2.5寸の鍼でなければ大腰筋へ届きませんので、トリガー式と北京堂式で、どちらの主張が正しいのか試してください。北京堂式はホームページで公開されていますし、トリガーは本がたくさん出ています。
質問:学生の者です。「圧痛点」というキーワードでインターネットから情報を得ようと調べていると、やたらと鍼のホームページにぶち当たり、もしかしたら鍼灸師である先生なら僕の疑問に答えてくれるのではないかと思い、こうしてメールをさせていただきました。質問内容は「もし腹部に異常があると仮定すると、その患部を押すと痛いとなぜ感じるか」ということです。しかもいろいろ調べていると、内臓痛と関連痛では圧迫すると痛みが軽減するが、体性痛では増強すると書いてありました。異常がある部分を押すと神経をより強く刺激するから痛みが生じるとばかり思っていた僕には、この説明文が全く納得がいきません。どちらかでもいいので、是非教えてください。宜しくお願いします。
答え:よろしくお願いされまぁ~す。最近の学生さんや患者さんは、鍼治療する私より専門知識があって、困ってしまいます。そこで、まず辞書で内臓痛を調べてみますと、「内臓臓器及び体腔膜に由来する痛み。皮膚感覚と異なり局在性が極めて悪く、ときには他の部位の皮膚・筋肉などの痛みとして感じられることがある」とあります。なんのこっちゃサッパリ判らん。これは諦めて関連痛を調べてみますと「疼痛の原因病巣から多少離れた部分に感じる疼痛。狭心症の際に肘、手首に痛みを感じ、横隔膜肋膜炎の際の鎖骨疼痛などがその例である。内臓疾患の場合に、内臓の求心神経の興奮が一定の皮膚に投射されて感じられる。内臓からの求心性神経と皮膚からの求心神経が同じ脊髄節に入り、両者に干渉が起こり、内臓からの刺激が皮膚からの刺激として大脳感覚野に伝わるためと考えられている。関連痛の投射部位は、ヘッドの皮膚節の研究によって知られている」とあって、やはり理解が難しい。それでは体性痛はと調べると「骨格筋、筋膜、皮膚、関節、靱帯、骨膜、腱、血管外膜、胸膜、腹膜などの刺激によって起こる疼痛で、痛みの局在は明瞭でかつ持続的である。インパルスはAδ、C線維から交感神経鎖を経て脊髄後根に入る。これらの線維はまた強い筋収縮、化学的刺激、発痛物質(ヒスタミン、ブラジキニン、セロトニン)にも応答して痛みを発する。心筋ではT2~T3レベルでAδ、C線維が冠状動脈の閉鎖で応答する」とあります。解読困難。
痛みは、鍼灸のほうでは、実痛と虚痛に分け、例えば「実は詰まっているので、パンパンな状態に加えるから痛む。だから実痛は圧すると痛む。虚は空っぽなので、そこを圧して虚を満たすことにより、痛みが和らぐ」と『鍼灸大成』では、空気の入りすぎたボールと、空気の少ないボールを喩えにして解説しています。ただ『内経』の時代から、圧すると痛むものを実痛とし、圧すると心地よいものを虚痛と呼んでいましたので、昔から圧すると心地よくなる痛みがあることが知られていたということになります。その違いは、圧迫して痛むかどうかがポイントですが、その痛み方が違うことも知られていました。
つまり実痛は激痛、虚痛は隠痛。つまり実痛は急性のネンザなどの痛みで、ズキズキと激しく痛むけれど、時間が長続きしない。虚痛は、腹が痛かったり、背中が痛かったりで、シクシクとした痛みで激しくなく、痛みが治まったり再発したりを繰り返して、何年も続く。そうした痛みの違いがあることが知られていて、痛みの性質を虚実に分けていたのです。ここで圧すると書いていますが、強く圧迫すれば誰でも痛いので、圧する強さにも程度があります。でもネンザなどでは、触れただけでも痛くて手を払いのけます。それが実痛です。虚痛であっても、強い力で圧迫すれば痛みます。だから正常人が痛みを感じない程度の力で圧して、痛むかどうかが基準になります。その意味でいけば、強く圧迫すればどんな痛みでも増強するので、強く圧迫すれば必ず痛いというのは、ある意味で真実です。また、そうした痛みの増強については、当ホームページの五大疾患にも書いていますし、あなたも納得されているようですね。だから、それについては回答しなくて良いと考えます。
質問は「内臓痛と関連痛では圧迫すると痛みが軽減する」というのが何故か?ということですね。それに対する説明としてゲートコントロール説とかありますが、あくまでも仮説しかないと思います。ただ昔から手当というように、関連痛の現れた肩や背中などを指圧したり揉むと、痛みが和らぐことが経験的に知られていたため、按摩やマッサージ、指圧、ホットパックなどが業として成り立っていました。
そこで私の意見です。まず、「異常がある部分を押すと神経をより強く刺激するから痛みが生じる」という貴方の見解は納得行きません。なぜかというと、確かに横紋筋ならば、神経を圧迫する力が強いので、それだけで絞扼痛が起こります。しかし内臓の筋肉である平滑筋は、収縮する力が弱いので、とても絞扼痛を起こすだけの力がなく、そこに手で圧迫を加えても、神経をより強く刺激するとは言えないと思います。例えば肝臓や腎臓などのフニャフニャした臓器が神経を締め付けても、神経にとっていかほどの痛みでしょうか? だから触れて痛むのは、実際は腹筋が緊張しているため、表面の横紋筋が締め付けている神経に圧力が加わるから痛みが増強すると思います。 内臓痛ですが、内臓には本来痛みを感じる機能が必要ないと思います。それは体表であれば、外界からの侵害刺激、例えば棒で殴られたり、刃物で刺されたりなど危険刺激がありますが、体表では痛みを感じることにより、人は痛みを不快に感じて、痛みから逃れようとします。つまり体表で痛みを感じるからこそ、生命の危険から逃れることが出来るのです。それに対して内臓は、例えば寄生虫の痛みにしろ、逃れようがありません。だから限局された激しい痛みを感じることが出来ず、シクシクとした隠痛になってしまうと思います。つまり内臓をナイフで刺すとき、体表に刺さっている段階で痛みを感じていれば人は避けますが、体表に刺さっても痛みを感じずに避けることがなく、内臓に刺さってしまってから避けようとすれば却って危険だということです。だから激しい内臓痛は必要ない。また同じ内臓痛でも、盲腸が化膿して破れかけていれば、圧迫すれば破れる可能性があるので痛みを感じる。しかし、その内臓が、血液循環の不足により問題が起きているのならば、圧迫したり、手を離したりする動作を繰り返すことによって、その内臓の血流を促進するから有益であり、その場合は気持ちよく感じると思います。ただ心臓や肺、脳は、胸郭に包まれていたりするため直接マッサージすることが出来ず、特に心臓や肺は自分で動いているため、そうした直接に手を当てる行為がプラスにならないので、気持ちよさを感じないと思います。だが腹部では、便秘して詰まったときに手で動かしてやれば、それでつまりが解消もするでしょう。だから自分の身体にとって有益なことをすれば、痛みが和らぐと思います。これが内臓虚痛の正体と思います。
次に関連痛ですが、これは内臓体壁反射の一種と考えている鍼灸師が多いと思います。さっきの内臓痛と似ていますが、内臓が不調になり、内臓の血液供給量が不足して内臓痛が起きてくると、神経はすべて脊髄から出ているため、その痛みは内臓へ行く神経が出ている脊柱椎体の脊髄分節近くに入ります。すると当該分節から体壁に出ている神経が、自分の刺激として勘違いしますから、そこ神経の行っている筋肉が刺激されて筋緊張が起こります。それによって腹壁が緊張し、発病している内臓が外部からの刺激から筋肉によって守られます。それが内臓体壁反射と鍼灸師は考えています。そして『内経』では、内臓体壁反射によって体表の筋肉が緊張すると、その筋肉の血液循環が悪くなり、当該筋肉へ行っている神経が圧迫されます。すると、その体表筋肉の緊張が、脊髄分節を伝わって、やはり同じ分節にある元来の内臓に影響を与え、体表の筋肉と内臓が互いに悪循環を助長する。つまり互いにドツボにはまるということです。そこで体表の筋肉を弛めると、そこの神経の圧迫も解消され、内臓へ行く神経から痛みのパルスが消えるため、内臓の働きも良くなる。だから内臓体壁反射の悪循環の一方である体表の筋肉を解して血液循環を確保することにより、内臓にも好影響を与える。これが「外を使って内を治す」といわれる外治法なのです。つまり身体に良い影響を与えるようなことをすれば、心地よい。
当ホームページには、筋肉が緊張し、収縮しっぱなしになることによって、その筋肉に入っている神経が締め付けられて絞扼痛を出すとともに、血管を筋肉が締め付け続けることによって血流が悪くなり、酸素不足になって不完全燃焼による物質が生まれ、それが神経を刺激して筋肉を収縮させるた