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「耳袋」とは |
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近世後期の随筆。根岸鎮衛(やすもり)(1737‐1815)著。自序は「耳嚢」と記す。10巻。各巻100話で,したがって全巻1000話。街談巷説奇聞の類を集めたもの。1782年(天明2)ころから書き始め,はじめは3巻で完了していたが間を置いて3巻ずつ書きつぎ,9巻でいったん擱筆したが,さらに1巻を死の前年1814年(文化11)に完成。著者は幕臣で,佐渡奉行,勘定奉行を経て1798年(寛政10)より町奉行をつとめ,名奉行として知られた。 (平凡社世界大百科辞典より)
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| 「耳袋」の読みどころ |
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上記解説でもわかるように、まちの噂話などを集めたものです。新潮文庫の『デキゴトロジー』という人気シリーズを知っている人には、あの江戸版と考えていただければ間違いありません(もちろん、『耳袋』がオリジナルなんですが)。 内容はとにかく多彩です。怪談、笑い話、艶笑譚、英雄・豪傑の逸話、よく効く薬、人情話、狐や狸に化かされた話、教訓話などありとあらゆる分野にわたり、面白い話、聞いてそのまま忘れるにはあまりに惜しい話ばかりが集められています。 おいおい本トか?と思わずつっこみたくなる話もたくさんありますが、原則として著者はみな事実として記録しています。 また、著者が幕臣ということから武家関係の話も多いものの、お侍らしい偏向ぶりといったものは筆致からあまり感じ取ることはできません。あくまで話のおもしろさ、著者が受けた感動、感慨をそのまま伝えようとしていたことがうかがわれます。 ただし、序文でも明らかにされているように『耳袋』はもともと門外不出とされており、本人の備忘録として書かれていました。しかし、その面白さが徐々に世間に広まり、いくつもの写本が生まれ、結果、現代にまで伝わったのはわれわれにとって大きな幸運だったといえます。 ほとんどの話は、文庫本1〜2頁ほどの分量です。さらっと読めて、それぞれの味わい深さを現代語訳で少しでも伝えられたらと思います。
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| もっと「耳袋」 |
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「このサイトについて」のページで底本を紹介していますが、底本の巻末には編注者による「解題」が付されています。『耳袋』の成り立ち、著者の経歴(小身から異例の出世、名奉行の世評が高い)、人となり(能吏、善人、豪放磊落、鷹揚にして人の長所を引き出すことに長ける、怪談・奇談を好む割には幽霊等の存在を信じていない)等が詳しく紹介されており、これらを読んでから本編を読むと、また違った読後感が味わえます。御一読をお勧めします。
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