Fire Cracker〜過去よりの死者


「ツクヨミ機関」 から出る第一弾のゲーム。
サウンドノベル+爆弾アクション。
今回はクライマックスの爆弾アクションについて。


深夜だった。
外から見る彼の部屋に、灯りはともっていない。

もう、認めるしかない。
彼はもはや、血族としての日々を覚えていない。
全て忘れてしまった。
君主として君臨した輝かしい過去も、私との思い出も。
ただの少年。
はじめからこんなことは、分かっていたはずなんだけど。

でも、彼は、人間として暮らしていける。
ならば、その方が、きっと幸せ。

今日は、お別れの日。
もう二度と会うことはないでしょう。
さよなら。

踵を返そうとして、もう一度彼の部屋を振り返った。
未練なんかじゃなかった。
これからの永い生で、少しでも彼のことを記憶に留めておきたいから。

・・・一人の男と、目が合った。
男は、彼のアパートの前に佇んでいた。
薄汚れたロングコートに身を包んでいる。その下には何を隠し持っているのか。
日本人ではない。
ひょっこり佇む、という表現が当てはまるような、さえない白人の中年男。
何かに憑かれたような眼差しは、人間のものとは違っているように思えた。
むしろ、血族に近い、何者か。
ましてや、全身から発散されている狂気と憎悪。

「見つけたぜェ・・・。」
そんな言葉が、粘ついた声帯から搾り出された。
スラブ語だ。
積年の恨みを、凝り固めて作ったような声だった。

ハンター、か。
私は前に進み出る。

「やっとの思いで“白き冥王”サマのおわします場所を突き止めてみりゃア・・・・」
背中に背負った巨大な杭。おそらくは教会の梁に使われた樫の古木を聖別し、不死なる者を退ける聖句を刻んであるのだろう。
「“四辻の女王”までおいでとはなあ・・・・」
右手に構える軍用ナイフ。バチカンの鐘を鋳溶かして造られたものか。
「こりゃあァ、・・・とんだタナボタだわ」
片方の口角が、きゅっと上がった。

「なあ。女王サマよ。・・・お前、何人殺したよ」
「・・・」
「俺の妹がな」
言葉を切る。
「俺の妹が、あんたら吸血鬼に殺された。その頃、18歳。金髪に、綺麗な緑色の眼が自慢だった。本人は、少しくせ毛を気にしてたみたいだったがな。
俺の親友と結婚式をあげていたときだ」
「・・・」
「俺が式場に着いた頃には、阿鼻叫喚だった。列席者のゾンビ。血まみれの死体。妹の死体が起き上がって、親友を貪り食っていた。中心に、高笑いしているあんたらがいたよ。なア、どう思う?」
「・・・」
「なんとか言ったらどうなンだよッ!!」
左手に持っていた何かが閃き、私へと襲いかかった。
避けようとしたが、 それは空中で爆発し、飛沫を飛び散らせる。
聖水手榴弾。
うかつにも喰らってしまう。
焼け爛れるような痛み。
私は思わず地に伏す。
「覚えているぜ。あのときは、お前もいた。ああ、忘れねェ。その尊きお姿をなァッ!!」
カツカツと近づく足音。

「やめて! あたしの命なら、あげる・・・でも、彼は、もう人間なの・・・」
「愛しの彼を守るってか?へッ、泣かせるねェ、化け物がッ!!」
腹に、蹴りを入れられ、私はまたその苦痛に身をよじった。

そうなのだ。
全ての希望は打ち砕かれる。
全ての幸福には破滅が待っている。
そして、全ての思い出は色あせてゆく。
はじめから、こんなことはわかっていたはずなのに。

でも。
確かなのは私が彼を愛したということ。

「殺すさ。あア、殺すとも。お前も、あの部屋にいるガキも、殺してやるッ!!絶望しろッ!」

彼を、守らなければならない。
痛みをこらえ、立ち上がり、ハンターに向き直る。
彼に、辛い過去を思い出させたくないから。

微笑んでいる自分に気が付いた。
全く、最後まで世話のやけること。

私がいなかったら、何にも出来ないんだから。

私は、今、幸せなのだろうか。
彼を守ってあげられる。どこまで出来るか分からないけど、でも、やらなければ。

もうすぐ朝日が昇る。



               
               
               
               
               
               
               
               


舞台
ゲームの舞台は8×8のマス目。
プレイヤーは「血」「肉」という数値を持っている。
「血」:移動力、吸血鬼固有のワザを使う能力、それに対処する能力の全てを含む。
「肉」:ダメージを受けると減っていき、0になるとゲームオーバー。
ゲームの目的は、自分より先に相手の耐久力を0にすることである。

開始
プレイヤーは任意の場所に初期配置する。

地形
このシーンでは「真夜中の住宅街」である。
マス目のいくつかは「アパートの屋根」や「マンションの屋上」であったりする。
高さのため、侵入するためには余分に移動力を1消費する。

5ターンが過ぎた頃より徐々に画面が明るい青みを帯びてゆき、10ターンが過ぎた頃、夜が明け始める。
太陽光に覆われたマス目は徐々に増えていく。(東、つまり画面左より)。
高い建物の影は光が届くのが遅いので、うまく利用しよう。
(でもこのゲームには高さの概念がないので、グラフィックで類推するしかないのだが)
吸血鬼は光で覆われた部分には侵入不可となる。
全てのマス目が太陽光に覆われたらゲームオーバー。

1ターンのうちにできること
「血の魔術」
「移動」
「血の回復」
「吸血」

「血」を消費し、0になるか、あるいは自らの判断で残してターンを終える。

血の魔術
吸血鬼は少量の血を地面に吸わせることにより、様々なろくでもない存在を召喚できる。
魔術にはおのおの必要な「血」の値が設定されている。自分の「血」に余裕があるならば1ターンの間にいくつでも使用可能。
設置場所に制限はない。同じマスで複数召喚することも可能。
基本戦術は、相手の立っている場所に魔術を施すことだが・・・?

移動
1マスの移動に「血」が1消費される。「屋根」「屋上」は2消費される。
移動先で、まれにアイテムが発見されることがある。


「血」の回復
「血の魔術」 「移動」と同時には選べない。何もしないことにより「血」を5回復させる。


「吸血」
相手と同じマス目に侵入したときのみ可能。
相手の「血」を10奪い、自分の血を「10」回復させる。
もし相手の血がすでに10未満であれば、不足分は相手の「肉」を減らすこと。
また、それ以降相手の「血」の上限は1D3減ることとなる。
切り札とも言える攻撃行動だが、リスクも大きい。


アイテム
「あわれな通行人」:手に入れると血を10回復させることが出来る(上限は超えない)
「野良犬」:手に入れると血を5回復させることが出来る(上限は超えない)

ダメージ
血の魔術が施されたマスに入ると、それが自分のものか相手のものかにかかわらずダメージとなる。
まず、相手のプレイヤーに魔術が発動したことと、その位置が分かる。
その時点で残っている「血」を消費して防御し、破壊力を減らすことができる。
その後相殺し切れずに残った最終的な破壊力がダメージとなる。「肉」をそのぶん減らすこと。
結果、「肉」が0になったらゲームオーバー。
複数の魔術が施されていた場合には、その全てに対し上記の処理を行う。
むやみに動かないことがコツのようだが、それは錯覚だ!

ゲームバランス
何度か対人間相手でテストプレイをしてみたいのだが、 現在のところ「血」は20くらい、「肉」は10くらいが良い。
「血」の回復量を調整することによりゲームのデッドリーさとスピードが変化。

プログラム
魔術の発動する効果音は欲しいところ。
また、制限時間ありにして、1ターンも5秒くらいにして、間に合わなければ何もしなかったことになるとするとアクション要素が強くなり、良いのでは・・・。
その場合は制限時間後の耐久力が多かったほうが勝利。




DATA SECTION

名称 破壊力 効果範囲 必要な「血」 備考
拷問者の召喚 1×1 血で描いた魔法陣内に「拷問者」を召喚。効果範囲内にダメージ
闇に潜む者の召喚 1×1 血で描いた魔法陣内に「闇に潜むもの」を召喚。効果範囲内にダメージ
見えざる葬列の召喚 1×1 設置時に方向を指定。毎ターンその方向にむけて1ずつ移動。
力天使への祈祷 3×3 12 設置後2ターン後に発動。以降そのエリアには侵入不可。
嗜虐者の召喚 1D10 2×2 ランダムで威力変化する試作呪文。
貪る者の召喚 1×1 設置後、次ターンに前後左右1マスに増殖する。
カインの訓戒 特殊 12 設置後2ターン後に、縦5、横5の十字型に爆発する爆弾。
霧への変化 なし 特殊 5 自らを霧に変化、相手から姿をくらます。ダメージを受けると効果消滅。
告げ口する小悪魔 1 4×4 7 四方八方に偵察用の使い魔を飛ばす。威力は低いが、霧への変化を見破るには有効。
百にして一なる剣 3(後述) 1×5 8 異世界より意思ある魔剣を召喚。効果範囲内にダメージ。このダメージは直接「肉」を削る。