制作者:国本静三

音楽サロン表紙 目次 バロック目次 作曲者別作品表 時代別作品表



「ミゼレレ」



 
グレゴリオ・
アッレグリGregorio Allegriイタリア(1582-1652)、1591年ローマ、サン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会の少年聖歌隊員となり、後にテノール歌手となった。この教会はナヴォーナ広場近くに位置し、この教会内部左側5番目礼拝堂にカラヴァッジョ(1573-1610)の3部作「聖マタイと天使」、「聖マタイの召し出し」、「聖マタイの殉教」があることで有名である。1607年にマルケナ州、アドリア海に面したフェルモ大聖堂楽長に就任。1629年教皇礼拝堂歌手になった。1638年に教皇礼拝堂の一つシスティーナ礼拝堂のために9声部の「ミゼレレ」を書いた。この曲は複合唱cori spezzati二重合唱の形態を取っている。この曲は毎年聖週間における朝課(マトゥティヌムMatutinum 現在は読書といい、多くは0時以後から午前中に唱える時課の祈り)において使われるようになった。

 際だったソプラノの高音が用いられているが、当時はカストラート(去勢歌手)が歌った。ヴェネツィアに現れたバロック特有の華やかな協奏曲と比べると、地味で
反宗教改革における世俗的要素を棄てようとする方向に傾いた作品である。またこうした傾向の教会音楽をローマ様式ともいった。「ミゼレレ」は門外不出のシスティーナ礼拝堂の門外不出の秘曲として伝えられていた。さて、1770年父とローマに来ていた14歳の少年モーツァルトは聖週間の典礼としてこれをシスティーナ礼拝堂で聴き
(早朝か午前中と思われる)、宿に帰って譜面に記憶に基づいて書き表した。この正確性が教皇庁で認められ、モーツアルトは騎士の位に就く黄金軍騎士勲章を受けたといわれているが、このことのみが第一理由ではなかったようである。


歌詞テキスト(ラテン語)>

               
☆日本語訳は「新共同訳聖書」旧約・詩編51・3-21を引用
 
Miserere mei,Deus,
secundum magnam misericordiam tuam.
Et secundum multitudinem miserationum
tuarum dele iniquitatem meam.
神よ、わたしを憐れんでください、
御慈しみをもって。
深い御憐れみをもって
背きの罪をぬぐって下さい。
Amplius lava me ab iniquitate mea
et a peccato meo munda me.

Quoniam iniquitatem meam ego cognosco.
et peccatum meum contra me est semper.
わたしの咎をことごとく洗い
罪から清めて下さい。

あなたに背いたことをわたしは知っています。
わたしの罪は常にわたしの前に置かれています。
Tibi soli peccavi,
et malum coram te feci;
ut iustificeris in sermonibus tuis,
et vincas cum iudicaris.


Ecce enim in iniquitatibus conceptus
sum et in peccatis concepit me mater mea.

Ecce enim veritatem dilexisti;incerta
et occulta sapientiae tuae manifestasti mihi.
Asperges me hysopo,et mundabor:

lavabis me,et super nivem dealbador.
あなたに、
あなたのみにわたしは罪を犯し
御目に悪事と見られることをしました。
あなたの言われることは正しく
あなたの裁きに誤りはありません。

わたしは咎のうちに産み落とされ
母がわたしを身ごもったときも
わたしは罪のうちにあったのです。
あなたは秘儀ではなくまことを望み
秘術を排して知恵を悟らせて下さいます。
ヒソプの枝でわたしの罪を払ってださい
わたしが清くなるように。
私を洗って下さい、雪より白くなるように。
Auditui meo dabis gaudium et laetitiam,
et exsultabunt ossa humiliata.
Averte faciem tuam a peccatis meis,
et omnes iniquitates meas dele.

Cor mundum crea in me,Deus,
et spiritum rectum innova in visceribus meis.
喜び祝う声を聞かせてください。
あなたによって砕かれたこの骨が喜び躍るように。
わたしの罪に御顔を向けず
咎をことごとくぬぐってください。

神よ、わたしの内に清い心を創造し
新しく確かな霊を 授けてください。
Ne projicias me a facie tua,
et spiritum sanctum tuum ne auferas a me.
Redde mihi laetitiam salutaris tui,
et spiritu principali confirma me.

Docebo iniquos vias tuas,

et impii ad te convertentur.

Libera me de sanguinibus,Deus,
Deus salutis meae,
et exsultabit lingua me iustitiam tuam.
Domine,labia mea aperies,
et os meum annuntiabit laudem tuam.
御前からわたしを退けず
あなたの聖なる霊を取り上げないでください。
御救いの喜びを再びわたしに味合わせ
自由の霊によって支えてください。

わたしはあなたの道を教えます
あなたに背いている者に
罪人が御もとに立ち帰るように。

神よ、わたしの救いの神よ
流血の災いからわたしを救い出してください。
恵みの御業をこの舌は喜び歌います。
主よ、わたしの唇を開いてください。
この口はあなたの賛美を歌います。
Quoniam si voluisses sacrificium.
dedissem utique:

holocaustis non delectaberis.
Sacrificium Deo spiritus contribilatus:
cor contritum et humiliatum,
Deus,non despicies.
もしいけにえがあなたに喜ばれ
焼き尽くす献げ物が御旨にかなうのなら
わたしはそれをささげます。
しかし、神の求めるいけにえは打ち砕かれた霊。

打ち砕かれ悔いる心を
神よ、あなたは侮られません。
Benigne fac,Domine,in bona voluntate tua Sion,
ut aedificentur muri Ierusalem.
Tunc acceptabis sacrificium
iustitiae,oblationes et holocausta:
tunc imponent super altare tuum vitulos.

御旨のままにシオンを恵み
エルサレムの城壁を築いてください。
そのときには、正しいいけにえも
焼き尽くす完全な献げ物も、あなたは喜ばれ
そのときには、あなたの祭壇に
雄牛がささげられるでしょう。
 

2005

音楽サロン表紙 目次 バロック目次 作曲者別作品表 時代別作品表