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バロックの音楽像
「バロック」という語が、音楽における時代概念として適応されたのは20世紀に入ってからである。音楽史のバロックは1600-1750年と区分される。フランス人は当然の事ながらバロックよりヴェルサイユ楽派という語を好んで使っていた。この時イタリアは音楽大国であり、ヨーロッパ音楽を制覇することになる
バロック音楽はイタリアから発信されていったといっても過言ではない。先ず音楽分野では聖俗を2分するオラトリオoratorioイタリア語とオペラoperaイタリア語を誕生させ、協奏曲concertoイタリア語、そして声楽曲としてのカンタータcantataイタリア語と器楽曲としてのソナタsonataイタリア語を生み出した。こうして後々まで続く重要音楽分野が並び立つこになった。
バロック時代の音楽様式は2つあるといえるだろう。一つはゴシックとルネサンスの多声音楽polyphonyを引き継いだ形での多声的音楽polyphonicと、もう一つは新しく成立したモノディ音楽monodyである。
多声的様式polyphonicの書法上の技法は、対位法counterpointである。しかし、バロック時代に確立された調性tonalityによる和声機能を存分に駆使した和声的対位法が使われる。その究極の形式がフーガfugaイタリア語で、中世、ルネサンスの対位法の伝統を結集したものといえる。フーガはバロック音楽にのみその個性とパワーを発揮して、衰退していった。だが、バロック音楽の一般的な様式である多声的様式は、最高声部と最低声部の動きに特に関心がもたれた。高声部との絡み合いと低声部を強調するような通奏低音basso continuoイタリア語は、バロックの特徴的なことである。ルネサンスの多声音楽に見られた厳格対位法から離れた柔軟で自由な多声音楽が展開された。筆者はそうしたバロック特有の多声音楽をゴシックやルネサンスの多声音楽polyphonyと区別して、多声的様式polyphonic styleといい表している。そうした様式と対抗するように、あるいは同時発生的に必然的に生まれ出たのがモノディ様式であった。
モノディ様式monodyはソロ部と伴奏部との組み合わせによって形成される様式である。これによってレチタティーヴォrecitativoイタリア語とアリアariaイタリア語を生み出した。これによってオペラ誕生が可能になった。これはフィレンツェのカメラータcamerataによって提唱され、生み出されたものである。伴奏部では通奏低音basso continuoイタリア語の動きは特徴的である。
バロック時代の音楽は、フーガのような純然たる対位法音楽を除いて通奏低音による演奏形態が固持される。あと規則的なリズムやイタリア語による音楽記号(ex.p、f、andante、dolce‥‥‥etc.)や音楽用語(楽器名etc.)も広く用いられ始まる。
バロック時代は、声楽作品のみならず器楽作品が花開く時代でもある。それは多くの楽器が発達し、生み出された時代であったことを示す。楽器制作(鍵盤楽器、クレモナでの弦楽器)においてもイタリアは盛んであった。
バロックの音楽の発展は鍵盤楽器keybord instrumentと弦楽器においても顕著である。鍵盤楽器(キーボード)はオルガンorganoイタリア語、チェンバロcembaloイタリア語(=ハープシコードharpsicord英語=クラヴサンclavecinフランス語)、クラヴィコードclavicordoイタリア語と多彩である。
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| チェンバロ Ruckers1624年制作 | バッハ時代の復元チェンバロ ベルリン楽器博物館所蔵 |
| クラヴィコード Geritto Dou(1613-75)c.1665年制作 ロンドン、ドゥルウィッチ絵画館所蔵 |
バス・ヴィオール=ヴィオラ・ダ・ガンバ |
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弦楽器はルネサンスから引き継いで用いられたヴィオールフランス語族(ソプラノ・ヴィオール、テノール・ヴィオール、バス・ヴィオール=ヴィオラ・ダ・ガンバviola da gambaイタリア語)がある。
リュート族(リュート、テオルボ、キタローネ、マンドリン)、現在でも普及しているヴァイオリン族(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)。これらの楽器はイタリアのクレモナで世界の名器といわれる名品がどんどん制作され、ポー河を経てヴェネツィアにもたらされた。そしてヴィオール族はバロックの終わりにはヴァイオリン族に取って代わられ、姿を消すこととなる。
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| ヴァイオリン ヴィオラ | チェロ |
他はヴェネツィアでの楽譜印刷は作品の伝播に寄与した。これによって最先端のイタリア音楽がアルプス北の国々にも伝わり、影響も与えていった。またイタリアの作曲家や演奏家(声楽と器楽)の活躍も目を見張るものであり、全ヨーロッパに進出して活躍した。
2000-2009
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