制作者:国本静三

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「戦争レクイエムOp.28」
 エドワード・ベンジャミン・ブリテンEdward Benjamin Brittenイギリス(1913-1976)



<「戦争レクイエムOp.28」について>


 ブリテンBrittenイギリス(1913-1976)による1961年作曲のこの作品は、ローマ・カトリック教会「死者のためのミサ典礼固有式文」とオーエンイギリス(1893-1918)の英文による詩が挿入・附加されて構成されている。この点で正式の典礼音楽ではないと言えよう。伝統的なレクイエムに姿を借りた一大オラトリオ風の作品と捉えるべきか、作曲者の意図は不明である。

 少なからず平和に対する希求心の強い作曲家のこの作品は、第二次世界大戦(1939-45)下の1940年11月ドイツ空軍の大空襲によって廃墟化したコヴェントリーの大聖堂(カテドラル)の復興献堂式の祝賀会のために委嘱されたものである。この作品の源流となる作品「シンフォニア・ダ・レクイエムOp.20」(1940年)がある。後者の作品は、皇紀2600年のため日本政府から奉祝曲として委嘱された。しかし、シンフォニア・ダ・レクイエム(死者のための交響曲)のスコアを受けた日本政府は、「ラクリモーサ(涙の日)」「ディエス・イレ(怒りの日)」「レクイエム・エテルナム(とわの安息を)」の3楽章からなる交響曲を天皇に対する無礼と怒り、受け取りと演奏を拒否した。ブリテンにとっては中国に侵略し、軍国主義に走っていた大日本帝国への抵抗だった。この曲は時を経た1956年、NHKの招きで来日した時、ブリテンによって指揮され日本初演された。この時はなんら問題は起こらなかった。ともあれ、「戦争レクイエム」と「シンフォニア・ダ・レクイエム」は、確かにテキストの内容から見ると単なる祝典曲ではないということは言える1)


[注]


1) 1940年、近衛文麿首相が率いる日本政府は、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、ハンガリーの6ヶ国に委嘱する作曲家の斡旋を依頼する。アメリカは日本との関係悪化のため断ったが、他の5つの国々は、ブリテンイギリス、R.シュトラウスドイツ、ピツェッティイタリア、イベールフランス、ヴェレシュハンガリーが作品を提出した。この5人の作曲家の中で最も著名なR.シュトラウスには1万円が支払われた。曲は「海の風景」「桜祭」「火山の噴火」「侍の攻撃」「天皇賛歌」という風に、標題音楽の書法で構成されている。



<「戦争レクイエムOp.66」の構成>


第1曲:入祭唱Introitus 
1.Requiem aeternam永遠の安息を
2.オーエンの詩(英文)テノール独唱
  キリエKyrie(あわれみの賛歌)                 
合唱
テノール独唱
合唱
第2曲:続唱Sequentia(怒りの日)
1.Dies iraeその日こそ怒りの日
2.オーエンの詩
3.Liber scriptus世を裁くために記された記録が
4.オーエンの詩
5.Recordare思い起して下さい
6.オーエンの詩
7.Dies iraeその日こそ怒りの日(反復箇所)
8.オーエンの詩
9.Lacrimosa dies illaその日こそ涙の日
10.オーエンの詩
11.Qua resurget ex favillaそれは灰の中からよみがえる日
12. オーエンの詩
13.Iudicandus homo reus罪人が裁きを受けるの日です
14.
オーエンの詩
15.Pie Iesu Domineいつくしみ深い主イエスよ”   
合唱
バリトン独唱
ソプラノ独唱と小合唱
テノール、バリトン独唱
バリトン独唱と合唱
バリトン独唱
合唱
テノール独唱
ソプラノ独唱と合唱
テノール独唱
ソプラノ独唱と合唱
テノール独唱
ソプラノ独唱と合唱
テノール独唱
合唱
第3曲:奉納唱Offertorium
1.Domine Iesu Christe主イエス・キリストよ”  
2.オーエンの詩 テノール、バリトン独唱
3.Hostias et precesいけにえと祈りを
少年合唱、合唱
テノール、バリトン独唱
少年合唱、合唱
第4曲:サンクトゥスSanctus(感謝の賛歌)
1.Sanctus聖なるかな
2.オーエンの詩
ソプラノ独唱と合唱
バリトン独唱
第5曲: アニュス・デイAgnus Dei(平和の賛歌)
1.オーエンの詩
2.Agnus Dei神の子羊
3.オーエンの詩
4.Agnus Dei神の子羊
5.オーエンの詩
6.Agnus Dei神の子羊
7.オーエンの詩
8.Dona eis requiem sempiternam
              “かれらにとわのやすらぎを与えたまえ
9.Dona nobis pacem“われらに平安を与えたまえ”(附加されたラテン語)
テノール独唱
合唱
テノール独唱
合唱
テノール独唱
合唱
テノール独唱
合唱

テノール独唱
第6曲:リベラ・メLibera me
1.Libera me私をお救い下さい
2.オーエンの詩
3.In paradisum楽園に
4.Requiescant in pace.“すべての死者が平安にやすらぐように”
   (旧式文:司祭による結びの語句
  Amen“アーメン”(上句に続いて会衆一同が応える語句)
合唱、ソプラノ独唱
テノール、バリトン独唱
少年合唱、ソプラノ独唱、合唱
合唱




参考ディスク

DVD UCBG-9024ブリテン「戦争レクイエム」発売2003/11/1

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮

北ドイツ放送交響楽団

モンテヴェルディ合唱団
テルツ少年合唱団
北ドイツ放送合唱団

ルーバ・オルゴナソーヴァ(S)
アンソニー・ロルフ・ジョンソン(T)
ボイエ・スコーフス(Br)

収録:1992/8リューベック、聖マリア教会

2004-2011


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