制作者:国本静三

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旋法と教会旋法



 「旋法mode」は音楽を形成する音組織の一つと考える。音組織とは音楽を形成する骨組みである。つまり伝統音楽や民族音楽における旋法(または民族音階という場合もある ex.日本民謡における陽音階や陰音階)、中世のグレゴリオ聖歌ゴシックの多声音楽ルネサンスの多声音楽における教会旋法church mode調性音楽における音階長調短調無調音楽における音列(ex.12音音楽の12音列etc.)等を音組織と筆者は言っている。

 「旋法」という概念は、時間的にも空間的にもたいへん広い内容と多くの種類を含んでいる。それらの各々の多様な音組織を一つの「旋法」という概念に入れて考えることは異論もあろう。それでも敢えてこのような旋法概念によって調性以前の音楽、伝統的な民族音楽などを考察することは、一つの有用な方法論となると考える者である。
 また、具体的に例をあげれば次のようなものが「旋法」の中に含まれる。地球上のすべての民族が固有にもっている古来の伝統音楽や民族音楽などの民族的旋法(または民族音階)のことである。これらは独自のものが多く、その起源や時代や特徴も様々である。「旋法」という一つの枠に入れることも躊躇される。これらの旋法の基礎的音列を「音階」という場合もあるが、筆者は敢えてこのような例は「旋法mode」と呼びたい。例えば日本における伝統音楽、雅楽、邦楽器のための古典的作品、伝統的な民謡などはそれぞれ独自の音列をもっている。こうした音組織の音列をすべて含めて「旋法」と呼ぶのがふさわしいと考える。筆者は「音階scale」は厳密には調性音楽の範囲の中で使われるべき語であると考えている。どうであろうか。調性tonalityの対語として「旋法」を音組織の体系から捉えると旋法性modalityということになろう。

 西洋音楽にとって重要なな旋法は、教会旋法church modeである。教会旋法は中世からルネサンスの音楽の音組織で、中世・ロマネスクグレゴリオ聖歌の時代、中世・ゴシック多声音楽の時代、そしてルネサンス多声音楽へと移り変わるにつれて、その理論と方法論は大きく変化していく。また教会旋法は西洋音楽史において調性が確立される以前の音組織の一つであった。そしてこの教会旋法が調性音楽における長調短調に変身を遂げていくのである。




[西洋音楽の時代区分と音組織]

時代 音組織
中世    ( 800-1400)
教会旋法 church mode
  ロマネスク(c.800-c.1200)
  ゴシック(c.1200-c.1400)
ルネサンス (1400-1600)
バロック  (1600-1750) 調性 tonality
古典派   (1750-1820)
ロマン派  (1820-1900)
20世紀  (1900-2000) 無調性 atonality



1998-2007


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