ミューズはミュージックのはじまり
みなさん、
ギリシャ神話のことよくご存知でしょうか? これはおろそかにできません。西洋文化思想を理解するためにはギリシャ神話はキリスト教思想とともに大切なポイントです。賢者に必須のコンセプトであり、これに熟知することは知者であることを意味しておりまする
(^^)。この神話は単なるお話ではなく、なが〜い歴史の中でつちかわれ、人間の真実の世界を映し出した物語なのであります。な、な〜んと盗みあり、殺人あり、しかも親や兄弟殺しまで出てきます。純愛や友愛、恋あり、それも浮気、不倫、同性愛、近親相姦、なんと賄賂、収賄、リストラまでどこかの国で起こっていることなどすべて! 今もテレビや週刊誌に登場するようなことはすべてこの神話に満載されておりま〜す。つ、つまり、ギリシャ古代にあった人間のありのままの姿を表現しておるのです。昔も今もかわらないのでありま〜す。そ、そのためか芸術の題材や学問思想を表すのに重要な表象となり、コ、コンセプトともなっていきました〜ガヤ。
ほ、
本論に入りましょう。いつのおん時かは知らねどもギリシャ神話は神々のお話。神々で一番偉いお方こそ父神
ゼウス1)なのです。彼には妻があるが、恋人、愛人らとの浮いた話は切れもせず(まことに困ったことだッス)。そのお相手の女神たちとの間にあちこちに多くの子供を生ませたッス。そうした中のひとり、女神
ムネモシュネーとの間に9人の子をもうけただよ。これがまた目もさめるような美少女たちで、歌舞音曲を巧みにあやつり、ぱっとぱらりとピーヒャラピーヒャラと歌うやら舞うやらでゼウスを讃えたので、ゼウスはたいへんな喜びようだったと伝えられております、ハイ。これぞ神をたたえる音楽、教会音楽、つまり典礼音楽のルーツの1つでッショウ。その7人の娘の名は
ムーサ、英語では
ミューズと申します。彼女たちこそCCガールズ
2)の元祖、要するに古くはグループサウンズ、今のロ、ロックバンドなどの本家だという人もいますがタ、タシカではありません、ハイ。彼女たち
ムーサがゼウスを賛美する行為をば
ムーシケギリシャ語といわれ、これがムジカラテン語・イタリア語、ミュージック英語などという語となっていきました。つまり音楽のことですね。それでね、
ムーサ=
ミューズは音楽、学芸、文芸などの守護神とされ、あつく多くの人に信奉され今日に至っておりま〜すっ!
[注]
1) ギリシャ神話の最高神。オリンポス十二神の一。クロノスとレアの末子。妻は姉でもあるヘラ。父クロノスたちのティタン神族を征服した後、世界の統治を兄弟のポセイドン、ハデスとで分割し、天界の統治権を得た。手に王笏(おうじゃく)・雷霆(らいてい)を持ち、鷲を従えた像として描き出されることが多い。ローマ神話のユピテル(=ジュピター)。
2) これを記した当時(1996年)の人気アイドル、ヴォーカル・グループだった。
「ゼウスとミューズたち」 ベルリン、旧博物館Altes Museum所蔵
さて、まだまだ続きます。
ミューズの一人
カリオペと
アポロは結婚し、二人の間にまた玉のような男の子
オルフェオが生まれいでました。親の血は争えないものでこれがまた音楽に巧みで、森の動物もゴロニャン状態にするのみか、トラキヤの全女性の心をつかんでしまったのであります。まもなくしてこれまた美しい
エウリディーチェと結婚しまするが、婚宴たけなわのまっ最中、なんということでッショウ。トラキア全女性の怨念のたたりでッショウか。このうるわしき花嫁はあろうことに毒蛇にかまれて死んでし、しまったのです。そこで嘆き哀しんだオルフェオは死の国に下り、妻を地上にかえすよう死の国の神にジカ談判に出たのでありました。
「音楽で動物たちを楽しますオルフェオ」
しかしてその願いが聞き入れられまするが、1つの条件が提出されました。その条件とはね、いいですか、地上に戻るまで妻の顔を一瞬たりとも見ることはまかりならんとね。だが、だがですよ、会いたい見たさは世のならわし。道行くうちに禁じられれば犯したくなるのが世の人情、ああ、ついに、ついに、いとしさカワイサあまって妻の顔を見てしまったのです。ああ〜、はしたなきは忍耐のなさ、我慢なき人はわざわいなるかな。ついに、ついに、これにて二人は永久の別れとなってしまいました。
コローフランス(1796-1875)作「エウリディーチェを死の国から連れ出すオルフェオ」
失意のどん底のオルフェオはかくしてトラキアに戻りました。あなはしたなきことでしょうか。そ、それは反対に狂喜、歓喜したのはトラキアの女性たちのことです! チャンス到来とばかりにおめかしオシャレに身を包んで四方八方からオルフェオにいい寄り、攻めまくりまする。が、知らぬ存ぜぬのオルフェオさん。知らぬがホトケのオトミさん。知らぬが半兵衛をきめこんで、完全無視の知らん顔。おまけにさらにですよ、トラキアの女性たちを愚弄、狼藉の満載、漫才のてんこ盛り。これには頭がチョチョ切れたのしょうね。ああ〜、あな恐ろしきはトラキアの女たち。な、なんとナント条約、いや違いました。なんとオルフェオを殺害してしまったのです。な、なんともかんともいたましき、おぞましきことでした。しかもその上にですよ、息せぬオルフェオの体をば、これでは足らじとスライスきざみのバラバラ事件。なんと、なんと、トラキアの野にばらまいてしまったのです。ああ〜、あなおそろしや! でもでもこの世はまことに不思議なことの連続、神秘がかさなります。万事はよきことへと変わるのでございま〜す。こ、このばらまき、ハナサカじじいまき、ハナサキガニ。かの塩マキ名人水戸泉関
3)もびっくりの大まきまき、大まきガミは世にもくすしきこととなりました。これより音楽は大地にばらまかれた存在、この大地に根づく、息づく存在となりました。こ、これが今日に至っておりま〜す。
[注]
3) これを記した1996年当時、立ちあいの際に豪快な塩まきをした人気力士であった。2002年12月1日53部屋目の錦戸部屋を開設し、錦戸親方となった。
デューラードイツ(1471-1528)作「トラキアの女性たちに殺害されるオルフェオ」
つまりですよ、アポロとミューズの子オルフェオは音楽に関わる神と女神の一人っ子だったのです。これは音楽というものがこの世界の大地とふか〜く、深く結びついたものであるということを世に知らしめ、教えておりまする。つ、つまりですよ、ここが肝心。こ、これはギリシャ古代の重要な音楽論、音楽美学の根幹を示すものでありま〜す。そしてこの考えはギリシヤ哲学とともに西洋思想の中に深く、ふか〜くしみこんで今日に至っておりまする、ハイ。これがおそまつながらミュージック
(日本語では音楽)の語源についての講釈でございま〜すっ! そ、それでは今日はこれにて失礼させていただきます。
(と、ここまで一気に話し終え、「み、水を下さい」と筆者。ドンと置かれてゴクッと一気に飲みほして)、じ、次回は「
オペラ誕生」のお話となります。
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[附記]:[熱烈匿名ファンとの対談](“xxコミック12号”より)
「センセ、おもしろい昔話でした」
「ハァ〜?」
「珍文体のお話を通して美人善人は薄命という教訓をおっしゃりたかったのですわね」
「アノネ、オンガ‥‥‥」
「いやですわ、テレちゃって。巧みに古今の古典をなどを引用、つぎはぎをなさって愚文、滑稽文を装いながら、実はキリスト教的人生訓をおっしゃりたいのですのね〜」
「ナニヲあんた、チ、チガイ‥‥‥」
「次はカチカチ山をぜひお願いしますわ。やはり勧善懲悪のお話がいちばんですもの。ギリシャ神話はあまりに不道徳で非キリスト教的ですわ」
「ア、アウ〜オンガク‥‥‥」
(編集者あわてて「じ、時間です。これで‥‥‥」)
1996-2011