制作者:国本静三

音楽サロン 目次 ロマン派目次 作曲家別作品表 時代別作品表



「ロマン派」の概念



 ロマン派romanticismは、中世(800-1400)のロマネスクromanesque(800-1200)への憧れを意味する。ロマネスクを大胆で自由な表現をする時代と捉えた(我が国における偏った歴史観では、西洋中世を暗黒時代とみる。このような考えは現在のヨーロッパでは主流ではない。明治時代に西洋の学問が取り入れられた際、当時のひとつの歴史観が我が国に伝えられ、未だにその残照を残しているようである)
 ロマネスクは特に建築、美術の様式に顕著に表れた。筆者の主観であるが、多分に小アジア文化の影響をも受けて、興味深い混合、合体を示し、さらに新しい要素を作り出していった。それは14世紀までは西ヨーロッパよりも東ローマ帝国、すなわちビザンティン文化の方がすでに独自の様式をもち、かつその文明度も高かった。そしてさらにアラブ文化の影響を受けて興味深い様式を示している、と思う。大胆な人物、動物の表現や様式化された動植物を題材にした表現は、マンガティックでさえある。音楽に例を取るとすれば、グレゴリオ聖歌があげられるであろう。

 ロマンromanは古代ローマ帝国時代のラテン語を話すローマ人を指す(ラテン人とかラテン民族ともいう)ローマ人は地中海の廻りの地域を制覇し、血族的にも言語的にもそれれらの地域と同化していった。ロマネスクの時代になるとそれぞれの地でラテン語と混血した諸言語ロマンス語という=イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語etc.)を生み、また独特のロマネスク文化を創り出していった。この時より民族語としてのラテン語は死語となった。学術用語、ローマ・カトリック教会の公用語として今も残る。ロマン派romanticismロマンromanを語源としている。
 ロマン派思想は音楽に先んじてドイツ文学から生み出され、19世紀の精神領域、例えば宗教、哲学、芸術・・・などを含む一大精神運動として展開していく。古典派に見られた啓蒙思想の理性万能や普遍化に反発し、主観と自由と個性の価値を評価する。

ロマン派の画家ドラクロアDelacroixフランス(1798-1863)“ゲネサレト湖のキリスト”アメリカ、ニューヨーク、メトロポリタン美術館所蔵 この絵の題材はマルコ4・35-41で記述された嵐をしずめるイエスの場面である。スミレ色、暗い青、血のような赤の色彩の斑点の中での薄い淡黄色の後光をもつイエスの姿とエメラルド色の荒れ狂う海が描かれている。


1998-2007

音楽サロン表紙 目次 ロマン派目次 作曲家別作品表 時代別作品表