別 紙記録者 山口県 長友義彦
【シンポジウム】 テーマ:「情報化に対応する学校教育の在り方」
−「生きる力」を育てる情報教育をめざして−
コーディネーター 富山大学教授 山極 隆
シンポジスト 静岡大学教授 永野 和男
建築家 鈴木 敏恵
東京都台東区黒門小学校長 松野 康子
山極:これからの情報化の進展に教育はどのように寄与するのか。
松野:都市型インテリジェントスクール(台東区立上野小学校)の建設で学校はどのように変わっ たか。
- @生涯学習の拠点としていかに効率的に使うか
4つの複合施設(小学校,幼稚臥社会教育施設,プールの地下1階〜4階まで)であるので, 幼稚園児から高齢者までが集まる施設となる。子供は大人をみて将来の夢を持ち,大人は日 常的に学校をみることができる。また社会教育施設では人材を確保することができる。
- A学習生活の個性化,個別化を図る
学年フロアーを利用し,すべての学習材が手に届くところにある。パソコンも同様である。 学校全体が学習,創造,表現の場である。「学校とは,好きなことに出会える場であり,好 きなことをやり抜ける場である。」という考えから,身近に学習材をおき選択できるように なっている。これは,生涯学主の基礎を作るものである。
- B高度情報機能を持ち合わせる
パソコン31台を地域と共有している。10台のパソコンを学年フロアーに分散いつでも使え るようにしている。学年当初にパソコンの使い方についての基確指導を行い,全員にフロッ ピーディスクを持たせている。地域のボランティアに協力を求め,クラブ活動などパソコン の操作について教えてもらっている。C人間的な環境,生活環境の工夫ギャラリーやせせら ぎを作り生活に潤いを。地域の公園と一体化した学校づくり。以上の4つの視点から学校づく りを行う。
- その効果として以下のように感じられる。
- ア 子供に対して,地域に対して,そして未来に対して開かれた学校になった。
- イ 教師が変わった。個に応じた教育を支援し,問題解決学習に取り組むようになった。
- ウ 学校の役割の基本を考える。何を学校でやらなければならないか。それは学ぶ心,学ぶ 力,コミュニケーシーョンの能力をつけることであろう。「学校とは,好きなことに出 会える場であり,好きなことをやり抜ける場である。」
鈴木:21世紀はメディアと感性の時代となるのではないか。明治以来,学校(教室)は変わらない。 だから教室から変わろう。そのために「黒板テレビ」を使って。マルチメディアの日常化を図 らなければならない。また,「命ある素材」を大切にしなければならない。なぜなら,本物の にふれ,命のぬくもりを知ることは重要だからである。したがって環境は,知性あるものと感 性あるものの融合でなければならない。また,自分を見つめる空間も必要である。
永野:学校を変えるには,設備,制度,意識が変わらなくてはならない。制度は改革するのではな く解釈。を変える必要がある。教師は,自己意識を変える必要がある。
鈴木:起爆剤となる教師が求められている。
松野:伝統と文化,学校間の格差などいろいろな問題点は確かにある。しかし「教育は人なり」の 言葉にあるように,変えられるところから変えていくことが必要。黒門小学校では,まず玄 関を変えた。ただ,靴を脱ぎ著するだけの場所でなく,ふれあいの場,コミュニケーション の場にしていきたい。
また,第3土曜日を「ふれあいサタデー」と銘打ち,授業の公開,4校時を保護者のフリート
ークつまり井戸端会議の場として提供した。設備が無くとも,意識,制度の改革はどの学校 でもできる。
山極:情報通信ネットワークの学校改善について
永野:近い将来,全小中学校がインターネットで結ばれることは間違いないだろう。
- 1995年 100校プロジェクト(通産省)約200〜300校
- コネットプラン(NTT,1000校) 約2000〜3000校
- 1997年 25地域の指定(1地域を中心に400のHUB化)地域により整備
4年後には100センターの指定。これにより20000〜40000校つまり全国の学校が整備 される見通し。すでに文教予算の枠を越えてインフラとなる。
しかし「船には乗ったものの,どっちへ進むか分からない」事態になるおそれがある。そこで, 情報教育による新しい教育観が必要となる。
- @情報的なものの見方・考え方を教科の中に位置づける。
- A情報活用に実践力(情報と見抜く日,処理する知恵)を養う。自らの錬題解決のために情報 の収集,編集,伝達を人と人とのコミュニケーションを軸として学習を行う。従来の教科の考 え方でなく,線題に対してどんな手段で解決するか,それを評価する。
この2つの視点を加味した総合的な学習の場を位置づけなければならない。達成されたこと が評価されるのではなく,過程が評価せれなくてはならない・(今の体制では無理がある。)学 校は,学習場面を設定すること,学習環境を整えることが大きな役割となる。そして現場ですべ きことは,
ア 学校内のネットワーク化,情報環境の開放印刷物の共有化もできるし,Webで自由に みられる。
- イ 情報活用のための学習課題凸国民皆卒論
- ウ 教師のネットワーク・同じ辣題を抱える教師の情報交換,情報の共有教員研修や事務連 絡の改善
- エ 地域との連絡,家庭から学校が見える。
このようにネットワークにより学校が見える仕組みができあがってくると,学校は変わらざ るを得ない・学校が見えることを地域による管理とマイナス方向に考えるのではなく,プラス方 向で考えなくてはならないであろう。
【質疑応答】
Q学校をオープンにした場合の諸問題について
A(松野)機械警備であるので,当然諸問題は多くなる・オープン化に伴うリスクは大きいがそれ以 上にメリットがある。試行錨誤しながら,諸問題を解決していく姿勢で。
Q教員の意識はどうやったら変わるか
A(鈴木)人の気持ちは言われて変わるものではない・やっていることをみんなにアピールしなくて
- (永野)外から意識は変わらない・内から変わるもの・本人に判断を与える情報を提供する。必要 となれば使うようになる・たとえばワープロ・従って,教えてあげようと働きかける必要 はない。
Q情報を受け止めるだけで精一杯であるが。
A(永野)情報に振り回される・多いと処理できない・処理するには限られた情報がよい。これから は何に情報を絞るかという意志決定,焦点を当てて目をつぶるか。情報を選択する能力が 必要になる。
Q共同学習のあり方やネットワーク学習のあり方について
A(鈴木)テレミーティングなど文字だけの交流でなく,FACETOFACEになるように。映像の持つ力 をビジュアルにうったえる。そのような環境づくりが必要。
- (松野)ふれあい無くしては情報教育は成り立たない。本物感覚,直抜体験,コミニケーション が必要である。子供たちには,選び方の学習が必要である・それは紙一枚のの選択から姑 まる。これが課題を選ぶことになり,選んだことへの自信につながる・コミニケーション は子供の遊びから生まれる・遊びほど子供が主体的に活動しているものはない・また,教 師の多忙化に備え人的サポート体制,関係機関のサポート体制が必要である。
- (永野)今の情報化社会の様子は,ちょうど江戸時代末期の様相である。
- 【公開授業】 《8/22(金):午後》
記録者 徳島県 米田直紀
授業実践と協議
富山大学教授 山 極 隆
札幌市立豊水小学校教諭 羽 川 希世志
〃 山 田 一 郎
〃 日 戸 靖 彦
研修内容
- 1 公開授業「授業実践と協議」・・・札幌市−つくば市−香川
調べ学習をメディアミックスを利用して行うということで,自作ソ フト・HPを自宅で落としておいて,校内のHDに入れておく,本 を選定しておく等,多様な活動を展開できるよう教師がかなり綿密 かつ周到な準備をしている。児童はその流れにうまくのり,情報活 用能力が鍛えられるのであろう活動をしていた。本来行われていた 社会科学習の進め方にコンピュータが入ってきたということで,双 方をたてようとすると巨大で重苦しい単元になってしまう危惧も上 がっていた。