スラロームのルール
◆基本
1.基本的ルール

SL(スラローム:回転競技)に限らず、アルペン競技においては
他の誰よりも速いタイムでゴールに到達する事が、大前提になっています。

この際、ポールによって作られたゲート(旗門)を
”青のポールのゲート”→”赤のポールのゲート”以下→青→赤・・・
と順番に通過していかなければいけません。
通過できなかった場合は「旗門不通過」となり失格です。
また片足だけでも不通過となれば同様失格です。
2.スピード系(DH、SGS)との違い

技術系種目(GS、SL)はスピード系の一発勝負と違い、2本滑った合計タイムによって争われます。
そのためスピード系よりも距離が短く、ゲートの間隔も狭くなっています。
”スピード”よりも”技術(テクニック)”が問われるわけです。

ですからスピード系・技術系ともに出場(こういう選手を”オールラウンダー”と言います)して、
結果を残す事は非常に困難です。
しかし、結果を残す事ができれば、総合ポイント争いにおいて非常に有利になります。
3.GS(ジャイアントスラローム:大回転)との違い

SLはGSよりも距離が短く、ゲート数も多く、最もテクニックを問われます。
また、近年ではGSのスピードが上がるようなマテリアル(道具)の進歩が見られ、
スピード系の選手でもGSに出場して勝利するようになってきています。
(ヘルマン・マイヤーなどが有名です)
4.出場資格

規定のFISポイントまたは、
WCポイント(ワールドカップポイント)を有している選手50〜80人が出場できます。


W杯レースに出場し、2本完走すればWCポイントがもらえます。
完走できなかった選手は、WCポイントは一切得られません。
WCポイントを得られなかった選手は、次回のW杯レースに出場するために、
カテゴリが下のFISレースに出場してFISポイントを稼がなければなりません。

SLのポイント上位15名を”第1シード”と呼び、上位16〜30名を”第2シード”と呼びます。

◆レースの流れ
1.前夜祭(レース前日)

いわゆる『ウェルカムパーティー』です。
出場選手の紹介や主催者の挨拶等行われるわけですが、
最も大事なのはレース本番の滑走順序を決めるイベントです。


第1シードの15名はこのとき、くじを引いて当日のBIBナンバー(ゼッケン番号)をもらうのです。
第2シード以降はポイント順に滑走するので、
1〜15番目に滑走する事が非常に大きな意味があることがわかります。
2.ポールセット(レース当日)

1本目のゲートのセットを、あらかじめ決められた国のコーチがセットします。

開催国のコーチ以外がセットするのが原則です。
ですから日本以外の国の開催であれば、日本のコーチがセットする事もあります。
3.1本目のインスペクション

選手が上からゆっくりと滑り降りながら、コース視察を行います。

雪面の状況や斜面の変化、ゲートの設定などを細かく見て、
自分が滑るときの作戦を立てるのです。
これは時間が決まっているので、のんびり見ているわけにはいきません。
4.1本目スタート!

前夜祭で決められた順番でスタートします。

多くの選手が滑る事によって、コースはえぐられ、荒れてきます。
そうなると、簡単に言えばコース上に轍(わだち)ができるため
インスペクションどおりに滑る事が困難になってきます。

故に早い順番で滑る選手の方が有利になるのです。
5.1本目終了

タイムが早いほうから上位30名が2本目を滑る事ができます。

1本目で途中棄権や旗門不通過、もしくはタイムが31番目以降の選手は失格となります。
6.2本目のポールセット

1本目とは別の国のコーチがポールをセットします。
通常は1本目のポールセット時に2本目のポールもセットしておきます。
7.2本目のインスペクション

1本目と同様です。
8.2本目スタート!

2本目の滑走順序は、1本目の30位の選手から滑ります。
つまりタイムの遅かった順に滑るのです。


1本目トップタイムだった選手は最後(30番目)に滑るのでその分不利になります。
9.合計タイムにより勝者決定!!

2本の合計タイムの1番速い選手が勝者です。
2本とも完走すればWCポイントが得られます。

◆観戦のポイント
TV中継の場合、コース設定が表示されるかアナウンサーが説明をします。
以下の3点をチェックしましょう。
1.コースの標高差
スタートとゴールの標高差が大きい場合は以下の2ポイントがあります。

気温差
標高差があるということは、スタートとゴールの気温差が大きいということです。
気温が高いとスキーの滑走性が悪くなります。

ゴール地点の気温の方が高い場合・・・
コース前半で、できるだけスピードを落とさないようにしなければタイムが遅くなります。
ですから勝負のポイントは前半にあるわけです。

ゴール地点の気温の方が低い場合は・・・
スタート地点の方が晴れていて、ゴール地点の方が曇っている事が考えられ、
勝負のポイントはゴール付近になります。


斜面変化

標高差が大きいのですから、必ずコースのどこかに急斜面があることになります。
(W杯レースでは上から下まで平均的な斜度のコースはまずありません。)
斜面の変わり目での対応が勝負に大きく影響します。
2.ポールセッターは誰か?

例えば日本のコーチがセットをする場合。
普段日本チームが練習をしているときと同じセットで組みます。
当然、日本人選手は有利になります。


つまり、ポールセットをした人の国の選手にアドバンテージがあるわけです。
3.ポールの設定

ストレートゲートが中心であればタイム差が付きにくく、
オープンゲートが中心であればタイム差が付きやすい展開となります。
(下記表に図示しました)

ストレート系の場合、より直線的に通ります
(故にタイムが速くなります)
オープン系の場合、大きく左右に振られます
(故にタイムが遅くなります)
TV中継時の「ことば」
解説はたいてい岡部哲也さんだと思います。速い・遅いはタイムを見ればわかりますが、
結果を見る前から、岡部さんのコメントから推し量る事ができます。
1.「スキーが下を向いてますね。」

カービングスキーにより、角づけができていれば板を横に向けなくてもターンがしやすくなりました。
よって、スキー板がゴール方向へ直線的に向いて滑っている選手は、
速いタイムが期待できるため、このようなコメントが出ます。
2.「あばれてますね。」

何か暴力沙汰を起こしているわけではなく、スキー板がバタバタしている状態を言います。

スキー板と雪面のコンタクト(接地面積)が大きいほど摩擦が大きくなり、スピードが上がります。
ですからスキーが暴れて、板の裏が見えるようだとタイムは期待できません。

ターンの時に雪煙が上がりすぎるのも板が暴れている場合です。
3.「肩のラインが平行です。」

上体は一定の形で、
下半身(特にひざから下)で板をコントロールしている選手はタイムが期待できます。
4.「カタハンです。」

「カタハン」とは、字をあてれば「片反」でしょうか?

片足が旗門不通過だった場合に言います。
ちなみに、転倒しても失格ではありません。旗門をちゃんと通ればいいのです。
5.「悪くはないですよ。」

岡部さんのよく知らない若い選手が、よい滑りをしていると言うコメント。
たいがいは遅かったりします。
(笑)
6.「フルアタックかけてますよ。」

レースでは限界ギリギリで滑る場合は少なく、80〜90%くらいの力で滑るのが普通ですが、
稀にリスクの高いモーレツな滑りをする人がいます。
これを”フルアタック”と言います。

そういう選手は見てすぐわかります。(今にも転びそうだから)
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