-- 9 september 2006

夜明けの国道6号線。


09.25

茨城県のローカル私鉄を撮りに行く



 運転手はその昔、鉄道ファンでした。全国の鉄道に乗りにでかけ、写真を撮っていたのです。

 最近、鉄道写真を撮ることを復活させた運転手は、手始めに、茨城県にある茨城交通と鹿島鉄道

という二つの私鉄の写真を撮りに行くことにしました。

 地図を見ると、茨城交通は水戸市の北、ひたちなか市から出ています。ポンポの足では五時間は

かかりそう。朝出ても、目的地に着くのはお昼になってしまいます。そこで、夜のうちに出発する

ことにしました。

<珍しいですな。一人ででかけるなんて>

 久しぶりだね、茶色オオカミくん。

<ミチコさんは連れて行かないので?>

 写真を撮るのは一人の作業だからね。ミチコさんがいると撮りづらいのさ。

<さいきん、夫婦仲がうまくいってないとか>

 そんなことないって……。

「じゃあねー」と嬉しそうなミチコさんに玄関先で見送られ、運転手は夜九時過ぎ家を出ました。


 水戸方面へは国道6号線。埼玉から東京を通らずに茨城に直通する道はないので、運転手は環七

をぐるりと回って青戸から国道6号に入りました。日曜日の夜なので、トラックも少なく道は空い

ています。ポンポは快調に走りました。

 途中で何度か休憩を入れながら、水戸市の手前のコンビニの駐車場にポンポを停め、ポンポの

中で仮眠。SOCのツーリングで教えてもらったように、座席の背もたれを後ろに倒すと、気持ち

よく寝られます。

<九州へ行ったときには、ヘンなポジションで寝ていましたな>

 うるさいな。背もたれが後ろに倒れるってのを知らなかったんだ。

 四時に起きようと思っていたのに、結局起きたのは朝の五時。すでに空が明るくなっています。

<よく寝られたようで>

 おはよう。

国道6号線を走る。

阿字ケ浦近くの海で。台風の影響で波が高め。

 茨城交通阿字ケ浦駅


 運転手は早朝の水戸を走り抜け、ひたちなか市に入りました。

 那珂湊へ向かう道を走ると、細い線路が見えてきました。運転手は海沿いの道を茨城交通の

終点、阿字ケ浦を目指します。

 朝のうちは曇っていた空が次第に晴れてきました。

 運転手は勘をたよりに線路に沿って細い道を走り抜け、撮影ポイントを探します。こういうと

き、ポンポの小さな体はとても役に立ちます。道の端っこに停めるのも苦になりません。

 何カ所かで茨城交通のディーゼルカーを撮ると、午後は鹿島鉄道の写真を撮ることにしました。

 那珂川の河口にかかる海門橋を渡って、国道51号線を南下。途中の大洗海岸でポンポを停めて

しばし海を眺めます。

<こういうときに一人だと寂しいですね>

 キミがいるじゃないか。

 一人のドライブにはいいこともつまらないこともあります。

大洗海岸で、ぼんやりと。いいお天気です。

国道51号線を南下中。大洗付近は道も広くて走りやすい。

鹿島鉄道の鉾田駅。


 途中から県道にそれて、鹿島鉄道の終点、鉾田を目指しました。

 鉾田市は小さな町ですが、鹿島鉄道の駅は町の中心部から少し外れたところにありました。

 茨城交通も鹿島鉄道も、地方私鉄の宿命ともいえる乗客減少という問題を抱えています。

 それでも鹿島鉄道はいろんなイベントを企画するなど経営努力を続けていますが、地方ではクル

マが家庭の必需品。日中の乗客は高齢者がほとんどのようです。

<これじゃあ、赤字は当然ですなあ>

 茶色オオカミがあきれたように言いました。

 でも、がんばって走らせてほしいな。

<鉄道を走らせるにははコストがかかるんじゃないですか>

 でも、道路を無秩序に建設するよりははるかに安上がりだよ。それに環境にだって優しい。

 鉄道ファンの若干の感傷とともに、鹿島鉄道のレールバスが鉾田駅を発車していきました。

 鹿島鉄道でも、撮影ポイント探しに、奔走。地元のクルマしか走らないような細い道をポンポが

とことこ走ります。

鹿島鉄道とポンポ。(行方市玉造町付近)

 コスモスに囲まれた浜駅。


 途中の浜(はま)という駅では、色とりどりのコスモスが咲いていました。駅は無人ですが、

駅の敷地には無料の駐車場が設けられています。

<どうぞご自由にご利用ください、ですか>

 茶色オオカミが立看板を読みました。

 パーク&ライドだね。都会の駅近くの駐車場で駐車料金を取られるよりは、電車代のほうが安上

がりだろう。 

 経営上は厳しいのでしょうが、地方私鉄は地域のシンボル的存在でもあります。いつまでも走っ

てもらいたいものです。

 夕暮れが近づいてきました。コスモスの写真を撮り続ける運転手に茶色オオカミが言いました。

<なかなか上手く写真が撮れましたね>

 おかげさまで。

<お帰りは『上』ですか>

 いや、『下』だよ。 

 かくして国道6号線を、ひたすら東京に向かって走り続けるポンポと運転手なのでした。 ■





 

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