-- 10 october 2006

京浜急行電車とポンポ。


10.08

海辺を走る電車を撮りに行く



 七日の夜は美しい月が空に浮かんで、まさに名月でした。

 満月を見ると運転手は軽く興奮してしまうようです。なぜでしょうか。

 運転手は月に誘われるようにポンポででかけました。

<こんばんは。月が好きな茶色オオカミです>

 ども。

<今夜は月がきれいですなあ(しみじみ)>

 なんだ、茶色オオカミくんも出かけるのかい?

<こりゃまたずいぶんなご挨拶で。運転手さんが事故を起こさないようにする監視役ですよ」

 僕は大丈夫だと思うがなあ。

<大丈夫、その一言が事故のもと>

 縁起でもないこと言うね。

<満月の日には重大事故が起きやすくなるそうですよ>

 満月の下で。


 とはいうものの、やっぱり日付が変わってから出かけることにしました。

 夜のうちに走れば道は空いてるし、ガソリンの節約にもなるってもんです。

 今回の目的地は三浦半島。まずは環八をまわって国道246号線から467号線を経由して江ノ島に向かうことに

しました。

 深夜一時近くになると、走っているクルマもほとんどありません。信号以外では止まることもなく、ポンポは

気持ちよく走り続けます。あっと言う間に川崎、横浜をかすめて、大和市から藤沢、江ノ島方面へ向かう467号線

に入りました。埼玉の自宅を出てから、三時間と経っていません。

 ポンポを運転していて楽しいのはこういうときです。いや、楽しいというのはちょっと違いますね。

 一種の瞑想状態といいますか(ほんとに瞑想してるわけじゃないです)、気持ちが落ち着くのです。運転している

ときには、ほとんど何も考えていないかのようです。エンジンと車体の振動を聞きながら、前方から流れてくる道を

見続けているのが好きなのです。

 途中、コンビニの駐車場で仮眠してから、藤沢市街を抜け、夜明けの七里ケ浜に入りました。

 振り向けば、西の空に白くなった月がぼんやりと浮かんでいます。

 夜明けの月。右には江ノ電の線路があります。

 

早朝はさすがにがらがら状態の134号線七里ケ浜。

月と富士とポンポ! 富士山が冠雪してると、また違う雰囲気になるかな。

 茶色オオカミくん。なかなか素敵な眺めじゃないか。

 月の下、海を隔てて、富士山のシルエットが大きく見えます。(前日に初冠雪だったようです) そこにポンポが

入ると、一幅の名画のようだ、と運転手は一人で満足。

<まるで北斎のようですな>

 それはちょっと違うような気がするけどね。

 江ノ電の写真を少し撮ってから、三浦半島を縦断して三浦海岸を目指すことにしました。

 海の近くを走る京浜急行の赤い電車を撮ろうと思ったのです。

 葉山付近の道も午前中はさすがに空いていました。青い海には早くもウィンドサーフィンのカラフルなセールが

浮かんでいます。逗子、横須賀、久里浜と走って、三浦海岸でロケハン。電車と海がセットで見える場所を探すのに

苦労します。

<またまたー、強引に狭い道に入るのはやめてくださいよ>

 茶色オオカミがうんざりしたように言いました。

 国道から外れて、狭い路地道をポンポは走りまわります。茶色オオカミが汗をふきながら、

<いやあ、動き回って暑くなりました>

 まったく。

 小高い丘の中腹に立てば、遠くから運動会をやってるらしい歓声やかけっこの音楽が、風に乗って聞こえて

きます。遠くには光る海。

<湘南はいいところですなあ>

 まったく。

 街を抜け丘へと続く道を登る……

丘は台地になっていて、こんなふうに開けています。

こんなところに迷い込んでしまいました……

 京浜急行の電車と海


再び七里ケ浜に戻ったらがっちり渋滞してます。

 江ノ電と海


 午後は日没まで江ノ電の写真を撮り続けた運転手。茶色オオカミは飽きてしまって昼寝を始めました。

 朝は空いていた国道134号線も、いつものようにクルマが数珠つなぎになっています。

 じゃあ、そろそろ帰ろうか茶色オオカミくん。

<ふあーい。ああ、よく寝た、と。……ん? えらく渋滞してるじゃないですか!>

 何時間かかるか分からないけど、朝来た道を引き返そうか。

 疲れた体に、湘南から都心へ向かう道は長すぎます。

 赤いテールランプの渋滞の道をノロノロ進みながら、今度は平日に来ようと運転手は固く心に誓うのでした。 ■


 


 


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