
「牧場」はこんなところ。
11.18
高麗神社に行く
ポンポに乗り始めて一年が過ぎました。
最初の頃は自宅から一時間圏内しか出かけていなかったことを考えれば、最近はずいぶんと遠出をするようになり
ました。
運転手が住んでいるのは、埼玉県の南西部にある戸田市です。そこからの距離感覚や方向感覚もずいぶんとつかめ
るようになりました。
ポンポで一時間走ると田んぼを見ることができます。二時間で山が近づき、三時間で県境を越えます。
今日はポンポで約二時間のところにある高麗川付近を目指すことにしました。運転手がJR八高線の写真を撮りたい
からです。今日は朝からよく晴れて、いいお天気です。
国道254号線を通り抜け、ようやく山が身近に迫ってきました。
ところでポンポの中では運転手とミチコさんはどんなふうにしているのか。たいていは「なにかおいちーものが食
べたいな」というミチコさんの一方的なおしゃべりばかりなのですが、今日も例外ではありません。
家から持ってきたバナナをさっそく食べ始めたミチコさんは、「うっきうっきドライブ、うっきっきー!」。
八高線に沿って北上する県道に乗り、高麗川駅を過ぎると、
「あ、このあたりの山の中に高麗神社があるんだよねー、行ったことあるよ」
と再びミチコさん。
それは何年前のこと? とは聞き返さない運転手でしたが、
「高麗神社、って出世の神さまなんだよねえ」
という言葉にポンポのハンドルを左に切りました。高麗神社に行くことにしたのです。
しかし地図がないので、どこをどう走ってよいのかわかりません。
<→高麗神社>と書かれた小さな立看板が頼りです。
その途中、住宅地を抜けると、ぱっと緑の草が広がる原っぱに出ました。そこに大きな黒い生き物がいます。
「あ、牛さんだ!」
動物好きのミチコさん。すかさず反応しました。
よく見れば、黒い毛並みの大きな牛がぽつんぽつんといて、のんびり草を食んでいます。
ポンポを停めると、ミチコさんはさっそく外に飛び出しました。牛の黒い毛は見るからにごわごわしてて、汚れて
いそうに見えるのですが、ミチコさんはさわりたくてさわりたくてうずうずしています。
近くに牧場主の住まいらしい家があり、そこからちょうど出て来たおじいさんに、
「牛、さわってもいいですか!?」
と聞くと、おじいさんは驚きながらも、「ああ、いいよ」
さっそく牛の前に立つミチコさん。
「牛さん、こんにちは。ちょっとさわらせてください」
「…………」
こわごわ手を伸ばしかけたミチコさんでしたが、牛がぶるんと首を振ったとたんに固まってしまいました。
結局さわらずにそこを離れることに。
「だって角があるから、こわいんだもーん」
じゃあ、さわりたいなんて言うなよ、と思う運転手ですが言いませんでしたよ。
ミチコさん固まりかかってます。
しばらく走って高麗神社に到着。出世の神様との案内板が入口に立っていましたが、今日は七五三の参拝客がちら
ほら。子どもたちはみなかわいい着物姿で両親に手を引かれて歩いています。子どもにしてみれば、どうしてこんな
ところに連れてこられるのか分からないだろうな、と思います。
運転手が八高線の電車の写真を撮っているあいだ、ミチコさんは一人ポンポの中でお留守番です。ミチコさんにし
てみれば、どうしてこんなところに連れてこられたのか分からないだろうな、と思う運転手なのでした。 ■
高麗神社で七五三。
帰り道、こんなに大きな杉の木に出会いました。