-- 1 January 2007

国道17号線、戸田橋を渡る。長い直線でスピードを出したくなりますが、渡りきったところでよくパトカーを見かけます。


01.27

神田の古本屋さんに行く



 本というのは、欲しくなるといてもたってもいられなくなるものです。

 というのも、わかる人にはわかってもらえるかもしれません。とくに古本ともなれば、一度出会ったが運のつき、

というのはあながち誇張ではありません。『後で買おう、また来よう』なんて思うと、その本には二度と出会えない

ことが多いのです。

 最近ではインターネットという便利なものがあるおかげで、掘り出しものを探すという楽しみが失われつつある

ようですが、それでも古本屋で意外な一冊に出会える喜びというのは変わらないものです。

 しかし、この日の運転手はそんな情緒をまるっきり無視して、インターネットで検索した情報をもとに一冊の本を

目当てに神田に出かけることにしました。

 これが欲しい、と思える本を見つけるとなぜか気合いが入ります。ネットで確認してるのに、電話をかけて本の

在庫を確認して押さえておくという念の入れよう。ちなみに本のタイトルは『夕子の旅行記』(長与善郎著)。

 パソコンの画面に表示された値段は一冊7140円ということです。事前にサイフの中味を確認してポンポに

乗り込む運転手。

 今日のミチコさんは猫づくりに忙しそう。それでもラーメンをおごってあげるからというと、「行く行くー」と

ついてきました。

 午後4時前、空には薄い雲がところどころに浮かぶ程度で、お天気だった一日の穏やかな夕暮れ。

 埼玉の戸田から東京に出るには国道17号線(中山道)を使いますが、県境の荒川にかかる戸田橋を渡ると、さあ

出かけよう、という晴れ晴れとした気持ちになります。

 土曜日の夕方で下りの車線は渋滞していますが、上りはがらがらに空いていて、いつもなら20分ぐらいかかる山

手通りとの分岐点の仲宿交差点まで10分少々。気持ちよくすいすい走れるのは嬉しいものです。


気持ちよく空いた上り線。巣鴨で。


 目指す古本屋さんは、通販のみやっているところでお店ではなく、事務所兼倉庫だそうなのですが、直接行って

買うのは大丈夫とのことで、住所を頼りに神田神保町の裏通りへと入って行きました。

 ポンポをパーキングメーターの枠に停め、コンクリートの古ぼけた雑居ビルの五階へと、小さなエレベーターで

ると、目の前に殺風景なクリーム色の鉄の扉があって、インターホンもありません。

「ここでいいの?」

 とミチコさんが不安そうに言いますが、小さな看板に書かれた名前はインターネットで見た本屋さんの名前です。

 思い切ってノブを回してドアを開けると、初老の気難しそうな男性と、メガネをかけた大学生くらいのひげのお兄

さんの視線が運転手に集まりました。

 雑居ビルの一室らしく、奥に細長く伸びたフロアには、スチールの書棚がずらりとならび、その棚という棚には

ぎっしりと古本がつまっています。おそらく何千冊とあるのでしょう。

 運転手は、ここで一日過ごしても飽きなさそうだと思いました。

 名前を告げると、すぐに薄いハトロン紙のカバーのかかった古めかしい本が出てきました。

 タイトルも作者も間違いありません。奥付を見れば、発行は昭和14年4月31日で出版元は建設社出版部。住所

は『東京市牛込区揚場町8番地』となっています。当然絶版で、おそらく発行当時も重版に至らなかったのではない

かと思います。

 運転手のように直接やってくるお客もいると見えて、とくに珍しがられることもなく、お金を払うと薄茶色の紙袋

に本を入れてくれました。

 これで、目的は終了。なんのことはありません。本を抱えて、薄暗い神保町の町に出ました。

 平日の昼間なら近くのオフィスに勤める人が行き交う道はひっそりとして、ところどころにある『こだわりの』

古本屋さんの灯りがぽつりぽつりと暗くなり始めた道路を照らしています。

 神田神保町には一種独特の雰囲気がありますね。ネットで探した本でも、神田の古書街まで来て買うとなんだか

貴重なものに思えます。アンティークではないですが、年代を経たモノには、さまざまな思いがこもるものです。

「おなかすいたー、ラーメンラーメン!」

 そんな運転手のノスタルジックな気分とは関係なく、ミチコさんは『博多ラーメン 龍々軒(替え玉一玉無料)』

へと向かって歩いてゆくのでした。 ■


暗くなり始めた神田神保町の裏通りのポンポ。


 

| このページはブラウザの[×]で閉じてください |
Pompo Diary -subaru360