播磨坂を下る。道の両側には桜。
04.01
夜桜を見に行く
いつものように白山通りを北上していたポンポは、東京ドームを過ぎたところでくるりと左へ回り、春日通りに入りました。
銀座の本屋さんで運転手の写真を飾っていただけることになり、その展示をし終えた日曜の夜のことです。
助手席には、ミチコさんが乗っていて、「どーしてこっちのほうに行くの?」と不思議な顔をしています。
中央大の前を走る春日通りの富坂には、急な坂の途中に信号があります。坂の手前からスピードを上げて一気に上りたいところでしたが、運悪くポンポは赤信号につかまってしまいいました。
サイドブレーキを引いてアクセルを吹かしながら坂道発進! 後ろのタイヤが少し空回りするような感覚を覚えながらゆっくりと坂を上ってゆくポンポ。後ろからしびれを切らしたように、次々とクルマがポンポを追い越して行きます。
こうまでして寄り道をするのは、夜桜を見るため。春日通りの小石川5丁目交差点を右に折れると、ミチコさんが、
「きゃー! なにこれー!」
って、桜並木ですけど、何か?
小石川植物園へと降りる播磨坂には道の両側に加え、遊歩道のある中央分離帯にも桜の並木が続いており、さながら桜のトンネルができています。
昼間ならば花見の人で大にぎわいだったでしょう。しかし日曜日の夜十時を過ぎ、通りはがらんとしています。
坂の途中にポンポを停めれば、花見の宴会をする人たちの歓声が聞こえてきますが、うるさいほどではありません。雪をまぶしたような桜は街灯に照らされ白く光り、幻想的。心なしか空気も濃密な気がします。
桜のトンネル。
ミチコさんは頭上の桜を見上げながら、ふらふらとお花見。
坂の途中には明かりのついたインテリアショップがあって、お店は閉まっているのでしょうが、白熱灯のオレンジの光に照らされて、店主らしい男の人が一人でパソコンに向かっているのが見えます。
静かな満開の桜の夜。
「寒いから帰ろうよ」
冷えてきたのでミチコさんを乗せてポンポは坂を下りて帰り道につきました。
「すごい桜だねえ」
フロントガラスの上を流れてゆく桜を見ながらミチコさんが言います。
桜に酔う、と言ったらおかしいかもしれませんが、そんな夜でした。 ■
桜を見上げるポンポのフロントガラスに……、
桜の花が映る。
帰り道の途中でまた寄り道。板橋区仲宿、旧中山道にかかる『板橋』の桜。