環八を走る。夏の空。
08.02
映画を見に行く
この夏、運転手には見たい映画がありました。
『夕凪の街 桜の国』がいよいよ公開。これは広島の原爆をテーマにした作品で、
たまたま原作のマンガを読んだ運転手はいたく感動して、この映画だけは見ようと
心に決めていたのでした。
運転手の家から近い映画館を探すと、『ユナイテッドシネマとしまえん』というところで
やっているようです。としまえんなら環八を走れば三十分もかからないでしょう。
昼下がり、午後二時。一日のうちで最も熱い、いや暑い時間です。
ポンポの中もほどよく暖まっています。
ポンポが戻ってきてから乗るのはこれで二回目。まだおそるおそる、という気持ちが
運転手にはありました。
しかし、エンジンは一発で始動。アクセルを踏めば「ぶぉん」といい音がします。
「ポンポー、映画を見にいくよ」
ポンポが映画を見るわけではないのですが、ポンポに話しかけるミチコさん。
そういえばディズニーに『カーズ』という作品があったな、と運転手は思い出しました。
クルマにそれぞれ人格があったらどうなるのでしょう。『今日は暑いから出かけたくないなあ』と
思ったクルマはエンジンがかからないとか……。
ポンポは文句も言わずに熱せられたアスファルトの上を走ります。がんばれ。
環八を春日トンネルの手前で降り、住宅地の中をしばらくゆくと、目的地に到着。映画館に行く人も、トイザらスの自走式立体駐車場に入れることになっていました。
急なスロープを二速で上るポンポ。途中で息切れしましたが、一速に切り替えてなんとかクリア。
「ポンポ、よくがんばったね」
助手席の前のハンドルにしがみついたミチコさんが言いました。
駐車場のポンポ。日が射さないだけでもずいぶん違う。
映画は原作にほぼ忠実に作られていました。ミチコさんは隣でぐすぐす泣いていました。
作品の冒頭にあるコピー、『広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人へ』見て
もらいたいものです。
途中、二カットスクリーンに映ったスバルに反応する運転手。
それぞれデラックスとSSだったと思いますが定かではありません。
しかし、昭和33年の舞台設定にデラックスは間違いですよね。(明らかにデメキンではなかった)
映画を見終って外に出ると、気温がぐっと下がって過ごしやすくなっていました。
空には台風の風が吹いているらしく、雲が煙のようにいく筋も細く長く伸びています。
「映画にもポンポが出てたね」
ミチコさんが言いました。ポンポではなくて違うスバルなのですが、言わんとすることは
わかります。スクリーンにポンポが映ればさぞかし嬉しいことでしょう。
帰り道、ポンポが以前のようなガス欠状態になって止まってしまいましたが、すぐに復活。
(これは単なるガス欠でした。後日、これはガソリンタンクをオーバーホールしたときに、
内部をコーティング加工したため、タンクの容量が約17リットルほどになってしまったのを
知らなかったのです。燃料計が[E]を指さなくても、タンクは空になっていました)
涼しい風が窓から入ってくると気持ちがいいものです。
戸田橋の上はきれいな夕暮れ空。風を受けて走りながら、そろそろ長距離ドライブにも
出かけようかと思う運転手。昼間の暑さをすっかり忘れているのでした。
夕暮れの国道17号線戸田橋を渡る。
