声援を浴びながら次のチェックポイントへ。ほとんどのドライバーはオフィシャルスポンサー提供のコートを着ている。
10.15
ミッレ・ミリアを見に行く(2)
原宿でミッレ・ミリアのスタートシーンを見た運転手は、朝6時過ぎ、国道4号線を北上していました。
6時半、ポンポのAMラジオからにぎやかな音楽が流れて来ます。
《全国のみなさん、おはようございまーす! 今日も元気よくラジオ体操を始めましょうー! ではラジオ体操の歌から!
♪あったーらしーい、あっさがきた、きぼーうのーあーさーだ……
歌わなくてもいいというのに歌うのがミチコさん。ミッレ・ミリアを見に行くためかテンションがいつもより高いようです。
ポンポが目指すのはレース三日目のチェックポイントのひとつである《道の駅きつれがわ》。
福島や山形までは遠すぎたので、栃木県さくら市の喜連川から那須烏山、茂木へと至るコースの一部を実際に走ってみることにしました。
朝の国道4号線はところどころで渋滞していたものの、おおむねスムースに流れています。朝のうち曇っていた空も、少しずつ青空が広がってきました。
一時間ごとにポンポを休ませながら、古河、小山、宇都宮、と少しずつ目的地が近づいてきます。氏家で国道4号線と別れ、国道293号線に入ります。そして午前11時。予定よりも2時間早く《道の駅きつれがわ》に到着してしまいました。こんなことなら、2時間余計に寝ていたかったと考える運転手ですが、ミチコさんはさっそく野菜の買い出しに出かけます。
国道4号バイパスを北上中。
《道の駅きつれがわ》で通過を待っているところ。
道の駅の前には、テントが張られミッレ・ミリアの看板が出ていますが、関係者らしい人が二、三人いるだけでまだ誰も待ち構えていません。それでも駐車場には同じようにミッレ・ミリアを追いかけてきたと思われる品川や練馬ナンバーのクルマもちらほら。
ミッレ・ミリアのサイトにはチェックポイントごとの通過時刻が掲載されています。それによると午後1時10分から2時の間に通過するらしい。早さを競うレースでないだけに、この時刻は正確に守られることでしょう。
がらんとしていたテントの周囲も、ポンポで時間を待つ間に、だんだんと人が増えてきました。ほとんどが地元のおじさん、おばさんといった人たち。杖をつきながらクルマのことなど何も知らないおばあさんもやってきました。まるで村のお祭りような感じ。そしてミッレ・ミリアの小旗を持って今か今かと待っているのです。
「あっ、来た!」
最初に見えた参加車両に声が上がりました。
道の駅に入ってくるクルマに旗が振られ歓声が上がります。携帯電話で写真を撮る人たち。
チェックポイントでスタンプを押されたクルマは次のポイントを目指して道の駅を出て行きます。これまでもこんな声援を受けつつ走ってきたのでしょうが、どのドライバーも気持ち良さそうに手を挙げて歓声に応えていました。
何台目かの参加車が出たところでポンポも後を追いかけます。途中で写真を撮りながら、参加車と同じ道を走るのです。赤いフィアットのオープンカー(1935年製)の後ろを走るポンポですが、信号待ちが終わるとあっという間に引き離されてしまいました。時速60キロではとても追いつけません。
「はっやーい!」
あきれたようにミチコさんが言いました。
とりあえずポンポはレースに関係なくのんびり走ります。後ろから参加車が追いついて来たら、道路端に退避して道を譲ります。そんなポンポにも手を振って合図してくれる参加車両のドライバーさんたち。暖かいなあ。
沿道にはそこかしこに人々が立って、レースを見物しています。
あれ、と思ったのはすぐ。
みんなポンポにも「がんばれー!」と声をかけ、手を振ってくれるではありませんか。
「違いますよー! このクルマは(ミッレ・ミリアとは)関係ないんですー!」
ミチコさんがポンポの中から言いますが、聞こえませんって。
どこまで走っても沿道の声援は途切れることなく、しまいには、パッシングをして声援に応えるポンポ。
でも、みんながにこにこと走るポンポを見てくれるというのは何だか嬉しい光景でありました。
烏山を抜け、ようやく今日の最終チェックポイントである《道の駅もてぎ》に着いたのは午後4時過ぎ。
すでにほとんどの参加車両に追い越されてしまったポンポ。スバル360では同じコースでレースはできませんね。
最後の参加車が通過したのを見届けて、今日のゴールである《ツインリンクもてぎ》までポンポも走ります。イチョウの葉が早くも黄色く色づきかけていました。
次々とチェックポイントに入ってくる参加車両。そのたびに声援が飛ぶ。
通過スタンプを押されると次のチェックポイントへ向かう。
木内みどりさん、こんにちは。
赤いフィアットを追って走り出す。
道は空いていて走りやすい。適度なカーブとアップダウンのあるコースはドライブ向けだと思う。手を振るミチコさん。
西田ひかるさんとご主人でした!
たまに信号で止まると注目の的。マラソン選手を応援している感じに近い。
小学生の応援の列にタッチしようと手を伸ばす。子どもたちは大喜びである。
暮れかけた秋空の下、広々としたコースを周回するクラシックカーたち。エンジン音が響き渡るのですが、どこかのんびりした空気が漂っています。
ドライバーはみな疲れているはずなのにどこか楽しそうに見えます。クルマを運転することは、単なる移動のためだけではありません。運転それ自体が大人の遊びなのでしょう。
ポンポに乗るのも、運転が楽しいから。
帰り道、時速60キロで夜の常磐道を走りながら、ハラハラどきどきの時間を過ごす運転手なのでした。
来年もまたミッレ・ミリアが見られますように。
《ツインリンクもてぎ》にて。周回コースの出発待ち。
《ツインリンクもてぎ》のゲートを後にするポンポ。これから家まで4時間がかり。
