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なのに浩一は、突然、この8月7日の夕方に、とある喫茶店で会ってみたいと言い出した。
最初は何かと渋っていたひろみも、浩一のねばりに根負けしたのか、ついに折れてOKを返した。
当日、目印のケータイを右手にかざした相手を見つけて、二人は席に着いて自己紹介をすませた。
お互い好感を持ったようで、初対面なのに、意気投合して、話はとんとんとはずんでいく。
するとひろみは、ちょっと顔を曇らせて、口ごもりながら思い切るようにしていった。
| ごめんなさい、もうこれ以上隠し通せません。 実のメール主は、この8月で79歳になるうちのひろみおばあちゃんなんです。 学校生活やいまどきの話題は、みんな、孫のわたし野口みかのくちうつし。 だから会うのだって、なかなか “うん” といえなかったの。 でも怒らないで、決して悪意でだますつもりじゃなかったんだから。 ただつれあいをなくしてひとりぼっちのおばあちゃんに、もう一度青春のゆめを見させてあげたかったの。 たまたま見つけた君のメールアドレスを、二の足を踏むおばあちゃんにすすめたのもわたし。 おかげで、おばあちゃんもすっかり青春をとりもどしたようになりました。 でも、ここまで白状したうえは、ちゃんと覚悟してます。 ゆめは今日でオワリと。 ありがとうございました。 |
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ここで、浩一の口をついてでた言葉は
| まっさか!こんな偶然があろうとは。 僕だって、今は独り身で、この8月で79歳を迎える浩一おじいちゃんの身代わり、吉本有里也。 大学に進学したら、もう地元でおじいちゃんの代筆もやれないから、今日は無理をお願いして、みんなぶちまけ、謝るつもりだったのに・・・ もう、いいでしょう、さっきから向こうの席で、雑誌を読むふりして、こちらを心配そうに見ているのが浩一おじいちゃんなんだ。 |
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エッ、ここにいらっしゃったの?
じゃ、わたしもと、片隅の席にいるひろみばあちゃんを手まねいた。
こうして4人同席になると、ひろみおばあさんの顔をしげしげと眺めていた浩一おじいさんは、おずおずと切り出した。
「も、もしやひろみさんの旧姓は、西城じゃありかせんか?」
これには、ひろみおばあさんが、度肝を抜かれて、「どうしてそれを!」
それじゃ、あなたは当時憧れのミス桜坂高校の西城ひろみさん!
私もフアンの同級でしたが、なんせ、いたって影の薄い方で、とてもじゃないが、近寄ることもできませんでしたよ。

以外な話の展開ぶりに口を潜めていたみかが、ひろみおばあちゃんの肩をたたいた。
「そうなら話が早い、二人はこれから直接メールしたら、そしてお茶のみ友だちってことで、ねぇ、おはあちゃん?」
「私は浩一さんさえよければ、願ってもないこと、また青春を続けられるんだから。」
「もちろん私も願ったり叶ったりですよ。」
「ねぇ、有里也くん、私たち二人身代わり同士もきっと神の思し召しじゃなくって? 今まで通り、地でいけばいいんだし、いいわね。」
「そりゃ僕だって大賛成!めでたしめでたしってところで、4人握手でしめくくりましょうや。」
そのとき、大輪と小輪の花火が夜空を焦がしたのを見とどけたあなたは、よったりの行く末をやさしく見守ってくれよね、いつまでも・・・










リンデ 2007.08.07 8月生まれの人に捧げる一話 オワリ
提供サイト:ぷちろーど
2007.8.12 アップ