僕の隣に 
端正な顔立ち、力強い意思を感じさせる瞳、透明感のある肌、そして、シャイな心が見え隠れする若き女性。

そんな第一印象だった彼女が、その容姿からは想いもつかない言葉で僕に話しかけてきた。
「いっちょバイトでもしてみるか!と思いましてね・・・」
その意外な言葉とオドケタ表情によって、それまでクールだった周りの空気が一瞬にして春色に変わった。
蝶々が舞う花畑にいるような感覚になり、彼女の口から放たれる言葉は、まるで小鳥の歌声のように心地よかった。
僕は素直に好感をもった。
それから毎日、ほんの挨拶程度でも交わす言葉から彼女を知っていった。
独特な雰囲気、未完成ながらも並の人にはない強さ、自信、ものすごく高いプライド、そして、垣間見える弱さ、戸惑い、少しだけ感じる影の部分。
最初に出会ったときの単純な好印象から、少しずつ見方も変わってきた頃に、彼女本来の姿を第三者から知らされた。
「彼女は画家なのよ・・将来を有望視された若き画家。」
「エッ・・画家って、画を描くってこと?」
なんともお粗末な反応をしたものである。
画を描くから画家というのに、芸術に疎い生活圏内に居ることが即座に知れた。
自宅に戻り、聞いた話を思い返している内に、なんだかチョット気分が高揚してきた。
だってさ、画家が「隣に」居るんだよ。。。ね
ベレー帽を被って、絵具で頬っぺを汚しながら、真っ白なカンバスに何色も塗り重ねてるであろう画家が、僕の隣に居るんだよ。
実際にベレー帽など被ってるかどうか分からないし、絵具でホッペが汚れているとも思えないけど、僕の中の画家のイメージは、そうなんだよ。
そんな想いが頭の中で渦巻いて、その夜は眠りが浅かった。
ただ、僕の中での彼女の位置づけが、ググンとアップしたことに間違いはなかった。
翌日、彼女といつもように挨拶を交わす・・はずだったのに、なんだか意識した。
第三者から知り得た情報を、ストレートに確かめることも出来ずに数日が過ぎた。
僕らしくない・・・・・・。
でもさ、僕は彼女の口から直接、画家であるという事実を聞きたかったんだよね。
ある日、僕に情報提供したオバサンが話の糸口を作ってくれた。
彼女はイヤそうな素振りも見せずにサラリと話にノッて、絵画の世界に身を置いている事実、将来の展望を話してくれた。
僕は恥ずかしかった。。。自分のイジケた心が恥ずかしかった。
そんな僕だったけど、今はもぉ、素直に彼女を応援できる!!
真っ赤な絨毯の中央を、真っ直ぐな視線で堂々と歩いて行くであろう彼女の未来を、僕は見守りたいと思っている。
そして、僕は僕の宇宙を・・たとえ絨毯が敷いてなくても、端っこであっても、蛇行しても、歩いて行こうと心に誓える。
そう輝かしい僕なりの未来を夢見ているのに・・あっぁ〜・・窓から差し込む陽の光が・・雲間に遮られていくぅーー!!
僕の未来の行方は・・・・・・・・?!
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