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大変‥私ったら兄さん達の見送りもしないで…マシューごめんなさい。またね♪」「うん、またっ!!
そう笑顔で再会を約束し、マロンは急いで正装に着替え始めました。

マロン達の正装とは、風色の大きなストールに身を包み、歴代の兄達が独立するときに残していくイガで作った髪飾りでお洒落をするのです。

遅くなりましたっ…」と、そぉ〜と栗林の一望できる、ひときわ枝の張ったテラスに集まっていた姉達に紛れ込むと、さきほどパジャマ姿で大慌てしていた、すぐ上の姉のプチグラッセが、とても素敵な匂いの香水を振り撒き、艶やかな姿を見せながら、およそ似つかわしくない表情でマロンのことを横目でチロッと睨みました。

一通り今年の兄達の独立祝いは、どこか淋しげな余韻を残したまま幕を閉じました。そしてまた、一週間後には姉達の独立祝いがあるのです。
姉達の独立への道は、焼き栗・ペースト・グラッセの中から希望が叶えられることになっていました。この3種の中から特にお酒の強い栗だけが、“グラッセ”になる栄誉を与えられました。


                


その栄誉ある“グラッセ”の称号を貰った姉のプチグラッセが、我慢の限界とばかりにマロンに小言を言い始めました。


まったく遅れるなんてぇ〜信じらんないわよぉ〜」と、恋する乙女マロンの頬を軽く突付きながら、さらに言い続けます。
          
マロン、言っておくけど、私たちは兄さん達のように遠くへ飛ぶことは許されてないの。だから、遠い地面で暮らしてる他の者達と会うことなど夢の夢なの。だ・か・ら、キノコちゃんのことは、いい加減にしておきなさいよね!


そんな姉の手厳しい忠告が、マロンの心に暗い影を落しました。

はふぅ〜〜、ほぉぅ〜〜」とマロンのため息虫が泣き止まない午後。

マロンちゃん、マロンちゃ〜ん、居るの?」と、恋するマッシュ−の優しい声です。

ねぇ〜マッシュ−聞いてもいぃい? マッシュ−達は独立したら、どうなるの?

僕たち?それは風だけが知ってるよ。嵐にならなければ、この土地で一生を安泰に過し、子供を増やせる。でも、そうでなきゃ何処かに流されて生まれかわるだけさ

なんだか、ちょっぴり淋しくて涙がこぼれそうなマロンです。

そろそろマッシュ−達の一日が終わる夕暮れが迫っていました。
眠そうなマッシュ−に涙は見せずに「
おやすみなさい。また、明日ね♪」と告げ、イガ部屋の小窓を静かに閉じました。


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