| イチゴの結婚 |
『あ…初めての喧嘩?…なんか…うれしい…でも、これで最後?』 彼はいつだって曖昧にするのが得意で、私の心は、いつも消化不良。 ずっーと長い間、“喧嘩”をしてみたくても出来なかったし、いつも一方的な私の言葉に、ただ唇噛み締めて下を向いて黙ってるだけの彼。 そんな彼が、じれったくって、もどかしくって、辛くって…。 黙って耐える事が彼の優しさなんだろうけど、若いイチゴには理解できないよ…苦しいだけなんだよ…。 5年前の或る日、イチゴは初めて恋をした。 いやいや、恋に恋していただけかもしれない。 『笑顔を向ければ笑顔が返ってくる♪』と信じていた。 でも、現実の恋は……ちょっと様子が違う? 彼とラブラブになった最初の頃は、ただ一緒に居るのが嬉しくて、楽しくて、何処に行くにも、何を食べるにしても彼と同んなじぃ〜♪ 彼がお気に入りの“イチゴ笑顔”を、瞬時に作るのも得意だったから、ちょっとだけオネダリしたい時は、“悩殺!イチゴ笑顔!”でニコッとすれば、彼は喜んでイチゴの願いを叶えてくれた。 だけど…月日が経つにつれて、どんなに可愛いイチゴ笑顔を向けても、彼は振り向いてもくれなくなって、不安になって顔色を見る日々が続いてた。 『どうしたの?なんか機嫌、悪い?…』 『べつにぃー ちょっと疲れてんだよ』 なぁ〜んて感じでね。弾まない会話、重苦しい空気で『わぁあぁーーー!』と叫びたくなってくる。『これがイワユル倦怠期ってやつ?』 イチゴは悶々と考える…悩む…胃袋が押し上げられるような不快感…顔にポツポツができはじめ、日毎に増えていく。 そんな自分の顔を鏡で見ては、ため息の連続。 或る日、ついにイチゴは叫んだ! 『若い乙女にとってニキビほど気になる物体はない!乙女の敵なのだ!なのに、私がこんなに醜くなったのは、全て彼が悪いんだぁーーーー!!!』 一気に抑えていた感情が爆発し、勢い余って彼に電話した。 『モシモシ、イチゴだけど…私のツルツルお肌を返してぇ〜〜〜〜っ!』 すると、彼の堪忍袋の尾がブチッと切れた。 『っるせぇーーー、いっつもサトーの話ばっかしやがってぇー。そんなにサトーがいいんなら、サトーと付き合えっっつうの!!!』 彼はそう叫び、電話が切れ、縁も切れた。 『おっどろいたー!破局だ!破局よ〜〜!』 イチゴの頬に一筋の涙が流れた。 でもね、破局でも仕方が無い。 だって、イチゴは、彼よりもサトー君をこよなく愛してて、サトー君と一緒になれるのを夢に描いていたんだもの…。 こうして彼との破局を向かえたイチゴにも、やっと春が訪れた。 ついに、念願のサトー君と結婚することになったのである。 会場はゴージャスなホーロー鍋。 思いっきり、とろけるまで煮込んでもらえる♪ 甘い新婚生活の場所は、大きな花柄の瓶♪ イチゴ(苺)とサトー(砂糖)の相性はバツグンなのであぁ〜る♪ ジャム道を歩むイチゴの未来は、苺色に光り輝いたらしい……。 おわり
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