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少女は部屋に戻り、ポケットからマロン達を大事に取り出し、綺麗な化粧箱に移し、蓋をしようとしました。 思わずマロンは「ヤダァ〜蓋しないで!出して!」と叫んでいましたが、悲しいかな人間の少女に、栗語は通じませんでした。 |
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| 化粧箱 ↓ |
| マロンの窮地を知る由も無いマッシューは、マロンのことを忘れようと思い始めていました。 宅急便のリスに聞いても、ヒヨドリに聞いても、マロンの消息がつかめず、自分の苛立つ心に疲れてしまいました。 |
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| 「マロンちゃん、君が居なくなってそろそろ4ヶ月。僕、寂しいよ。最近、仲良くなったキノコちゃんが出来たんだ。その娘、とても良い子なんだよ。マロンちゃん、ごめんね。僕・・・」 なんとも気弱なマッシュー。 心は脆く、移ろいやすいものなのかもしれません・・・・・・。 この頃、箱に閉じ込められたままのマロンの心にも変化が訪れていました。 「何だか、ひどく疲れたわ。このまま外に出られないかもしれないし、出たところでマッシューと会えるかどうかも分からないし……ここで暮らすのも良いかも♪この箱の栗仲間とは、気が合って楽しいもの♪」 おやおや、マロンも荒海での冒険も潮時とばかりに、安住の地を見つけ始めたようです。 こうしてマロンは箱の中で楽しく暮らし、マッシューも優しく可愛いキノコ娘と仲良く暮らし、時間だけが平等に過ぎてゆきました。 マッシューの働く森にもゆっくりと春の足音が届いてきました。 |
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木々の雛鳥たちの片言のお喋りも賑やかな或る日のことです。 |
| その雛鳥たちのお喋りは・・・ 「隣町のおおきな畑の真ん中にある大きな家の窓際に綺麗な箱が見えるんだ。何が入ってるのかなぁ〜僕らの好物かな?何だと思う?」 「時々カタカタ動いてるよ・・・その箱、生き物がいるんじゃない?」 「なら、やっぱり僕らの好物の幼虫じゃない?」 「ううん、幼虫じゃないみたいだよ・・・細いこげ茶色の腕が見えてサ、蓋を持ち上げようとしてるみたいなんだよ」 と言っているのです。マッシューは不思議な光明を感じました。 「もしや、蓋を持ち上げようとしている細いこげ茶色の腕とは・・・?」 |
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2002.1.16 作