![]() |
その日は夕方から雨がシトシト降りました。ときどきマロンは雨に尋ねてみたくなります。 「雨さん、今日はどうしたの?淋しいから泣いてるの?怒ってるから泣いてるの?それとも嬉しいから?」 すると今までどんなに尋ねてもマロンの問いに答えることなく通り過ぎていった雨が、今日は違いました。窓に付いた雨の雫が喋りはじめたのです。 「栗のお嬢ちゃん、こんにちは。僕らはね、みんなの代わりに泣いてるのさ。淋しさや怒りや悔しさは洗い流し、嬉しさや喜びは分かち合うようにね。」 マロンはビックリしましたが続けて雨の雫に話し掛けました。 「雨さん、じゃぁ今日は誰の代わりなの?なんだか冷たく淋しい雨のようだけれど…」 すると雨の雫は小首を傾げてマロンを見つめ、切なそうに言いました。 「恋の病はお医者様でも治せやしないね。今日は切ない恋に悩む者たちのためにさ。ちょっぴり冷たいのは我慢しておくれ。じゃぁ〜〜またなぁ〜〜」 そう言って雨の雫はスッーと流れて行きました。 |
静かに夜は更けて、冷たい雨が降りしきる中、マッシュ-はイチョウに包まって眠り、朝陽が輝くと「ウゥツ、キツイ匂いだぁ〜!!」と言って跳ね起きました。 「あぁ〜夕べ降っていた雨でたくさんのギンナンが落ちたんだな!食べたら美味いけど…匂いは…でも、雨上がりの青空といい、イチョウの黄色といい、なんて綺麗なんだろう♪」 マッシュ-は少し元気を取り戻していました。 ギンナンの強い臭気は雑念が湧く暇を与えず、そして、昨夜のシトシト降る雨が切なさを洗い流してくれたようです。 青空を見上げていると一匹のリス宅配便が通りがかりました。 マッシュ-は急いでリスを呼び止め、木の上のマロンに手紙を渡して欲しいと頼みました。リスは夜勤明けで疲れていたうえに、朝の楽しい食事もままならず、特急便でお使いまで頼まれて少し不満そうでしたが届けてくれると言いました。 |
|
リスの仕事は完璧でした。 「トントンッ…トントンッ…マロンさぁ〜ん、特急便です!ハンコお願いします!」 そんな大事な時に限って、マロンは部屋にいませんでした。 「まぁ〜マロンたら…あれだけキノコちゃんとのことはいい加減にしておきなさいと言ったのに…」と心配顔。 部屋に戻って来たマロンは姉から手渡された手紙を読み、自分の心を打ち明けるのでした。 |