まだまだ青い子供のトマト王子.
今日も好奇心いっぱいでポコポコ歩いておりました。
緑の帽子をちょこんと乗せた、お目々クリクリ可愛い王子です。


「こんちは、雀さん。ご機嫌いかが? お腹が空いてるなら、このトマト王子についておいでよ。」
「こんちは、わんちゃん。ご機嫌いかが? 喉が渇いてるなら、このトマト王子についておいでよ。」

こんなふうに声を掛けながら、トマト王子は闊歩していました。
すると、川のほとりに咲く一輪の花が言いました。

「ねぇねぇ、ちょっと聞くけど、トマト王子に頼めば何でも叶うの?」

トマト王子は闊歩していた歩みを止めて、花の話に耳を傾けました。

「花さん、ハナさん、何でもは無理だけど、頼み事ってなぁ〜に?」

花は、話しかけたはものの、どうせ叶いっこないと思っていましたので、そっぽを向きながら口から出任せを言い始めました。

「あのね、わたし、ずーと同じ場所に咲いているのがイヤなのね。飽きちゃったのよ。だから、なんとかできないかしら?」

トマト王子は小首を傾げて考え始めました。

「ん〜〜できないことはないけど、花さんの姿を変えなきゃむりだなぁ〜。風さんに乗るにしても、身軽じゃないと乗れないでしょ?」

「エッ、重たいってこと?いやねぇ!! このままの可憐な姿で動きたいのよ!!

トマト王子は、少し考えてから、ポコンと軽く手を叩いて、閃きのポーズをしました。
花は、その閃きのポーズが可笑しいと言って身体をよじって笑い始めました。
すると、あまりにも身体をよじりすぎたので、花の足元の土がぽろぽろと崩れ始めたのです。
笑い終えた花は、今度は泣きそうな顔になって、トマト王子に言いました。

「あぁ〜こんなに土が崩れちゃって、花の足元が丸見え。これじゃ、足が乾いて萎れちゃうわ。」

トマト王子は困ったとばかりに頭に手を当てると、被っていた帽子に触りました。

「そうだ!!この帽子で!」

トマト王子は、自分の緑の帽子を脱いで、花の足元を静かに包み込んであげました。
ちょうどその時です、川の上流から一枚の笹の葉がさらさら流れてきました。
トマト王子は笹の葉に声を掛けました。

「笹の葉さん、ゆったり気持ちが良さそうだけど、何処まで行くの?良かったら、花さんを乗せて貰えないかな?」

突然、呼び止められた笹の葉は、少し驚いた表情を浮かべながら言いました。

「乗せるのはいいけど僕の行く先は、金・銀砂子で彩られたお星様のトコだよ。」

トマト王子と笹の葉の会話を聞いていた花は、居ても立ても居られない程ワクワクしてきました。

「行きたい、行きたいわ。お星様の国へ連れっててくださいな。」

その可愛らしい声に、笹の葉も快く応えてくれました。

「いいよ、いいよ、僕の使命は、みんなの願いを運ぶことだもの。」


王子は笹の葉の優しさに感謝し、花をそっと乗せました。
ゆらゆら揺らめく笹の小舟の心地よさ。
花は小躍りしながら、トマト王子に感謝し別れを告げました。
笑顔の可愛い花。
トマト王子の頬も喜びで染まったようでした。


  2006.6/28  作者 ぷちろーど・あき



Tomato Diary (No.1)