お散歩好きなトマト王子には、たくさんのお友達がいました。
中でも、毎日のようにお話しても飽きないアズキちゃんと言う女の子がいました。
アズキちゃんは赤いホッペの幼顔に似合わず、活動的な車が大好きで、いつも何処からともなく車でブ〜ンと走ってきて、愉しく歩いているトマト王子をビックリさせる不思議な女の子でした。
この日もやっぱり何処からともなくやって来て、軽くクラクションを鳴らし無邪気な笑顔を見せました。
「あ、アズキちゃん、今日は何処行くの?」
「七夕村の盆踊り大会の準備よ。打ち上げ花火もあるんだって。もちろん、アズキの好きな線香花火もあるんだよ。トマト王子も来るでしょ?」
「ん〜〜〜、どうしようかなぁ〜。夜はお星様とお話するんだよ。・・・打ち上げ花火だとお星様が見えなくなっちゃうから・・・隣町の静かな山へ行くところなんだけどぉ・・・」
トマト王子の言葉に少なからずショックを受けたアズキちゃん。
アズキちゃんはお星さまとのお喋りも好きだけど、夏の夜空を彩る花火も大好きだったのです。
でも、トマト王子の素直な気持ちも分かったので、一緒に花火を見ることは諦めました。
二人の間に少し重い空気が漂い始めたころ、ギラギラ太陽が言いました。
「ただ今の時刻は、影も出来ない時間です。日陰でお話するか、see you again にしたら?」
アズキちゃんが言いました。
「そうだね、じゃ、またにしよう! あのさ、最後の花火が上がる時間は、夜の9時半。その時間になったら、七夕村の方角を見てね。きっとよ、約束ねっ!!」
そう言い終わると、アズキちゃんは村へと車を走らせ行ってしまいました。
村に到着したアズキちゃんは、大急ぎで花火師のヒゲ爺に頼み事をしました。
ヒゲ爺は、厳つい顔をさらに厳つくさせて言いました。
「成功するかどうか、一か八かの大勝負になるぞっ!覚悟はできてるか?! アズキ!!!」
「だいじょうぶよ、ヒゲ爺。弾けるのはアズキの得意技だもん!!」
ヒゲ爺は、しぶしぶアズキちゃんのサイズを計り、綿密な計算をして火薬の配置を整え、急ぎ仕事に精を出し始めました。
ギラギラ太陽も眠りについて、盆踊り大会も盛大に行われている頃、アズキちゃんはヒゲ爺に呼ばれました。
「パラシュートボタンはこれだ! 万が一、危ないと思ったら使うんだぞ!」
アズキちゃんは大きく頷くと、ヒゲ爺の作ったカプセルに笑顔で収まりました。


その頃、トマト王子は隣町の静かな山頂で七夕村を背にしてチョコンと座りながら、楽しくお星様と語り合っておりました。
お星様が言いました。
「太陽さんからお手紙を貰いましたよ。9時半頃になったら、七夕村の方角を向いて両手を広げて待っているように。受け損なうと大怪我をしますよ。って書いてありました。そろそろ9時半時分です。トマト王子さん、準備はOK?」
お星様からの意外な話に、慌てて時計を見ると、本当に9時半間近になっています。
「そうだった、アズキちゃんから言われていたんだっけ。。。」

時計の針が9時半をさしました。
七夕村を向いて両手を広げて構えていると、村の方角の空がパッと明るくなっただけで何も変わりません。
でも、そのまま暫く両手を広げていると、パラパラ、パラパラと何かが降ってきて、ドンッと両手に重い物が当たり、そのあまりの衝撃に何かを抱えたまま、山からコロコロッと転がるだけ転がってしまいました。
トマト王子の目からオモチャのお星様がキラキラ回り、やっとの思いで受け止めたものをシゲシゲ見ると、なんと、煤だらけの黒い顔をしたアズキちゃんだったのです。
「アズキちゃん、アズキちゃん! だいじょうぶ?」
アズキちゃんは、薄目を開けてニコッと笑い、無言でギュッとトマト王子にしがみつきました。
アズキちゃんのお願いごとは・・・・・・叶うのでしょうか??? ♪
おわり
(作者 ぷちろーど・あき)
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