小さな物語表紙  T  U  V  W  X  Y  Z  [



        U 旅のはじまり


あてもなく歩くエルちゃんとニジちゃんの耳に聞えてきたのは、 鈴の音を転がすような甘く美しいセレナーデ。
歩き疲れたうえに空腹のふたりにとって、その音色は木馬に揺られているような心地よい優しいしらべでした。



      


音に誘われるまま歩き続けると、そこにはガラスの靴を履き、 色とりどりの鈴のネックレスをつけた少女が、朝露に濡れた苺を摘みながら唄っていました。

ガサッ…エルちゃんとニジちゃんが踏む草の音に、驚いて振り向いた少女と目が合いました。

「あっ、あのぉ〜…僕はエルって言うの。白い山と黒い海を探しているんだ!知ってたら教えてくれない?」

そう言いおえると、お腹のむしがたまりかねたように、グゥゥッ〜と鳴りました。
少女は可愛い声をたてて笑いながらいいました。

「ママが作ってくれた中華まんがあるから、一緒に食べましょ♪」

少女の名前は鈴音ちゃん。
鈴音ちゃんは二人の探検の話を、目を輝かせて聞きました。


「その白い山と黒い海の話はママから一度だけ聞いたことがあるわ。
でも、よく知らないの…
そうだ! 森の博士に相談に行ってみない?!」

  

    



   
        

             

         

そう言うと鈴音ちゃんは、森の博士の家まで案内してくれました。
森の博士の家は大きくてお部屋がたくさんありました。


博士のリンデさんは家の中でも帽子をかぶり、パイプを片時も放しません。

「やぁ〜鈴音ちゃん、久しぶりだね…
おやっ?見慣れない友達と一緒だね…まぁ〜お茶でもどう?」



妹のレナさんはクルクル巻き毛で赤いドレスがお気に入りの笑顔の可愛い人でした。

「あらっ、いらっしゃい。今日は賑やかになりそうね…うふふっ」


年の離れた弟のじゅん君は、木から木へ飛び移れるほどの身軽さで、動物たちとも仲良しの優しい子でした。


「やっほぉ〜何が始まるんだい?鈴音ちゃんの持ってるのは…」


目ざとく鈴音ちゃんのお土産を見つけたじゅん君。みんなでソファに座り、さっそく鈴音ちゃんの手作り苺パイを食べながら話始めました。
リンデさんの言うには、



「海のことは人魚のショーコちゃんに、そして、山のことは若葉のナオミちゃんに聞くのが一番だよ。まっ、今夜はゆっくりして明日出かけよう!」

こうしてエルちゃんとニジちゃんは、レナさんお手製のご馳走と、お日様の匂いのするフカフカッのベッドで夢の世界へと…。