小さな物語表紙  T  U  V  W  X  Y  Z  [



    W 葡萄色の洋服


みんな疲れて、その日はグッスリ眠りました。
今日は若葉のナオミちゃんを訪ねることにしました。

途中、カラクリオルゴールを奏でてる、おじさんにレナさんが聞きました。


「あっ、あのぉ〜……若葉のナオミちゃんちは何処かしら?」

するとおじさんは、少々迷惑顔で言いました。


                                     
「そこを真っ直ぐ行って、左に曲がって、S字カーブを歩いて、バラのトンネルをくぐって、水車を見ながら口笛吹いて逆立ちしたらナオミちゃんに逢えるよ」

と、トンチンカンな説明をしてくれました。



                          


                   
                                    
みんなでドンドコ歩くと、S字カーブは頭がふらふらする程曲がりくねってて、バラのトンネルは雨の雫がポタポタ落ちて、雨上がりの少し蒸した空気にバラの香気が強く、酔うほどでした。みんなおしゃべりする元気も出ないほど歩き疲れていました。

「みんなぁ〜口笛でも吹いて元気だそうよ!!」っとリンデさんが言いました。

そしてカラクリオルゴールのおじさんが言った「逆立ち」をエルちゃんとレナさんがしました。
                         

すると不思議なことに風がスゥ―と吹いてきて、木々の間から一本の小道が現れました。
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そして、そこには「ようこそ♪若葉のナオミ家へ」のプレートがありました。

ナオミちゃんは、木陰で籐の椅子に座り、葡萄の汁で染めた毛糸で葡萄色の帽子を編んでいました。

じゅん君が声を掛け、真っ白な山のことを尋ねました。

「こんにちはぁ〜ナオミちゃん!!ちょっと聞きたいんだけど、
ここら辺に真っ白な山があるんだってね? 知ってるぅ?」


するとナオミちゃんは言いました。

「みなさんお揃いでいらっしゃい♪ 真っ白な山のこと? 知ってるわよ。もぉ何万年も真っ白なままなのよ…心の貧しい魔女の魔法が解けない限り、元には…どうしても行くのなら、この葡萄色の洋服と帽子を持って行って!きっと役に立つわ!!」

ナオミちゃんは二人分の洋服と帽子に髪飾りをくれました。


ナオミちゃんの指差す先を、望遠レンズで覗くと真っ白な山がそびえているのが見えました。
ブルブルッ…エルちゃんは武者震いしながら言いました。

「リンデさん、じゅん君、レナさん、ここから先はニジちゃんと二人で行くことにします。
明日の昼までに僕らが戻らない時は、真珠の涙を貰いに行ってください。そして、せめて海だけでも元の青い海に戻してください…」
と頼みました。











みんなと分かれてニジちゃんとエルちゃんが山に近づくと何やら微かに動いています。

ナオミちゃんのくれた葡萄色の洋服を着た二人が見たものは、真っ白な無数の白いフクロウが羽を広げ山全体を覆っていたのです。

ニジちゃんが山の裾野の一羽のフクロウに聞くと、怯えるような震える声で「魔女の好物は極上のワインだよ。」と言いました。

ニジちゃんとエルちゃんは葡萄色の帽子や髪飾りを小川に浸し、何度も絞りました。
すると、なんとも綺麗な葡萄色のジュースができ、フクロウの羽を一枚入れると見事な芳香のワインになりました。

たった一本のインチキワインを持って、山の頂きに見える魔女の館へと勇んで踏み出す二人の頭上には、夏だと言うのに静かに雪が降り始め、そして、天使の鳴らすベルが聞えました。