小さな物語表紙  T  U  V  W  X  Y  Z  [



    X.魔女の館へ

エルちゃんとニジちゃんは、みんなの願いを込めて、作ったワインに緑の森のラベルを貼り魔女の住む館まで、雪深い道なき道を、膝まで雪に埋もれ必死で進みました。
凍える手を合わせ空を見上げると…真っ白な雪の中から動く光が見えました。
それは…微笑む天使の姿でした。

天使は手招きして、「さぁ〜もぉ少しよ、入口はここよ。この木の根元をご覧なさい」と言うのです。
二人がしゃがんで根元を覗き込むと、魔女の館へ通じるドアがあり、2本の剣に赤い模様の紋章が見えました。
おそるおそるドアに手を伸ばすと鍵がかかっているようです。


「どうしよう…ニジちゃん…鍵が…音を立てたら魔女に気づかれちゃうし…」

困り果ててる二人の目の前を何かが猛スピードで横切りました。なんと3匹の熊が猛ダッシュして走り去って行ったのです。



   




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慌てたエルちゃんは叫びました。

「ウワァ〜 な、な、なんだよぉ〜 あっちへ行け!!」

エルちゃんは左手にワインを持ち、右手でニジちゃんを庇うようにしながらハチャメチャに手を振りました。

とその時、エルちゃんはバランスを崩して、抱えていたワインがポチャンと波打ったかと思ったら、ワインの雫が辺りに飛び散り、大きなドアの紋章にも降りかかりました。
すると……不思議なことに音も立てずにドアが開いたのです。

ナオミちゃんの編んでくれた帽子や髪飾りは、温かい愛情に溢れる特別な葡萄で作られたものでした。その葡萄から作られたワインは、さらに愛情が熟成されていて、魔女の館の凍りついた鍵さえも溶かしてしまう程、温かく育っていました。










喜んだのも束の間、開いたドアの隙間からは地の果てまでも凍りつきそうな冷たくて、息も出来ないほどの強い風がエルちゃんとニジちゃんを襲います。

高圧的な魔女の声が聞えました。

「断りもなく館に忍び込むのはダレだぁ〜!」

声の行く手を捜すと、全身24金で散りばめた魔女が、宙に浮かんでいました。そして次の瞬間、魔女は両腕をクロスさせたかと思ったら、いきなり突風を二人めがけて吹き込んできました。

「アブナイ! ニジちゃん、僕の後ろに隠れて!!」

そう言って、ニジちゃんがエルちゃんの背後に回り、エルちゃんが身体を縮めた瞬間、左手に持っていたワインの瓶が宙に浮き、ワインが冷たい突風に乗って空高く舞い上がり竜巻となって、今度は魔女めがけて猛烈な勢いで動いていきました。