無銘 925SVイングリッシュレバークロノグラフ

 ケースは925SV。年代に関しては現在調査中ですが、思っていたより古い鴨知れません。まぁ古いと言ってもイングリッシュレバーですからポケットウォッチの歴史からすれば近代的なものです。分針時針、クロノグラフツマミ(2時位置ケース外側)は金無垢とのこと。
 鍵はゼンマイの巻き上げと時間合わせに必要、すなわちリューズの働きをします。

 クロノグラフツマミを6時方向にズラすとハミルトン マスターナヴィゲーションのように秒針が停止しますので、秒針を動かしはじめた時から秒針を止めた時までの時間を計測できるわけです。「クロノグラフ」と言ってもそれだけの他愛のないもの、ゼロ復帰機構はありません。またバランスに針金を突っ込んで時計自体を止めてしまう機構のため、クロノグラフとして使うと時間が狂ってしまいます。同様に、ポケットに入れているとツマミが動いて勝手に停止し、時間が狂ってしまうことがあります。鍵は紛失が怖ろしく外出時にはまず持ち出さないし、鍵がないと時間を合わせられませんから、その意味では実用的ではありません(^o^;

 誤差を計測してみたら日差5秒以下、「古いものですから」を枕詞によく聞く「日差1分程度の誤差も仕方がない」「修理できません」という決まり文句は、状態と品質が良い機械に関しては怠慢か無能です。

 機械には金メッキがされています。スイス製の特徴は分割プレートですが、イギリス製は2/3プレートといって防塵のため機構を覆っているのが特徴、下の写真を見て頂ければ分かる通りバランスの周囲しか見えていません。ちなみにドイツ製の特徴は3/4プレートです。まぁ2/3だの3/4だのってのは厳密な分数ではなさそうですが。

 裏蓋は通常通り二重です。外蓋の裏に入っているのは修理をした時計商が入れた「修理済」を証する紙です。

 石は現在一般に使われているルビーではなくガーネットのようです。無論実用上の影響はありません。今でこそ石はルビーと決まってしまっていますが、昔の時計では珍しくないことで、サファイアやダイヤモンドを入れた製品もあります。一度など1804年イギリス製の時計で中心の石に2ct近いのではないかとも思われる美しいカットダイヤモンド(歯車を上下から留めているので2個1セット)を使っている時計を見たことがあります(T_T)4949

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トビアス バージ

 △11が身柄をお預かりしている中で一番古い時計です。

 脱進機が、古い時代にはメジャーだったバージ式です。
 1850年頃から格段に精度の高いイングリッシュレバー式が主流になりますので、それよりも古いということになります。

 巻き上げはフュージーチェーンです。
 巻貝状の歯車にチェーンを掛けて、ゼンマイが巻かれている時と緩い時のトルクを揃えています。このチェーンが圧巻で、肉眼で見てもただの糸にしか見えませんが、自転車やバイクのチェーンと全く同じ構造の縮小版なのです。

 ケースは表と裏両方が簡単に開きます。
 裏蓋を開くと中蓋に穴が明いていて、そこが巻き上げの鍵穴です。普通の時計は時計周りに巻きますが、フュージーチェーン式の時計は反時計周りです。ラチェットが入っているので普通の時計の方向に「巻く」と壊れますので注意が必要です。
 表蓋を開いて針の軸に鍵をセットして時間合わせです。表蓋を開いている間は繊細な針がむき出しですので充分な注意が必要です。
 機械を見るには、表蓋が開いた状態で文字盤の横にあるノッチを押して機械を手前に起こします。

 時間は結構狂いますので、現代人から言うと実用性はありません。当時は時計を持って歩けるだけで充分だったのでしょう。

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