〜フレドリック・ブラウン〜
フレドリック・ブラウンの第二短編集『まっ白な嘘』(Mostly Murder)
についてみていきましょう。短編集のタイトルの日本語訳は、
収録されている作品『まっ白な嘘』(A Little White Lie)から取ったものです。
1940年から1949年までの作品を収めたもので1953年に出版されました。
フレドリック・ブラウンは、ミステリー、SF、普通小説と
幅広いジャンルにわたって執筆し、短編だけでなく長編も書いています。
この短編集はミステリーに近いものであり、
そのため、オチが一種謎解きの要素をもっています。
オチの意外性を楽しむという点では、サキなどと、同じではあります。
しかし、オチの持つ重さは違うのです。
O・ヘンリーやサキでは、淡々と物語が進み、最後に思わぬ落とし穴を用意すると
いった感じだったのですが、オチをより効果的に演出するために
オチまでの文章はその先のオチの存在を読み手に悟られてはいけないし、
ストーリーはごく平凡なものでなくてはなりませんでした。
その点ブラウンの作品では、あらかじめ謎が出されているため
読み手はその答えを知ろうとし、自分なりに考えようともします。
謎解き、つまりオチが存在することは、はじめから
明らかにされていて、オチの存在に対する意外性はありません。
彼の作品ではオチの内容が意外性を与えるのです。
つまり、オチを光らせるためには、読み手の関心をオチに向け、
オチに意外性をもたせるだけのストーリーが必要になるのです。
故に、オチだけではなくストーリーにかかる重みも大きく、計算しつくさ
れたストーリー展開となっています。ロバート・シェクリーに
比べるとオチは明らかにブラウンの作品の方が重要な要素として扱われています。
しかし、登場人物に個性のない点や精神的なものが描かれていない点は
両者に共通の特徴だといえるのではないでしょうか。