1998年10月7日   網走〜摩周〜釧路


夜通し走りつづけたオホーツク9号は、朝の6時過ぎには、終着駅網走に到着する。

車内のざわつきに目を覚ますと、列車はその網走駅に着くところだった。

支度をしているヒマもなく、到着。

網走。寒い。吐く息が白い。函館とはだいぶ違う。大阪とはもっと違う。

そして、ここにも、ホームの駅そばがあった。ホームといっても、改札側だけど、

冬も営業しているのでしょう。さすがです。敬意を表して、朝食はここのそばを食う。

北海道に来て、何食目のそばだろうか。

 

駅前に出ると、ごく普通の地方の駅前に見えるけれど、

よくみると、壁などは、レンガ風に模してあり、網走監獄を踏まえたものなのでしょう。

公衆電話のボックスには、巨大なニポポの木彫りが(本当に木なのか分からないけど)置いてあり、

さすがに網走にきたということを、少しずつ感じさせます。

しかし、駅前にしては活気がない。時おり、高校生が集団でバスから吐き出されるくらい。

それもそのはずで、網走の市街地は、網走川に沿って、1kmほど東の海よりなのです。

あんまり朝早いので、見るところも開いていなければ、そこへ行くバスもなく、

街中を適当にぶらぶらした後、たまたまやってきたバスで、網走刑務所に向かいました。

網走刑務所正面。右端はニポポの公衆電話。

網走川にかかる橋を渡ると、レンガの塀で囲まれた刑務所が左に広がり、

もちろん、その中を窺い知ることは出来ません。しかし、正面には、刑務所の歴史や現状の説明書きと

受刑者の工芸品の売店、そして、ここにも、でかいニポポの乗った電話ボックス。

ニポポは、受刑者が、所内の労働で作ったものなのです。

説明書きによると、現在、ここに収監されている人は、比較的罪の軽い数年で出る人だそうです。

 

丘のほうに博物館網走監獄というのがあって、もっと詳しく知ることが出来るようですが、

これもまたの機会ということで、駅に戻りました。

北海道は、再びでも、何回でも、訪れたいところです。今回はとりあえず一週の予定で、

何か、将来訪れるための下見になってしまいそうです。それだけ見所は多いのです。

 

駅に戻って、釧網線の快速に乗り、釧路へ向かっての山越えです。

快速しれとこは、1両にもかかわらず、わりと多くの客を乗せて、出発しました。

オホーツク海に面した線路をひたすら東に向けて走りつづけます。

知床斜里では、わりと多くのお客さんが入れ変わりました。

進路を南に変え、今度は、摩周湖と屈斜路湖の間の山へ向かって、斜里川沿いの原野を進んでいきます。

 

しかし、しかしこの列車。北海道特有の防寒設計なのはいいけど、

車窓の景色はほとんど楽しめない。

デッキ式で、どうしても壁などが多くなるのは分かるのですが、窓も小さく、景色が見難いのです。

地元の人にとっては、これでいいのでしょうが、見たところ半数は観光客。

京都の叡山電鉄の「きらら」とまでは行かなくても、引退しかけのジョイフルトレインの車体を使うなど、

もっと明るく、展望の効く車内にして欲しいと思いました。

 

摩周駅着。比較的ふつうの駅。駅を出ると、どこにでもありそうな街角。

少し歩くと、弟子屈(てしかが)バスターミナルという、古い建物がありました。

ここから、摩周湖、川湯温泉、硫黄山、屈斜路湖へと、阿寒バスパノラマコースが設定されています。

自分の目指す停留所まで乗るという点では、ふつうの路線バスのようですが、

観光バスの車両が用意され、各観光スポットでは30分程度ずつ停車していくので、定期観光バスのようです。

とりあえず、時刻表とにらめっこした後、屈斜路湖の和琴半島までの切符を買い求め、

13:05の便に乗り込みました。車内はさほど混雑しておらず、のんびり出来ます。

20分ほどで、摩周湖第1展望台に到着、自由時間となります。

湖岸は急な斜面になっており、近づくことはできませんから、展望台からの眺めになります。

さすがに、この日は霧は出ていなかったのですが、人を寄せ付けない神秘の湖の雰囲気はつかめました。

摩周第1展望台から見る摩周湖

 

摩周湖第3展望台は通過、次に下車するのは、硫黄山。標高510mの小さな活火山ですが、

山腹は、全体に黄色っぽい岩場になっており、足元の岩場の下からでも、噴気口から噴煙を上げ、

硫黄臭と熱を感じます。こんなに間近で見られるのは、たいへん興味深いものです。

硫黄山

 

屈斜路湖畔にバスが進むと、まず、砂湯に停車。砂を掘ると温かい湯が出てくる場所で、

無料温泉でした。もともと屈斜路=「クッチロトウ」で、アイヌ語の「温泉」だそうです。

さすがに、道路沿いで、入っている人はいませんでした。夏場はキャンプなどで賑わうでしょうね。

 

そして、屈斜路湖の南端、和琴半島でバスを下車。湖畔の温泉に数人の人がいるくらいで、

売店の横をすり抜けて湖畔に立つと、あとは人影もまばらな湖が広がっています。

時おり人が通るとき以外は、静まり返っており、ちょっとした藪の中に入ると、恐いくらいです。

ちょうど、日没の直前の時間帯で、西の湖畔の向こうの山に、夕陽が落ちるところでした。

それが雲と湖面を染めていく様は、柄にもなく見とれてしまいました。絶景です。

日暮れの屈斜路湖

だいぶたって、逆向きのバスがやってきて、川湯温泉まで戻り、

乗り換えてJR川湯温泉行きのバスに乗りました。途中の車窓からシカを何頭か見ました。

 

そしてJR川湯温泉駅。山小屋風の三角屋根が特徴の、こじんまりした駅に入り、

列車を待っていると、足元に動くものが。キツネではないですか。黄色のちょっと茶色がかったキツネ。

驚いた。まるで犬か猫のように、人の近くに寄ってくるキツネ。もちろん動物園以外で見るのは初めてです。

この時間に列車が来るのを知っていて、観光客からえさを貰いに来るのでしょうか。

隠れたかと思うと、今度はホームの方から顔を出したりと、なかなか遊び慣れた可愛いヤツでした。

 

キツネに見送られて、川湯温泉駅をあとにすると、標茶を通って釧路に向かいます。

地元の高校生も乗ってきて、僕にとって非日常の風景も、彼らには平凡な風景なんだと思い知らされます。

釧路湿原の端を通過しているのですが、もう真っ暗で何も見えません。

というか、人工の光が地上側にないところを、列車はひたすら走っていくわけです。

運転手も心細いでしょうね。

 

釧路到着。今日は釧路に宿泊です。

 

さて、明日朝は、根室に向かうつもりだったのですが、

少し前の台風の影響で、JR花咲線は一部不通とか。どうしようかな。