夜通し走りつづけたオホーツク9号は、朝の6時過ぎには、終着駅網走に到着する。
車内のざわつきに目を覚ますと、列車はその網走駅に着くところだった。
支度をしているヒマもなく、到着。
網走。寒い。吐く息が白い。函館とはだいぶ違う。大阪とはもっと違う。
そして、ここにも、ホームの駅そばがあった。ホームといっても、改札側だけど、
冬も営業しているのでしょう。さすがです。敬意を表して、朝食はここのそばを食う。
北海道に来て、何食目のそばだろうか。
駅前に出ると、ごく普通の地方の駅前に見えるけれど、
よくみると、壁などは、レンガ風に模してあり、網走監獄を踏まえたものなのでしょう。
公衆電話のボックスには、巨大なニポポの木彫りが(本当に木なのか分からないけど)置いてあり、
さすがに網走にきたということを、少しずつ感じさせます。
しかし、駅前にしては活気がない。時おり、高校生が集団でバスから吐き出されるくらい。
それもそのはずで、網走の市街地は、網走川に沿って、1kmほど東の海よりなのです。
あんまり朝早いので、見るところも開いていなければ、そこへ行くバスもなく、
街中を適当にぶらぶらした後、たまたまやってきたバスで、網走刑務所に向かいました。

網走刑務所正面。右端はニポポの公衆電話。
網走川にかかる橋を渡ると、レンガの塀で囲まれた刑務所が左に広がり、
もちろん、その中を窺い知ることは出来ません。しかし、正面には、刑務所の歴史や現状の説明書きと
受刑者の工芸品の売店、そして、ここにも、でかいニポポの乗った電話ボックス。
ニポポは、受刑者が、所内の労働で作ったものなのです。
説明書きによると、現在、ここに収監されている人は、比較的罪の軽い数年で出る人だそうです。
丘のほうに博物館網走監獄というのがあって、もっと詳しく知ることが出来るようですが、
これもまたの機会ということで、駅に戻りました。
北海道は、再びでも、何回でも、訪れたいところです。今回はとりあえず一週の予定で、
何か、将来訪れるための下見になってしまいそうです。それだけ見所は多いのです。
駅に戻って、釧網線の快速に乗り、釧路へ向かっての山越えです。
快速しれとこは、1両にもかかわらず、わりと多くの客を乗せて、出発しました。
オホーツク海に面した線路をひたすら東に向けて走りつづけます。
知床斜里では、わりと多くのお客さんが入れ変わりました。
進路を南に変え、今度は、摩周湖と屈斜路湖の間の山へ向かって、斜里川沿いの原野を進んでいきます。
しかし、しかしこの列車。北海道特有の防寒設計なのはいいけど、
車窓の景色はほとんど楽しめない。
デッキ式で、どうしても壁などが多くなるのは分かるのですが、窓も小さく、景色が見難いのです。
地元の人にとっては、これでいいのでしょうが、見たところ半数は観光客。
京都の叡山電鉄の「きらら」とまでは行かなくても、引退しかけのジョイフルトレインの車体を使うなど、
もっと明るく、展望の効く車内にして欲しいと思いました。
摩周駅着。比較的ふつうの駅。駅を出ると、どこにでもありそうな街角。
少し歩くと、弟子屈(てしかが)バスターミナルという、古い建物がありました。
ここから、摩周湖、川湯温泉、硫黄山、屈斜路湖へと、阿寒バスパノラマコースが設定されています。
自分の目指す停留所まで乗るという点では、ふつうの路線バスのようですが、
観光バスの車両が用意され、各観光スポットでは30分程度ずつ停車していくので、定期観光バスのようです。
とりあえず、時刻表とにらめっこした後、屈斜路湖の和琴半島までの切符を買い求め、
13:05の便に乗り込みました。車内はさほど混雑しておらず、のんびり出来ます。
20分ほどで、摩周湖第1展望台に到着、自由時間となります。
湖岸は急な斜面になっており、近づくことはできませんから、展望台からの眺めになります。
さすがに、この日は霧は出ていなかったのですが、人を寄せ付けない神秘の湖の雰囲気はつかめました。

摩周第1展望台から見る摩周湖
摩周湖第3展望台は通過、次に下車するのは、硫黄山。標高510mの小さな活火山ですが、
山腹は、全体に黄色っぽい岩場になっており、足元の岩場の下からでも、噴気口から噴煙を上げ、
硫黄臭と熱を感じます。こんなに間近で見られるのは、たいへん興味深いものです。
硫黄山
屈斜路湖畔にバスが進むと、まず、砂湯に停車。砂を掘ると温かい湯が出てくる場所で、
無料温泉でした。もともと屈斜路=「クッチロトウ」で、アイヌ語の「温泉」だそうです。
さすがに、道路沿いで、入っている人はいませんでした。夏場はキャンプなどで賑わうでしょうね。
そして、屈斜路湖の南端、和琴半島でバスを下車。湖畔の温泉に数人の人がいるくらいで、
売店の横をすり抜けて湖畔に立つと、あとは人影もまばらな湖が広がっています。
時おり人が通るとき以外は、静まり返っており、ちょっとした藪の中に入ると、恐いくらいです。
ちょうど、日没の直前の時間帯で、西の湖畔の向こうの山に、夕陽が落ちるところでした。
それが雲と湖面を染めていく様は、柄にもなく見とれてしまいました。絶景です。

日暮れの屈斜路湖
だいぶたって、逆向きのバスがやってきて、川湯温泉まで戻り、
乗り換えてJR川湯温泉行きのバスに乗りました。途中の車窓からシカを何頭か見ました。
そしてJR川湯温泉駅。山小屋風の三角屋根が特徴の、こじんまりした駅に入り、
列車を待っていると、足元に動くものが。キツネではないですか。黄色のちょっと茶色がかったキツネ。
驚いた。まるで犬か猫のように、人の近くに寄ってくるキツネ。もちろん動物園以外で見るのは初めてです。
この時間に列車が来るのを知っていて、観光客からえさを貰いに来るのでしょうか。
隠れたかと思うと、今度はホームの方から顔を出したりと、なかなか遊び慣れた可愛いヤツでした。
キツネに見送られて、川湯温泉駅をあとにすると、標茶を通って釧路に向かいます。
地元の高校生も乗ってきて、僕にとって非日常の風景も、彼らには平凡な風景なんだと思い知らされます。
釧路湿原の端を通過しているのですが、もう真っ暗で何も見えません。
というか、人工の光が地上側にないところを、列車はひたすら走っていくわけです。
運転手も心細いでしょうね。
釧路到着。今日は釧路に宿泊です。
さて、明日朝は、根室に向かうつもりだったのですが、
少し前の台風の影響で、JR花咲線は一部不通とか。どうしようかな。