目次
1-シックハウス症候群とは何なのか?
2-室内汚染(化学物質拡散)が及ぼす体への影響は?
3-家の中にある、化学物質を調べよう。
4-「シックハウスにならない為の対応策」
5-健康建材を知る

1-シックハウス症候群とは何なのか?
みなさんは「シックハウス」という言葉を聞いたことがありますか?
シックハウスとは、住宅内に放出された化学物質の影響により、頭痛、吐き気、目の痛みなど様々な健康被害を生じさせる現象のことです。症状は人によって様々で、発症の仕組みも未解明な部分がたくさんあり、近年大きな社会問題になっています。人体に影響を及ぼす可能性のある化学物質には、揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン等でVOCといいます。)や有機リン系殺虫剤のクロルピリホスなど色々なものがあります。これらの化学物質は、建材に使用された接着剤や塗料、防虫剤などから放出され、室内の空気を汚染するのです。
「アメリカでは、次のような事件が起きました。退役軍人のパーテイで、参加者の多くが中毒症状を訴える事件がありました。その事件の原因は空調ダクトにジオネレラ菌(最近日本でも24時間風呂で問題になりました)が繁殖し、パーティー会場に菌が散布されてしまった」、この事件から、1件のビルで多数の人が体の異常を訴える現象を「シックビル症候群」と呼ぶようになりました。この事件を、 病気を引き起こす家(住まい)を日本では[シックハウス]と呼ぶようになり、1996年頃より使われ始めました。この病気は、家屋を新・改築した直後に頭痛や吐き気など原因不明の症状に見舞われます。正式名称は「シックハウス症候群」(新築症)と呼びます。その原因は、建材や塗料などに含まれている化学物質(ホルムアルデヒド、トルエン等)が気密性の高い室内に放散されているのが原因です。同時に「化学物質過敏症」と言うものもありますが、同一のものではありません。「シックハウス症候群」を経由して「科学物質過敏症」になる様なケースは考えられます。

2-室内汚染(化学物質拡散)が及ぼす体への影響は?
2-1「シックハウス症候群」の場合
新築、改築を終えたばかりの室内に入ると、目やのどが痛くなったり、頭痛がしたり、喘息発作が起きたり、アトピー性皮膚炎が悪化したりします。図-1を見てください。健康への影響は、アレルギーと精神的に偏重をきたすことが分かりますね。最近の傾向である、(すぐにキレル現象・家庭内暴力DV)と似ていますね。室内環境と関係があるのでしょうか?{住まいのO-157}と呼ぶ資料もありました。うまい呼び名ですね。
| 図-1 室内汚染による健康影響 |
| @本人または家族にアレルギー |
E頭痛、後頭部の痛み |
| A疲れやすい、慢性疲労 |
F怒りや感情を爆発させる |
| B記憶・思考力の低下 |
G判断力、注意力の低下 |
| Cイライラが高まる |
H仕事、生活への意欲の低下 |
| D朝すっきり起きられない |
I寝付きが悪く、日中眠気がある |
「第
5回日本臨床環境医学会 研究発表より」
2-2「化学物質過敏症」の場合
「化学物質過敏症」は、自律神経を中心とした、非常にたくさんの症状を呈するもので、図-2が主な症例です。これらの症状の現れ方は患者さんの住環境等(要因)で決まり、科学物質によって、特定の症状が出てくるものではありません。
| 図-2 「化学物質過敏症」の症状 |
| 自立神経障害 |
発汗異常、手足の冷え、易疲労性 |
| 精神障害 |
不眠、不安、うつ状態、不定愁訴 |
| 末梢神経障害 |
運動障害、四肢末端の知覚異常 |
| 気道障害 |
のどの痛み、渇き |
| 消化器障害 |
下痢、便秘、悪心 |
| 眼科的障害 |
結膜の刺激症状 |
| 循環器障害 |
心悸亢進 |
| 免疫障害 |
皮膚炎、喘息、自己免疫疾患 |
3-家の中にある、化学物質を調べよう。
家はたくさんの住宅用建材や塗料などに取り囲まれて暮しています。どの様な化学物質があるか調べてみましょう。家は有害物質のかたまりだったのです。
ホルムアルデヒド
無色で強い刺激臭のある物質。合板やパーティクルボードなどの建材、壁紙を張る際の接着剤などに含まれています。家具・キッチンセットなどに含まれている。

トルエン
通常は無色の液体、接着剤や塗料に使われています。

キシレン
無色透明の液体。接着剤や塗料に使われています。

木材保存剤
木材の防腐や防虫を目的とした薬剤。主成分に、クレオソート油やアルキルアンモニウム、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤などが使われています。

可 塑 剤
塩化ビニールなどの材料に柔軟性を与えたり、加工しやすくするために加える薬剤。ビニールクロスや断熱材、接着剤などに使われているものがあります。

防 蟻 剤
ケーブルや建物を白蟻の被害から防ぐために用いる薬剤。主成分は有機リン系殺虫剤や、ピレスロイド系殺虫剤。
畳
ほとんどのワラの畳には、有機リン系などの化学処理の加工紙が畳表と畳床の間 畳
の下に敷きつめられています。畳に薬剤を注射することもあります。マラカイトグリー
ンの着色料も使用。室内にも農薬蒸気が舞い上がるのです。プラスチック化学畳も要
注意です。特に畳に布団で寝ている人は、夜中、有害物質を吸い続けていることになります。畳は容易に交換できる建材ですから、防虫処理をしていない畳に交換しましょう。防ダニ効果がある炭化コルク、ヒバ、備長炭などを使った畳があります。安全な畳
の上で生活したいですね。
床下
シロアリ駆除には、現在は有機リン系やピレスロイド系の殺虫剤が使われています。そのシロ蟻駆除など薬剤を使用しない方法として、防虫効果を持つヒバオイルや木酢液などの建材を使用するとよいでしょう。床下の木材は、防アリ性の高い国産ヒバ、ヒ
ノキなど。床下には、炭を敷く。床下の風通しをよくし白アリの発生をおさえる手を考えましょう。
壁・天井材
発癌性もある塩化ビーニールクロスや、ホルムアルデヒドを使用しない。綿,麻、レーヨンなどの無添加、無処理の布クロス。和紙。水に強くて破れにくい、沖縄産の植物からつくった月桃紙を利用するとよいでしょう。壁も、火や水に強い珪藻土や、無添加の漆喰・土壁がベスト。
構造材
輸入材は、防腐・防カビ材が使用されている可能性があります。産地が確認できる天然国産素材のムク材がよいです。農薬処理してある国産もあるので要注意です。床は、ホルムアルデヒドを接着剤に使った合板フローリングが主流です。国産のムクを使ったものが安心できます。
塗 料
塗料やラッカー、ニスには有機溶剤が使用されています。短期間に揮発して、濃度も高いので、くらくらする。窓を開けて換気して、塗料が完全に乾いてなくなるのを待つことも考えられる。しかし、安心できる塗料として「ナチュレオイル」や「蜜ロウワックス」「セラミックス塗料」があります。

接着剤
よい建材を選んでも、接着剤も気にかけたいです。ノンホルマリンを使うこと。メチルセルローズ樹脂系接着剤やデンプンノリなどを使いましょう。
4-「シックハウスにならない為の対応策」
平成14年4月現在、建築基準法を改正し「シックハウス対策の義務化」を整備しています。これは、法の整備ではなく、設計者・施工者が当然理解し、実施するべき物です。又、住む側の皆さんも「シックハウス対策」を理解してください。いかに対策を紹介します。
4-1 高気密化と計画換気の重要な関係
断熱材が厚くなればなるほど隙間をふせぐ必要性が高まり、それは結果として高気密化につながるということです。そして、高気密になれば隙間風がすくなくなり、エネルギー的にも効率が良くなります。しかし、その一方では換気の問題コンクリートがでてきます。高気密になればとてもまかないきれないのです。換気用の開口の必要性が計画換気という概念に結びついてくる理由です。
4-2 計画換気
計画換気とは、どこから外気を取り入れてどこから排気するのか、この経路をはっきりさせるということです。人間一人当たりに必要な新鮮な空気は、1時間に20〜30立方メートルの換気ができる空気の流れをどのようにつくり出すか?これも今後の大きな課題になるでしょう。
4-3 換気の重要性
換気を心がけましょう。まず、家の室内換気を、行いましょう。室内の高気密化が、化学物質過敏症の原因につながっています。最近の住宅はエアコンなどにより窓を開ける回数が減っているようです。その点旧来の和風住宅 は日本の気候風土に(夏の高温多湿)に適応していました。
4-4 新築、リフォ−ムするときの注意点 (家を建てたい人へ)
設計者、施工者に、健康志向であることをはっきりと告げ一緒に勉強して、取り組んで下さい。
合板やフローリング゙にはJASで基準値を定めたFC0(ホルムアルデヒド0.5mg/g以下)のグレードがあります。パーチクルボード・繊維板にはJIS規格E0〜E2までのグレードがあり、壁紙については、自然素材の製品が多くあります。接着材を含め安全性を検討する必要があります。塗料、木材保存剤などにはこのような基準がなく、安全な材料を選ぼうとしても、何の目印もないのが現状で注意が必要です。現在(平成14年)、JIS規格の検討中。早い整備が必要です。

まめ知識
○ホルムアルデヒド放散量はWHO基準 0.08ppm以下です。
5-健康建材を知る
近年、健康志向建材と称して多くの商品が市場に出ています。それぞれ、
ノンフォルムとか低ホルムと宣伝していますが、ホルムアルデヒドが無い訳ではなく、含有量が基準値以下であることを理解し、
ゼロホルマリンを選択するようにしたいですね。
床材の種類
・レッドパイロンフローリング(欧州赤松、厚25mm、ムク材)
・青森ひばフローリング(ヒノキオール含有
厚12mm)
・なら、桧など各種ムク フローリング
・OSB(床下地材、ホルムアルデヒド濃度:WHO基準の1
/10)は、木質切片を圧縮成型したラワン合板に代わる構造用パネルです。
・天然リノリューム(コルク粉、松ヤニなどの天然素材が原料)
・珪藻土(植物性プランクトンが化石化した土。BLパウダーなど)
・竹、床、ココヤシ、使用の天然床材
・畳(防虫加工なし。炭化コルク入り畳など)
・フローリング材としては、
1-合板(ベニヤの上に木のうすい皮を張ったもの)。2-MDF(木のチップを細かくして、接着剤で圧縮し、ボード状にし、上に木の皮を張ったもの)。3-ムク板の3種がある。ただし、接着剤に注意が必要。
まめ知識
ノン・ホルムアルデヒドとはF−1の事でホルムアルデヒドは
含まれます。また
低ホルムアルデヒドとはF−2の事で、この合板を使って作った家では1ppmを超える数値が実際に測定されており、この合板を使うときは細心の注意が必要です。もし、ホルムアルデヒドを使わない合板の指定を受けたときにはノン・ホルムアルデヒドではなく、
F−0を使用してください。
抗菌フロアはF−2規格相当品です。
構造材(下地)材・ベニヤ・合板
・カナダ産針葉樹構造用合板(ゼロホルマリン)-屋根下地、壁下地、床下地材(画材としても使用可)
・ムク杉横接ぎ板(完全ノンホルム
)-屋根下地、壁下地、床下地材に最適。又、押し入れなどの床、壁仕上材としても使用可
・炭化コルクボード断熱材(コルク以外の異物や接着剤をくわえることなくコルク自身のヤニで結合)-燃やした時、有害物質が出ない、湿気に強く、浴室・洗面所などに最適、高温に強いので屋根断熱材に適しています。
壁 材の種類
・各種ムク材羽目板
・布クロス、和紙クロス、オーガニックコットン紙
・珪藻土
※壁はコスト的には壁紙が安いのですが、
フォルマリン有機リン系の可塑剤を使っているビニールクロスは駄目です。紙と布があるが紙クロスは防炎・防虫加工などしてあるものは当然有害です。
天井材の種類
・レッドパイロン(欧州赤松)
・珪藻土(BLパウダー)
・木毛板(木質繊維セメント板)
・和紙クロス、布クロス、土に還る壁紙などのエコ壁紙(接着剤やホルムアルデヒドを含まない物を使用)
塗装・ワックス等
塗装やワックスは仕上げの段階です。一番私たちに近い部分です。ですから、化学物質の含まない自然素材の製品がありますので、注意しましょう。
・アウロ天然水性塗料
・密ロウワックス
・柿渋