楽家 BookReview
1998年版
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  • ★3つ以上はお薦めです。★4つと★5つは個人的な好みや、 読んだ時の感情によって違っているだけで、ほとんどの場合は差がありません。

  • 右端の「有」は所有、「借」は図書館から借りた本、「古」は古本屋で買った本、 「貰」は人から貰った本であることを表わしています。

  • 1998年12月23日水曜日
    ★★★☆☆ 「空飛ぶ馬」北村薫東京創元社 1989年3月15日 p316
    デビュー作。なんとなく読みにくい所が多くて評価は低め。その中でも「砂糖合戦」だけは、なかなかに分かりやすい推理で現実にもありえそうだ。「喫茶店で砂糖を何十杯もいれる人がいたら、それは何なのか?」という疑問の推理である。なーるほどという奴である。全体としてはミステリというよりは青春小説だと思ったほうが楽しめる。

    1998年12月14日月曜日
    ★★★★☆ 封殺鬼シリーズ10・11「花闇を抱きしもの」霜島ケイ小学館キャンバス文庫 1996年2月1日/5月10日
    この作家は一作ごとに確実にうまくなっている気がする。まぁ、今回はなんとなく小野不由美の「図南の翼」に似ている感じも少し無いわけではないが。良い意味でも悪い意味でも。さて、今回も外伝だが、完全とは言わないけど時代背景をそれなりにつかんでいるし、ストーリー立てもうまい。この作家の特徴として食事のシーンがうまい。主役のひとり聖がよく食事を作るのだが描写が、池波正太郎なみに食欲をそそるのである。昔読んだヤングアダルトファンタジー小説作家で食事シーンに気をつかって池波正太郎なみに書いている、とのたまった作家がいたが、それがぜんぜんピンと来なかったのに対して、この人は食事シーンは本当に食ってみたくなる。まぁ時代背景が架空世界ではなく、日本だからかもしれないけど。

    1998年12月8日火曜日
    ★★★★☆ 「夜の蝉」北村薫東京創元社 1990年1月20日 p247
    とっても面白かったけど、「スキップ」の後ではちょっと物足りなくて4。実は読んだ後分かったけど、連作短編集の2巻であった。こういう読み方はしない人間なのでショックだけど、それに気づかないぐらい問題無かったのでよしとしよう。
    この作家は本当に物知りでボキャブラリが豊富なのでうらやましい。主人公の女子大生の女の子に感性のいい言葉をつむぎ出させている。本書は殺人の無い、さりげない日常のミステリなので疲れなくていい、という特徴がありヤングアダルトのように読みやすく、楽しい気分になれる。でも元覆面作家の北村薫は確か男性のはずだが、今までの2冊を読む限り、女性なのではと思ってしまうぐらい、女性の気持ち?が分かっているような気がする。

    1998年12月4日金曜日
    ★★★★★ 「スキップ」北村薫新潮社 1995年8月20日 p428
    今から25年後に飛んでしまったらどんな気分だろう。世の中が変わっていてもしかしたら興味深くて面白いかもしれない。でも体も25年年取っていたら、それはとても哀しい。 − そんな話である。でもこんな楽しい国語の授業をしてくれる先生がいたらとても面白かったのは間違いないし、人間の道筋も変わっていってしまうに違いない。また演劇の筋も面白い。カエル語も耳に心地よかったのでここに記す。

    るてえる びる もれとりり がいく
    ぐう であとびん むはありんく るてえる。けえる さみんだ げらげれんで。
    くろおむ てやらあ ろん るるむ かみ う りりうむ
    なみかんた りんり。なみかんたい りんり もろうふ ける げんげ しらすてえる
    びる さりを とうかんてりを。いい びりやん けるせえた

    巻末によると草野心平「ごびらっふの独白」からの引用だそうだ。ここで出てくる演劇の子、箱入り娘は池ちゃんの娘かなぁとも思ったが違った。また新田君はきっとスキップさせた神様かなと思って最後の舞台上のシーンを読んでいたが、ああきたのは驚いた。でもうなづけるよね。想像力豊かな人に言葉を教えてもらった人はきっと前向きに生きられるのかもしれない。あーうらやましいなあ。自分はこんな貧弱な文しか書けないし。学生というのもうらやましいけど。
    最後に付記で作者も言っているが「リプレイ」という名作が出たので似たアイデアの作品を出すのは少し気が引けたそうだ。でも本当に面白くて気持ちがいい作品を読んだのは久しぶりで、終わりに近づくのが悲しかったくらい。最後も良かったしね。

    1998年11月30日月曜日
    ★★★☆☆ 「美貌の帳」建築探偵桜井京介の事件簿篠田真由美講談社ノベルズ 1998年5月5日 p380
    今回の最大のキャラクタは1巻目に登場した遊馬朱鷺(あすまとき)。個人的にはこのキャラクタの動向にかなり注目しながら読むこととなった。読み進めるうちに実は桜井京介を好きなのでは?と思っていた。特に今回のヒロインの一人、暁(あきら)との結婚話の出るあたりの展開までは。でもどうやら遠山のほうに流れていったようだ。桜井京介に普通の人の恋人は似合わないといったところか。なぞ解きに関してはこのシリーズは大した事はないし、期待していないが、キャラクタの面白さと少年蒼の存在が面白くて読み続けている。でも最後のなぞ解きの28年周期という発想はなかなか意外であった。

    1998年11月16日月曜日
    ★★★★☆ 封殺鬼シリーズ9「鳴弦の月」霜島ケイ小学館キャンバス文庫 1995年8月10日
    久しぶりに読んだこのシリーズ、今回は外伝短編2つ。最初の「鳴弦の月」は、まぁ普通。面白かったのは後の「蠱持ち」(こもち)。不老不死の主役達と対を成す形で現れた「オサキ憑き」の先祖とその子孫。それを繋ぐオサキという霊獣。ユーモラスで強いオサキ(なんとなくポケモンぽいキャラクター)&どんくさい飼い主と、主役達のつながりの対比がいい感じである。とくに面白い話ではないが、なんとなくセリフが頭に残った好印象な話なので4となる。この作者はあまり戦闘シーンがうまくないが、今回は外伝のため、戦闘シーンは重要ではないのでよかったのかもしれない。

    1998年11月12日木曜日
    ★★★★☆ 「競漕海域」佐藤茂新潮社 1997年12月20日
    第9回ファンタジーノベル大賞優秀賞作品。発想が面白い。地上が住めないためシーカヤック型生物と人間が共存し、さらに競漕して早いものだけが子孫を残せる世界。普通の人には考えつかない世界だと思ったら、作者の趣味がシーカヤックだった。さすがにカヤック(ボッドまたはDragon Bone)の描写や競漕のシーンの解説はうまい。ハッピーな話とはいえない展開が、最後の帝王戦まで続いたのは最初の感じからは予想できなかったし。実はこの世界は、南極氷解による洪水後の世界なのだが、この発想ってよくあるパターンだ。「エヴァンゲリオン」はその典型だし、作者がファンだという「風の谷のナウシカ」にも似ているし、アーシュラ=K=ル・グィンの「辺境の惑星」や「ゲド戦記」を何となく思い出し、栗本薫の「グインサーガ」のSF部分にもちょっと違うけど似ている。そのSFの部分がもっと知りたいのに断片的で未消化だったので4点となっている。無理にこの説明は入れない方がよかったのかもしれない。

    1998年11月7日土曜日
    ★★★★★ 「深夜特急3 -インド・ネパール-」(文庫版)沢木耕太郎新潮文庫 1994年4月25日
    堅実におもしろいねぇ。旅行本のバイブルの一つだが、やはり楽しい。これを読むとどっかに行きたくなるよねえ。インドはまだ自分にはきつそうだけど。巻末の此経氏との対談もいい。いやー、大人だな、と思った。この対談から推測するに旅は1977年以前ぐらいに行われたのかな?続きも持っているけど面白いのは確実なのでゆっくりと読む予定。

    1998年10月20日火曜日
    ★★★★☆ 「アジアの屋台でごちそうさま」浜井幸子情報センター出版局 1998年9月7日
    あまり期待しないで借りたらこれが大当たり。本当に旅の日常とそれ以上に食事についての記述とイラストが面白い。また、ベトナムでの部屋選びの仕方が食事本意なのもすごい。しかもその大屋さん家族と仲良くなるのがたのしそう。またラオスの飯が恐ろしいほどうまいと言っているが、なんか食ってみたくなった。自分は初物は食わず嫌いなたちなので、見た目の悪いものはなかなか、この人のようには食いつける自身はないんだけど。この本は雑誌「旅行人」のライターの一人なので借りたが、そうでなければGETしにくい本ではある。

    1998年10月17日土曜日
    ★★★★★ 「三本の矢」榊東行早川書房 1998年4月30日 上p373下p406
    最近のベストセラーの一冊である。しかも久々の満点の5点。すごく面白かった。こういう分野はまったく疎い自分でも、大蔵省や官僚や銀行の実態を垣間見た気がしてとても興味深い。マスコミと世論の関係では、批判するだけで良さを認めない点や、国民はなんだかんだ言って目前のことしか見ていないという点は、自分もその一人だと思う。また、公的資金の銀行への投入がどういうものかということをこの本を読んで初めて知ったし、現在問題になっている長期信用銀行というものの意味もわかった。さらに最近はやりの複雑系の理論について書いてあったりと、作者のレベルの高さを窺い知れる。作者は匿名の某省の官僚だが、ある謎の人物がどうなったかについて言及してない点を除けば、小説としてもきちんと出来ており、これでも食って行けるのではと思った。ただ一つの問題は、この本を読んだことによって自分が洗脳されていなければいい、というぐらいである。

    1998年9月30日水曜日
    ★★★★☆ 「アジア達人旅行」下川裕治徳間文庫 1995年6月15日
    約2年前に買った本だが少しずつ読んでとうとう読み終わる。基本的にすべてが事実なのでとても興味深い。特に今日読んだせいもあるが、国境の町の話は日本にいては感じられない話であった。また少し古い本のせいだが、東南アジアがバブル景気のころなので、景気のいい話も多く、そこに時代を感じさせる。

    1998年9月21日月曜日
    ★★★☆☆ 「インディヴィジュアル・プロジェクション」阿部和重新潮社 1997年5月30日 p195
    東京の大型本屋へ行くといつも平積みしてあり、センセーショナルな表紙が目に付いていた。買おうかとも思っていたが今回借りることが出来た。日記形式で話が続いていくので読みやすく、ノリがいいのだが、「日記」の作者が混乱状態なときが多いため話の全体像が分かりづらい所が多すぎたのが残念。最後の「あとがき」ではなくて、「感想」というのも教官が塾生の行動に対して感想を述べる形で出ている所は、ニヤリとさせてくれていいのだが。

    1998年9月16日水曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ61「赤い激流」栗本薫早川文庫 1998年7月15日 p292
    最近の巻に共通しているが、カメロンかわいそーモード。しかし、この話は国際政治の流れというものがよく考えてあるとつくづく感心する。他のファンタジーものではこうは行くまい。ちなみに毎度驚かされる「あとがき」では、すでに62巻を書き終えた後に61巻の「あとがき」を書いたそうな。ひぇー。でもまだ62巻は出ていないような。

    1998年9月14日月曜日
    ★★★★☆ 「光の帝国 常野物語」恩田陸集英社 1997年10月30日 p266
    すげー個人的に好みで楽しめた連作短編集。この連作短編というスタイルは「エルガーノの歌」「トワイライトサーガ」や時代小説の「剣客商売」と同じで小ネタをいろいろと使うので面白い。あとがきで作者も言っていたが、「長編用に考えていた多くのネタを使ってしまった」とあった。やはり短編は作者の実入りには問題があるらしい。誉めているわりに評価4なのは、まだすべての話に決着が付いていないためである。

    1998年9月11日金曜日
    ★★★☆☆ 「原罪の庭」建築探偵桜井京介の事件簿篠田真由美講談社ノベルズ 1997年4月5日 p358
    蒼の話。第一部5巻の終了だそうだ。このシリーズはタイトルと関係度の低い、つまり建築と関係ない話も多いが、これもそのひとつ。なぜ蒼は未成年なのに学校に行っていないのか(不登校ではない)、京介と仲がいいのか、という疑問なども明らかになる。あとは、京介の過去だけが明らかにされていない状況になった。本格派の探偵推理小説というよりは、精神探偵推理小説だとこのシリーズは思う。作家が女の人だからかも知れないし、個人的にはこういうほうが読みやすい部分もある。

    1998年9月6日日曜日
    ★★★★☆ 「翼 cry for the moon」村山由佳集英社 1997年9月10日 533p 1900円
    暗い。前半は読むのがつらいほど暗い。でも、グランドキャニオンや荒野の描写はとても良く、実際に自分が行ったときもそんな切り取れない、ただずっと見ていたい風景だった。ネイティブアメリカンの話もそうなんだろうなぁ、と思わせる文章力はさすが。心はバランスが重要というのは自分にも当てはまると思った。

    実際にデジカメで撮ったグランドキャニオン。切り取れない風景なので本物の迫力はこんなものではない。

    1998年8月29日土曜日
    ★★★★☆ 「風車祭」(カジマヤー)池上永一文芸春秋 1997年11月20日 539p 2500円
    この本を図書館で借りて既に4ヶ月。やっと読み終わる。最近になって読みはじめたが、それでも10日ほどかかった。面白くないわけではない。内容的には十分5つ星を付けられるのだが、あまりに長い、分厚い本であった。それなのでマイナス1となる。
     この作家らしく舞台はまた石垣島である。主人公は多分、武志という高校生だが、タイトル的にはフジおばあが主役かもしれない。とにかく文体がユーモアあふれており、特にフジおばあが関わってくるととユーモアが暴走するくらい楽しい。この作家は「バガージマヌパナス」のときもそうだが、オバアを使わせると文体が生き生きとしてくる。実際に自分が会ったことがある沖縄のオバアは、内地と比べても格段に元気である。フジおばあは96歳だが、作中に出てくる「長寿」というスナックでは70歳以上でなくては入れず、このスナックでは、80代まではペーペーで96歳でも中堅というのが、元気で長生きが多い沖縄を現わしている。ちなみにカジマヤーとは97歳になった人を祝う祭りである。
     それと豚のギーギーの活躍を忘れてはいけまい。6本足の妖怪豚だが、愛敬があって面白く、とくに乳房が変形した中足という概念が面白い。4本の足で踏ん張って残り2本の足で川で洗濯をするというギャグを生み出した。
     まあ、この小説は結果としていえば武志とピシャーマというマブイ(霊魂)の恋愛の話なのだが、かなり横道が多いのでそんな感じが全くせず、ちょっと湿っぽい終わり方をするが、この本を読むだけで八重山地方の風俗や現実や方言が覚えられる、お得な本でもあったと言えよう。

    1998年7月31日金曜日
    ★★★☆☆ 「乱世流転記」柴田錬三郎集英社文庫 1980年12月25日
    いかにも柴錬な次から次へと物語が展開するパターン。ワクワクして面白いのだが、前回「剣と旗と城」を読んだときとストーリー的に同じ感じがした。しかしラストは一応の大団円になったのでほっとする。個人的には「小魚」というキャラクターがもう少し幸せになって欲しかったんだけど。

    1998年7月29日水曜日
    ★★★☆☆ 「冷蔵庫を壊す」狗飼恭子幻冬舎 1995年8月13日
    タイトルとページ数の少なさに惹かれて借りた。小学生の話だとは読むまでは分からなかった。前半はぐだぐだした内容であまり面白くない。だが運動会の二人三脚を決める所から、カシムラが出てくるあたりから話は面白くなってくる。最後は自分は自分という話ではあったが。またエピローグもある程度予想通りだが。後半は楽しめたのでよしとしよう。ちなみに作者はこれを書いたのが二十歳のときである。らしいといえばらしい。

    1998年7月28日火曜日
    ★★★☆☆ 「東京装置」小林紀晴幻冬舎 1998年2月10日
    発売直後ぐらいには買ってあった本だが、やっと読み終わる。この作者の写真エッセイは好きだが、気分が乗らずに2冊ほどその著作を買わずにいたが、本作は旅とは直接関係ないのと、「アジアンジャパニーズ」以来の登場人物である「長野陽一」が出たのでで買う気になった。それでもずっと読めずにいた。読み出すとやはり面白く、いろんな人の生活が見えて勉強になる。この人の写真エッセイが面白いのは、きっと人の悩みが写真から見えてくることが大きいと思う。自分も東京には住んでみたい気持ちはあるが、緑が見えない所に住むのはなぁ、と思う。個人的に今は那覇市内に住むのが理想と考えているのだけれど。本作で作者がかなりの言い方が悪いが非エコロジストであり、よくいる普通の若者であるなぁと思った。現像液や定着液をトイレに捨てるのはまずいと思うぞ。

    1998年6月29日月曜日
    ★☆☆☆☆ 「もう一度デジャ・ヴ」村山由佳(志田正重)集英社JBOOKS 93年6月9日
    いくらハイティーン向けとはいえ、ちょっと最悪。村山由佳テイストが出ている部分もないわけではないが、評価に値しないといった所か。付随している漫画もイマイチ。
    追記:他のホームページでは面白いとされていたので、調べてみると一部加筆補正された文庫版があることが判明。文庫あとがきにも作者が「恥ずかしい」といっていた。文庫版ならもう少し読めるかも

    1998年6月9日火曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ60「ガルムの報酬」栗本薫早川書房 98年4月10日
    内容はある程度、予想通りといったところ。個人的にはアリはもっと頭のいいやつだと思ったが、結構、くそみそ扱いしていたのがかなり気になった。一番最初の船のシーンはちょっと納得がいかなかったというのもある。細かい所にいろいろ不満が多かったような。それと初めて気がついたこととして、この栗本薫という人はキャラクターの独白シーンのセリフが異常に長いことに気がついた。これが最近の読みにくさの原因かも。今回はあとがきが秀逸?というかおどろいた。外伝14巻を4日で書き上げるとは。人間でない。小野不由美ときたら...年間20冊対年間0冊の戦いと化している。

    1998年4月30日木曜日
    ★★☆☆☆ 「斗南藩子弟記」永岡慶之助文春文庫
    読むのに1年もかかった本。しかも前半と後半をちょうど半分づつ3日づつで読んだ本。すでに最初の記憶も定かでなかったが、あこがれの女性に何もまともに言えず、最後には主役があっけなく死んでしまうのは納得できない状態であった。作者も若い頃書いたので未熟な点が多いと文庫本あとがきで書いているが、引きが長くて尻切れたという印象が強い。でも沖縄で読んでいて、最後に琉球が出てきたのは驚いたし、因縁めいたものを感じたのは事実である。

    1998年2月15日
    ★★★☆☆ 「玩具修理者」小林泰三角川書店 1996年4月25日
    表題作「玩具修理者」を読む。短編なのですぐ読めたが、それなりに恐かった。修理者という発想がとてもすごい。パラサイトイブの裏で短編部門で賞を取った作品。雑誌とかでは評判がよかったような記憶がある。ちなみに表紙は個人的にとても恐い。

    1998年1月29日
    ★★★☆☆ グインサーガ59「覇王の道」栗本薫早川書房 98年1月20日
    思ったより細かい所に目を付けた話。パロからの帰りまで話があるとは思わなかったし、オーノが殺られるとは思わなかった。しかもアリ殺しまで考えるとは、予想外。しかも後ろにヴァレリウスが付いているとなれば。これでもしぶとくアリが生き残れるのか?王冠を載せた直後に殺されると予想していただけに興味がある。このあたりの予想裏切りが長期連載において高いポイントを稼ぎ続ける秘訣と見た。

    1998年1月26日
    ★★☆☆☆ 「ピピネラ」松尾由美講談社 1996年2月25日
    不満とは、生きる意味とは、女とは、自分とは、といろいろ突き詰めている本。主婦だからできる発想かもしれないし、そうでないかもしれない。自分の不満はたくさんあるので、確実に鳥篭とピピネラ(カナリア?または作られた人形のこと)吸い込まれそう。劇中に出てくる、児童文学「ドリトル先生」シリーズ・ロフティング・井伏鱒二訳・岩波を読みたくなる。そういえば「菫画報」でもこの本が出ていた。ここででてくる、ピピネラの昔の先生などもそんな感じで主婦の不満というか今の自分から脱出するための手段であろう。結婚を鳥篭と考えるとこれについて「籠の外にいるものは入りたがり、内にいるものは出たがる」というイギリスの古典を引用していたが、そういうものなのだろうと、何となく最近結婚願望があるような自分は思った。鳥は空気抵抗のせいで速く飛べないが、空気がないと生きていけない、というのも鳥篭かもしれない。ルールかな?ルールやプライドに縛られる身としてはなんともはやという状態。

    1998年1月19日
    ★☆☆☆☆ 薬師寺良子の怪奇事件簿「魔天楼」田中芳樹講談社 1996年10月15日
    まあ、もともと期待しないで読んだのでどーでもいいけど、田中芳樹でなくても書けそうな本。息抜きだし。細かい所、なぜバレオロザキス(石棲妖蠍)が日本語でメッセージを出してコンピュータを狂わせられるのか、という点に説明が全くないし。キャラクターのみで書いてある凡庸な話。垣野内成美の絵は好きなんだけど。

    1998年1月11日
    ★★★★☆ おいしいコーヒーの入れ方3「彼女の朝」村山由佳集英社 1997年10月8日
    正直言ってありがちな話ではあるが、おもしろい。最後で次の巻の展開に少し予想がついたが、でも今回の書き出しで意表を突かれたし。連載小説の単行本(ノベルサイズ)なので予想を裏切ることもあるらしい。彼女の朝というタイトルなのでやってしまうのか?と思ったがジュニア小説ではあるまいと読んだとおりなかった。他の作品とはやはり扱いが違う。でも後書きがおもしろかったぞ。グランドキャニオンの谷底のコロラド川で泳ぐなんてとても楽しそう。

    1997年12月20日
    ★★☆☆☆ 「風の大陸」第6部、第7部竹河聖富士見書房
    ヤングアダルトファンタジー。久々に続きを読んだけど、他にもっとうまい作家を見つけた今となっては、描きかたの甘さが見られるばかり。キャラクターはいいんだけど。やっぱ男装の美少女というやつとか。一時期のヤングアダルトの傾向そのまんまというやつ。すでに出て5年経ってるし。最新はすでに14部くらいだし。内容としてはグラウルとティーエが手を組んでる?という意外な展開。どうなるイルアデル、まともに丸く収まる可能性はないと思うが。個人的には第2部が一番すき。ドラマガに連載しているのが質を落としているともいえる。

    1997年12月16日
    ★★★☆☆ 「海を感じるとき」中沢けい講談社
    この本を古本屋で買ってから、2年ほど経っているがついに読み終わる。むかし話題の本だったそうだが、たしかに人物描写はよい。「ダ・ビンチ」創刊号の岡村孝子の話を読んで興味を持った本。短編なのに、最初の読みだしが、かなしみに満ち溢れているので、主人公が妊娠したのかと思った。このせいで、やな予感がして読み進められなかった。結果としてたゆたう小説なのか。でも当時現役高校生が書いて話題になる価値はそれなりにあったが、現在と比較するとまだ穏やかなんだなぁと思われた。

    1997年12月10日
    ★★☆☆☆ 「こんぴら樽」宮本昌孝
    短編集時代小説。表題作はありがち山本周五郎。他は森蘭丸の恋愛小説?、豊臣秀次の剣豪話、もう一つが一番よくて、ある勇士と友達?の話。秀次の話は「剣豪将軍義輝」のモチーフか。この人はこういった評価が低い人にスポットを浴びせるのが好きなのかもしれない。渋いし。

    1997年12月1日
    ★★★★★ 「きみのためにできること」村山由佳集英社 1996年11月30日
     男の主人公は初めてかと思ったら、「BAD KIDS」があった。ちょっと今までのような激しい恋愛ではなく静かな感じで主人公の恋は進んでいく。そう思っている所で隙間風が忍び込み、2つの恋が心の中でうごめく感じをとらえた作品。田舎で待ってる彼女というのがいい感じ。それとパソ通も1つの重要な舞台となっている。なにせシンクパッド220という実名付きなので。冒頭からこれはいつもと違うという感じを受けたが最後になってみれば悪く言えばいつも通り、よく言えば期待通りの展開となる。後半になると何個所かで先が読みやすい展開が多い。でも面白かったし、ピナイサーラの滝は出てくるしで、沖縄&村山由佳フリークの人間としては満足満足。

    1997年11月10日
    ★★★★★ 「本の雑誌血風録」椎名誠朝日新聞社 1997年6月
     さすがに血沸き肉踊ることを心情とする人らしい傑作である。小さい会社というか雑誌がおおおーという感じに大きくなっていく過程がすばらしくおもしろい。人脈もすごい。特に今有名だけど当時は無名の人々がすごい。この文体もこれを書き始める点もモロにその影響を受けている。やはり図書館の本ではなく買うべきだったと後悔す。


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