| Attention |
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| ★★☆☆☆ 「サマー・キャンプ」 | 長野まゆみ | 文芸春秋 2000年4月10日 p193 | 借 |
タイトルを見たとき、表紙の写真を見たとき、最初の1ページをめくったとき、これから冒険が始まると思った。ところが始まったのは「探求」だった、というのが真相。長野まゆみは初めて読んだのだが、こういう小説ばかりなのか?評価は低めにしてあるが、不思議な魅力があったのは事実。主要登場人物たちのために改められた、清潔で科学重視で温もりは人肌のみの世界。そしてその世界で不思議な生き生きとした感覚で生きるキャラクターたち。男でも女でもない、ほとんど存在し得ない人達。この創造性の高い世界観が読む自分を引き付けた。独特の文体もそれに存在感を追加する。「温」と書いて「ハル」とか「辰」と書いて「トキ」とか。音読みの名前はスタイリッシュでこのソリッドな世界観にしっくりくる。「ぢ」を多用するのもセリフの印象度を強める。会話は”」”で終わる、と書いたが、イメージを膨らませる手段として”、」”とするのも、この場合は役に立っている。こういうところが女の人達に受けるのだろうか。
文体に魅惑されてストーリーを掴みきれなかったのが残念。
2000年12月24日日曜日
| ★★★★☆ グインサーガ76「魔の聖域」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年12月15日 p296 | 有 |
前巻に続き、あとがきでバトル中です。内容よりもこちらに反応した。栗本薫は真に大人なんだ、というのが個人的な結論。好き勝手にやっているせいで、いろいろ叩かれたこともあるので、こういった議論はさすが。作家とインターネットは、特に双方向性については、いい点もあり、悪い点もあるという(ありきたりな)思いを得た。作家がやっていたサイトでも辞めたところも多い。匿名性の問題がやはり大きい。しかも悪意のあるメールや書き込みする人って、実体は、おとなしい普通の人の場合がほとんどだったりする。自分が過去にメール・BBSで出したケースはすべて迎合的な当たり障りの無いものばかりという安全パイだけだ。いろんなホームページ等を見ていて思ったのは、「修羅場を越えたことのある人は、文章も議論もうまい」ということか。経験によって成長しているということだろう。
2000年12月11日月曜日
| ★★★★★ 「小説と科学 -文理を超えて創造する-」 | 瀬名秀明 | 岩波高校生セミナー 1999年4月23日 p137 | 借 |
次は昼休みコラムで原稿の書き方の話なのだが、小説内では会話のとき
「私は瀬名秀明です。」とは書かずに、
「私は瀬名秀明です」と書くということに初めて気づいた。確かに言われてみるとその通り。小説には小説の書き方がある。
第2限目は文系と理系の話。高校生にとっては進路にかかわるので身近で重要な話のはず。実際に参加した高校生の理系文系イメージアンケートがあるが、これがほんとにステレオタイプ。あまりにステレオタイプで笑えるけど懐かしい。
第3限目は小説の書き方的な話。こんなにたくさんの小説指南書があったことには驚いた。それと臨死体験とアブダクション(UFO連れ去り記憶)の関係性の話は面白かった。まだ読んでいない「BRAIN VALLEY」の話に関わるようなので、読みたくない記事もあったが、いや良く調べてます瀬名秀明。さすが研究者。「たくさんの文献を集めて読み、その類似点と相違点を認めることにより新しい創造・想像が生まれる」というのは研究者・小説家には必要な資質である。
本書は非常に分かりやすく書かれており、高校生にはオススメ。特に小説家志望の人だけでなく、物の考え方という点で見ても優れた指南書となっている。
文献メモ
| アイラ・レヴィン | 「死の説物」 「ローズマリーの赤ちゃん」 「ブラジルから来た少年」 |
| 渡辺淳一 | 「創作の現場から」、集英社 |
| 高橋克彦 | 「小説家」、講談社文庫 好きな作家の原稿を書き写す、というのはやってみたいアイデア |
| 久美沙織 | 「久美沙織の新人賞の獲り方おしえます」、徳間文庫 これは有名。 |
| 丸茂ジュン | 「耽美小説の書き方」、ごま書房 紹介してるのもすごいが、恥ずかしいことも書く、とは確かにその通り |
| 丸山健二 | 「まだ見ぬ書き手へ」、朝日新聞社 |
2000年12月10日日曜日
| ★★★★☆ 「麦の海に沈む果実」 | 恩田陸 | 講談社 2000年7月25日 p416 | 借 |
いきなりネタバレ→過去に「三月は深き紅の淵を」を読んだことがあれば分かるけど、これの最終章の改訂版みたいなもの。常に新しいものを提供し続ける恩田陸らしくないなあ、と思いつつ読み出すがさすがに面白い。中学・高校の一貫教育の全寮制の学校。それも外界と隔絶された陸の孤島というシチュエーション。たまらない状態の中で起こる数々の事件。だけどこの話はミステリではない。どちらかというとホラーだろうか。ラストの事件解明のあっけなさが物足りないが、ミステリのようなホラーのような内容はデビュー作「六番目の小夜子」を彷彿とさせる。自分はぼんやりな読者なので、解決編は最後の十ページばかりでするのではなく、もうちょっとゆっくりやって欲しかった。考えようによっては、連作短編集にもこの舞台は使えるのに違いない。そのなんというかもったいない感じがして。舞台・シチュエーションのもったいなさ、解決編のわかりずらさのもったいさな。これらが気になった。←まで。学生という楽園をうらやましく思った。
本書の奥付けを見ると分かるけど、デザインがあの京極夏彦。いろいろやってるのは知ってたけど恩田陸にまできてるとは知らなかった。
2000年12月2日土曜日
| ★★★★☆ 「パラサイト・イブ」 | 瀬名秀明 | 角川ホラー文庫 1996年12月10日 p490 | 有 |
角川ホラー大賞を受賞した有名な作品。文庫版が出てそれなりにすぐに購入し途中まで読んであったが止めたままになっていた。思い立って再開したが、たまたま、この文庫を読んだ時間のほとんどが病院の待合室であった。それが本書の内容とあいまって余計ホラー度を増し、変な想像をするという希有な楽しみをした。
理系の勉強をしたものにとって専門用語の連発はかっこいい。自分は生物・化学は駄目な分野なので、理解はできないが、知識があるのはこんなにかっこいいということなのか、と愕然とした。確かに受賞時の選考委員が「文系にはできないホラー」とか言っていたけど、ほぼ科学的事実を述べることにより進むホラー小説は、単純にはマネできない。逆に研究者だからといって小説を、それも面白い小説を書けるわけでもない。科学と文学という絶妙のバランスの位置にいる瀬名秀明の凄さがわかる。(実は読むまではもっと科学科学しているかと思っていた)
生物が苦手な自分でも、ミトコンドリアという名前の細胞の一部があるということは知っていたが、これが元は別の生物で、それが現在の細胞の核と共生することにより活動的な動物の祖先となった、というのは驚きの内容。いわゆる「科学読み物」と言われるノンフィクション本と、小説を同時に読めるという楽しみがこの本にはあった。参考文献のボリュームも、それも英文論文タイトルが多いというのもなんとなくうれしい。そして篠田節子の解説も秀逸。理路整然としていて、さすがである。一段落したら、篠田節子も読みたい。
2000年11月23日木曜日
| ★★★★★ 「影絵 ある少年の愛と性の物語」 | 渡辺淳一 | 中央公論社 1990年11月20日 p273 | 借 |
「失楽園」で有名な渡辺淳一自身の少年期・青年期をモデルとした小説。以前に雑誌「ダ・ヴィンチ」で渡辺淳一特集があったときに、作家自身をモデルにした小説があると聞いてからずっと探していた本(ダ・ヴィンチは買ってないし、本のタイトルを忘れたため)。渡辺淳一の単行本は初めてだが、昔、「失楽園」以前に日経新聞に連載していた小説は、親に隠れて読んでいた記憶はある。
この本のオススメ相手は男。「おとこのこ」ではなく「おとこ」。それもできれば25歳以上。中年の人の方が喜ぶかもしれない。いろんな意味で。「エロ」というより「懐かしむ」という感情のため。
もちろん逆の意味で女性が読んでも面白いと思う。男性はどう女性を見ているか、ということ。でもかなり時代背景が古いので今の十代の人には合わないと思う。まあ、でもいつの世でもいる、シャイな男の子の気持ちは分かるかも。
単純な話、小説としては最後が少し急いでいるので多少の不満はあるが、「告白」的な内容が、犯罪ではない覗き見をしている気分で、ワクワクして読むことができて楽しかった。インターネットにあふれる日記の感じに似ている。すらすらと読み終えた。
初出を見ると「婦人公論」1983年1月から1984年5月までの連載が元だが、なぜ1990年まで出版されなかったのだろう。何かあったのかな?
2000年11月20日月曜日
| ★★★★☆ 「沈黙」 | 遠藤周作 | 新潮社 1966年3月30日 p257 | 借 |
かなり前に小説系情報誌(何かは忘れた)にこの話のことがほんのちょっと載っていた。それ以来、ずっと気になっていた。最大のテーマは「神の沈黙」。どんな苦難にあっても「神」は語りかけない。「奇跡」も起こらない。ネタバレ→そして最後的に司祭ロドリゴは、肉体的ではなく宗教的・個人的・職業的苦痛からついに踏み絵を踏んでしまう。
司祭の心の葛藤・苦しみは、それなりに理解はできた。でもキリスト教徒ではない自分には、本質の認識がずれている気がした。どちらかというと本書の「キリスト教徒の敵:井上筑後守」の言葉「日本人が信奉しているキリスト教は本来のキリスト教ではない」という言葉がしっくりくる。日本の神教が仏教の影響をそうとう受けていることからも分かるように、混交が起きている部分はあると思った。もちろん現代日本のキリスト教はこの限りではないかもしれない。←ここまで
自分自身は一般的な日本人同様、無宗教だが、高校の友達に牧師の息子がいた。キリスト教では日曜日は安息日なので休む。それなので彼が日曜日に学校などの外で見たことがあったのは、体育祭の午後の時間と大学入試試験だけで、模試や部活などがあっても絶対に日曜日には学校に来なかった(でも彼女はいたのよ)。彼は言う。大学を出たら就職するかもしれないけれど、最終的には牧師になる、と。虚栄に満ちた自分にはわからない部分だった。当時も今も。そういえば、彼は今どうしているだろう。ちなみに高校生のときに、自分が病気で入院したときに、彼から新約聖書を貰いました。今でも手元にあるけど、おはなしとして面白くないので最初でつまづいてそれから読めていません。
2000年11月14日火曜日
| ★★★☆☆ 「バルーン・タウンの手品師」 | 松尾由美 | 文芸春秋 2000年10月10日 p285 | 借 |
前作に比べるとあまり面白くない。その理由は、妊婦固有の「妖しさ」のレベルがダウンしているせいだと思う。それほど、妊婦である必然がない話が多い気がした。ただし、「埴原博士の異常な愛情」だけは秀逸。胎盤を食べる!という「ウッ」と気分を悪くするグロで妊婦な話はバルーンタウンならでは。これ一遍だけのための価値はある。
ほとんど余計なお世話だが、こういった知っている人は知っている、という作家の本はあまり売れないのだろうと思う。しかも単行本だし。作家って大変だと思った。
2000年11月13日月曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ75「大導師アグリッパ」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年10月15日 p291 | 有 |
毎度思うけど、グインサーガは各節の動きにパターンがある。一巻は全四話からなり、一話が四節からなっている。第1節が「動」のときは、第4節まで「動」のときが多い。逆に第1節が「静」で始まると徐々に盛り上げていって第4節で突如「動」が起き、これが結構大きい働きをする。今回も第四話がそれにあたる。
今回の巻はあとがきに妙がある。それはこういった読書系でかつ非常に栗本薫の悪口をいうサイトがあるらしい。まあ、アドレスは本気で調べればすぐにわかるだろう。だれでも批評家になれると、批評される側は大変である。個人的には聞きたくない醜聞は、あとがきには書いて欲しくなかった。実際のところ、自分も惰性でグインを買い続けている部分がないとはいえない。でも、某氏の某長編は途中で止めたけど(当ページ内ではその感想はたまたま入っていない)、グインは買っているだけ、面白いのは事実。
2000年11月7日火曜日
| ★★★☆☆ 「ビタミンF」 | 重松清 | 新潮社 2000年8月20日 p293 | 借 |
はっきり言って、俺が読むには早すぎた。子供がいて30代後半から40代の、主人公たちと同年齢になってから読むべき話。一遍一遍は、やはり重松清してて面白いが、ある意味似てる話ばかりで読み進めるほど飽きてしまった。「ナイフ」も同じような連続短編集だったけど、主人公はほぼ子供の側だったせいか、自分が通った道だからこそ理解できて楽しめた。もちろん親として、さらに中年としての気持ちが理解できないわけでもない。でもそれは、ありがちな想像でしか分かっていないのだ。だから本当には楽しめていない。
2000年11月3日金曜日
| ★★★★☆ 「白夜行」 | 東野圭吾 | 集英社 1999年8月10日 p506 | 借 |
ネタバレ→前半は苦しくてなかなか読み進められず。個人的に前途ある人(子供や若者や能力者)が理不尽な目に会うのは、小説といえども苦手なため。彼らが大学生あたりになると、読みやすくなる。コンピュータの話とかは時事を得ていて楽しめた。全体的に時代の切り取りもうまくやっているし。雰囲気は違うけど長い物語ということでは「落花流水」を思い出した。不満としては、結局、桐原と雪穂の直接の接点というか、実際の連絡はどうやっていたか明かされなかった点。90年代以降なら携帯電話もあるが、それ以前は通常電話もまともに使ってなさそうだしね。
これからも生きる雪穂の人生はどうなるのか、彼女にかかわった人達のこれからはどうなるのか、非常に不安なラストであった。だからこそ、桐原とは深く関わったのに、雪穂には直接関わらなかった友彦(パソコンショップ無限)が一番幸せなのかも。←ここまで
すごい面白いんだけど、長い話でちょっときつい。でも力のある作品で、東野圭吾の力が目一杯出ている。
2000年10月24日火曜日
| ★★★★★ 「GO」 | 金城一紀 | 講談社 2000年3月31日 p241 | 借 |
いろいろ考えた。考えたことの半分も忘れたほどに。ネタバレ→小説の中で人が死ぬ話は、その劇薬と甘美さを利用し過ぎて、無理矢理なケースも多い。「GO」でも親友正一(ジョンイル)が死んでしまうのだが、多少無理があるが(なぜバタフライナイフを持たせたのか、なぜ犯人は自殺したか)、それ以外の展開は十分にありうる。仕事の都合で3ヶ月ほど大阪にいたときに、焼き肉で有名な鶴橋近辺のJRに乗ると、かなりの確率でチマ・チョゴリを着た高校生ぐらいの女の子を見た。しかも美人も多い。でもそのときの自分の視線は、やっぱり異物を見る目だったと思う。そうして毎日見られている人にとっては、そういう目で話し掛けられたら、恐怖を感じるに違いない。
読んでるときは気にしなかったけど、多分「僕」の名前はコリアンネーム・日本名のどちらも出ていない。それが気にならないぐらいのノンストップ小説。「GO」というタイトルがよく似合う。そして「あとがき」という、ぐだぐだ言う場所を設けず「話を読め」という姿勢もよい(文庫がでたらどうなるかな)。←ここまで
作者はなぜ日本名なのだろう。そこに何かの主張があるのだろうか。有名な「コリアンレポート」の辺真一氏とは違う方向で、「僕」と同じように自分だけで戦うための名前なのだろうか。それと在日〜といわずにコリアン・ジャパニーズと言うのもいいのかもしれない(彼ら自身が気に入っているのなら)。またそのコリアン・ジャパニーズ自身がこの小説をどう読むのか、つまり「自分たちの気持ちを代弁している」とか、逆に「裏切りだ」とかを知りたい。
関連書籍
| 「日本論の視座-列島の社会と国家」 | 網野善彦 | 小学館 |
| 「単一民族神話の起源<日本人>の自画像の系譜」 | 小熊英二 | 新曜社 |
| 「人間の測りまちがい-差別の科学史」 | スティーブン・J・グールド | 河出書房新社 |
| 「オーストラリア」 | 国籍というもの | |
| 「月の裏側」 | 多様性とひとつへの流れについて |
追記:今週の週刊朝日?文春?に林真理子と金城一紀の対談があった。なるほどという感じ。若いコリアン・ジャパニーズには評判良く、世代が上の人には、もう少しがんばって欲しい、とのこと。若いコリアン・ジャパニーズがやっているWEBページでも、ほぼ同様。しかし、俺は考え過ぎだね。単純に青春小説とみるという視点が抜けてたな。
2000年10月21日土曜日
| ★★☆☆☆ 「きっと君は泣く」 | 山本文緒 | 角川文庫 1997年7月25日 p279 | 借 |
まー、いわゆる遊び人の椿の感覚には、多少ついていけないところがあるものの、女性同士の争いなどは「ありがち」なのものとして読めた。それ以上に老人看護の大変さが分かったような気もする。うちも十年もしたらそんなことが起きるだろうし。ネタバレ→でも、「えー」だったのがエンディング。中原先生のプロポーズを断ったのは、予想範囲とはいえ、グンゼがどうなったのかわからない終わり方は、尻切れとんぼ。グンゼの問題の解決は、本書では突き詰められないと思うが、それにしても最後に椿と何らかの絡みがなく終わったのは物足りない。このせいで評価は低めにした。←ここまで
男の親友というのも何だけど、美人同志の友情は難しい。デコボココンビの方がやはりうまく行くのでは。でも、合コンとかでは困るかもしれないけど。(1993年7月光文社カッパノベルズがオリジナル)
2000年10月18日水曜日
| ★★★★★ 「月の裏側」 | 恩田陸 | 幻冬舎 2000年3月31日 p377 | 借 |
ネタバレ→読めば読むほど、じわりじわりと来る恐怖感。ホラーは苦手だが、恩田陸は読めてしまう。より楽しむためにできるだけ夜に読むようにするほど。読んでいて「屍鬼」を思い出すことしばしば。共に「人間ならざる人間」が主たる登場人物で、じわりじわりとひやりひやりが来る点も似ていた。でもキャラクターがそんな状況でも、楽しんでしまっているところが陽性「恩田陸」たる所以かも。深く陰性に考え込むのが「小野不由美」かな。
本書の中盤での「多様性」と「ひとつになりたがる」の話は非常にうなづいてしまった。「他人のまねはしたくない」とか「友達は欲しい」とか、人はわがままだ。進化は多様性が基本だが、発散し過ぎたものには、収束の時期があるのかもしれない。
人は寝るたびに毎日「盗まれて」いるのではないだろうか。キリスト教では毎日目覚めるのも奇跡の一つであると、書いてあったような記憶がある(うろ覚え)。昨日の自分と今日の自分をつなぐものは記憶だかなのだから。「盗まれる」という、まるで宗教のような、多くのものの中に在るという安らぎ。発狂せずに自分を自分と感じられれば、それが一番なのかも。←ここまで
水郷「箭納倉」とはすぐに分かるけど「柳川」がモデル。序盤を読んでいる頃は「水郷って郷愁があって風情がありそうなので行ってみたい」とも思ったが、本書を読破した後では別のイメージが植え付けられて、どうかなという気分。それと英題が「The Dark Side of The Moon」とは何ともかっこいい。よりイメージが膨らむ。
2000年10月14日土曜日
| ★★★★★ 「半パン・デイズ」 | 重松清 | 講談社 1999年11月11日 p360 | 借 |
最初は、重松清にしてはハズレだと思った。もちろん、彼特有の”心の痛いところをつく”作家ぶりは堅調であったのだけれど、小学校低学年の気持ちなんてもう忘れてしまった自分には、どうでもよく感じられた。でも学年が進むにつれて、そして高学年になると、主人公ヒロシの考えも成長してくるので分かりやすくなる。だから読んでいて「ウンウン」とうなづく気持ちになれる。そして卒業間近の最終章を読んでいて、その成長ぶりをみて気づいた。それは、自分がまるでヒロシの成長を見守る保護者の気分で読んでいたこと。彼の成長がうれしくてたまらないこと。そんな気持ちにさせてくれる一冊。
間違いなくモデルは、岡山県出身の重松清自身の子供時代。著者自身が体験したはずの昭和40年代の風物も楽しめる。今よりも単純で分かりやすい時代のおとぎばなしのような、でも本当にあったはずのお話。
2000年10月13日金曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ74「試練のルノリア」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年8月15日 p292 | 有 |
2000年10月8日日曜日
| ★★★★★ 「恋愛中毒」 | 山本文緒 | 角川書店 1998年11月25日 p349 | 借 |
ネタバレ→読んだ直後(ちょっと落ち着いてからこの文を書いています)、なんで彼女が捕まるの?なんで彼女が悪いの?それは罪なの?という思いで、気が荒れた。彼女には元夫の彼女にストーカーする権利もあるし、今の愛人の娘を閉じ込める権利もあると。
そんな思い入れをしてしまうほど、主人公の一人語りの形式のために飲み込まれた。自分はまともな恋愛経験をしていないので、本当はどうだかわからないが、自分もはまりやすい体質なので中毒を起こす恐れが十分にある。求めれば求めるほど人はひいてしまう、ということは分かっていてもやってしまう。普段はクールな人ほど実体は情熱家なのかもしれない。それも異常なほどに。まるで自分の未来を見るようでちょっと恐くて、気が荒れた気もする。元旦那の態度もゆるせないし、逆に後日談の愛人の態度はかっこいいと思った。←ここまで
著者の代表作だけあって読み応え十分だった。ただ、どうでもいけど、エヴァの話は余計だと思った。そこだけ雰囲気を壊していて、無意味に印象が頭に残った。
2000年10月7日土曜日
| ★★★★★ グインサーガ73「地上最大の魔道師」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年7月15日 p300 | 有 |
2000年9月30日土曜日
| ★★★★★ 「オーストラリア -多文化社会の選択-」 | 杉本良夫 | 岩波新書 2000年7月19日 p214 | 借 |
シドニーオリンピックもあって本書は発行されたのだろうが、著者が在豪28年の社会学の大学教授なので、ミーハーでもなく、よく現実をとらえ、でも難しく書いているわけではないので読みやすかった。例えば、アメリカに対して冷ややかな態度でいること。日本みたいにアメリカべったりではない。これはオリンピックでも反映されいて、前のソウルオリンピックのときは、アメリカ放送機関の利権のせいで決勝が午前中に行われるというばかげたことが多かったが、今回は重要なところはすべて現地時間のゴールデンタイムで行われていた。アメリカでは、このせいでオリンピック関連のテレビの視聴率が悪く、スポンサーが降りるという騒ぎもあったそうだ。
また懐疑的民主主義という考え方のも面白い。元は流刑地だったことも関係する、「正統への懐疑」という考え方である。特に良いのが「お上は信用出来ない」という考え方である。さらにもっとあげると、戸籍がない、住民票がない、町内会がない、回覧版もない、役所に行くことはほとんどない、自分の名前は好きなように変えられる、二重国籍OK、直接民主制、選挙に投票しないと罰金(自分は全員投票が当たり前で棄権ではなく白紙にすべきという考え方のため)、移民の受け入れに積極的、国歌を無くすことも考えた(でもオリンピックで役立ったな)など、面白い制度や自由と個人を重視する国である。あー、なんて寛容で素晴らしい国、と思う。
政治状況や教育・福祉の面から見てもいいとこばかりのオーストラリアだが、一番の問題は、先住民族アボリジニの問題である。最終聖火ランナーであり、金メダルも取ったアボリジニのフリーマンという女性はヒロインになっているが、それが必ずしもアボリジニにとってよいことばかりではなく、「アボリジニはよくなっているよ」と見せかけるためのものである、という。確かにオリンピックの開会式はアボリジニに媚び過ぎていた。そういうときは裏がある。現在の政権は正式に過去の謝罪をしてはいないようだが、それでも状況はよくなっているらしい。
外国=アメリカな日本では、こういったオーストラリアの本当の姿を知る機会はほとんどないし、普通はニュースにもならない。最近では「外国」としてアジアも対象となってきたが、まだまだアメリカアメリカなのだと感じる。オーストラリアという欧米ではない独自の文化を持つ国を知るには、本書は面白い本である。「旅行人」の書評で興味を持ち、読むことになった。
2000年9月23日土曜日
| ★★★★★ 「エイジ」 | 重松清 | 朝日新聞社 1999年2月1日 p346 | 借 |
現役の中学生が読んだらどう思うか知らないが、限りなく実際の中学生の感覚に近いのではないか、と思う。中学生という存在を、親や兄弟や先生や友達がどう考えているのか、そして本人自身がどう生きていこうとしているのか、取材対象としての本物がいる、と思うくらいリアルな感じがする。以下ネタバレ→実際に「少年」犯罪が起きたとき、周辺に与える影響はやはり大きいはず。心の動揺が、成績や人間関係を不安にする。
「キレる」という意味を、人や立場や物などから「切れる」ことにより自由になることと定義していた。自分もキレてみたい、と思う。すべてのしがらみを断ってみたいと思う。それが自分にとっては旅に出たい、という思いにすりかえているのが現実である。自分も大衆でB級な人間だと思いながら。←ここまで。
途中まで読んで発売元が朝日新聞だと気づいたとき、「うわ、これは説教でもする気か」と思ったが、さすが重松清はそんなに底が浅くなかった。新聞社に踊らされっぱなしではない。(※日本サッカーが負けたので、気分直しにイッキ読みした。)
2000年9月22日金曜日
| ★★★★☆ 「あなたには帰る家がある」 | 山本文緒 | 集英社 1994年8月10日 p350 | 借 |
秀明の浮気、茄子田の横暴などいろいろあるが、本著での最大のテーマは、「一家の柱として働くということ」だと思えた。まず自分の意見としては、夫婦共働きのほうが旦那は楽できるが、家事を手伝うのも大変だ、という男の都合の良い意見。主夫になってもいい、と少し思うくらい働くのは好きではないが(甲斐性無しと言われもいいや、という程度)、実際のところ主婦業も大変である。それなので基本的には共働きがいいと考えているが、会社の人で夫婦共働きの人曰く「奥さんも忙しいので、かなりホカ弁などの世話になっている」とのこと。うーん、これではうまい飯は食えない。まー、そのくらい結論が出ないテーマでもある。以下ネタバレ→本著では、最後は佐藤夫婦はいわゆる逆転夫婦となっているが、二人とも「これでよかったのか」と考えているくらい、明確な結論は出ていない。それでいいと思う。
「自己実現」とか「夢」というのは誘われやすい、いい言葉だ。それが不安を煽る保険のおばちゃんの言葉だったりもする。この保険屋の内幕も、本書の読み所。個人的にも保険屋に辛く当たってきた人間だが「おばちゃんも人間なのよ」の弁はちょっと反省。でも自分は勧誘されるのは嫌いなのであった。←ここまで。
相変わらずだが、山本文緒はタイトルのネーミングがうまい。情感がある。
2000年9月16日土曜日
| ★★★☆☆ 「舞姫通信」 | 重松清 | 新潮社 1995年9月20日 p269 | 借 |
最初の書き出しを読んだ限りでは「六番目の小夜子」のような学校伝説をテーマにした作品かと思った。でも読み進めれば分かるが、学校はあくまでも一つのシーンに過ぎず、「舞姫通信」と「城真吾」が軸になって、自殺されてとり残された人達の、もがくさまが映し出される。ネタバレ→実際に「城真吾」のような芸能人は作れないと思う。本書でも出るとおり、後が見つからない。後がない。先がない。リスクが大きすぎる。でも、もしこんなことをおおっぴらに、筋道立った論理を話す人間がいれば、若者の教祖様になれるだろう。最近の凶悪少年犯罪における、「伝染」のように。(これらは教祖には至っていない)でも、確かに「自殺志願者」であると、カミングアウトした人間を世間がどう見るかは、作者重松清の予想は、正しいのではないか。世間は「期待」するから。←まで
「人はいつでも死ねる」ということで思い出したのはコレ。参考にはなるような、ならないような。
2000年9月11日月曜日
| ★★★★☆ 「つきのふね」 | 森絵都 | 講談社 1998年7月10日 p226 | 借 |
最初の読み出しでは、どういうストーリーになるのか予想出来なかった。「キメて」なんていう、いまどきの中高生が使う言葉が出たので、そんな話かとも思った。キャラクター、とくに智の存在がポイント。おかげであらすじ紹介が難しかった。以下ネタバレ→万引き少女にストーカー少年という一面は、あまり全体には関係無い。児童書?らしく「壊れやすい心」がテーマである。自分は男の大人なので、勝田くんはこれだけさくらに関わりながら、さくらに対して友達以上の感情にならないのが、かっこいいというか、情けないというか、けなげというか、児童書らしいというか、といういろんな気持ちを抱いた。最後にある子供の頃の手紙は、最初はひらがなばっかりで読みづらくて、意味が分からなかった。この「ぼくはとうといものですか」なんて、本当に子供が言えるとは思えないけど、「俺達親友だぜ」というのより、重くてかっこいいかも。←まで
「カラフル」とほぼ同時期に書かれた作品。ある点ではこちらのほうが現実的で面白い。「カラフル」は初めて読んだ作品だったので衝撃的だったけど。
2000年9月7日木曜日
| ★★★★★ 「みんないってしまう」 | 山本文緒 | 角川書店 1997年1月30日 p238 | 借 |
それほど山本文緒を読んでいないのでまだ分からないが、著者は、「自分の人生は自分で切り開く」タイプの主人公よりも、どちらかというと「後ろ向きの人生」を書かせると情感たっぷりで、共感出来る話が書ける貴重な作家だと思う。例えば「不完全自殺マニュアル」の研究者の独身33歳女とか、「45ライフ」の20代半ばのぐうたら女とか。他の主人公も比較的、そんな感じ。でもこの本の一番は、タイトルそのもの、だと思う。表題作自身もそれなりに面白いが、なんというか「いってしまう」という語感が、寂寥感を訴えて本の内容をよりいっそう期待させた。いいタイトルだ。
2000年9月4日月曜日
| ★★★★☆ 「幼な子われらに生まれ」 | 重松清 | 角川書店 1996年7月30日 p243 | 借 |
小学五年生の義理の娘と父親の対立が軸だが、「しあわせ」とは何かを考えるための作品。仕事第一、やりがい第一、家族第一、自分が一番。なんでもありが人生なので、それぞれに理由がある。父親は仕事第一だったが、離婚経験から家族第一へと向かった。それが家族崩壊の危機を迎えて迷う。結果としてなんでもありの人生の中から、家族第一という、小さいしあわせをつかむことにする。大人といえど人生に迷う。子供の頃、大人はすごい人間だと思っていたが、年を取るにつれ、そう思わなくなった。自分が子供の頃に比べてレベルが上がったか、といわれてもイエスとは言えないからだ。
一般の多くの人々は、足し算の人生を送る。これはコツコツと働く人生のことだ。コツコツは美徳だが、いったん手に入れたものを失うのは恐怖だから、という事実もある。だから自分は賭け事は、ほとんどやれない。負けるのがイヤだから。主人公の妻の元夫が、勝ったり負けたりするから人生が面白いんだ、という。自分は、人生を賭けるほうが、何かに打ち込む方が、かっこいいと思う人間らしい。まあ、それをするかどうかは別として。
主人公と同じく小学生ぐらいの子供を持つか、三十代後半になって読んだら、また違う気分だったかもしれない。
2000年9月1日金曜日
| ★★★★★ 「カラフル」 | 森絵都 | 理論社 1998年7月 p275 | 借 |
絵を描くときだけが心静まる中学生、小林真。ちょっと普通ではない、確固たる自分の世界を持っていて、孤独。でも本当は普通になりたかった。
期限付きで他人を生きることができるのならば、好きなように生きてみたいと思う。それは「本当の自分」ではないので、慎重に、保守的に、生きなくてもいいから。RPGゲームの主人公のように。だから自分の人生も、他人の体に少し長めの「ホームステイ」していると思って、気楽に何十年も生きればいいなんて、なんてすてきな発想!
ネット書評が良いので探していたが、まさか児童書扱いだったとは。借りるのはちょっとはずかしかったが、まさに中高生には特にオススメ。それ以外の大人にも。それといい言葉があったので書き写しておく。
「みんなそうだよ。いろんな絵の具を持っているんだ、きれいな色も、きたない色も」
人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。
この世があまりにカラフルだから、ぼくらはみんないつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
2000年8月24日木曜日
| ★★★★★ 「落花流水」 | 山本文緒 | 集英社 1999年10月30日 p252 | 借 |
このあらすじだけでもネタバレと同義かもしれない。最初は2人の恋愛物かと思ったがそうではなかった。主人公の年齢が上がれば上がるほど、作者の筆が冴えてくる。まるで山本文緒が体験した人生のよう。以下ネタバレ→いやいやながらも安定した人生を捨てることが出来る人は、世の中にどれくらいいるのだろうか。特に母 律子が、蒸発することにしたシーンがすべてかもしれない。興味アリアリだったは、田舎で農作業しながらゲストハウスをするというところ。かっこいいが、やっぱり裏があるのが、所詮ヒッピーなところかも。
語り部として出てくる男達は、なんかみんな情けない。そんなもんかもしれんけど。また、西暦2000年以降の未来が出てくるが、2007年を除けば、実際にはもっと違った感じになるかもしれないと思った。まあ、このSFなところは、この話にとっては無粋なところなので揚げ足は取るべきではないと思う。
「恋愛中毒」で有名になった後、読もうかと思っていたが、機会に恵まれず、これが初の山本文緒作品。
2000年8月18日金曜日
| ★★★★★ 「ナイフ」 | 重松清 | 新潮社 1997年11月20日 p307 | 借 |
重松清は、自分たち大人が忘れてしまった子供の記憶をしっかり持っている。そう確かに子供には子供のルールがある。自分も多少いじめられたので分かるが、いじめられていることを親や教師に言うのは、ルール破りなのだ。しかし、「ナイフ」と「キャッチボール日和」は、つらい。いじめのテクニックも話に出るくらいでイヤな話だが、よくいろんなことを知っている(体験してる?調査してる?)と思う。自分なんかは「エビスさん」程度の時代だったので、今の陰険さは恐いものだ。
かっこいいのは「ワニとハブとひょうたん池で」」の女の子。仲間はずれにされても孤高を保つことにより、より高い意識を持つことができた。うらやましい。タイトル作品「ナイフ」は、一番辛い。その後がどうなるかわからないからだ。それと最も初期に書かれた作品のせいか、多少話の筋やキャラクター造形が甘いとも感じた。「キャッチボール日和」は、親子の性格不一致という面白い考えと、執筆時の1997年は有名でなかった松坂大輔も同じ「ダイスケ」という名前の元である「荒木大輔」の話が楽しい。「エビスさん」の浜ちゃんという親友はいい奴だ。そして「ビタースィート・ホーム」は、たぶん子育てをしたことがないと書けない作品のような気がする。先生は甘くない。
書評ページで評判が良いので読んでみた。もっと別の作品も読んでみたい。また本書は、最近同じ表紙で文庫化もされている。表紙がとてもいい。内容の雰囲気にはぴったりだ。
2000年8月12日土曜日
| ★★★★★ 「深夜特急5 -トルコ・ギリシャ・地中海-」(文庫版) | 沢木耕太郎 | 新潮社 1994年6月1日 p247 | 有 |
今更な本なので、細かいことは言わないが、旅を人の一生と同じに考え、幼年期、青年期、壮年期、老年期とする分類はなるほどと思った。本作は、このうち壮年期の話である。
今回はたまたまだが、すべて電車の中で読み終わした。ボックス席で読んでいたときに、前に座っていた女性がアメをなめようとしたとき、沢木耕太郎が乗合バスで物を食べるときには、同乗者にも勧めてから食べるルールがある、ということを思い出し、変な感じがした。そう、旅という特殊な状態でなければ、そんなことはできないし、すれば日本では変な人に思われる、と知っているから。
2000年8月9日水曜日
| ★★★★☆ 「ロケットボーイズ」 | ホーマー・ヒッカム・ジュニア | 草思社 2000年7月10日 上p294 下p321 (武者圭子訳) | 借 |
「夏のロケット」を地で行くお話。それどころか、「本当の高校生」が最後には高度9000メートルまで飛ばすロケットを作ったという事実がすごい。すごすぎる。オーク1号からオーク31号まで合わせて35機のロケット(22号が5機あるため)が描かれているが、燃料も「黒色火薬」→「ロケットキャンディ(硝酸カリウム+砂糖)」→「亜鉛ウイスキー燃料(硫黄入り亜鉛末+アルコール)」へとバージョンアップするし、ロケットの噴射口であるノズルの設計にいたっては微分方程式を解き、最適な形状を作成していた。もちろん最初はただの爆弾しか作れなかったし、主役のサニーことジュニアは成績は中くらいだった。恵まれていたのは環境だとは思う。例えば、炭坑町のために道具はいろいろあったこと、父親が現場監督と地位があったこと、炭鉱会社に優秀な機械工がいたこと、理解ある母親がいたこと、使っていない広い土地があったことなどがある。でもそれ以上に親友たちがいたことと、熱心な若い女の先生がいたこと、町の親切な人達がいたこと、そしてサニーのリーダーシップによるところが大きい。あとがきにもあるが、日本では同じ時代だけでなく、今でもこんなことはできないだろう。これはアメリカの田舎の良い点かもしれない。高校最後の全米科学フェアで優勝したあと、展示に使ったオーク26号から31号まで連続で打ち上げていくシーンは圧巻。このロケットボーイズのクラブ「BCMA(ビッグクリーク・ミサイル・エージェンシー)」の歴史と実力が全開で楽しい。
彼らはアメリカの幸福な時代の人間らしく、こんなことをしながらもきっちりと女の子と遊んでいるのがいい。まあいい友達がたくさんいたせいもあるけど。ダンスパーティもあるし。炭坑町の実状も垣間見えるのも、古き良きアメリカが感じられるのも、本書のポイントだと思う。本書の最初の部分が多少説明調で読みづらいことを除けば、いっきに読める楽しい本だった。最後に日本人宇宙飛行士も一役買っていることも付け加えておく。
2000年8月3日木曜日
| ★★★★☆ 「ネバーランド」 | 恩田陸 | 集英社 2000年7月10日 p267 | 借 |
2000年7月31日月曜日
| ★★★☆☆ 「レキオス」 | 池上永一 | 文芸春秋 2000年5月25日 p502 | 有 |
2000年7月23日日曜日
| ★★★★★ 「ASIAN JAPANESE3」 | 小林紀晴 | 情報センター出版局 2000年6月2日 p365 | 有 |
2000年7月16日日曜日
| ★★★★★ 「秘密」 | 東野圭吾 | 文芸春秋 1998年9月10日 p415 | 借 |
2000年7月10日月曜日
| ★★★★★ 「バトル・ロワイアル」 | 高見広春 | 太田出版 1999年4月21日 p666 | 借 |
2000年7月3日月曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ72「パロの苦悶」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年5月15日 p298 | 有 |
2000年6月30日金曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ71「嵐のルノリア」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年3月15日 p302 | 有 |
2000年6月27日火曜日
| ★★★★☆ グインサーガ70「豹頭王の誕生」 | 栗本薫 | 早川文庫 2000年2月15日 p292 | 有 |
2000年6月25日日曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ69「修羅」 | 栗本薫 | 早川文庫 1999年12月15日 p293 | 有 |
2000年6月19日月曜日
| ★★★★☆ グインサーガ68「豹頭将軍の帰還」 | 栗本薫 | 早川文庫 1999年11月15日 p296 | 有 |
2000年6月17日土曜日
| ★★★★★ グインサーガ67「風の挽歌」 | 栗本薫 | 早川文庫 1999年8月15日 p300 | 有 |
2000年6月16日金曜日
| ★★★★☆ グインサーガ66「黒太子の秘密」 | 栗本薫 | 早川文庫 1999年6月15日 p286 | 有 |
2000年6月14日水曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ外伝16「蜃気楼の少女」 | 栗本薫 | 早川文庫 1999年9月15日 p303 | 有 |
2000年6月10日金曜日
| ★★★★☆ グインサーガ外伝15「ホータン最後の戦い」 | 栗本薫 | 早川文庫 1998年9月15日 p299 | 有 |
2000年6月9日金曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ外伝14「夢魔の四つの扉」 | 栗本薫 | 早川文庫 1998年6月15日 p303 | 有 |
2000年6月7日水曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ外伝13「鬼面の塔」 | 栗本薫 | 早川文庫 1998年3月15日 p287 | 有 |
2000年6月6日火曜日
| ★★★★☆ グインサーガ外伝12「魔王の国の戦士」 | 栗本薫 | 早川文庫 1997年12月15日 p294 | 有 |
2000年6月2日金曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ外伝11「フェラーラの魔女」 | 栗本薫 | 早川文庫 1997年10月15日 p292 | 有 |
2000年5月29日月曜日
| ★★★☆☆ グインサーガ外伝10「幽霊島の戦士」 | 栗本薫 | 早川文庫 1997年6月30日 p319 | 有 |
2000年5月10日水曜日
| ★★★★★ 「きらきらひかる」 | 江國香織 | 新潮社 1991年5月5日 p221 | 借 |
2000年4月25日火曜日
| ★★★★★ 「木曜組曲」 | 恩田陸 | 徳間書店 1999年11月30日 p243 | 借 |
2000年4月24日月曜日
| ★★★☆☆ 「ソラミタコトカ 会社つぶれてしもたがな!」 | 山本ちず | フォレスト出版 1997年12月6日 p197 | 借 |
2000年3月25日土曜日
| ★★★☆☆ 「サイゴンの昼下がり」 | 横木安良夫 | 新潮社 1999年1月25日 p334 | 借 |
2000年3月13日月曜日
| ★★★★★ 「東京ゲスト・ハウス」 | 角田光代 | 河出書房新社 1999年10月5日 p153 | 借 |
2000年2月19日土曜日
| ★★★★★ 「エンディミオンの覚醒」 | ダン・シモンズ著 酒井昭伸訳 | 早川書房 1999年11月20日 p814 | 借 |
2000年2月12日土曜日
| ★★★☆☆ 「ベトナムでの日々」 | 遠山光一郎 | ボーダーインク 1998年1月26日 p151 | 借 |
2000年2月4日金曜日
| ★★★☆☆ 「盤上の敵」 | 北村薫 | 講談社 1999年9月10日 p301 | 借 |
2000年1月22日土曜日
| ★★★★★ 「変身」 | 篠田節子 | 角川書店 1992年9月20日 p291 | 借 |
2000年1月15日土曜日
| ★★★★★ 「BAD KIDS 海を抱く」 | 村山由佳 | 集英社 1999年7月10日 p370 | 借 |
2000年1月14日金曜日
| ★★★★☆ 「象と耳鳴り」 | 恩田陸 | 祥伝社 1999年11月10日 p290 | 借 |
2000年1月12日水曜日
| ★★★★☆ 「リスクテイカー」 | 川端裕人 | 文芸春秋 1999年10月30日 p357 | 借 |
2000年1月6日木曜日
| ★★★★☆ 「夏の災厄」 | 篠田節子 | 毎日新聞社 1995年3月25日 p381 | 借 |