楽家 BookReview
2004年版
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  • ★4つ以上はお薦めです。★4つと★5つは個人的な好みや、 読んだ時の感情によって違っているだけで、ほとんどの場合は差がありません。 ただし、楽也の特徴として「初読の著者の評価は特に甘い」、「簡単に★5つがでる」 という特徴があります。

  • 右端の「有」は所有、「借」は図書館から借りた本、「古」は古本屋で買った本、 「貰」は人から貰った本であることを意味しています。


  • 2004年12月30日木曜日
    ★★★★☆ 「阿修羅ガール」舞城王太郎新潮社 2003年1月30日 p284
     女子高生アイコは、奔放に暮らしていたが、それでも大好きな陽治にコクることはできていなかった。ネット書評で評判の舞城王太郎のたぶん現時点での代表作。
     そういえば発売当初、表紙が「おっ」という感じ(セーラー服姿の女子高生が踏み切りを渡っている写真)で買おうかと思ったこともあったけど、買わなかった記憶がまずあった。でも実はそんなに甘いお話ではなかった。阿修羅のような「暴力」を秘めている女子高生なのであった。しかも「天の声」という、ちょっと2chぽい掲示板が世の中にあったりする世界。現在の世界をもうちょっとエスカレートした少し未来にはありそうな猟奇事件の数々。その喧騒の世界から、突然静かな森の話へ。最初はそれまでの過激な世界に慣れていたので退屈だったけど、その静けさ、幸せさに浸れそうなときに起こる事件。そしてそれらすべての少しだけしっとりとした結末。なんというか、良い言葉が思いつかないけど、動と静の操り方は意外すぎてあっけにとられて楽しかった。最初のテンションのまま最後まで行ってもよいような気もするけど、それだと結末がいやな感じになったと思うから、この落としどころは正解なのかもしれない。
     ネットで受ける気がする作家ではあるけど、「静」の場面もなかなかなのでテンションが低い、普通のお話でも十分に期待できる作家だと思う。気が向いたらまた読んでみたい作家の一人としてストック。

    メモ:永楽寺に小山嘉崇作の阿修羅像がある。

    2004年12月30日木曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ96「豹頭王の行方」栗本薫早川文庫 2004年8月15日 p311
     リンダの魅力全開の巻。ハゾスがこんなにメロメロとは。

    2004年12月30日木曜日
    ★★★★☆ グインサーガ外伝19「初恋」栗本薫早川文庫 2004年5月15日 p305
     若い頃のナリスがかわいい。このまま素直に育ってほしかった。

    2004年11月15日月曜日
    ★★★☆☆ グインサーガ95「ドールの子」栗本薫早川文庫 2004年6月15日 p313
     表紙を見るとイシュトバーンの話なので「やだなあ」と思っていたら、それは全体の半分ほどで、結果としては群像の巻であった。グインサーガほど長い話になると、たまにしか出てこない登場人物がたくさん出てくる。そういった人々の「今」を伝える巻が、どうしても必要なのだ。そして、「あの人が・・・」と久々の邂逅にひたることできる。これは長い話だからこそ出来る特権かもしれない。

    2004年11月14日日曜日
    ★★★★☆ グインサーガ94「永遠の飛翔」栗本薫早川文庫 2004年4月15日 p313
     基本的にファンタジーであるグインサーガであるが、たまに本巻のようなSFになることがある。だからこそ、グインサーガのSF部分は刺激的である。まあ宇宙船の描写が意図的?に70年代SFっぽいのはファンサービスなのだと思うけど。

    2004年9月26日日曜日
    ★★★★☆ 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹新潮文庫 1988年10月5日 上p397下p347
     計算士として依頼を受けた彼は依頼者の元へといくと、無機質なビル、太った美しい娘、やみくろ、滝、そして博士に出会って、計算士としての仕事をこなした。その頃、美しい黄金の毛皮をまとった一角獣たちは秋の日を浴びて輝いていた。門番と話す彼にはまだこの世界のことがよく分かっていなかった。2つの世界のお話。

     何の前提知識もなく、この本を読んでみた。この本を薦める人が何人かいたので、ちょうど沖縄旅行があったのでそのお供にこの本を選んだ。
     このお話が2つの世界を行き来する作品だとは全く知らずに読み始めたので最初はなかなかペースがつかめなかった。ネタバレ→慣れてくると、まずは「ハードボイルド」世界の話の面白さにどんどん惹かれた。ところが下巻の頃になると逆に「世界の終り」世界の話がどんどん面白くなっていく(ちょうどそのあたりで「ハードボイルド」世界の話が停滞するためかも)。いつのまにかこの「世界の終り」世界が手に取るように眼前に思い浮かぶようになってきた。たそがれた美しい、けど何も生まず争わず、そして未来がない世界。心の平穏が約束された世界、それが世界の終り。
     主人公が世界の終りを受け入れたのはいかにも村上春樹らしい、と思えた。ファンタジー作家の作品なら、世界の終りを打ち破って現実世界への帰還を果たしただろう。この作品がファンタジーものでない、これが最大の理由だ。
    ←ここまで。

     本作品で最も難しかったのは「太った美しい娘」を想像すること。太ってて、美しいというのはどんな雰囲気なのか、全く思いつかない。たぶん彼女がやせればかなりの美人になるのは間違いないのだが、それが余計に頭を混乱させる。この想像ができない私は心根の貧しいのだろうか、とも思ってしまったり。

     途中まで読み進めたとき、壁に囲われた世界というあたりから、数年前に見た「灰羽連盟」というアニメを思い出した。どうやら「灰羽連盟」のほうが本作品の影響を受けているようだ。「世界の終り」が好きな人なら「灰羽連盟」も気に入るかもしれない。

     これは村上春樹の特徴なのかもしれないが、現実世界の人・モノが実名で何度も出てくる。後から読んでも面白い本が多い村上春樹だが、時間の共有ということを考えると出版直後が一番面白いのだろう。でも最新作「アフターダーク」はタイトルが怖そうなので買う気にはなれないところ。

    2004年7月6日火曜日
    ★★★★★ 「図書館の水脈」竹内真メディアファクトリー 2004年4月5日 p255
     中年の域になりつつある作家。ふと一人旅をはじめる・・・
     大学生の彼と美容師見習いの彼女のカップル。彼のふとした勘違いから2人は付き合い始める・・・
    村上春樹「海辺のカフカ」とその他多くの物語を内包した物語。

     本屋でタイトルがいいなあー、と思って作者を見たら竹内真だったので購入した。読み始めるとわかるが、村上春樹「海辺のカフカ」が重要なモチーフとなっている作品である。実は、カフカは文庫化されたら買う予定だったのでまだ読んでいない(カフカを読んでから読むべきか迷ったが・・)。ただし本作はカフカだけではなく、多くの村上春樹作品と徳富蘆花など多くの作家の作品が登場する、本好きにはたまらない作品(ほとんどが未読であった)。なんと巻末には登場作品の一覧付き!というサービスぶりがなかなか良い。

     もちろん、作品が登場するから面白い作品であるというわけではない。そう、細かいシチュエーションがうらやましいというのがあるのかもしれない。ネタバレ→それは図書館で一晩を明かしたことや、作家との会話、そして世には発表されない物語。この水にまつわる物語は恩田陸あたりに書かせたら極上のファンタジーになりそうだ。
     本作は最初の2筋の展開のときは「わかりにくい・・」という感じだったが、2筋が合流してからがとても楽しい竹内真らしい作品になった。さらにラストの10ページほどは竹内真としては初めてファンタジーな展開に挑戦し、それに成功した作品になったと思う。
    ←ここまで。

     本好きにはオススメな一品です。

    2004年6月30日水曜日
    ★★★★☆ 「真夏の島の夢」竹内真角川春樹事務所 2004年2月8日 p262
     コント劇団コカペプシの面々は、瀬戸内の小島「鹿爪島」へと向かう唯一の交通機関であるフェリーの中にいた。そのちょうど同じフェリーには、エッセイストの佳苗とその従妹でありアシスタントである律子も乗っていた。本作は、たぶん青春小説と呼べるもの。

     最近では珍しい、安心して読める作家であるカレーライフ@竹内真の作品。だからとんでもない結末にはならないであろう、と安心して読んだ。

     劇中では主役のコント劇団がコントを作っていくのだが、このコントを作っていく過程が面白い。というか、この作品ってもしかすると作者の実体験が元のような気がする。それは缶詰にされるために来た佳苗をヒントにして劇を作ろう、とするシーンから感じられた。作者が編集者から「新作を書いてくださいよー」と頼まれたので、そんな自分自身を面白がってこの作品ができたのではないだろうか。この作者ならありえそう。
     また、この劇中作であるコント劇もなかなか演出が効いている。どんどん劇が面白くなっていく”くだり”など、「あー俺もその会議に参加してー」ってなワクワクするシーンだったりした。

     ネタバレ→実は読みすぎだったのかもしれないが、ゴミ問題の黒幕は編集者川勝ではないかと思っていた。それは劇中劇の真犯人が編集者だったからだ。それがリンクして最後はみんなでビックリして終わるのかと思ったら、意外にもあっさりとした終わり方であった。それと財宝がちょっと渋すぎたような気もする。もう少し派手にしたほうがエンディングにはよかったかも。←ここまで。

    2004年5月23日日曜日
    ★★★★☆ 「超人計画」滝本竜彦角川書店 2003年7月31日 p253
     NHKの引き篭もり特番に出て有名になった滝本竜彦の自虐エッセイ。

     なんというか痛いです。自分に槍が刺さったような、しかも全身に。まるで自分のことを言われているような読んで行くのが辛いエッセイです。入り口は軽いノリなんだけど、出口に到達すると息も絶え絶えな。滝本竜彦自身も身を削ってこのエッセイを書いたようですが、こちらも身を削られました。再読するときは自分が追い詰められたときだけでしょう。

     とか大変そうに書きましたが、冷静な人なら普通に読めるエッセイです。でも引き篭りな人は読んでもかまわないけど、悪いところはマネしないでね。

    2004年2月18日水曜日
    ★★★★☆ グインサーガ93「熱砂の放浪者」栗本薫早川文庫 2004年2月15日 p313
     ノスフェラス、それは無限の砂漠。そして死の始まり。そこに降り立ったグインの描写が、なかなかよかった。無敵の英雄といえど、水が無ければ死にそうになるとか。人間らしさが好感度アップ?

     最後の展開はある程度予想していたとはいえ、またまた「ひっぱるなー」な展開で終わっている。これは止めて欲しいなあ。

    2004年2月1日日曜日
    ★★★★☆ グインサーガ92「復活の朝」栗本薫早川文庫 2003年10月15日 p311
     タイトルを見れば分かるとおりの展開。悪の太子アモンを意外な方法で・・・。

     ヴァレリウスとケイロニアの面々のあたふた感が好感度アップ。そんなまったり感が良かった巻。

    2004年1月29日木曜日
    ★★★☆☆ 「蛇行する川のほとり3」恩田陸中央公論新社 2003年8月15日 p122
     部外者としての真魚子。そして彼女の登場によって謎は解決していくのだが。シリーズ最終巻。

     真魚子の香澄に対する感情の揺れはとても好ましく、読んでいて面白かった。ネタバレ→でも、「事件」の解決編としてみると、何か物足りない。やはり香澄が「主人公」になっていたのが最後の最後だけだからだろうか。香澄がこれだけ魅力的な人物として描かれているのに、彼女が一人称で話すのは本当に最後の最後だけ。彼女の言葉や考えをもっと聞きたかった。もちろん、構成上そうしたのだろうけど、それが自分にとっての物足りなさの原因だと思う。←ここまで。

    2004年1月17日土曜日
    ★★★☆☆ 「蛇行する川のほとり2」恩田陸中央公論新社 2003年3月31日 p122
     少しづつ見えてくるあの事件の全容。5人は互いを意識し、牽制し合いながらも、ぎりぎりのところで破綻せずに合宿は進んでいく。静粛、そして羽化へ。すがすがしい朝を迎えたはずだった。

     ウキウキ感が無くなり、疑心暗鬼の駆け引きへ。これも面白いのだけれど。そして最後に収まったと思ったんだけど。まあ続きがどうなることやら。最後はうまくまとまっていますように。(恩田陸は最後に失敗することが多いからねぇ)

    2004年1月15日木曜日
    ★★★★★ 「蛇行する川のほとり1」恩田陸中央公論新社 2002年11月30日 p123
     憧れの上級生香澄に夏休みを一緒に過ごさないかと誘われた毬子。避暑地ではなく、香澄の家で。それは川辺に建てられた船着場のある家だった。そして、その家には過去の忌まわしい事件がつきまっとていた。青春ミステリっぽい感じの小説の第一部。

     恩田陸お得意の学園もの+ミステリ+密な人間関係。というわけでワクワクして読めるのは当然であった。ミステリアスで魅力的な登場人物たちを読んでいると、このまま少女コミックにできるのではないかという雰囲気がぷんぷんした。最後の最後で、意外な幕が開いたので続巻に期待。







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